32: 一般1 :2021/03/03(水) 19:14:05 ID:???0
クソゲーをプレイして、一体何が得られるだろうか。
2019年のKOTYeは、闇の堕天使『崩壊天使アストレイア』の勝利によって幕を閉じた。
どこまでも広がるバグ、ストレスフルなゲーム性、トドメに根幹たるカードバトル要素を省略しプレイヤーの苦労を水泡に帰する醜怪さ。
終わりなき地獄をユーザーにこれでもかと見せつけ、その年のトレンドを全て内包したその姿もまた、王者と呼ぶに相応しい貫禄であっただろう。
だが、いかに人を苦しめればKOTYeの戴冠を得られるかというと、それは違う。
何故なら、住民は、歴戦のHentai Hunter達は、負けない、くじけない、何度でも蘇るゾンビ集団だからだ。
今なお圧倒的な過去の王者に脳髄を犯され感覚が麻痺しようとも、彼らは自らの手でクソゲーを掴み取り、選評を書き上げ、悲しみを笑いへと変える「希望」を探求するのである。
果たして、彼らが行く道の先に見えるものは、闇か、はたまた光か……。未曽有のパンデミックで世界中が大混乱に陥る中、今年も「クソゲーとは何か」を考察する一年が始まる。
今年のKOTYeは、静かな立ち上がりをみせた。
1月に登場した『神様のしっぽ ~干支神さまたちの恩返し~』は、総勢12名のヒロインを起用したがために、立ち絵差分皆無や個別ルートへの道が各キャラ全員のフラグブレイク、
公平性を欠く個別ルートの作り込みで不興を買う結果となるが、作品自体は褒めるところもあり大きな混乱にはならなかった。
しかし修羅の国において、所詮平穏は戦争の下準備に過ぎない。
ここから怒涛の闇のカーニバルが開幕する。
2月に登場したのは、前年『ギルドマスター』を次点入りさせたアストロノーツ・シリウスの『絶対女帝都市~叛逆の男・カムイ~』が黒いバイクに跨って登場した。
今回は奇跡的に致命的なバグはない。が、本作で褒められる点はそこだけである。
何より問題なのが、『ギルドマスター』で散々言われていたSLG&ADVパートの薄さが、治ってない。
まずSLGパートだが、制圧した地域に隣接した拠点をクリックすることでそこを制圧できる。
白なら何もなし、赤なら戦闘、「!」ならヒロインとのイベントが行われるといった具合だ。
しかしそのクリックは適当にやってもほぼ大丈夫で、ゲームオーバーの基準になっているPHASEも基本高めに設定されているため気にする必要はなく、面白みも何もない。
一応赤の拠点を制圧する際には戦闘力という数値で勝敗が決まるのだが、
こちらも事前に捕えたヒロインとの基地イベントを見たりしていれば「はいはい、戦闘ね()」といった具合でほぼ負けることはない。
終盤になると一本道+全マスが「!」という思いついた者を切り捨て御免にしたくなるような構成で非常に煩わしく、
いちいちマップに戻ってクリックする作業すらうざったく感じてしまう。選評者からも「不要」とバッサリ切り捨てられる有様だ。
次にADVパート。本編はボイスのない男主体であり、捕らえたヒロインも基本フェードアウトするため男にしか感情移入できないという困った仕様である。
他にも基本一戦目は勝負流れになることが多いのに、「せっかく捕まえたり優勢だったのに考え事をしてたら逃げられた」「逆レイプされた」というシュールな展開もあり、
おまえは本当に女性支配の国から男を解放したいんかいと突っ込みを起こしたくなる。
ヒロイン間の格差も酷く、回想でHシーンが7つある者が大半なのに2、3つしかないヒロインがいたり、7つ中3つは主人公が幻覚で見た他ヒロインとのシーンといったものもある。
一応Hシーンの尺はそれなりに長めなのだが、スキップが遅い、ジャンプできない、見ないと本編進められないと地味にイライラを募らせるストレス因子と化している。
何より一番問題なのが、ラストは怒涛の急展開の連続の中、俺たちの戦いはこれからだ! で終わることだろう。勿論メーカーサイドの続編の予定は今のところない。
この全編通してイライラさせる薄さと作り込み、ジャンプの打ち切りエンドで終わりという「終わり駄目なら全て悪し」を体現した展開は、流石次点排出者の実力通りといったところか。
JADEの『LOVE・デスティネーション』はジャンルからして「死に戻れた2周目でモテモテライフを夢見たら、そこは全員バッドエンドのハーレムルートだったADV」という、
おバカ路線を行くADVなのか? と思うかもしれないがそれは間違いである。
いや、正しくはあるのだが、それではこのゲームの魅力を半分も伝えていない。
正しくは「何の愛着もわかない電波ヒロインのうち誰かを選択し支離滅裂なシナリオや素晴らしい日本語と戦いながら何とか正気を保つのが目的のADV」だ。
まずシステム面で問題なのが、やたら目につくふりがなと強調点だらけの文章だ。明らかにふりがな前提の文章になっているのだが、必要のない強調点と相成って非常に鬱陶しい。
その上バックログではふりがなが表示されない為、ひとたびクリックミスしてログを開くと奇怪な日本語と対面し、何が起きているのかさっぱり理解不能になる。
他にも、必要のない記号や()、漢字をカタカナで使う、♂♀を使いまくるなど痛々しく、「間違った誤訳日本語学習ドリル」とすら呼ばれてしまう。
そして肝心の内容は、超展開の暴風雪だ。冒頭からして、全ての権力を握ってやりたい放題している総理大臣に全国民が振り回される中、
結婚式の帰りにトラックに轢かれた際に、ムシャクシャしていた天の声に主人公の漢字の読み間違いで体を木っ端微塵にされる運命を手違いで与えられてしまい、
その不祥事を隠すため主人公の運命が変わる瞬間の過去に精神ごと送って数合わせする、といったもの。
これだけでもう頭が痛くなること必死なのだが、共通ルートはともかく、個別ルートは更なる地獄である。
従姉妹とレズルートは、入手していたHな動画で二人を脅して調教。それがバレて学園から去るつもりだったが、スーパー両親が総理の不祥事の証拠を搔き集めてすべて解決。
学園長の姉妹ルートは、トラウマを抱えた妹に一服盛られて犯されたり刺されたりしつつ、親なら娘を守れと義父の学園長を糾弾した矢先、スーパー両親が総理相手にテロを起こし解決。
隣の娘と親友ルートは、拉致監禁から始まり実は親友がふたなりであることが発覚。その後も絞られたり拉致られたりしながら最後は親が問題を解決しアブノーマルな生活を送って終わり。
幽体離脱少女ルートは、少女が友人の体を乗っ取ったりしながら主人公と楽しく生活していたが、いきなり総理に脅され命を狙われる、と思ったら天の声の手違いでまた殺されてしまう、
と思ったらまた生き返り、結局スーパー両親が活躍して総理は逮捕、と思ったら天の声にまた間違って殺されたが、奇跡が起きてなんやかんやあってハッピーエンド。以上。
ご覧の通り、主人公は基本的に事流れ主義(誤植に非ず)で殆ど自分から動かず、基本両親やヒロインの親が物事を全て解決して終わりというワンパターン展開である。
なお、主人公は己にブーメランを何度も刺しながら、敵対した大人を自身の立場を棚に上げ精神攻撃するお茶目さんであることも追記しておく。
プレイしたスレ住民曰く、「(全キャラが)一字一句喋るな考えるなと思った作品はチーズ以来」と言うほどのアレっぷりに、本作を知った住民たちも思わず「むう」と唸るのであった。
3月に登場したのは、ベテラン工兵・戯画の『ジンキ・リザレクション』である。
『ジンキ』といえばかつて戯画の看板とも言える原作モノの1つだったが、前作が発売されたのは2010年。それから時が流れ今は令和2年。
もはや「何それ?」「そんなものあったっけ?」と冷たくあしらわれてしまいかねない新作である。
ジャンルとしては王道のコマンド選択式ADVだが、システムが非常によろしくない。
本作の「デートシステム」は見目麗しきヒロイン3名の中から攻略対象を選び、親交を深めていくわけだが、
それぞれのキャラクターには好感度と操縦練度というステータスが初期値で振り分けられている。
だが、これを把握できるのは最初のみでその後は一切表示されず、各ステータスがシナリオの分岐フラグになっているのに、ヒントは何もなし。
放り出された町中で1日約4回の行動を起こし、先へ進むにはそれぞれのタイミングで特定の服装、特定のシナリオを読むなどが必要になり、これがおよそ一か月続くのである。
そういった結果が何を生み出すのか? 答えは「大量のバッドエンドを回収しつつ兎に角死亡フラグを回避しながら先へ進むしかない」という、極めて面白みのないものになっている。
内部ステータスが視認できないまま、シビアな条件下で特定のイベントを見なければいけないので攻略は困難。下手すれば詰みが確定したりするのはご愛敬である。
なお、特定のポイントを何度もループして全く同じシナリオを見たり、ストーリーでは入院しているはずの人物に街中で会ったりとフラグ管理も微妙だ。
シナリオもお世辞にも良いとは言えず、原作を知っていること前提な割には、知らない?なら勝手に個人で保管しろ的な投げやりな部分も多く、読み手はただ置いてきぼりなまま進んでいく。
満を持してリザレクションした結果がこれでは、原作者とそのファンはさぞ報われないことだろう。
3月にはもう一本、堅実な作品作りとバグ祭りに定評のあるninetailの『創神のアルスマグナ』もエントリー。
本作は発売当初、バグ祭りが起きたがパッチによって無事安定版になったので許せるものとする。グラフィックは美しく、戦闘システムも悪くない。
ストーリーは普通につまらなく、ADVパートが長すぎてRPGパートに行くまでにうんざりしてしまい、没入感を別の形で補充しなければやってられないレベルである。
主人公も学生故か精神的な成長がないうじうじ系であり、しょっちゅう自問自答モードに入っては仲間を危険に晒したり、重要なシーンで時間を無駄にする。
ただこの辺りはまだスキップ機能を使えば問題ないので、RPGを楽しみたい人にはまだ許せる範囲であろう。
問題はアイテム集めにあった。本作は「クレスト」というアクセのようなものをキャラに装着することでキャラを強化できるのだが、これが全部で286種類。
ゴミみたいな性能な物もあれば、ひとつで戦況を覆せる強クレストも存在する。しかしクレストの大半は3Dマップのクレストマスまたは戦闘後ドロップであり、
- パーティ強化の為に優秀なクレストを入手する必要がある。
- 実際に入手するまで優秀かゴミかはわからない。
- クリアしたマップに再挑戦はできない。敵出現マスも1戦闘で消える。
- 今相手にしている敵が今後も出現するかはわからない(特定マス固定の敵もいる)。
その結果がどういう問題を引き起こすのか、答えは大体予想がつくだろう。
すなわちセーブ&ロード、セーブ&ロード、セーブ&ロードの数をかぞえろぉ! というひたすら面倒くさいクレスト収集ゲーに終始してしまっている。
こうなればもはやゲーム性は皆無。ただのセーブ&ロード作業アプリというか、周回を強要するソシャゲの様になってしまったのは残念この上ない。
一応クリア後のフリークエストで優秀なクレストはほぼ手に入るのだが、何故それを本編でやらないのか、と誰もが思っただろう。
春の終わり頃にはあかべぇそふとすりぃの『墓多DYINGZOMBIES ~Second Chance for BEAUTIFUL LIVE~』もオンステージ。
マフィアがゾンビを利用するのが当たり前な墓多を舞台にしたゾンビのアイドルものというどこかで見たような設定のニッチアイドルものである。
ヒロイン勢も、血液がワイン、ライブ中に銃弾をぶっ放す狂人、体がシリコンでオナホで補強すれば傷も治ると一応属性っぽい属性を付けようという努力だけは認めるが、
全体的に張り子の虎である。そもそもシナリオを見れば、身体を銃弾の肉盾にしたり客から手榴弾をかばったりする行動からアイドルとして認められるという、
どこがアイドルものかいなと思える突っ込みどころ満載で、個別シナリオもダイジェストを多々使っており、一夜でマフィアの総本山が壊滅したりと極めて杜撰。
バカゲーとして見ればそれなりに価値があるものの、肝心のアイドル達はスレ住民から「似てないコスプレAVの様」だと失笑された。
そんな中、作中の『癒し』を担当したのがドルオタニートのマイケル君だ。このマイケル君、その名の通りただのドルオタなのだが、
特定ルートではマフィア遊撃部隊に参加しマフィアの戦力を大幅に削る大活躍を見せたり、ヒロインを救うべくスナイプを行う際、自分の頭を台座にしてくれと申し出るのだが、
その際にズラが取れツルピカハゲが露出して笑いを取ってくれたりと完全にヒロイン勢から個性を奪っている。
彼の活躍なくして本作のクソゲー度合いは若干緩和されたと言っても過言ではないだろう。
ensembleの『Secret Agent~騎士学園の忍びなるもの~』は「騎士」と付いてる時点で破綻が確定していた問題作だ。
舞台となる冬華学園には学園運営を行う「騎士団」があり、騎士団は年間500万もの学費を徴収しているのに、
運営は慢性的な赤字、人材不足、一部の者の特権乱用、不要な部署だらけとぐっだぐだ。
学生のデモ活動は各ルートで盛んであり、学生側も騎士側も力で制圧する流れにもっていこうとしては、主人公の周りの人物に抑えられるとこれまたぐっだぐだ。
共通ルートでも穏便に済ませようとする騎士側に対して、敵サイドにそそのかされた学生側はクーデターを起こそうとしたり爆弾テロを起こそうとしたりと全編ぐだり倒している。
そして主人公は忍者なのに全然忍んでない。夕方に忍び込んでは一般人に見つかり、夜に忍び込んでは教師に見つかり、
ヒロインの父親を守るためにクナイを投げた後平然と表に出たりする。
他にも女とまともに喋れなかったり、AIのお世話になりっぱなしだったり、ひったくりを追いかけては見失うなど無能ぶりをこれでもかと見せつけてくれる。
ヒロインも大概で、将来設計が決められていて自由がないと言いながら何の葛藤も抱かず主人公と交際したり、主人公と淫らな行為をしたと噂を立てられているのに決闘場でHしたり、
許嫁がいるのに平気で付き合ったかと思えば海外留学に行ってしまったり、なぜかトゥルーでは全員と付き合っている流れになっているらしいと、まるでよく分からない。
やはりKOTYeにおいて、「騎士」、それも「忍び」の合わせ技となれば、地雷に行きつく結果は当然の帰結ではないだろうか。
『メガスキ! ~彼女と僕の眼鏡事情~ 伊波乙葉編』は眼鏡っ娘をフィーチャーした980円と安価なメガスキ!シリーズ3作品目なのだが、中身は値段相応ですらなかった。
まず、本作はヒロイン伊波乙葉に問題点があり過ぎる。彼女は、主人公に過去に眼鏡を拾ってもらっただけで惚れて学校を調べて入学し、
主人公の過去の行動をすべて調べて手持ちのタブレットに記録をしていて付き合い始めていきなりお外でおっぱじめる。
他にも自分のアピールにパワポで淡々と説明しだしたり、メールを3桁送ってきたり、情事の回数をカウントして記録するなど完全にただのヤンデレビッチストーカーになっている。
加えて主人公の性格もかなり気持ち悪い。乙葉の胸が頬に当たっただけでエアバッグのようだとかタピオカチャレンジだとかを考えつつオナネタにしたことを一人で勝手に正座して謝ったり、
後輩をデッサンにしてポーズが安定しないからとポーズも何も無しに椅子に縛り付けるなどとても正常な頭とは言い難い。
これで、CG6つ・Hシーン4つと非常に少なく、上述の頭のおかしさも含め抜きゲーとして完全に失格である。
王道の眼鏡っ娘の作りにしておけばいいものを、属性を無駄に盛って台無しにした結果がこれではごらんの有様もいいところだろう。
7月にはプラリネの『彼女がアイツで、俺はだれ!?』が購入者に供養をされるためやってきた。
本作は所轄転生ヒロインものであり、織田信長や明智光秀の末裔の花魁などが生まれ変わって主人公にアプローチをかけてくるのだが、主人公は最後まで前世の記憶を思い出さない。
そこまではまあ、オナホを「変な女子と将来性のない交際をするより、時間とお金の節約ができて効率的だよな!」と絶賛するあほたれなので許せるのだが、
本当の問題はシナリオにおける豆知識の羅列にあった。それもとにかく生活、政治、健康、機器類など、とにかく色んな所からググったようなネタを無造作に引っ張ってきており、
テキスト内に片っ端から挿入しているのだ。その全てはエロゲにおいてよくある食レポなみに「いらない」ものばかり。というか、「いらない」ものしかない。
なお、Hシーンも問題があり、主人公は設定では鍛えていて健康的となっているのだが、実際は腹はぷよっていて太ももも無駄に太く、それに加えて14シーン中5つしか本番がなかったり、
初穴が尻だったり、特徴もないシーン後のただの会話を数に入れていたり、何故か赤ちゃんプレイが多かったりと質自体もとても褒められた内容ではない。
大量に湧き出る豆知識の羅列をヒロイン達に称賛されたがっている辺りはライターの承認要求だと思うのだが、それがどれだけ気持ち悪いか、ライターは分かっているのだろうか……。
季節が夏から秋に差し掛かるころ、どこかで見たような異臭漂うゲームが現れた。その名は、SAGA PLANETSの『かけぬけ★青春スパーキング!』。
本作はかつて「笑い所のないチャージマン研」とまで言われた「カルマルカ・サークル」と製作スタッフが共通ということで、発売前からきな臭い空気を漂わせていた。
いざ蓋を開けてみると、中身スカスカ無味乾燥、キャラはブレブレ個性皆無のテンプレしか出来ない「青春部」の活動が延々と続き、プレイヤーの進める意欲をガリガリ削っていく代物だった。
主人公は「ツレェ」が口癖のバイトマンなのだが、特定ルートでは自らバイト量を大幅に減らしたり、叔母との確執から使わないと決めていた小切手をさも当たり前のように使う。
さらに幼馴染に至っては、バイトで苦しい主人公を終始振り回す迷惑女としか描かれていない。
当然他ヒロインも統一出来ておらず、性格や反応もルート次第で別人のように変わり、一部のシナリオでは全く正反対の意見を出したり、メタ発言を使って世界観をぶち壊す始末。
この描写不足、ありきたり過ぎる展開、矛盾するキャラの三拍子に購入者はあきれ顔。
スレ住民からは「何回全スキップしようとしたかわからん」「最初のヒロイン5分でやる気が根こそぎ奪われた」と罵られ、
選評者には、「カルマルカはキャラシナリオとしては個人的にはありなのだが、この作品だけは擁護しようもない」とまで言われてしまった。つまりカルマルカ>青スパということだ。
メーカーにはまた頑張ってハッピー&スマイルなゲームを作ってほしいものである。
おうちじかんのHoney*Honey*Honey!は今流行りのソーシャルディスタンスをシナリオに盛り込んだ迷作だ。
男女接近法なる法律が作られ、男女間は2m離れて生活するのが当たり前になった社会で起きるドタバタバカゲーを目指したのだろうが、全体的に描写しきれていない。
社会では結婚していても別居を強要させたりするのに、反対派が学校中を爆破しようが(本当に爆破される)追及もあまりされず、主人公とヒロインがくっついていようがお咎めはない。
学校には恋愛監査部が存在し、男女の付き合いの認可審査を任されているのだが、幽霊部員がなんと300人。どう見ても機能不全である。
社会間では必ず2m離れて会話することの半義務付けと言いつつも学校と同じように曖昧な描写が多く全体的にあやふやで中にはビッチまでいる始末。
スワン系列作品程ではないが、何とか話の辻褄ぐらいは合わせてほしいものである。というか、この設定で共学なのは無理があるだろう。
個別ルートは付き合った→Hシーン連打!→色々あって問題解決→ENDと非常に雑。テンプレとエロしかない上にシナリオが空気では救いようもない。
なお、本作の売り文句は「いつでもどこでも一緒にいたい! 好意全開で迫りくるヒロインたちとの恋の駆け引き!
好きな気持ちが抑えられないヒロインたちと繰り広げる正統派学園恋愛アドベンチャー」なのだが、本作を遊べばそんなものは何処にもないことが一発で丸分かりである。
なお、これはレアケースかもしれないが、本作のHシーンにはBGMが存在しない。音楽なしの中声優があんあん喘いでいるのを聞くのはある種のギャグかもしれない。
秋本番、木枯らし舞い散る季節になると、一度は埋められたクソゲーが墓からリビングデッドする怪現象がKOTYeを支配した。
まずは、好きな男に告白する勇気がないからパパ活する、という意味が分からない冒頭から始まり、公式HPで「ムッツリスケベ」と書かれているヒロインが初日からキスや手コキを始める、
ロープライスでありながら575MBという低容量、清々しいまでのタイトル詐欺と予期せぬNTRを放り込んだ『スケベな処女のつくりかた』が登場。
更に『Hではじめた絶品バーガー ~え?ご注文はおっぱいですか~』も店に並ぶ。
潰れる寸前のハンバーガーショップなのに、主人公が住み込みで雇われるという無理がある設定、
顔が怖くてコミュ障拗らせた主人公が営業スマイルする度に客が逃げるという心折展開もさることながら、
モブスタッフの方がヒロイン勢より圧倒的に演技力が上手いというのもポイントが高い。
CG等にも問題があり、風が吹くだけで普段履いている黒タイツが消滅したり、太ももに挿入しているように見えるHシーンなどとても良質とはいえない。
これで容量500MB以下であり、UIに至ってはバックログすら実装されていない骨董品である。
店名がバーガークイーンなだけに、「バーガーキ〇グ」への熱い風評被害を感じさせる一本だった。
選評ラッシュはまだ続く。
次に現れたのは『天冥のコンキスタ』。RPGエロゲで知られるエウシュリーからまさかの参戦である。
エウシュリーといえば、「エウ作品にシナリオなんていらねえわ」「じゃあなくすわ」「本当になくしてどないすんねん!」という掛け合いでお馴染みだが、
今回は盛大にやらかしてしまった。一応あらすじとしては、天使と魔族が長きに渡って戦いを繰り広げていた大陸に、魔力を用いて他者を支配することができる睡魔の力を持つ人間の主人公が、
新興勢力として魔族の王となるべく天使軍を殲滅すべく戦いに身を投じる、というもの。あらすじだけを見れば面白そうではなるのだが、中身は見事なまでに薄っぺらであった。
序盤はひたすら雑魚を殺さずに捕まえて戦力強化の流れが延々と続き、ストーリーへの没入感は皆無に等しい。
更にその単調なパートを終わらせ、ボスクラスの敵と対峙し無事勝っても捕獲しない限りご褒美エロはないので強敵を倒したという印象がまるでない。
しかもストーリーの最後は俺たちの戦いはこれからだ! で締められる。
主人公の体や過去などは一切判明しないまま投げ捨てられて終わるのである。
基本ヒロイン達も全員任意加入でシナリオにはほぼ絡まないため即席モブと扱いは変わらず、主人公も策士を気取っているが基本ゴリ押しが大好きなためご都合主義が吹き荒れている。
そんな主人公を持ち上げるべく味方は周囲の情報を的確に持ってくるほど出来るキャラなのだが、当の本人は相手を煽って余計な危険にその身をさらす阿呆だから始末に負えない。
RPGパートでは、基本前述の雑魚を殺さずに兎に角捕獲していくことが前提になっている。やってる事はまさに山賊である。
育成やその他諸々全てに使われる「儀式ポイント」はキャラを生贄にしたりミッションクリアポイントで溜めていくのだが、これも融通が利かない。
儀式ポイントを消費してユニットを召喚しても、初期の状態で性能が固定されているため精々図鑑埋め程度の存在価値にしかならず、召喚する価値は皆無なのである。
一応やり込むことで「研究値」をMAXにし、Lv5を大量に研究に費やしてLv20を召喚することも可能である。しかも本作にはクラスチェンジがあり、
チェンジ後も登録上別ユニットなのでチェンジ前を召喚可能まで生贄に出し、また大量に呼び出して全員チェンジ、それらを生贄にして更にチェンジ後を召喚可能にする。
といった戦力強化手段も存在するが、手間が掛かり過ぎる上にそこまでやっても強力なネームドユニットに比べれば性能は結局お察しである。
また本作にはフリーダンジョンがなく、ストーリー上で捕獲しまくるしかないという問題がある。
しかし、いくら育成を行っても装備やアイテム、スキルの使用といったキャラの用途が狭く、満足に使いこなせるわけではない。
しかも予約特典のアペンドディスクがないと育成面の捕獲ができるキャラがあまりいないため序盤にやたら手間が掛かり、本作は予約版前提の難易度になっている。
さらに捕獲用キャラがいるといっても捕獲する為にはキャラをリスクのある前面に出さなければならないため、うっかり落とされる危険と隣り合わせなのだ。
一方で敵の戦闘のAIもクソである。SLGゲームといえば、いかに戦術を練り、敵の攻撃に策で対抗していくかが醍醐味なのだが、
本作の敵は基本防御力が低いユニットを狙って突撃してくるのが義務付けられており、強引な特攻を仕掛けては次の自ターンでは早々に散っていく。
これだけならいいが、後半になると遠距離射撃してくるユニットが防御力の低いユニットを狙ってくるのでこちらも間合いを詰めて突撃していくしかない。つまり有効な戦術が限られるのだ。
さらに天使系ユニットには自分が倒された場合、最後っ屁のような周囲にダメージを与える攻撃をしてくるのだが、後半になるにつれ最後っ屁の威力は増していくため、
最後っ屁に備え、倒すタイミングを変えていくなどといった対処法が必要になる。(大事な事なので3回言いました)これらにより本作の戦闘は非常に鬱陶しく感じてしまう。
最後にエロだが、これがとにかく薄い。基本捕まえた女性キャラクター全てにHシーンがあるとはいえ、個別エロは2回を越えない。
つまり2回Hしたら申し訳程度の会話イベントを終えてそれではい終了だ。しかも各キャラにはしっかりした個別シナリオすらないので愛着も湧かないのである。
なお、本作は元々ミドルプライスで発売予定だったのに、急遽値上げして発売したという詐欺まがいの事もやらかしていることも追記しておく。
選評者からは「みじん切りされたぬか漬けのごとく何がやりたいのかすら分からない作品だった」とまで言われたシナリオとエロを生贄にした本作。
どんなに実績があろうとも、結果が全てのゲーム業界では、クソゲーになる時はなってしまうというのは、逃れられない業(カルマ)のようなものではないだろうか。
『まおかつ! ~魔王と勇者のアイドル生活~』もこの時期にやってきた。3月の発売日からマスターアップ後に二度の発売延期を行ったエリートアイドルである。
本作は異世界に勇者として召喚された主人公が、魔王をトップアイドルに育ててこの異世界に新しいエンターテイメントを広めるという、
バイタリティ溢れる野望を軸に行われる壮大なシナリオ……になる筈であった。
まず発売元であるWonderFoolにとって2年半振りの新作であるのだが、全てにおいて前作よりパワーダウンしている。BGM、楽曲、CG枚数いずれも前作以下。
本作は豪華版で税抜12,800円のオーバープライスなのに、である。
そして本作の売りは徹底的にキングクリムゾンされた文章だ。冒頭からして、
- その言葉を継げると(誤字)同時に、俺は勇者としての力を発揮した。
- 「ふふっ……負けた負けたー」
- 静寂を取り戻した湖畔にリゼの声が響く。その表情はやけに爽やかで、一切の曇りはない。
こんな調子である。しかもヒロイン達が何故魔王と呼ばれているのか、人間と魔王との戦いが何故起きたのか、それらは有耶無耶のまま明かされることはない。
さらに事態は続く。魔王アイドル育成計画である筈なのに、さあやるぞ、という時にまたしても時が一年後に飛びライブが始まる。
その上ヒロイン達は「色々あったわよねー」と語り始める。いやだからその一年を見せろよ、と誰もが思うだろう。
そして肝心のライブも数クリックで終了と何かがおかしい。共通ルートが終わった後は怒涛のHシーンが始まるのだが、後半は真の魔王が復活し、勇者である主人公が討伐に旅立つも、
僅か1クリック後には「俺にとって最初で最後の戦いから、8か月の月日が流れた」と表示されてほどなくEDである。ディアボロさんも大忙しだ。
冗長な文章も大概だが、書くべきところを書かないのも問題であることが、よく分かる作品であった。
そして続いては……2020年色んな意味で、いや、歴代でも稀に見ない問題作、Loseの『まいてつ Last Run!!』が魔列車と化し到着してしまった。
本作は『まいてつ』に前作の内容とHシーンを収録した言わば完全版だ。『まいてつ』自体、
人は選ぶものの質の高いストーリーやHシーン、鉄道の擬人化を舞台にした世界観等で人気を博し、
英語版と中国語版がsteamで販売、PS4・Switch版は全年齢版として発売され、PS4の発売に際してはJRの30以上の駅への広告出稿やTVCM放映もされている。
元々多数が売れた作品である上に、その後も複数のDL販売サイトで「Hシーン大容量パッチ」やストーリーを読みたい人向けの「普及版」等も数多く出ている程だ。
ただその結果、全年齢版の普及に伴い体面もあるのだろうか、本作は非常にエロが薄くなってしまった。
元々前作はエロが薄味で、ストーリー内にエロを極力入れず、回想シーンで解放という流れがあったのだが、
『まいてつLR』では前作の部分も含め本編からえっちぃシーンが完全に排除されている。
さすがにこれはメーカーもまずいと思ったのか、早い段階で対応する旨が告知されたが、その後の動向は現時点では未完成である。
Hシーン自体は前作39回に対し19回追加、ソフマップのガイドブック付属の専用3Pを含めれば20回である。
確かに3Pを入れたりと頑張っているのだが、シーンそのものはそれほど長くはなく、あからさまな卑語修正や新規ヒロインにエロがないといった問題点も挙げられる。
そしてなによりも問題なのが最近『まいてつ』に触れた人の多くはDL版を1,000円程度で購入している事だ。故に、どうしても物足りなく感じてしまうのだ。
ただこれだけをみれば精々フルプライスのエロが薄いガッカリゲーで済んだのだが、事態は急展開を遂げる。
11月、大手レビュー投稿サイトから、メーカー関係のデータが全削除されるという予想だにしない事が起きたのだ。
これは新規評価の停止などではなく、『まいてつLR』だけでもなく、メーカーが発売してきた作品及びクリエイター情報も含めてメーカーからの要請で全削除という非常に強いものだった。
その後も謝罪文を公式HP以外に出す、経緯の原因をユーザー側の対立のせいにする、
批判的なツイートをエゴサして全てブロックする、騒動の詳細がヤフーニュースに掲載されると話題に事欠かなかった。
要約すると、賛否両論の否を許さない、徹底的な言論統制というあちらの国のような事態を引き起こしたのである。
この残虐超人ばりの場外乱闘はいち早く5ちゃんねるや他のサイトにも波及。その後も叩けば叩くほど埃が出る状態で、投下される燃料の多さに鎮火が出来ない程だった。
結局、この騒動は「ユーザーの期待したエロ」と「まいてつLRに実装されたエロ」の落差である。近年、このメーカーは宣伝を重視し、エロに関してそれほど力をいれなくなってしまった。
作品としての質が良くても「エロゲ―」である以上、エロは大前提である。それを最悪の形で裏切り、同時に炎上の鎮火に大失敗し、信用すらLoseしてしまったのである。
今となっては笑い話にすらならないが、いつかこのメーカーがアーベルのように心を入れ替えていいゲームを真摯に作ってくれることを祈る……。
『まいてつLR』によってスレは瞬く間にヒートアップ。
「クソメーカーオブザイヤーなら間違いなく大賞」「ドラだって集まれば役満」「場外乱闘とゲームは別にして評価すべき」といった声が飛び交う惨事に。
そんな騒動の中を横切ろうとしてあえなく御用となったゲームがあった。前年次点を輩出した、ももいろPocketの『オレは姫武将を孕ませたい!』だ。
今作は伝家の宝刀である「ずっぷ」要素を自粛して挑んだものの、相変わらずの隙のない低品質である。
まず、本作は戦国時代から戦国要素を大胆に省くことで大幅なシナリオの簡略化に成功している。
攻略対象以外の有名武将はたまに名前が出るだけで、ただのモブと大差なく、登場人物は揃って淫乱。しかし馬鹿っぽい展開やハーレム要素はない。
各ヒロインルートは1種類で、信長と光秀はどのルートでも死亡する。光秀ルートなら主人公も死ぬ。蘭丸ルートでも信長は死ぬし、謙信ルートなら選択肢次第で主人公は死ぬ。
信玄ルートなら、病死しかけてる信玄を救うために現代に帰るが今度は過去の世界に戻れないことに気付くも信玄の生まれ変わりと思わしき女性と再会してハッピーエンド。
完全に戦国をなめている。ストーリーも淡々と特に起伏もなくしょうもない会話が始まっては終わるだけ。
また、主人公は未来(歴史)を変えようとすると消滅するという邪魔な設定があるのだが、一部のルートではなかった事になったり、
信長が天下統一を成し遂げたといった未来が変わるようなことがあっても結局消滅しなかったりとただの無駄設定になっている。
また、公式には「孕ませで天下統一を目指す」と堂々と描かれているのだが、ヒロインが孕むのは天下統一の後であり、信長、蘭丸ルートでは子供が出来た後に本能寺の変が起きるので、
むしろ天下が乱れる原因になっている。なお、謙信、信玄ルートでは子供は孕むが天下統一すらしないので、まーた辻褄の合わない設定を入れたのかよ、と思ってしまう。
HCGは表情差分しかなく、前戯では全裸なのに本番では服を着ていたりするし、アニメーションを入れたHシーンもあるがあまりに凄惨な出来で目が滑るレベル。
『カスタムcute』にあった5~7秒、最大22秒の画面暗転やロード時間は依然として健在。それでいて本作はフルプライスでありながら貫禄の1.01Gである。何と前作より容量が減っている。
褒めるべきところは、絶対売り逃げブランドだと思われていたのに性懲りもなくまた新作を出してみせたことぐらいだろうか。
その後も竿役が少年の筈なのに別作品からの青年の絵を流用、誰も楽しめないおばあさん目線の内容で購入者に煮え湯を飲ませた、
アパタイトの『まごかつ ~可愛い孫のためなら中出しOK~』も登場し、秋の収穫祭は大成功の内に幕を閉じたのである。
冬に差し掛かる頃、『天冥のコンキスタ』は「魔族制圧編」と表した拡張パックを発売することを発表。やはり未完成は既定路線だったことが判明し、一部のユーザーから不逞を買った。
そして冬、年末の魔物が脈動する時期、厳戒態勢が敷かれたスレに現れたのは一年以上の延期を重ねた禁断のカード、『鍵を隠したカゴのトリ -Bird in cage hiding the key-』。
しかし中身は、殺人事件で一度は逮捕された容疑者のヒロインが幽閉された洋館で起こるのは、ただのイチャラブという、ミステリーでも何でもない内容で、
それどころか他ヒロインも起承転結をあさっての方向にブン投げて、気が付いたら好きになっていたので後は適当に付き合って終わりという何とも肩透かしの作品だった。
今年の魔物は既に冬眠したのか? それとも未だ蠢き孵化の時を待っているのか? 皆が複雑な心境のまま時を待ち、果たして魔物は現れるのかと不安な日々を過ごす毎日……、
やはり「そいつ」は遅れてやってきた。
予備期間の1月、11月27日に発売された宇宙空間より現れし年末の魔物、その名は、ルネの『巨乳女子官洗脳催眠「お前のような男の命令に従う訳がないだろう」』
ルネといえば数々の凌辱シリーズを発売している言わば種馬(スタリオン)的存在であるが、今作の特徴は、
宇宙に人々が移民を果たしてから数百年が経過し、宇宙間の戦争が行われるほど文明が発達した世界観で、やる事がただの催眠凌辱というスケールのみみっちさだ。
しかし問題点はこれだけに留まらない。本来催眠モノの醍醐味は堕とす「前提」と堕とした「その後」にあるのだが、
本作はそのどちらの描写も中途半端で、せっかく催眠という大層なものを使ったのに相手がひれ伏し従順な雌奴隷に仕立てたという感じがまるで伝わってこないのである。
フルプライスだけにHシーンは実に69にも及ぶが、その殆どは目新しさがなくほぼ同じように喘いでいるだけというゲップが出そうな内容になっている。
そして問題なのが、そこまで豊富に入れたエロシーンが、まるでエロくないことだ。
肝心のテキストも、基本実況Hと言われるタイプで、
――「あぉぉぉんっ! そんなにっ、あひぉっ、ズンズンされたらぁっ、すぐっ、またすぐイッちゃうのっ、はへぁぁぁっ!」
――「おっ……おぉぉぉぉぉぉぉんっ……ほおっ、イッ、いひぃっ、イグッ……、おぉぉぉぉ、イグゥぅぅっ!」
などというように頭の悪そうな内容がフルボイスで延々と続く。
しかしだ、こんなものまともに演じる方が無理とは言ってはいけない。こういうキメているような演技も、その筋の一流のプロであれば造作もないのである。
だが本作はボイス関連もミスキャストで、キャラと声がまるで噛み合っておらず、揃いも揃って低レベルである。更に言えば、音響周りもお世辞にも良質とは言い難い。
そんな下手な喘ぎ声ではプレイする人も抜くどころではなく、ただ萎えるばかりである……。
サウンド関連はフリー素材を含めどれも同人レベルかそれ以下。一部には何故入れたのかすら分からない程酷いものまである。
かつて、そのグラフィックの奇怪さだけでKOTYe大賞に輝いた『ママⅡ』のように、エロがエロくないというのは作品にとって致命傷であり、高い評価を受けることは決してない。
こうしてテキストとボイスが酷すぎてヌけないというベテランが手違いで出した職人芸に、住民たちも「世の中そんなに甘くないよな……」と達観するのであった。
予備期間の後半には12月25日のジングルヘルに発売されたTriangleの『プリンセスクライシス』が襲来する。
本作はかつて2018年におとボク3をエントリーさせた「assault、嵩夜あや」コンビがシナリオに参加するということで、
発売前から不安視されていたが、発売後の人々の感想は「やっぱり……」だった。
世界観は人間や妖精、獣人などが平和に暮らす大陸を舞台にしており、遥か昔に封印された魔王と甘言によって唆された主人公が暗躍するという設定なのだが、全体的に描写しきれていない。
というより、あらすじで使われた世界観の大半がシナリオからきれいさっぱり使われておらず、
精々使われるのは魔王が封印された洞窟と周りにある施設のみ。せっかくの設定が台無しである。
主人公は魔王の力で一時的に45歳から若返ってバレないようにと仮面をつけた状態でヒロイン達を凌辱していくのだが、若返っていない状態で凌辱しても、誰も主人公とは気付かない。
魔王を裏切る流れも不自然である。魔王から姫を篭絡するアイテムを追加で貰うシーンがあるのだが、当然女性にしか使えないアイテムである。それだけならまだいいのだが、
最後の最後で魔王が実は女性だったことが明かされる。そして主人公はそれまで魔王が女性である事を知るシーンはないのに、
いつのまにか、主人公は魔王を篭絡することが目的になっているのである。もはや説明不足にも程がある。
計37回にもわたる連打でどうとでもなってしまうスキップ可能なじゃんけんバトル、EDのスタッフロールにもクレジットされているのに流れない主題歌など、
抜きゲーとしてみれば及第点を挙げられるのだが、全体的に「手抜き」を埋納した本作は「手」抜きゲーの烙印を押され、声援空しくKotyeエントリーを果たしたのだった。
そして予備期間終了の1月31日の土壇場、「ほうっ…一か月前まで2020年だったのか。ならばほとんど2020年みたいなものだな」とどこかで聞いたことのあるフレーズでやってきたのは、
これまで『懺悔島』『ブラック企業』をエントリーさせてきたTRYSETBreakの『黒ビッチギャルがキモオタに堕ちるまで~監禁〇辱配信日記~』が登場し、本年度の〆を飾る。
内容は豚顔のキモオタが黒ギャルのあずさを監禁し、凌辱していく様を生配信していくというものだが、
主人公は食レポで充分な稼ぎと貯えを持つ配信者であり金目当てに凌辱を行うわけではない。
またヒロインのあずさも、グッドエンドでは「体の相性がいい」と主人公の熱意に押されて純愛になるなどいまいち内容が噛み合っていない。
しかもあずさの居場所が発覚したのは捜索届と事件の報道の情報からであって配信は全く関係ない。
「凌辱」「配信」のコンセプトとは何だったのか、と思えてしまう。
Hシーンはあずさはともかく主人公は徹底的に汚く描かれているので問題ないのだが、度を越えすぎて作画崩壊を起こしていたり、
やたらアクロバティックな体位で行うシーンもちらちら見受けられ、中でも1クリックで射精しながらフェードインしているシーンは笑いすら感じる。
まいどお馴染みの有料DX版は、僅か本作の原画・ラフ画の画像データのみという簡素さで、ボイスドラマまで付けてくれる他作品に比べればシンプルこの上なさ過ぎる。
CGの不一致、怪しい日本語など、問題点は幅広く見られ、広く浅く、満遍なくクソという、実力通りの結果を見せつけた姿に、住民も「お疲れ様」と労いの声をかけ、2020年全作品は出揃った。
2020年は十年に一度級のクソゲーや極端なバグゲーは出なかったものの、一口目だけで不味さが瞬時に分かるゲームばかりであった。
改めて選評者には感謝の意と敬意を表したい。
それでは、次点と大賞を発表しよう。
次点は、
『LOVE・デスティネーション』
『ジンキ・リザレクション』
『巨乳女子官洗脳催眠「お前のような男の命令に従う訳がないだろう」』
大賞は、
『天冥のコンキスタ』
本年度は久々に全月制覇を達成するほど豊作の年であり、今年も個性溢れるクソゲー達が終結した。
2020年のKOTYeエントリー作品の大半を占めたのは、事前情報と内容の乖離だろう。
例えばシナリオ。人はシナリオを書く際、こういうのは面白いんじゃないか、これは面白い筈だ、と考えながら筆を取る。
しかし情報を調べ上げ、良質な文をインプットし、ネタを練り上げ、頭の中で再構築しなければ良い文章は書けない。
だが本年度は、理想と現実がかけ離れた、酷いオナニズムで書き上げられた駄文が多くを占めた。
このように見た目で騙し中身を偽る作品には「駄作」の烙印を押されることは必然と言えよう。
いかに本能でクソゲーを回避しようとして地雷を踏み続けるスレ住民の日常的な光景であってもだ。
ゲームはケーキとは違う。切って皆で分けられ幸せを共有できるものではない。切ったら不幸しか残らないからこそ、客観的な視点が必要とされるのだ。
第2に見受けられたのは、「笑い」に繋げることが困難な「負」のクソゲーが多数を占めたことだ。
例えば、「わたし、妊娠しちゃったみたい……」と言ってきた女がいたとしよう。
この場合現実には、「自分のせいだ。責任は取るよ!」と言う男もいれば、「堕ろせよ」と平気で言う男もまた存在する。
どちらも解決手段は正しいが、後者はとても人として褒められたものではないだろう。
今年は後者のような、おいおい勘弁してくれよ……と思えるようなクソゲーが多く、住民の精神を悉く苦しめた。
笑いが取れるゲームは珍重され、人々の心に深く入り込み、いつまでもよい思い出となって残るのはKOTYeの歴史が証明している。
逆を言えば、笑いが取れないゲームは、苦痛ばかりが先行し、喉元過ぎても熱いままのゲームとして楔となっていつまでも人々の脳髄に残り続けてしまう。
笑いは人の心を豊かにする。だからこそ笑えないゲームは「負」の称号を纏い、人の心から喜びを奪ってしまうのだ。
第3は冒頭にもあった、ゲームをプレイして何が得られるかという疑問だ。
エロゲといえどゲームである以上は娯楽である。娯楽である以上は快適に楽しめなければ、楽しみながら遊べなければ意味がない。
しかし本年度はその娯楽の座を逸脱したユーザーを苦しめることを前提にしたような内容のゲームが多かった。
ならば真のクソゲーとは、誰がどう遊んでも楽しめないゲームである筈だ。
次点はそういったトレンドも元に、突出した「楽しめないゲームであることが誰にでも分かる作品」を厳選した。
『LOVE・デスティネーション』は、誰得の超展開のみで構成されたオナニズム溢れる内容を散々な日本語テキストで重ねた負の構築例として、
『ジンキ・リザレクション』は、王道ADVに余計なシステムを混入した結果大惨事になった駄の典型例として、
『巨乳女子官洗脳催眠』は、催眠凌辱という作りから織りなす駄目ボイスと抜けないHシーンという失敗の構成例として、
それぞれその身を深淵へ繋がる絶望のダイブへと投げていった。
そしてそれ以上にプレイヤーを絶望させたのが『天冥のコンキスタ』である。
おそらく、これが歴代作品の良い所取りどころか全てにおいてダウングレードした作品でなければ決してこんな負の娯楽にはならなかっただろう。
疑問に思う人もいるだろう。『天冥のコンキスタ』は拡張パックの発売が決まっている。クソゲーとして扱うのはおかしい、と。
だがKOTYeは「その年一番のクソゲー」を決める祭典である以上、2021年販売の拡張パックの出来は該当しない。その上で、改めて本作の出来はどうか?
エロゲーにおいて根幹たるエロとシナリオは「薄い・単調・未完」と三拍子揃っており、バグといったドラに頼らずともその資質は全く傷つかない。
そして何よりも問題なのが、本作が「シミュレーションRPG」、つまりゲームクリアを目指すゲームであったことだ。
これがADVであれば、嫌なところはスキップしたっていい。なんならCGが100%になるセーブデータを拾ってきてそれを当てればいい。しかし本作はそれすらも出来ない。
プレイヤーは否が応でも本作のゲームクリアまでの道のりを自力で歩まなければいけないのである。
さらに捕獲を前提にしたゲーム構成なのに初回予約特典なしでは捕獲できるキャラが少なく難易度が飛躍的に上がるのも問題だ。
本来、初回特典というのは当人が満足を有するもので必ずしも必要ではない。
それに対し本作の初回特典は多くのプレイヤーにとってクリアのための必須アイテムになってしまっている。
事実、「これがなければ投げていた」という声も聞かれるくらいだ。本作の難易度はそれだけ苛烈で面倒くさいのである。
そして全ステージをやっと踏破しても、作品は未完で終わる。これでは、今までの苦労は何だったのか……という徒労感だけが残ってしまう。
挙句、その続きを特別安くもない拡張パックで繋げようとする。
内容を未完で終わらせる虚しさ、初回特典が必要になりかねないゲームバランスの嫌らしさ、そして拡張パックで更に課金を促そうとする集金の醜悪さ。
それらは単なるガッカリゲーを、超一線級のクソゲーに堕とす笑えない負の相乗効果を兼ね備えていた。
本年度のトレンドである内容の乖離、笑えない負のバランス、娯楽を逸脱したゲーム内容、
これらを身に宿したその身こそ有象無象の中に唯一無二の魂を持つ者と讃えるに相応しい。
その異形と化した闇の王の姿を評価し、2020年の大賞に選定するものとする。
また、今年最もスレを騒がせた『まいてつ Last Run!!』の存在も忘れてはならない。
実力は決して劣るものではないのだが、その実力が発揮されたのはやはり盤外戦であり、感覚的にクソゲーというより「クソ会社が出したゲーム」という事もあり惜しくも選外となった。
それらは最後に物を言うのはゲームの中身そのものであるというKOTYeの審査基準の宿命であり、事態がここまで悪化しなければ問題にはならなかっただろう。
かくして、KOTYe13回目の戴冠はひとまず成し遂げられた。
しかし、「クソゲーとは何か?」についてはまだまだ意見を交わす部分が多い。
それも当然。どんなゲームでも望まれてクソゲーに堕ちるわけではない。
人を楽しませ、時には笑わせ、時には興奮させ、そんな記憶に残るゲームとしてこの世に生を受けたいと願うのだから。
それでもクソゲーは世に生まれてしまう。確かに面白いゲームを販売する義務などどこにもありはしないし、クソゲーであっても販売を禁止する権利は誰にもないだろう。
だがKOTYeはいい意味で平等だ。KOTYeはクソゲー審査機関ではない。そしてスレ住民はクソゲー断罪者ではない。
クソゲーが生まれた事による悲しさを笑いに繋げんとする、どこにでもいる痛快にイカれたファンキーな集団である。
しかし我々とて、普段からクソゲーばかりプレイしているわけではない。名作が出るならそれをプレイするに越したことはないのだ。
ここで、冒頭の問いに戻ろう。
クソゲーをプレイして、一体何が得られるだろうか。
今、確かな事が一つだけある。
それは、我々はクソゲーを娯楽として楽しむ事が出来るということだ。
例え一人では苦行でも、皆と寄り添い合えばその憤りは笑いへ変わる。
例え一人では悲しむことでも、皆と触れ合えばその心は喜びに変わる。
愛なき糾弾に価値はない。何処までも寄り添い合い、怒りを笑いに、悲しみを喜びへと昇華させる術を知るからこそ、我々は、今も大地を歩き、今日も明日への風を待てるのだ。
だからこそ、言おう。
クソゲーを、遊ぼう。
闇に輝く蜘蛛の糸は我々のすぐ側にあるのだから……。
そして、共に描こう。選評を。
闇に堕ちていく一つの物語に手を差し伸べる為に……。
一方で、寂しいことがあった。
2020年3月、シミュレーションRPGで知られるソフトハウスキャラが惜しまれながらも解散を発表した。
だが、たとえ近年の作品がKOTYeエントリー常連だったとしても、弊社が作りあげた数々の名作は少しも色褪せることはない。
これからもDL版で人々を楽しませるメーカーとして、長くエロゲ業界の歴史に残るであろう。
そしてクソゲーもまた、願わくば憎まれ口を叩かれながらも愛される、そんなゲームであり続けてほしい。
結びに、巣作りドラゴンの「ブラッド・ライン」氏の言葉を拝借する事で激動の2020年を締めくくると共に、日々を生き抜く覚悟を示したいと思う。
「クソゲーは俺の嫁だ。お前に毒されても、愛してやる」