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2024年総評案1 大賞:GEARS of DRAGOON 3 ~竜刻のレガリア~

【2024】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 総評審議所
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58649/1739014512/
3:総評1:2025/02/15(土) 18:47:50 ID:???0
2023年のKOTYeの大賞に輝いたのは、過去に幾つもの名作と地雷を生み出した戯画が、事実上の解散前に放った最後の花火『JINKI -Unlimited-』であった。
しかし同時に過去最多の32本のエントリーとなり低価格粗悪品の陳列棚となってしまった側面もある。
2023年の総評審議が伸びに伸び完成に至るまでに半年かかっていた。
KOTYeの存在価値とは何か、その仁義がぶつかる荒れ様となっていた。

一方そんな大荒れした2023年とは対照的に2024年、その上半期は凪のように静かであった。
――クソゲーの報告は上がるも選評が届かない。
それが意味するものは嵐の前の静けさか、それともKOTYeの衰退か。

そんな一見穏やかな、しかし奥底に不気味な何かの潜むKOTYeの海にファーストペンギンが飛び込んだのは8月。
水辺に地獄の蓋が開くと言われているお盆に入ってからであった。
アパタイトから2月に発売された「ウチの妹はアナニーがお好き~兄を想う妹とのアナル拡張性活~」である。
タイトル通りエッチシーンがほぼアナルセックスしかなかった事に選評主を感動させていたが、最後の最後に付き合ってから通常セックスをしてしまうというもの。
一見すると何も問題ないように思えるが、人の性癖と言う名の業は深い。
選評主を落胆させ、発売日から6ヶ月越しのエントリーを果たした。
「自分がクソゲーだと思ったらクソゲーです。しかし他の人もそう思うかは別です」というこのスレにおける議論の前提を住人たちはあらためて噛みしめるのであった。

勇気ある1羽目に続くように8月でこの後6作品の選評が届く。
またもアパタイトから連続で3つ。
1つめ『異世界チョロインは、いとも簡単に堕とされる あれ、ボクの彼女…寝取られちゃいました』
異世界に召喚された勇者が魔王戦を終えた後現代に戻ってしまうという内容だが、開幕の選択肢から「派手なギャルと化していた」「外国人のような風貌に変化していた」「魔王の手先に落とされていた」と不穏しかない。
案の定どれもバッドエンドだが前座でしかなく、すべてのエンドを見た後に追加される選択肢ではヒロインがけきゃきゃ笑いの魔王の手先へと豹変。
突然異世界の力が戻ってきてヒロインを元の姿に戻す展開が始まるが、一切無意味で力を吸収されて終わる。
「本当に何がやりたいのか。私は抜きたいだけなんだが」と評されたそれは、スレ住人をして「なんだれこれ」と困惑させていた。

2つめ『ご主人様は妹ですか?~Mっ娘好きの俺が、なんで妹のM男に!?~』はタイトルに反し選択肢次第で逆転や、NTR展開、純愛など方向性が定まらない。
さらにはM寄りな選択肢を進めていくと主人公がヒロインを嫌いになり、主人公が寝取られて復讐展開となるなど属性詐欺で無事エントリー。
3つめ『妻の面影残る娘に、疼く欲情 ~俺のモノで教えてやる!~』は「公園に連れて行く」「母親に電話させる」という分かりづらい選択肢の先に、ハサミで男性器を切断する突然の玉ヒュン展開でエントリーとなった。

アパタイトからクソの四連撃を開戦の合図としてアトリエさくらも負けじと立ち上がる。
まずは『快楽堕ちさせられる義妹・実奈美 ~淫らな肢体は快感にイキ狂う』はNTRというテーマに対して義妹という恋愛関係に発展しづらいヒロインを据えた結果として、NTR展開が純愛要素に負けてしまっている。
主人公は義妹との関係を否定しながらも内心では気になっており、ヒロインの実奈美も別の相手と関係を持ちつつ主人公への未練が残る状態が続く。
NTRものとして売り出されたにもかかわらず、丁寧なストーリー展開のせいで純愛要素が7割を占めることになった。
結果として、純愛でもNTRでもない、どっちつかずの作品になってしまった。

次に『ビッチになっていた俺の幼馴染について ~俺と真凛とセックスフレンド』はNTRと主人公はヒロインに対して当初全く恋愛感情を持たず、単なる腐れ縁として扱ってしまっている。
ヒロインが複数の男性と関係を持っていることが判明するが、主人公は自分には関係のない立場であるにもかかわらず説教を始めるといった具合に不快である。
間男(他の男性)の方が論理的で正当な主張をしており、ヒロインもそれに同意してしまっている。
主人公への感情移入が困難であり、NTRとしての需要も限定的なものとなってしまっていた。

と、ここまで低価格帯が続いていたが、フルプライスからの刺客が届く。
なんと今まで良質なキャラゲーを数多くリリースしていたHOOKSOFTの『シークレットラブ(仮)』に選評が届いた。
ヒロインとの関係を公表するかしないかで「オープンルート」か「クローズドルート」かで別れるのが本作の特徴であるが、コンセプト的にも重要そうなクローズドルートに問題が詰まっている。
「秘密の恋愛」をコンセプトにしていながらヒロインたちがクラスメイトの前で堂々と好意を表明し、お互いに恋のライバルだと認識しているという事で初っ端からコンセプトが崩壊しているように思われる。
しかし、この問題はクローズドルートに入ると他ヒロインは「誰を選んだのか知らないけど幸せにね(意訳)」とあまりにも不自然なものわかりの良さでダイナミック解決。
その後は交際関係に対してほぼ確実に特定できるような噂が出たとしても「誰に告白したかは知らない」という体でいてくれる。
それ以降勘ぐられる事はなく、秘密だと思っているのは主人公だけなのではと疑問に思わずにはいられない。
これでは「秘密の恋愛」というよりも「みんなが気付いているけど誰も言わない恋愛」という新ジャンルになってしまっている。
またクローズドルートでは「秘密の恋愛」というコンセプトの都合上シナリオにパターンが少なくなっている。
他ヒロインやサブキャラとの掛け合いがなくなり賑やかし以外で登場しない。
ストーリーも「人通りの少ない階段の踊り場でのイチャイチャ」「授業中のエロ自撮り」「デート中知り合いに見つかりそうになったので隠れてイチャイチャ」といった似通ったイベントがどのルートでも登場する。
そのためどのルートで同じようなパターンの繰り返しとなってしまいマンネリ感が拭えない。
また、公式が「いつもよりエロに力を入れている」と豪語する通りにHシーンにCG枚数を割いているが、Hシーンの構成がほとんど同じである。
1パート目での処女喪失、2~5パート目での校内Hや自宅H、6パート目でのラブボHと流れが共通しているためここでもやはりマンネリに感じてしまう。
そのうえHシーンの枚数を増やした反動で通常CGが減っている。
エピローグにも8ルート中7ルートにはCGが存在しないのでは、今後の関係性を描くことができずキャラゲーとしても満足度を落としてしまっている。
結果としてメインのコンセプトが足を引っ張り作品の質を落としてしまったのである。

そしてまたもや有名ブランド、あざらしそふとのサブブランド、あざらしそふと+1からも『僕と先生の個人授業2』がエントリー
学校生活教師と生徒という設定が活かされておらず、学校生活の描写がシナリオ全体で5%ほどと薄い。
ヒロインの教師としての描写がほとんどないため、教師としてはしっかりしている印象だが実はポンコツというのが設定としてあるだけでギャップを感じづらい。
また主人公たちが「誰かにバレたら終わる禁断の関係」という自覚が一線を超えてからはまったくない。
何の躊躇もなくお互いの家で寝泊まりをしたり、白昼堂々とレンタカーで主人公の家まで迎えに来るのはあまりにも軽率と言わざるをえない。
「ただの年の差カップルの恋愛」と大差なく、教師との恋愛を期待してプレイしていると肩透かしを食らってしまう。
また、主人公が不眠症でありこれを解決するというのがテーマになっているが、あまり活かされておらずむしろマイナス要素になっている。
イチャラブシーンを楽しんでいても、毎回のように主人公が不眠で苦しむようなシーンが挿入されるのは興ざめとなる。
ずっと不眠症設定を引っ張るわりには寝かしつけセックスをした後に眠ってそのままエンディングとなり後日談がなくカタルシスを感じづらい。
その際スレで生まれた「中出し気絶部」というパワーワードがスレは爆笑に包まれた。

9月に入りながらもまだまだ猛暑が続いている頃。
MAYHEMから5月に発売された『奈落ノ胤 ~堕淫調教SLG~』が価格に見合わないクオリティと、プレイ意欲を低下させる総合的な完成度の低さでエントリーを果たす。
まず気になるのが調教システムの不透明さである。
コマンド実行時に体力を消費して調教コマンドを選びながらヒロインのパラメータを上げていくとコマンドのレベルが上ったり、新しいコマンドが開放され新しい調教ができるようになる。
しかしコマンド実行時にどのパラメータが上昇するのか、どのパラメータを上げると新しいコマンドが開放されるのか、体力がどの程度消費されるのか、ヒロインの現在のステータスが一切説明不明である。
一度選んだコマンドであれば体力の消費量がわかるので選んでいけばいいのだが、コマンドのレベルが上がると消費体力が上がる。
これにより体力がまだ残るつもりでコマンドを選んだつもりが、直前の調教でレベルが上がっていて体力が尽きてしまい即BADエンドになるといった事が起こる。
調教の内容についてもレベルが1~7まであり、上がると調教内容が過激になるという方式にもかかわらず、7パターン存在するのは正常位のみであり、他は多くて6段階。
中にはレベル2以降は変わらないものもある。
7段階も作ったのであれば内容の差分を作ってほしいものである。
この段階を踏むシステムはシーンの回収にもストレスとなる。
ヒロインのパラメータが上がると、下のレベルを選んでいなくても調教レベルが上がってしまうが撮り逃したコマンドは周回しなければ回収できない。
先述のどのパラメータで次のコマンドが開放されるかが一切不明な事もあいまってすべてのシーンを回収するのは膨大な時間を要する事となってしまっている。
また、コマンドで色々な調教を行うというシステムにもかかわらずCGには使いまわしが多い。
例えば「キス」と「胸」が同じであり、回想リストは一面同じCGで埋め尽くされてしまう。
ストーリーについても別途問題がある。
片方のヒロインを放置するとバッドエンドに直結するが、ヒロインの現在のステータスはコマンドを選ぶまで確認できないのでセーブ&ロードは必須。
主人公の3枚舌も問題であり、ヒロインの一人と交際中にもかかわらず別ヒロインの初体験で「責任を取る」と結婚を約束する。
さらに別ヒロインルートでは「2人のことなんてどうでもいい」と言い切るなど発言が一貫しない。
結果として値段に見合わないクオリティの低い作品となってしまった。
しかし本作はHシーンの後にピロートークなどを挟まずに即気絶するまさかの「中出し気絶部」かぶりがスレを湧かせる事となった。

もはや常連となったCalciteから『異世界娘と秘密のコンカフェえっち』がまたもエントリー。
本作は画像に生成AIを使っているが質が悪い。
立ち絵からして切り抜きが雑な部分がある、ファスナーが破綻している、背景が高熱の日に見る夢のように崩れているなど細部に粗が目立つ。
生成AIを使っている事の是非は問わないが、使った上で質が悪いのであればまぎれもないクソである。
が、それ以上にクソであると報告されていたのは主人公の性格にあった。
プレイヤーの写し身であるはずの主人公が「おうちデート」への憧れをこじらせすぎていてまったく感情移入できない。
冒頭からして「おうちデートを求めすぎて下心が見えてるのが辛い、もっと紳士的にふるまってよ」と彼女に別れを告げられる。
ものすごい具体的に悪かったところを指摘されているにもかかわらず、直後の主人公のセリフが「何が悪かったのかな」とまったく反省していない。
店に入って明らかな接客トークを受けていても、自分に気があるとか、落とせそうと考えるなど言動がストーカー手前でプレイヤーに恐怖を与える。
ついには欲求が抑えきれなくなり、店ではなく実際におうちデートをしてくれと言い出す始末。
普通のクソゲーであればヒロインは全肯定で主人公の性癖を受け止めるが、本作ではちゃんとヒロインが店員として困る描写をいれている。
なのでこの主人公のストーカー手前のクソ客の描写としては何一つ間違っていなかったのである。
前作では整合性のなさで貫禄を見せつけたが、今作ではストーカー手前のクソ客主人公という部分で整合性をとっており、ブランドの新機軸を我々に示したと言っても過言である。

そして12月、クリスマスの夜に黒いサンタクロースからプレゼントが投げ込まれる。
あのPurple softwareから発売された『リップリップルズ』の選評が届いた。
10月にミドルプライスのゲームを発売していたPurple softwareだが、11月にフルプライスの本作と2ヶ月連続でのリリースだった。
しかし本作のプレイ時間はそのミドルプライスの作品と同等くらいとフルプライスにしては物足りない。
の作業となっており、ハズレの選択肢は全て「オナニーで射精する瞬間2メートルジャンプしないとイけない性癖が原因で彼女と別れた」などといった下ネタギャグで埋め尽くされている。
これを短時間に浴びせられるため合わない人にはとことん合わない。
その後ヒロインを選んで問い詰めるが、誰を選んでも正解となり個別ルートに入るが、そのルートがどれもデートとセックスを何回かした後に子供の頃主人公を好きになった理由を聞かされると単調である。
というのもこのヒロインのルートが仮想世界の出来事で実質夢オチであり、全員のルートを見ると最後のヒロインのルートに入る。
最後のヒロインが過去のショックで人格が分裂していてこれまでのヒロインはすべてその分裂した人格であるというのも納得できるようで釈然としない。
各人格と最後のヒロインが和解した後も結局はデートとセックスを繰り返すだけで他のヒロインのルートとやっている事は同じであった。
また多重人格設定が足を引っ張りヒロイン同士のかけあいがほとんどない。
ゲーム序盤に七つの大罪に関連していると匂わせておいてまったく活かされておらず、ラストシーンで主人公が傲慢、憤怒、怠惰をすべて担当している事がさらっと明かされるのも拍子抜けとなる。
フルプライスタイトルとしては期待外れの内容となっており、設定の活かし方や展開に多くの課題を抱えている作品となってしまった。
前作がミドルプライスながら高い評価を得ていただけに、本作の完成度の低さは一層際立ってしまった。

2024年のエントリーは年越し次点で11本と例年に比べて少なめであった。
そして年が明け1月、毎年申し開きが行われる時期となるが今年はどのくらい選評が届いたのであろうか。

まずは縁 -yukari-から11月に発売された『だから私は魔法少女を辞めた』がエントリー。
ストーリーが仮想世界と現実世界を行き来するが、その説明が序盤ではなく唐突に変わるためヒロインの一人が急に魔法少女狩りに豹変したりと意味不明。
またエッチシーンも魔法少女ものの醍醐味である戦闘に負けて犯されるという過程が描かれない。
シーンが切り替わるといきなり犯されているのでズボンを下ろす暇を与えずプレイヤーの頭をただ混乱させるのみである。
さらにはチャプターの分岐を選ぶ際にセーブボタンをマウスオーバーすると色が変わり一見セーブできると思わせておいてクリックしても何も反応しないという地味な嫌がらせまで搭載していた。
イラストだけは魔法少女凌辱モノとして申し分ないクオリティのため、回想からエッチシーンだけ使おうとしても本作最大のクソ要素がそれを許さない。
本作の収録環境が声優ごとに異なるのかキャラクターによっては音質が悪い。
凌辱というテーマの都合上叫ぶシーンが多いので高い部分で音割れを起こしてしまい不快感を与えてしまう。
また演技についてもお世辞にも良いとは言えず、ヒロインによっては演技がオーバーすぎたり棒読みだったりで作品に没入できない。
これでは音声をミュートにしたほうがマシと言われてしまうのも仕方がない。

次にあざらしそふとがサブブランドの『僕と先生の個人授業2』に次いで『夢幻のティル・ナ・ノーグ』がエントリー。
まず問題点としてあげられるのは共通ルートが長いわりに退屈である点だ。
異世界の冒険という壮大なコンセプトのわりに舞台を無人島にしてしまったがためにそれらしい建物や人との交流ほとんどない。
序盤では探索中の背景が普通の砂浜と普通の森の中程度しか用意されておらず景色が代わり映えしない。
冒険の要素はというとメイドが大量の荷物を魔法で軽くして持ち歩き、危険な森の中も魔法で道を切り開いて進むためただのピクニック状態である。
またテキストの質にも問題がある。
「グダグダ」や「天丼」という言葉を本当にそうなっている時に免罪符とばかりに多用。
「いつから錯覚していた」などのパロディネタも「天丼」として多用してくので語録で会話する人のような寒さを感じてしまう。
そして冒険中発見する手記は長文かつ不快な下ネタギャグで何度も登場するが、ストーリー上重要な伏線っぽいので飛ばす事が出来ずストレスとなる。
共通ルートを抜けてヒロインのルートに入っても多重人格、記憶喪失、心臓病など手垢がつくほど使い回された展開となり、義妹のルートに至っては現実世界での交通事故で意識不明となり作品のテーマにも合っていない。
トゥルーとなるのヒロインのルートは展開を要素は多いが詰め込みすぎて一つ一つが消化不良となったしまっている。
さらには世界観に対してグラフィックが不足しているという問題も抱えている。
先述の背景の問題をはじめ、そのへんに出てくる異世界の生物どころか仲間になるモンスターにもグラフィックが用意されていないので異世界らしさを感じることができない。
ストーリー上重要な主人公たちの親にも立ち絵がないので背景のみが表示され透明人間の会話を聞いているようになっているシーンとなってしまう。
主人公が錬金魔法を使うが錬成する重要そうなアイテムにも画像が用意されていないので戦闘シーンの迫力が損なわれている。
キャラクターデザインの可愛らしさなどは評価できるものの、共通ルートの退屈さ、展開の安直さ、グラフィックの不足により、作品の持つポテンシャルを十分に活かしきれていないのであれば宝の持ち腐れである。

そして12月も残るところ5日となった1月26日にninetailの『GEARS of DRAGOON3 ~竜刻のレガリア~』の選評が届いた。
ギアドラシリーズはダンジョン探索型RPGとして人気を博していたが、2020年には『創神のアルスマグナ』に選評が届き、不安視されていた。
発売後スレにも報告があったがギリギリになってのエントリーとなった。
まずストーリーについてだが、世界観に対して登場人物が少ないので同じ人物と何度も敵対するようになっている。
特に主人公の友人についてはしつこく、裏切ってからは決着を付けず離脱を繰り返し、やっと死んだと思ったら復活という展開が複数回あった。
さらにはラスボスが身体を乗っ取り倒したと思ったら生身で殴り合うなど何度戦うんだとうんざりしてしまう。
エンディングについてラスボスそのものを倒したわけではなく、復活の兆しがでていて「俺達の戦いはこれからだ」というエンドであり不満感が拭えない。
またエッチシーンでも挿入後オホ声に近い下品な喘ぎ声のBGVが流れるが、シチュエーションと合っておらず、
「気持ちよくなるために、貴方とまぐわっているわけでは……?」
「ん゛あ゛ぁぁぁん、あ゛っあ゛っあ゛ん゛ぁぁぁぁぁん、ん゛ん゛ん゛ん゛」
といった具合の即落ち2コマがBGVで誕生してしまっている。
次のセリフでまた正気に戻るのでどうしてこのBGVを設定したのか謎である。
そしてRPG部分についてだが、移動、マップ、育成、UI、戦闘とRPGにおいて必要と思われるものすべてに問題がある。
まず移動については修正パッチでWASD移動ができるようになったが、キーコンフィグが出来ず戦闘がマウスのみなのでとても扱いづらい。
修正パッチ以前はマウス操作しかなかったが横のタイルをクリックするか、目的のタイルまでドラッグアンドドロップをするかしかなく、クリックした場所へ自動で移動もしてくれない。
また移動がタイルごとでいちいち止まる様になっているのとエンカウント率も高いのもあってとてもテンポが悪い。
これでは主人公が戦闘のリザルト画面で「ここで立ち止まるつもりはない」というセリフが皮肉に聞こえてしまう。
マップについても一度ダンジョンに入ってしまうと途中で出る事ができず、ドロップしたアイテムなどを持ち帰る事ができない。
ボス戦で詰まった場合はマップ内の成果を諦めて過去のセーブデータからやり直すか、マップ内でひたすらレベリングするしかない。
またドロップしたアイテムのスロットに魔石というパッシブを付与できるシステムがあるが、これのセットがマップ内ではできないのでボスに有効なものをつけて対策するということができない。
修正パッチを当てる前はフリーダンジョンが存在しなかったのでこれでもまだマシになっている。
育成面もまた問題があり、前提スキルを習得しなければ新スキルが見えないので育成プランが立てられない。
開放した新スキルも前提レベルが存在して取得出来ず、仕方なく別のスキルを取って開放したものが強くてもポイント不足などいった事態が起きてしまう。
次にUIについてだが、アイコンや文字がとにかく小さいうえにシステムが不足しているせいで分かりづらい。
装備品はアイコンが小さいうえにキャラクターが装備可能なもので、絞り込みができないので大量のドロップ品の中から小さいアイコンにひとつひとつカーソルをあわせて確認しなければならない。
その装備のステータスが画面の逆側に表示されるので視点が定まらず地味なストレスとなってしまう。
戦闘についてもフルオートの機能はあるが、技名の表示がクリックをしないと消えないので画面へ張り付く事を強いられるという嫌がらせのような仕様まである。
この使いづらさでテストプレイのときになにも思わなかったのかは疑問である。
バランスについても一番簡単なイージーモードにも関わらず、ボスに勝てるまで1時間以上のレベリング作業が必要で崩壊していると言わざるをえない。
イージーモードはシナリオを楽しむためにサクサク進めたいプレイヤーへの救済措置であると思うが、これでは嫌がらせでしかない。
一応戦闘スキップという救済措置こそあるが、アイテムはドロップしない上にボス戦で使ってしまうとシナリオ的にも興ざめとなってしまう。
ハックアンドスラッシュはバランス調整ができない事の免罪符では無いという事を肝に命じてもらいたいものである。

2022年に大賞を取り、2023年は次点に輝いたWendyBellから今年も『Pure Cafe ~癒やしのカフェに通い詰める、僕の地方転勤生活~』がエントリー。
5月の発売でスレへの報告はあったものの、「つまらない以外の記憶が一切ない」と選評が難航。
しかし1月28日と直前になり2人から友情の選評が届いた。
主人公が地方に転勤してきたという設定だが序盤は田舎の観光案内でしかない。
イベントの3分の2ほどは田舎の観光案内であるくせしてその町の名前すら作中にないので愛着がわかず、ふーん以外の感情がわかない。
反面ラブストーリーとしての感情描写が無に等しく、神社の夏祭りで選んだヒロインに告白するとヒロインは即OKする。
ここまでで主人公がやった事は喫茶店で会話を少しして、勤務中に社用車で連れ回しただけなのでチョロインと言われるのも当然である。
ヒロインのルートに入っても盛り上がらない。
主人公や登場人物が悩む展開が続くが、その間他の事がなにも起きないうえに長い。
そしてどちらのヒロインを選んでも地元に残るか都会へ行くかで分岐をするがどのルートを選んでもご都合主義で何がしたいのかわからない。
キャラクターの魅力も皆無であり、ヒロインの一人は親がやっている喫茶店を自分の我儘で客が来ない昼間にオープンさせている実質ニートで、主人公も就業中に社用車でデートに行ったりラブホの下見にいったりと問題ばかりである。
またCGの配分についてもだいぶクセが強い。
一瞬しか出てこない魚市場を案内するシーンや電気屋でプリンターのインクを選ぶシーン、ナスを運ぶシーン等には一枚絵が用意されているがそんなに重要でもないシーンに用意する意味があるのか謎である。
にもかかわらずヒロインを助手席に乗せているシーンはフリー素材に立ち絵を表示しているのみで、立ち絵が運転席の逆側を向いているため何回も出てくるドライブデートがつまらなさそうに見えてしまう。
WendyBellもすっかり常連となったが、『悪魔と夜と異世界と』は永続的なデバフ、『モラトリアム』では超展開、そして本作では印象に残らないとすべて別の要素で勝負に来ており手数の多さを我々に見せつけるのであった。

そして残すところ残り1日となった1月30日、前作が大ヒットしたまどそふとから『セレクトオブリージュ』の選評が届いた。
こちらも発売後に報告こそあったが選評が届いていなかったが執念のエントリーとなった。
まずゲームが掲げるコンセプトと実際の内容との乖離が掲げられる。
「スラム出身の底辺主人公が度胸と機転で逆境を跳ね除け、高嶺の花を射止める学園サクセスストーリー」という謳い文句があり、それを実現させるためのポイントとして「身分違いの恋」「カタルシス」「豊富なHシーン」を挙げている。
しかし「豊富なHシーン」以外は誇大広告と言わざるをえない。
まずコンセプトの「度胸と機転で逆境を跳ね除ける」の部分についてだが、序盤に一度きりでありその後はヒロインの権力が強すぎて主人公の出番は薄い。
「高嶺の花を射止める」とはいうものの、序盤でヒロインの好感度は高く、ヒロインの一人については共通ルートで告白してくる。
コンセプトも「身分違いの恋」やそれを理由に反対する人物が現れるといったような恋愛の障害がほとんど描かれない。
これでは単に設定上そうなっているだけだと受け取られてしまうのも仕方あるまい。
「カタルシス」についても共通ルート以外では問題解決の描写が薄く、あったとしても主人公が積極的に関与しない。
さらにはヒロインの一人が身体のどこかに埋められている機械を取り除くために危険かもしれない手術に挑むという展開を用意しておきながら結果が、
「簡単に取り出せて、本当によかったねぇ」
という別のヒロインのセリフ一言で語られるなど描写もあっさりしすぎている。
これでどうやってカタルシスを感じればいいのかわからない。
またストーリーは諦めてキャラゲーとして楽しみ方を見出そうとしても微妙と言わざるを得ない。
ヒロインの一人が共通ルートで告白してくるため他ヒロインのルートに入った時に回答を出さなければならないが、ルートの1つでは「もっと強くなりたい」とドラゴンボールみたいな理由で告白を無かった事にしてほしいと言われるという内容で肩透かしを食らう。
もう一人のヒロインのルートは共通ルートの延長でしかなく、ヒロインの役割がデートとエッチをする事のみでキャラクターの掘り下げが一切行われない。
コンセプトの内容を期待していると裏切られ、キャラゲーとしての楽しみ方を見出そうとしても好きになったヒロインを不遇だと感じてしまうのであればクソゲーと言われても仕方あるまい。

さて、これにて大根役者がすべて揃ったところで2024年の次点及び大賞の発表に移る。
次点は
『奈落ノ胤 ~堕淫調教SLG~』
『シークレットラブ(仮)』
『セレクトオブリージュ』
そして大賞は
『GEARS of DRAGOON3 ~竜刻のレガリア~』
とする。
2024年は8月まで選評が一切とどかない状況が不安視されていたが、結果として見ると16本の選評が届いた。
さらにはそのうち5作品の選評が申し開きの期間に投稿されたのはこのゲームをエントリーさせずには終われないという気概を感じずにはいられない。
これらの作品の共通点をまとめてみると「コンセプトの破綻」が挙げられる。
ゲームを買う際に事前に入手する情報というのはとても重要である。
コンセプトを見て面白いと思って購入を決める事もあれば、すでに予約しているゲームであってもコンセプトを元に発売されるまで期待をふくらませるものである。
しかしながらプレイした結果、コンセプトに合っていないものだったとすればユーザーが一番最初に感じるのは「ガッカリ」であり、その後どれだけ面白くてもなかなかプラス以上の評価をしづらい。
例えるなら本格中華を売りにした店に行ったのに寿司が出てきたようなものだ。
楽しみにしていた本格中華は食べられず、かといって寿司が美味しいかというと中華に特化した材料と機材で美味しくするのは至難の業であると想像できる。
この状況は開発時にも悪影響で、コンセプトがズレてしまったがゆえにゴール地点が定まらず、ふわふわと宙に浮いた状態でひとまずの完成になったという状況は想像に難くない。
コンセプトとゲームの内容が合っていないという状況では作品の根幹となるものがブレている状態となるので意図的に狙わない限りは良ゲーへともなりにくい。
そうしたある種共通点を抱えた中で次点以上を決めていきたい。
調教SLGをコンセプトにしながらシステムの何から何まで説明不足でゲームとして遊ぶに耐えない『奈落ノ胤 ~堕淫調教SLG~』
コンセプトとして掲げた「秘密の恋愛」が足を引っ張り作品の質を落としてしまった『シークレットラブ(仮)』
コンセプトと実態の乖離が激しくキャラゲーとしても不遇なヒロインの存在が足を引っ張る『セレクトオブリージュ』
これらは今年を象徴する意味でも次点に選出したい。
そして『GEARS of DRAGOON3 ~竜刻のレガリア~』を大賞たらしめたのは圧倒的な手数の多さである。
移動、マップ、育成、UI、戦闘とRPGにおいて必要と思われるものすべてに問題をかかえているためプレイ時間の大半が苦痛である。
にもかかわらずバランスが悪いためさらに苦痛の時間が長引く。
そして世界観のわりに登場キャラクターが少ない故に同じ敵とうんざりするほど戦う事になり、その先にあるのは「俺達の戦いはこれからだ」といった根本的な解決を先送りにしたエンディングであった。
せめてどこか1つでも完成度が高ければクソゲーと呼ばれるほどまでにはならなかったのではないかと思わずにはいられない。

2024年は満場一致での大賞級というものが存在しないため、ある種のコンセプトに沿って次点以上を決定させてもらった。
どれも救いようのないクソゲーではなくコンセプト通りにクオリティを上げて行くことができればもしかすると良ゲーになった可能性を秘めていると信じたい。

1エロゲファンから今後のこのスレのあり方についての思いを語る事を許してほしい。
ダウンロード販売の売上数は伸びているエロゲー業界であるが、わざわざ審査機関を通して18禁シールをパッケージに貼り販売をする事の意義が失われつつある。
一方同人作品では3万本以上売り上げるモンスターRPGがデータベースサイトで圧倒的な評価を受け2024年のトップの点数で君臨している。
数々の名作を生み出していた企業が次々に撤退していった先にあったのは多くのファンを抱える事に成功したブランドか、ロープライス作品を薄利多売で売り続けるメーカーかの2極化であろう。
ただその一方でもう一度エロゲを盛り上げようとする運動が企業、ファン共に起こっている。
KOTYeはそのムーブメントの足を引っ張る場所であってほしくない。
各々はここのスレ住民である以前にエロゲーが好きである人の集まりでもあるのだから。
だからこそ「つまらなかったゲームを罵倒するところではありません」というスレの方針を各々が再確認する必要がある。
クソゲーを買ってしまった怒りを笑いに昇華する場としてのスレのコンセプトがズレてしまった先にはこのスレの存在意義も失われてしまうだろう。
KOTYeは「クソゲーを笑いに変える」という本来のコンセプトを忘れてはならない。
しかしそれは単にゲームを罵倒する場ではなく、作品への愛情があってこそ成り立つものである。
2024年は申し開きの期間ギリギリまで選評が投下され、1月だけで5作品がエントリーを果たした。
それはエロゲーというジャンルへの愛着と、今後より良い作品を作ってほしいという願いの現れではないだろうか。

最後に次回作はクソゲーではなく良ゲーを作ってほしいという願いとエールを仮面の男のセリフを拝借して締めの言葉としたい。
「挽回するチャンスはまだある。
それに我々ユーザーはエロゲを作るメーカーを鼓舞しなければな」
最終更新:2025年02月23日 13:16