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2020年総評案3 大賞:LOVE・デスティネーション

【2020】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 総評審議所
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51: 総評3号 ◆A7gKJ8KKyo :2021/03/05(金) 15:17:15 HOST:KD124211135039.ppp-bb.dion.ne.jp
 2020年という年は、全世界に広がった疫病によって、あらゆる企業のあらゆる事業、活動が停止せざるを得なくなった空白の一年であった。
 当然ながら、我らがエロゲー業界もまたその軛からは逃れることはできない。
 大作であれ、駄作であれ、エロゲーは多くの人が携わる企業の活動の果てに生まれた商品であるのだから。
 2020年度のKOTYeスレは、クソという病に冒されたエロゲーたちの絶え間ない緊急搬送に揺さぶられ、サイレンの音の止まないスレとなっていた。

 近年まれにみるほどの多作品エントリーという結果になった当年度の作品は、1年12か月それぞれの月のエロゲーに一つ以上のクソの陽性反応を見るという、負の快挙とも言うべきことを成し遂げた。

 年も初頭の一月には、十二支の動物たちにちなむキャラクター12名、追加一名の計13名をヒロインとして出した『神様のしっぽ』がヒロインが多すぎるゆえの作りこみの甘さ、ヒロイン間格差、差分のなさなどのクソ要素を引っさげて現れ、新年を賀した。
 次鋒を担った『スケベな処女のつくりかた』は、調教ものを匂わせながらも実態はヒロイン即堕ち、予告なしNTRと、地雷炸裂を以て新春を祝う爆竹とするような有様であった。

 続く2月には、未完成臭漂うSLG、『絶対女帝都市~叛逆の男・カムイ~』が参陣。
 ついで、漢字全てにルビを振り、そうでない文章にも違う読みを付けてルビを振り、あまつさえ傍点も多用するという独創的すぎる文章力で綴られた怪作『LOVE・デスティネーション』が強制入院した。

 3月には、シリーズ主人公の主人公の記憶を消し再出発、「蘇生」をうたったものの腐臭漂うゾンビとなって復活した『ジンキ・リザレクション』が襲来。
 続いて、強化要素のために異常な回数のセーブ&ロードを強いられるRPG、『創神のアルスマグナ』も錬成された。

 4月には、新たなゾンビが『ジンキ』の腐臭に惹かれ、来訪する。
 「ゾンビアイドルADV」を謳うその名も『墓多DYINGZOMBIES』は、隠す気もないほど某アニメ作品に便乗した一作であったが、キャラクターの設定を活かしきれないお粗末さを突かれ、墓地へと隔離された。

 5月には、かつて畏れられた騎士+学園の組み合わせに忍者要素まで盛りつけた『Secret Agent~騎士学園の忍びなるもの~』が、整合性がめちゃくちゃでありながら短くて説明不足という、複数ライターの弊害をまざまざと見せつけるスタイルで潜入工作を仕掛けたが、即座に看破され御用となる。

 また、「薄いシナリオ」「薄いエロ」「ストレスフルな戦闘」「露骨な未完成」と、教科書通りのクソっぷりを見せつけたエロRPG『天冥のコンキスタ』も捕獲された。

 6月には、主人公とヒロインが両者とも気持ち悪く、倫理観が欠けている『メガスキ! ~彼女と僕の眼鏡事情~ 伊波乙葉編』や、
 「魔王アイドル育成物語」を謳いながら徹底した全編ダイジェスト&スキップ仕様により「魔王」「アイドル」「育成」の要素を抹殺し、「物語」性すらも失った『まおかつ! ~魔王と勇者のアイドル生活~』、
 歴史ものでありながら歴史要素が薄すぎる上に間違いだらけの『オレは姫武将を孕ませたい!』などが続けてエントリー。

 7月に入ると、シナリオを埋め尽くす豊富かつ雑多すぎる豆知識にデコレートされた『彼女がアイツで、俺はだれ!?』が「信長の転生者」を名乗りながら乱入。
 「姫武将」に引き続き、フリー素材かのごとく女体化されクソゲーにも分け隔てなくご出演頂く信長公には涙を禁じ得ない。
 ついで、特徴的なSEとともに「主人公の顔が怖い」というネタを何度も天丼するせいでそこしか記憶に残らないと評された『Hではじめた絶品バーガー ~え?ご注文はおっぱいですか~』も自粛せずに開店し、エントリーした。

 8月には『かけぬけ★青春スパーキング!』がテンプレすぎるシナリオ、キャラクターの矛盾した言動などから目を付けられ、駆け抜けられずにお縄となった。

 9月には、コロナ禍発生以降、今や周知の常識となった「ソーシャルディスタンス」をネタにした『 Honey*Honey*Honey!』が2mの間隔をあけてスレに接近。
 薄すぎるシナリオ、空気になった設定、HシーンにBGMがない仕様などの異臭を2m越しに捕捉され、強制隔離と相成った。
 続く『鍵を隠したカゴのトリ -Bird in cage hiding the key-』は、ミステリー、恋愛、友情と様々な要素をどっちつかずに組み合わせた結果、迷走に終わったと評された。

 10月、甲高い警笛とともに現れた『まいてつ Last Run!!』は、高い評価を受けた前作『まいてつ』に新規シナリオとヒロインを大幅に追加した、続編であり完全版だ。追加された本編のシナリオのクオリティに概ね問題はないとされたものの、「『まいてつ』本編が全年齢版の移植」「追加ヒロインにはHシーン無し」「既存ヒロインの追加シーン数が少ない」など、露骨なまでのエロ脱却、一般志向を見せ、質と量の高いロリHシーンを価格破壊級の割引でたたき売って集めたユーザーからの怒りを買い、レビューサイトが炎上。削除依頼を出すなどの対応が火に油を注ぎ、長きにわたる盤外戦を演じた。

 11月に現れた老練な兵士、『まごかつ~可愛い孫のためなら中出しOK…~』は、「遺影がイエーイ」で知られたアパタイト・祖母シリーズの一作であり、老いた顔と豊満な体がミスマッチを引き起こしている作画はしっかりと引き継がれ、倫理観の狂ったBBAを主人公に据え、グラフィック使いまわしのせいで少年に見えない少年を「マゴ」にして囲い込むという狂った世界を展開し、即刻施設送りとなった。

 12月には「エンドロールに主題歌と歌手がクレジットされるのに本編にはOPなどがなく、その曲は一切流れない」という主題歌の定義を揺るがす仕様を引っさげた『プリンセスクライシス』が滑り込む。
 本編の内容はつまらないバトルと説明不足なシナリオの合わせ技で、無難にクソゲーとしての存在感を見せつけた。

 さて、ここまで2020年度、12の月を背負って出揃った猛者たちを紹介した。
 この中より、次点一作、大賞一作を選出し、発表する。

 2020年度クソゲーオブザイヤーinエロゲー板、

 次点は 『天冥のコンキスタ』

 大賞は 『LOVE・デスティネーション』

 とする。

 今年度スレに集ったクソゲーたちは、クソさの個性という点では突出した点に欠けていた。 

 『コンキスタ』は、シナリオ、エロ、戦闘とまんべんなくクソ要素を持つといういわばクソゲーの優等生、教科書的な存在だった。
 しかしそれゆえに突き抜けた力を持たず、テキストという明確な強みを持つ『ラブデス』の前では、ややかすみがちになってしまった。

 その中でも、『ラブデス』だけが独り、独特な異臭を放っていた。
 まずは「この☆」と書いて「このほし」と読ませ、地球のことを指したり、本文中の「男」「女」がことごとく「♂(おとこ)」「♀(おんな)」になっているといった具合の奇怪な言語センス。
 本文中の漢字にはもれなくルビが振られ、ちょくちょく文章や単語に違うニュアンスのルビを振り、同じルビでも直訳と意訳に分かれているという心理的トラップ。
 さらには何もないひらがなにまで傍点を置く徹底ぶりには舌を巻かざるを得ない。
 本スレッドには、過去、テキストに問題ありとされたエロゲーも多数エントリーしている。ナレーションまでもキャラクター化したことでテンポが悪化した『LAMUNATION!』や、擬音語擬態語が個性的すぎるとされた各種作品たちがそうだ。
 だが、『ラブデス』はそれらとは一線を画す異質なオーラを身にまとう。
 通常、テキストに問題があるとされる作品のダメな箇所は、「誤字が多い」「会話が成り立っていない」「擬音語が変」など、ダメな箇所は分散され、どこかに散らばっている。例えるならば、砂漠の中の地雷だ。
 『ラブデス』の場合、問題とされるのは「文体そのもの」であり、この作品をプレイしている限り、その違和感からは逃れることができない。例えるならば、マップに毒の沼しかないRPGのようなものだ。

 加えて、この読みづらいテキストで綴られる物語の内容は、要約するならば「過去に戻った底辺のおっさんが周囲にヘイトを吐き散らしながらお偉方に説教たれて他力本願で問題解決」であり、物語の面白さもないに等しい。
 エロゲーに限らず、ADV形式で進行するシナリオは多くが「俺」「私」などの視点で進行する一人称の文章である。
 一人称視点の文章を読むとき、我々は主人公の脳内に同居し、出来事や会話を共有して楽しんでいるはずだ。
 しかし、文中幾度となく「上級国民サマ」と他人を脳内で罵倒しては粋がる主人公の悪意に満ちた脳内に、誰が同居したいというのか。
 文章の中にちりばめられた悪意は、さながら毒の沼に埋められた地雷である。
 地雷に怯えながら毒の沼に浸かって進む体験を、「苦痛」以外の言葉で表現するのは難しいだろう。

 大前提として、ゲームとは、楽しさを求めてプレイする娯楽である。
 辛く感じる局面は多々あれど、例えばレベルアップ、シナリオのカタルシス、強武器の入手、数字の加算など、その辛さを乗り越えた先に何かがあるからこそ我々はゲームをプレイし続けるのだ。
 だが苦痛の先に何もないならば。我々は、何を目指せばよいのだろうか。
 クソゲーにクソゲーという名を付けて笑いものにし始めたのは、目指す場所を作るためだったのではないか。
 我々はクソゲーをクソゲーとして語り、笑い合うためにこそクソゲーをプレイするようになった。
 それがどんなに笑えないものでも、悲惨なものでも。笑い飛ばすことで、苦痛の中に道筋を作るために。

 図らずもクソゲーの根源に立ち返った2020年。
 総評の稿は、名画『ジョーズ』よりセリフを借用し、締めとしたい。

   Smile you,   Son of a bitch!!
「 く た ば れ 、 化 け 物 ! 」

※編集人註:下記の通りコピペミスにより「無駄に行間空いちゃった」とのことなので、上記総評案は行間を削って掲載。
54: 総評3号 ◆A7gKJ8KKyo :2021/03/05(金) 15:22:34 HOST:KD124211135039.ppp-bb.dion.ne.jp

  ーお わ りー


だいたい半日ででっち上げた代物なのでツッコミどころはいっぱいあるかとは思いますが許して
無駄に行間空いちゃったのは多分コピペミスです……
最終更新:2022年02月02日 23:24