166：高嶺の花と魔法の壺 選評：2023/03/11(土) 22:54:30 ID:7MnkXgG6
タイトル 高嶺の花と魔法の壺
ブランド North Box
発売日 2023年2月24日
価格 9,680円
ディレクター 北乃大神
シナリオ 猫柳まんぼ
原画 望月望
HDD 8GB以上
あらすじ
俺は、アパートで一人暮らしの学生だ。
先日、急逝した兄の遺品を引き取った時、怪しい壺？の様なものを手に入れた。
なんでもイイ物らしいのだが。。。
ある日、中からにゅるりと得体の知れない物体が出てきて、「ボクは壺の精ツボイさんだよ」と自己紹介。
ああ、なんだ夢か。
封印を解いてくれたお礼に三つの願い事を叶えてくれるらしい。
「だったらやりまくりたい！ なんてね」と軽く答えた。夢だし。
「三つだから三人までならＯＫだよ！」と請け負うツボイさん。
三人？まあ、やりまくれるなら十分か。
「相手はボクが決めてあげる！ちゃんと責任を持って選んであげるから安心して！」自信たっぷりのツボイさん。
翌朝、変な夢を見たなとベッドから起き出すとツボイさんが、テーブルの上でパンを齧っていた。
夢だけど。夢じゃなかった。
ツボイさんが選んだ女性は学園にいるらしいので俺の肩に乗って一緒に登校。
ツボイさんは、他の人間には見えなかった。
昼休み、生徒会室へ。
普段、昼休みに姿を表さない生徒会長のＡ先輩がやって来た。
「あの子なんていいんじゃない？」とツボイさんが生徒会長を指し示す。
慌てる俺。いくら何でも無理だろう！
「ボクの腕を疑ってるの？」とツボイさん
「そういうわけじゃないけど」
「ボクを信じてよ」とツボイさんは今日も自信満々だった。
翌日、風紀委員の服装検査のお手伝い中、校内では有名なギャルのＢ先輩が俺の前で立ち止まった。
「えっ、なになに、あたしを注意してくれちゃうの？」にじり寄るＢ先輩。
「決めた！ 二人目はこの娘にしよう！」とツボイさんが突然の宣言。
そして下向時刻も迫る中、保健室の扉が開いて保健のＣ先生が顔をだす。
「あっ、ちょうど良かった、こっちに来て貰っていい？」と保健室へ招かれる。
「まさか保健室のＣ先生が三人目？」
「そうだよ」とツボイさん。
マジですか？今年、赴任したばかりの保健のＣ先生は、美人で優しくて、胸元がヤバくて超有名だ。
ふわふわした気分で校舎を出る。
「ゴメン、ツボイさんのこと疑ってた」
「今信用してくれてるなら、いいよ」
「してる、今は完全に信じてる」
「明日からはもっと大変だよ」とツボイさん。
「本当にあの三人を相手にやりまくりになるんだ」
「ボクに任せてよ！」とツボイさんは胸を張った。
本作の特徴
前作オトカノにて悪く評価されていた背景の人を影絵で誤魔化す問題もパワーアップしており
男友達(ボイス無し)や男性教師(ボイス無し)などの人物も影絵となっている
しかも影絵を左右反転させたり色を変えただけでバリエーションをつけようとするなど
前作での評判を基に、可能な限り手抜きに力を入れる点にはユーザーとして涙を禁じ得ない
男友達などのモブキャラにとどまらず、なんと物語のキーマンであるツボイさんにまでボイスが無く
その割にはゲーム序盤はモブ男やツボイさんなどの声無し族とのやり取りが多く
ボイスの無い会話を多めにしてプレイヤーの退屈感を煽りつつ
このゲームは"読むゲーム"なのだと意識付け、自然とプレイヤーをシナリオに集中させるという巧みな誘導は
KOTYe3年目という確かな実力無しには出来ないモノだと感心させられた
そんなシナリオなのだが
前作の不詳を反省したのか、本作でのシナリオはほぼ皆無である
声無し族との退屈なやり取りのあと最初のHシーンに入ってからは
まるで流れ作業のようにHシーンを連発して雑エンディングである
例えばアオイルートは
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留学したいなぁ
ツボイさん「分かった」
一年後。
俺は最短で留学することができた
と唐突に終わり
イチカルートでも
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ツボイさん「君はイチカの専属カメラマンになりたいんだね」
一年後。
カメラマンになりました
本作を起承転結で表すと
起 そして僕はツボイさんにハーレムを作ってもらった
承 ずっぷずっぷずっぷ
転 数クリック
結 エンディング
のようになる
その為プレイしていて突然終わる
そしてNorth Boxのお家芸、Hシーンに相応しくないBGMは今回も炸裂した
行為中のBGMを一言で表すのなら"雅"
作中最初のHシーンでは
和風のゲームでも和室や着物キャラでもない相手に手コキされながら
響き渡る鮮やかな琴の音色
聞くもの全ての心を洗い流すような笛の音
一種の神聖さすら感じさせるBGMはこれ以上ない程に自慰の邪魔をしており
その後には中世のお城での舞踏会を思わせる
あるいは、高級なジュエリーショップで流れていそうな
ヴァイオリンような音色とBGMが変わり本番へと移る
本作のエロシーンBGMは見事な和洋折衷であり、行為の中で前戯から本番の流れで
和風から洋風へと変化するBGMはまさしく日本という国の移り変わりそのものであり
この国の過去と現在は繋がっているのだと心に感じながら眺める肉体の交わり
抜けるものなら抜いてみよと言わんばかりのエロシーンは
これこそがNorth Boxと感じさせられた
またシーンごとに男性器のサイズが変化させるという
見ていて飽きないための工夫がされている
さらにブランドの売りの一つであろうHシーンでのアニメーションのクオリティもしっかりと退化させており
まるで男性器の一部が異空間に消えていくような
出来の悪いピストンアニメーションも存在する
エフェクトが有り得ないくらい安っぽく
壺が光る時のエフェクトなのだが、真っ黄色な画面が無音で点滅するだけ
本来ならエフェクト用の画像が出るところが
バグって単色黄色の画像が一瞬表示されるだけと言われても信じる
メーカーはユーザーフレンドリー(ファイア)な販売スタイルで
ゲーム自体の容量は2GB未満なのだが、販売サイトや公式サイトのSPECでは
HDD8GB以上と表記されており、4倍もの安全マージンがとられている
これで万が一にもせっかくフルプライスでエロゲを購入したのに
容量が足りなくてインストール出来ないといった悲劇は発生しないのだろう
まとめ
本作は抜きゲーだからと開き直ってシナリオを極限まで放棄した上に
唯一残ったシナリオ部分はボイス無し影絵との薄い会話と、ボイス無しツボイさん
その割には抜きゲーとしては邪魔なレベルの謎BGMは頑なに残すこだわりを見せ
ピストンの際にはグッチョグッチョという音の中にバリッバリッっという音が混ざっており
抜きゲーだし別にいいだろという割り切りと抜かせない為の工夫が混在している
さらに影立ち絵のバリエーションすら手を抜く徹底した手抜きに
宇宙の意思や因果律など意味深な発言をするツボイさんという存在の掘り下げも特になく
それなら最初からオトカノでやった神様や妖怪にさせれば良かったし
何ならずっぷの「そして…僕は変身能力を手に入れたのだった」の方がまだマシに感じた
今までのこのメーカーのエルフやオトカノは凝ったものを作ろうとして失敗していたが
本作は中身のないシナリオに変な設定くっつけた間に合わせのような手抜きで
見事にユーザーの怒りの壺を突いた作品となっている
