30:名無しさん:2025/02/18(火) 22:30:05 HOST:KD106174021112.ppp-bb.dion.ne.jp
発表された瞬間から予想されていた通りJINKIが大賞に収まるかと思えば解体に1年、数多の面白ワード、アトリエさくらの波状攻撃、異界よりの使者百合ゲーが竿を装備して飛び込んで来るなどの事件が起こり難航した2023年KOTYeは、マインスター戯画に大賞と感謝を送り幕を閉じた。
1年間目の上にある瘤の存在を感じながらもクソゲーと対峙し続けてきたスレ民たちは、今年も来るであろう愛しき常連の発売予定を手に新しいスレへ集っていた。
しかし公式サイトからクソゲーの気配を感じる新作の話題や細々とした報告は出るものの選評は届かず、暦はいつの間にか8月。
過去に例を見ない空白期間を経てまどそふとからまさかの選評予告が届けられ、期待に胸を膨らませるスレ民の前に飛び出してきたのは2月に発売されてから潜伏していたアパタイトからの刺客『ウチの妹はアナニーがお好き~兄を想う妹とのアナル拡張性活~』である。
タイトル通りのアナルセックスに拘った作品かと思えば最後に通常セックスしてしまった事に対する落胆から届けられた選評に、このスレの存在意義を思い出す住人たちであったが、懐かしさに浸る暇もなくアパタイトからの絨毯爆撃が開始された。
『ウチの妹~』と同日に発売していた『異世界チョロインは、いとも簡単に堕とされる ~あれ、ボクの彼女…寝取られちゃいました?~』
公式サイトを見た瞬間、以前このスレを恐怖に陥れた「異文化交流」の系譜に当たる作品だということを理解させられる今作。開始した直後やる気のない魔王戦を終え元の世界にヒロインを連れて帰還するため、そのあたりを期待していると異世界要素を探す事になる。そして気を取り直して進めようとしたプレイヤーに与えられるのは3つの選択肢「派手なギャル」「外国人のような風貌」「魔王の手先に堕とされていた」であった。それぞれ別の相手に寝取られ変貌してしまうわけだが、選択肢を選んだだけでろくに会話も通じないヒロインがどうなろうと一切興奮できない。しかもどれを選んでもバッドエンドになってしまい、追加の選択肢を選ぶとやっと変貌したヒロインを元に戻そうというシナリオが展開するのだが、結局ヒロインは変貌、さらに進化した人外になってしまい異世界勇者パワーが発揮されるなども無く力を吸収されて終わる。
異文化交流からパワーアップした化物の登場は選評者の「本当に何がやりたいのか。私は抜きたいだけなんだが」という言葉に集約され、スレ住民に笑いと恐怖を与えた。
続けて3月発売『ご主人様は妹ですか?~Mっ娘好きの俺が、なんで妹のM男に!?~』、4月発売『妻の面影残る娘に、疼く欲情 ~俺のモノで教えてやる!~』の選評も投下される。前者は選択肢次第でSだったりMだったり急にNTRされたり純愛だったりと方向性の定まらない、まさに何がしたかったのかわからない作品。そして後者は異文化交流とは別のおぞましさを抱えた作品であった。
開幕娘がレイプされる悲劇、それに興奮を覚えた主人公による娘へ対する調教が始まるというあらすじ通りの作品なのだが、問題は最後である。わかりにくい2択を出され、間違った方を選ぶと狂った娘によって棒を切り落とされるエンドが待っていたのだ。低価格作品らしく今時にしては攻めた内容で最後までやりきったと言えなくもないが、ここまでやるのなら選択肢をもう少しわかりやすくして欲しい、という理由からエントリーとなった。
アパタイトの猛攻に一気に熱くなったスレに、続いて届けられたのは前年度に粗製濫造っぷりを見せつけてくれたアトリエさくらによる『快楽堕ちさせられる義妹・実奈美 ~淫らな肢体は快感にイキ狂う』『ビッチになっていた俺の幼馴染について ~俺と真凛とセックスフレンド』の連続ジャブである。
『義妹』は、義妹という恋愛関係になりにくいヒロインを据えた結果そもそも付き合っていない、フッたヒロインが他の男と付き合った状態をNTRと呼べるのか?という、アトリエさくららしいズレた作品。
『ビッチ』の方はといえば、これまた恋人ではなく腐れ縁の幼馴染がヒロインであり、幼馴染にセフレがいることが発覚した後に主人公も関係を持つようになり、ヒロインとの関係性に悩み続ける内容。もはや寝取られではなく、どちらかと言えば主人公が他のセフレ達からヒロインを寝取る側になっている。過去にも何度かあった、間男の方が正論を吐いているシーンがあり、こちらもやはりこのメーカーの考えるNTRはどこかズレているなと思わせるものであった。
アパタイトの猛攻、もはや慣れ親しんだアトリエさくらのNTRはNTRと言えるのか問題でスレ民達が例年の調子を取り戻してきた所に、迷いと共に提出されたのはHOOK SOFT『シークレットラブ(仮)』である。
バレないを楽しむ秘密の恋愛ADVと謳った本作、ヒロインと恋愛関係になった後に隠し続けるか否かを選べるようになっており、おそらくメインであろう隠し続けた場合のルートに問題を抱えていた。
まずルートが確定する前の段階でヒロイン達が主人公へのおおっぴらなアプローチ合戦をする模様が書かれており、これでどうやって付き合っていることを隠せるのかと言いたくなる。しかし本作は「登場人物が異常なまでの物わかりの良さを発揮する」という剛腕でこれを解決している。選ばれなかったヒロインは「誰が選ばれたのか知らないけどお幸せに」と言ってくる。クラスメイトたちは一切言及してこない。学園祭を一緒に回っていた事を聞かれた主人公が否定するとあっさり納得する。そうやって登場人物が全力でコンセプトを死守してくれるのだ。
また本作はHシーンに力を入れているが、どのルートでも同じようなシーン構成となっているので量の割に幅が狭く感じられるという問題も抱えている。
キャラ萌え、Hシーン共に質の高いエロゲーでは有るものの、コンセプト通りの「秘密の恋愛」が描かれているかと言えば首を振らざるをえない作品であった。
夏休みの宿題もとい選評はまだ終わらない、続いて提出されたのは、発売あざらしそふと+1『僕と先生の個人授業2』である。
不眠症に悩む主人公とその相談に乗る教師の恋愛を描いているのだが、物語の舞台が9割学校外だったり教師らしい描写もないため「教師と生徒」という感覚が希薄で、ただの年の差カップル状態。不眠症についてもライターが扱いきれていないようで、マイナス要素となっている。
CGやHシーンの質は悪くないが作品のコンセプトは活かせていない残念な結果となった。
最後が中出ししてそのまま入眠しエンディングとなっているために中出し気絶部と表現され、スレ民の笑いを誘った。
選評ラッシュと言う名の花火大会も終わり、まだまだ暑い日が続いている9月、5月から塩漬けにされていたMAYHEM『奈落ノ胤 ~堕淫調教SLG~』が顔を覗かせる。
発表当時より、サンプルCGの髪の色が変、登場人物の関係性が謎、などとほのかに注目されていたが、発芽したのは想定よりも根深い毒草であった。
本作の問題点は多岐にわたっており、まず調教パートにおいてどのコマンドでどのパラメータが変化するかわからない上に、リソースの消費量が見えないのに使い切ったら即バッドエンドと言う仕様になっており、新しいコマンドを試す際にはセーブが必須。
各コマンドは7レベルまであるにも関わらずテキストが変化しないレベルが存在しており、それならなぜ7まで設定したのかと問いたくなる。
取り逃したシーンは周回か全エンディング後に解放されるフリーモードで回収することになるのだが、このモードでは特定の方法を取らなければ同じエンディングにたどり着いてしまうというバグも抱えている。
グラフィック方面での問題は、調教パートのCGの使いまわしが多いことである。同じコマンドのレベル違いで同じCGを使うのは他のゲームでもよく見るが、本作では違うコマンドでも同じCGとかすかな差分を使っているため、回想シーンに違いのわからないサムネイルが大量に並ぶ事に。
また一部別のコマンドのCGが混入しているシーンがあったり、前述のバグも含めデバッグ不足が目につく。
あらすじの文章から怪しい本作はもちろんストーリーにも問題を抱えている。
主人公は迷い込んだ不思議な屋敷の主人である巨女から同行者であるヒロイン2人の調教を強要されるのだが、まず行われるのは1人ずつの同意の上での初体験であり、パッケージからして暗い雰囲気の調教ゲームとしては違和感を感じさせてくる。
また主人公はヒロインに迫られる度に都合の良い事を言い、ルートが確定すれば他のヒロインに見向きもしない三枚舌仕様。
特に巨女エンドは他ヒロインからの派生となるため、彼女と付き合っている状況に従姉妹に責任を取ると言い、その場の雰囲気で彼女と結婚の約束をしておきながらも巨女と結ばれるに当たって他の二人はどうでもいいと言い放つ始末。
ちなみに彼女と付き合っていながら従姉妹との初体験で責任を取ると明言するのは導入部分であり、周回プレイではスキップできる。
他にも、そのまま従姉妹寄りにゲームを進めた場合あっさり従姉妹と結婚しようと言ったり、エンディングで彼女が行方不明になっても「(巨女に)操られた状態なら仕方ないか」と言い、彼女エンドでは記憶喪失になった従姉妹のことは禄に気にせず彼女といちゃつき、巨女エンドでは前述通りヒロイン2人のことはどうでもいいと言うなど、主人公は三枚舌っぷりを発揮し続ける。
しかしこの主人公の三枚舌は必要不可欠なものであった。なぜならこのゲーム、片方のヒロインを放置するとバッドエンドになってしまうのである。
狙ったヒロインのコマンドを選択し続けると言うのは多くのエロゲーにおいてよくある事であるが、このゲームでそれをした場合放置したヒロインからそのことを責められるイベントが発生し、その後も無視し続けると無視されたヒロインがもう1人を殺害するバッドエンドとなる。それを回避するために調教コマンドを散らしても、偏りが出ればバッドエンドが発生してしまう。この嫉妬イベントは2回発生するのだが、2回目以降はいつでも予告無くバッドエンドが発生するので、起きてしまった場合は毎日セーブをしてイベントが起きないか確認することになる。
エンドの数だけは時間切れやバッドエンド各ヒロインエンドと揃っているが、説明不足が多いために消化不良さが残る出来であった。
なお行為後意識を失って翌日に移行する場面が多々存在しているため、予期せず連続した中出し気絶部がスレ民の顔を明るくさせた。
大量選評からの大型選評に一気にスレが沸き立った後、スレ民はしばしの休息を得る。といっても選評予告や報告はいくつか投下されており話題は尽きず、スレには馴染んだ空気が漂っていた。埋もれているクソゲーそして年末の魔物への、警戒と期待である。
10月、2スレ目に突入した我々に届けられたのは近年の常連メーカーCalciteの『異世界娘と秘密のコンカフェえっち』である。
タイトルからしてなんとなく最近よく聞く単語を並べている気配が漂っているが、このゲームの問題はそんな所ではない。
女の子とのおうちデートに憧れる主人公がたどり着いたのは「自宅デートを再現するカフェ」、店員の女の子はそれぞれの事情で異世界から迷い込み、帰還するための生命力やこの世界で暮らすための金銭を得るために働いている。彼女たちにガチ恋してしまった主人公は本当のおうちデートをするために店に通い詰める。と言うのが本作のあらすじであるのだが、まず店の形態がコンカフェと言えない。
本来コンカフェはカウンター越しにコンセプトに沿った女の子と会話をする、と言うような店なのだが、このゲームに出てくるカフェでは最初から個室で女の子と二人きりになれる。抜きゲーに細かいことを言うなと言う意見も有るかもしれないが、少し調べればわかる単語を別の用途で使っているのは突っ込まれても仕方がないだろう。
またこの店には作中で名前が存在せず、お店やコンカフェと呼ばれ続けるので愛着もなにもあったものではない。
まず本作のグラフィックはAIによる生成物が使われていると思われるのだが、この質があまり良くない。AI生成を使うということの是非は置いておくとしても、質の悪さが目立つのは問題である。
立ち絵の切り抜きが雑だったり、ファスナーや髪の編み込みなど細部のディティールが破綻しているのが目に付く。さらには、おうちデートと言うコンセプトにも関わらず室内の背景も破綻しているのでこれも没入感を阻害する。
Hシーンのものは修正が入っているものの、これもやはり細部の粗が気になるものになっている。
しかし本作最大の問題は不快すぎる主人公である。
主人公はおうちデートへの妄執を抱えており、「おうちデートを求めすぎて下心が見え出るのが辛い、もっと紳士的にふるまってよ」と彼女にフラれるところから始まるほどである。
主人公の言動は共感しづらいものだらけであり、前述のセリフに対しても何が悪かったのか理解せず反省もしない。
その後コンカフェを発見し各ヒロインを順番に指名していくのだが、明らかな営業トークにいちいち舞い上がり入れ込んでいく姿を見せ、何度目かの来店でついにおうちデートへの欲求が抑えられなくなった主人公は外でのデートなどをすっ飛ばしておうちデートしてくれと3人のヒロイン全員に頼み込み始める。
ヒロイン達は仕事としてやっているので当然ながらこれを拒否するも主人公は気持ち悪い持論と金銭をちらつかせてゴネ続け、ヒロインがうっかり漏らした裏オプションの存在を知ってからは要求がエスカレートしていき…、と主人公の異常さを見せ続けられる。
なおヒロインのキャラはきちんと可愛く立っており、Hシーンのテキストの質も悪くはなく、主人公の描写も異常者の気持ち悪さがしっかりと描写出来ているといえばその通りではあるので、ライターの実力不足でこうなったのではなく仕様通りの可能性も秘めている。
個別ルート突入後は主人公の不快さは鳴りを潜めるものの、そこまで理解できない思考を見せつけられ続ける苦痛は中々のものであり、calciteは今年も無事に御用となった。
余談ではあるが『コンカフェ』のAI使用について記載されている箇所はない。ただし同系列の作品にAI使用が記載されたものがあり、今作もその可能性が高い。また、AIの是非、記載の有無などの問題についてはこのスレの意義から離れすぎると判断し、この場でこれ以上文字数を割く事はやめておく。
年末の魔物が枕元に届けられたのは、奇しくもクリスマス日付が変わった直後であった。
Purple softwareからの贈り物『リップリップルズ』である。
水面下ハーレム探索型ADVと銘打っており、寝ている所にキスをしてきた相手を探すストーリーになっているのだが、そこは1時間もしないうちに終わってしまう。
調査パートのシーンは意味のないくだらない下ネタの水増しばかり、それが終わればヒロイン4人の中から誰かを選んで問い詰める流れになるが誤答ペナルティもないので総当りでなんとかなってしまう上に、どのヒロインを選んでも正解となりあっさりヒロインのルートに突入する。
本作のヒロインは5人で4人のルートが終わった後に最後のルートが解放される仕様になっているのだが、この最初から選べる4人のシナリオがどれもデートしてセックスするワンパターンなもの。
4人のルートが終わって最終ルートに入ると、主人公はそれまでの全ルートの記憶を持ったままゲーム開始時の時間に戻され、それまでの4人は5人目のヒロインであるナナの別人格である事、今までの出来事は仮想の世界であった事、主人公は過去にナナを庇って意識不明になっており、ナナはそのショックで多重人格になった事が明かされる。
誰を選んでも正解となるのはつまりヒロインが多重人格だったからなのである。
どこか納得できるような釈然としないような気持ちにさせられつつ進めていくと、ナナとヒロインたちの人格はあっさり和解し、その後の展開はそれまでのルートと同じくデートとセックスの繰り返しで、結局個別ルートはすべて同じような展開である。加えてヒロインたちが同一人物の別人格ゆえにヒロイン同士の掛け合いがないのもつまらなさと単調さに寄与してしまっている。
また、ゲーム開始時に謎の声により七つの大罪がストーリーに関係している事が示唆され、各ルートに突入した際にも謎の声がそのヒロインがどの大罪を担当しているかを匂わせるのだが、この設定がほとんど死に設定になっている。というのも、一応それぞれに対応したシーンが用意されていても他のキャラと被っていたり、あまり差別化につながっていない。さらに7つの大罪と言うには人数が足りないがどうするのかと思えば、何故か主人公が3つ担当しているのをトゥルーエンドの直前にさらっと語られる。本当にこの設定は必要だったのか?と首を傾げたくなるダイナミック回収っぷりである。
ストーリー重視にしてはボリューム不足による説明不足、消化不良が残り、キャラゲーとしても殆どのヒロインのルートが夢オチの前座である、なんとも期待外れになってしまっている。
名作を多く生み出してきたメーカーからフルプライスで発売された事が信じがたい、そんな気持ちにさせられるゲームであった。
なお、ジャンルで掲げている水面下もハーレムもどこにも存在していない。
紫のサンタクロースから齎された七つの大罪と共に2024年が終わり平和な三が日がすぎた頃、正月休みは終わりだと言わんばかりの選評が投下される。ロスタイムの始まりだ。
11月末にひっそりと発売されていた、縁の『だから私は魔法少女を辞めた』、本作の問題は音声とシナリオである。
宅録の音声を使っているのか音質が悪く、音割れが多い。また演技力に問題がある声優も多く、同人作品なら許せても商業作品としては許しがたい。
そしてシナリオ、平和なシーンから急に凌辱シーンが挟まり、この記憶は何なんだ?となるのだが、これは絶望したヒロインが仮想世界を作り出し閉じこもっているからである。過去に現実で起きた凌辱シーンと現在の仮想世界でのシーンが交互に展開するため非常にわかりにくい。
その辺りのネタバラシがきてもどうしてそうなっているのかがよくわからない部分が多く、理解不能な出来であった。
続いての申し開きは『夢幻のティル・ナ・ノーグ』あざらしそふと+1は今年度2本目のエントリーである。
本作の問題点としてまず、不快なテキストやセリフが盛り込まれた長く退屈な共通ルートが挙げられる。
くだらない下ネタ、キャラに「ぐだぐだ」「天丼」と言わせる通りぐだぐだな会話と展開は、分かっているなら削れ、バリエーションを増やせと言いたくなる。
そしてグラフィック。異世界の無人島を探索する内容だが異世界らしい要素、モンスターを倒したりテイムしてもその絵素材は存在しておらず、魔法によるクラフト要素があってもそれを持っているCGも存在しない。
さらにはストーリー上重要な周辺キャラクターの立ち絵も用意されていないので背景だけが表示された状態でストーリーが展開することもある。
この様に折角の異世界というシチュエーションでありながらそれを感じられるグラフィックが圧倒的に不足している。
他にも不快な上に何度も撤退しては繰り返し登場する敵対キャラや、一部ルートのありきたりな設定や超展開も抱えている。
一例として義妹ルートでは異世界無人島探索が中断された後、元の世界で普通に暮らしていたらヒロインが交通事故に遭い、それを魔法で治した結果主人公は植物状態に。目を覚まさせるために無人島探検を再開するも1年が経過、ヒロインは主人公の本当の妹の亡霊に遭遇、ついて行った先で目を覚ました主人公と再会する。が、細かいことは説明されないので奇跡なのかヒロインの幻覚なのかわからないというオチ。
キャラクターやHシーンなど良いところも存在しており、良作足り得るポテンシャルはあるものの勿体ない、という評価がなされるゲームであった。
ロスタイムも残り少なくなった1月下旬、ninetailのダンジョン探索型RPG『GEARS of DRAGOON3 ~竜刻のレガリア~』が解析を終えて到着する。
まず目につくのは過去作と比べてもショボさを感じるダンジョン内グラフィックだ。過去作では一人称視点3Dダンジョンやリアル等身3Dだったが、今作では見下ろし型マップにSDキャラのイラストになっており、ランクダウン感が否めない。戦闘に置いても基本はSDキャラ+技名で、派手なエフェクトの技を覚えるまでは面白みがない。移動はキーコンフィグなし、マウスで一気に指定できてもタイルごとに止まる、コントローラー非対応などの理由により苦痛。
システム面では、マップに入るとボスを倒すまで外に出られない仕様により、公式自称ハックアンドスラッシュゲームでありながら途中でアイテムなどを持ち帰ることはできない。
パッチにより追加されたフリーマップにも難易度表示などはなく、ボスの強さで詰まった場合はマップ内でレベリングをするか突入前のデータをロードするしかない。
また武器に装着できる魔石というアイテムがあるのだが、序盤ではほとんどその対応装備がドロップせず、手に入るようになってもマップ内では装着できないため、ボスに合わせて途中で強化などはできない。
また育成面にも不便さを抱えている。まずスキル取得は前提スキルを解放しないと次のスキルが表示されないため、手探りで解放していくと後で出てきた強そうなスキルのためのスキルポイントが足りないと言うことが起きたりする。セット済みのスキルが強調されるなどされないのでセットする際も地味な不便さを感じさせられる。
リザルト画面はレベルアップした事のみの表示で具体的にどう強くなったのかがわからず、どのくらいレベリングすればいいのかという見通しが立てにくい。ステータス画面の経験値表示も今まで稼いだ経験値と次のレベルアップに必要な経験値が表示される仕様でわかりにくい。
装備画面のUIも使いにくい。装備可能武器を絞り込むことが出来ず、いちいちアイテムにカーソルを合わせて確認しなければならないが一覧とは逆順の表示だったりアイコンが小さいので視認性が悪い。
しかもストーリーの都合上キャラクターの出入りが激しく、その度に装備をつけ直す必要があるのだが自動装備ボタンなどはなくいちいち確認しながらの作業を求められる。
また戦闘システムもフルオートが存在していてもクリックしないと技名が消えないので結局張り付いていないといけない。スキルの効果付与やバフデバフはExcelで作ったような画像が表示されるのみ、名称のみで効果がピンとこないものを戦闘中に確認することができない。
さらには経験値量や敵の行動設定、MPの回復手段の乏しさ、難易度イージーでもレベリングを強いられるなどバランス調整もミスっている。
この様にRPGのほぼすべての要素に不便さを抱えており、テストプレイのときに何も思わなかったのかと問いたくなる。
ではストーリーはどうなのかと言えば、こちらにも問題は存在する。
一部の敵は公式サイトで仲間になる事が書かれていたり、同じキャラと何度も何度も戦う事になったり、ストーリーや世界観のスケールと比べて登場人物が少なく展開が予測しやすい。
それでも盛り上がってきたと思えば「俺達の戦いはこれからだ!」系の問題先送りエンディングが待っている。
結論として過去作から良い部分を消し、悪いところだけを残してしまい、シリーズのいつものやつとも言えない結果となってしまった。
細かい不便さをぎゅぎゅっと詰め込んだ負のRPGの後には、予告されつつ完成されなかった選評が2本届けられた。
選評者たちをして「クリアしたが何も残っていないので選評のためにもう一度プレイしてくる」「選評提出を2回挫けた」「奈落はプレイが苦痛だったがこれは思い出すのが苦痛」と言わしめた、2022年の覇者WendyBellの『Pure・Cafe ~癒しのカフェに通い詰める、僕の地方転勤生活~』である。
本作の最大のポイントは「伝えにくいつまらなさ」。描写の薄さで魅力が伝わってこない主人公とヒロイン、つまらないイベント、ご都合主義の展開。最初から最後まで心を震わされることが無く、それでいてつまらなかったという感想だけが残るシナリオ。
2つの選評がどちらも、単調、盛り上がりがない、とにかく面白くない。と言うことに終始しており、本当に何も残らない虚無ならまだマシとまで言われる始末。
一応ストーリー以外にもミドルプライスにしては少なめのHシーンや不安定気味のCG、CG使用箇所のバランスの悪さ、Hシーンで急に謎の語彙力を発揮する主人公というネタ要素も抱えているのだが、そこよりも「とにかく面白くない」という感想が先に出るのは中々聞かないものである。
スレ民たちは際立ったクソ要素のないつまらなさを言葉にすることの難しさを胸に刻んだのであった。
2024年度最後の申し開きをしたのは、夏の予告から半年かけてやってきた、まどそふと『セレクトオブリージュ』。
いわゆるお金持ち学校に特別に入学を許された主人公という設定の本作が抱える問題はコンセプトと実際のズレ。「身分違いの恋」「カタルシス」「豊富なHシーン」を掲げているが実現できているのは豊富なHシーンのみである。
身分違いの恋については確かに身分は違うが特に障害もなく、カタルシスについても共通ルートに多少あるのみ、しかもそれも主人公の力で得るものではなく薄い。
ヒロインや世界観の設定については、結局よくわからなかったり活かされなかったりして謎が多く、そのせいでストーリーも何故そうなるのかという気持ちにさせられる。
素材は良いが活かされず、盛り上がりそうになってもサラッと終わってしまう。かといってキャラゲーとして楽しめるかと言われれば多少ながらキャラ格差が有ることと掘り下げ不足で不満が残る。
コンセプトを書ききるかキャラゲーに寄せたコンセプトにするか、どちらにも出来ていない半端な完成度になってしまった作品であった。
さて、選手が揃った所で今年の次点と大賞を発表しよう。
次点は
『奈落ノ胤 ~堕淫調教SLG~』
『異世界娘と秘密のコンカフェえっち』
大賞は
『GEARS of DRAGOON 3 ~竜刻のレガリア~』
とする。
今年は約7ヶ月の選評不着期間という前代未聞の状況が続いた。しかし蓋を開けてみれば16本の作品に対して17の選評が投下され、本数だけ見れば近年と同程度と言えるだろう。
今年の傾向としては「コンセプトと現実のズレ」「プレイに伴う苦痛」「活かされない無駄な設定」が多かったように思う。
クソゲーの基準は人それぞれである。特にエロゲーという世界においては、シナリオを重視する者、Hシーンを重視する者、キャラクターを重視する者、絵だけを求める者、それぞれの基準に於いて「これはクソゲーである」という評価が下される。
従ってKOTYeの大賞の選出理由をどこに定めるかが問題となるのだが、これが今年は非常に迷った。
KOTYeはネタスレである。クソを笑いに昇華するスレである。しかし今年の作品はどれもわかりやすく大威力の必殺技(ネタ)で殴りつけてくるのではなく、じわじわと締め上げてくるようなものだったように思う。
大威力の必殺技を持っているクソゲーが有るのならそれを基準とすれば良い。しかし今年の傾向としてその手は使えない。どうやって次点と大賞を決めればよいのか、本当に迷った。決めた後でも迷い続けている。本当にこれでいいのか?本当にそれはお前の中でクソゲーなのか?擁護できる部分があるからクソゲーではないのか?いいやクソゲーである事に間違いはないはずだ。そもそもクソゲーとは何なのか…クソゲーに優劣などあるのか…?
クソに優劣などない、しかしKOTYeはその年一番のクソを決めるスレである。一度初心に帰ってテンプレを読めばこの一文が目に入ってきた。
「自分がクソと思ったらクソゲーです」
はて、自分が一番クソを感じる部分はどこであろうか。
というわけで今回は選出基準を「プレイする事に苦痛を感じる作品」とした。
単純に、終わってみて面白くなかった物よりも遊んでいる過程が辛い方がクソじゃないか?という理由である。
『コンカフェ』は理解出来ない主人公の言動を見せつけられ続ける苦痛。
『奈落』は攻略性とストーリーの分岐に付随する苦痛。
そして『GoD3』は言うまでもなく不便さしか詰まっていないRPGの苦痛。
この中だと『コンカフェ』のみが読み物ゲーであり、苦痛度は頭一つ低い。しかし主人公の妄執に近年でも稀に見る不快感と恐怖を覚えたので次点とした。
『奈落』と『GoD3』はどちらも攻略するシステム面、ストーリー両方が苦痛を与えてくる。
ではどちらを大賞にするかとなった時に考えたのはそれぞれのゲームの主軸の部分である。つまり『奈落』は調教、『GoD3』はRPGだ。
確かに『奈落』は不説明ゆえの攻略しづらさがあり、状況によっては必須となるセーブ&ロードも苦痛を与えてくる。しかし身も蓋もない事を言ってしまうとこれらついては仕様を知っていればなんとかなる部分でもある。
一方『GoD3』はどうだろう。仕様を知っていればなんとかなる部分もあるだろう。しかしそれでもなお減らない作業量がある。随所に光る不便さは変わらず積み重なり、より多くの苦痛を与えてくる。そしてその果てにあるのは解決の先送りである。
この終わらない苦しみを以て大賞は『GEARS of DRAGOON 3 ~竜刻のレガリア~』とする。
ここ数年の傾向として発売本数の減少、ミドル・ロープライス作品の増加、同人作品の増加が挙げられ、比例して選評の本数も減少傾向にある。
ユーザーの高齢化も有るだろう、購入本数も減り、選評を書くものも減る。そしていつかこのスレも役目を終える時が来るだろう。
しかしそれはまだ、今ではない。
クソゲーが無くならない限り、選評を書く者が居る限り、KOTYeは存在し続ける。