3:総評1:2026/02/09(月) 23:26:42 ID:???0
2024年のKOTYeは、ブランド名に「九つの尾」名を持つ古豪が歴史という名の殺生石を砕き災厄をもたらした。
『GEARSofDRAGOON3』が巻き起こした颶風に対し、停滞した時代を動かす強きクソゲーの在り方を讃えて幕を閉じた。
あれから一年。
嵐は止み願い通りに時代は動いたのか。
あるいは、砕け散った石の毒気が新たな歪みを生んだのか。
坑道の奥底に漂い始めた異質な妖気の正体をまだ誰も掴めてはいなかった。
2025年最初の選評は去年とは対照的にスレが立ち上がると同時に着弾した。
Tilyから発売の『ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話』がエントリー。
このゲームの最大の問題は、何も書かれていない4つの白い扉を39回も選ばされる単調で冗長なゲーム性にあった。
序盤こそエッチシーンも日常会話も楽しめるが、だんだんとだれてきて、やがて苦痛に変わる。
扉の選択により変わるのはエッチシーンの順番のみである。
まだ分岐してマルチエンディングがあるのであれば箸休めにもなったかもしれないが、本作は分岐のない一本道なので39回の繰り返しがプレイヤーに徒労感を与える。
この点では何度ヤっても出られない主人公たちの気持ちを追体験できるゲームとしては完成度が高いのかもしれないが、面白いかというと話は別である。
さらにはタイトルの通り脱出できずに出られないまま終わる。
看板に偽りはないのだが、苦痛な作業のあとにこれではモヤッとした感情の吐き出しどころがない。
一応エッチシーンのクオリティはそこそこ高いのは救いだが、エッチシーンすべてにCGが用意されているわけではない。
オナホコキや脇コキ、ガーゼ責めといったシーンは小窓こそ用意されているがCGはない。
そこでボイスを音声作品代わりに使おうとしても、これらのシーンは回想シーンに登録されていないので直前でセーブする必要がある。
しかし、回想シーンが解放されるのはクリア後なので、気づいてからそれをするためには再び虚無の扉を選ぶ作業へと戻らざるをえない。
プレイヤーを苦痛があっても出られない部屋へと閉じ込める一作となった。
まずはWaffleから発売された『巨乳ファンタジー5~王子リーン~』がエントリー。
公式が謳うキャッチコピーは「底辺王子が王位と巨乳を掴み取る、スカッと爽快なサクセスストーリー」である。
しかし、その実態はスカッとするどころか陰湿で胸糞悪い鬱展開と、作り手の枯れた熱量が凝縮された一作であった。
本作最大の問題点は看板に偽りありのシナリオ構成、特に幼馴染ヒロインの扱いがとにかく酷いのである。
敵となるババアにギャンブル狂いの両親を人質に取られ、心ならずも主人公を妨害するために籠絡しろと命令される。
主人公は彼女が命令を受けて動いていることを察知するのだが、そこで救いの手を差し伸べることはなくまさかの放置。
最終的には戦いの最中に彼女の両親の生首が送られて来たことで幼馴染ヒロイン的にはバッドエンドとなる。
しかしどういうわけか、このあと主人公のハーレム三昧が始まるので大団円の雰囲気が醸し出して終わる。
上記はメインとなるハーレムルートの話ではあるが、彼女個人のルートも悲劇が起こったあとに主人公を慰めるためのエッチのみと救いがない。
幼馴染ヒロインに抜けるシーンが一つもないと言われてしまうのも仕方あるまい。
ストーリー全体の進行におていも未来予知同然の占いがチートすぎて物語の進行が破綻している。
占い師が敵味方共に存在するが、未来予知や遠隔透視に近い性能を持ちその結果を誰であろうと無条件に信じ込むほどの絶対性を持つ。
主人公は占いの結果の通りに行き当たりばったりに行動すればだいたいなんとかなる。
しかしその万能さが仇となり、なぜここで使わないのかという疑問が常に付きまとう。
ある時は占いで全てを解決し、ある時は存在しなかったことにされるというご都合主義的な運用が、物語の整合性を破壊させてしまった。
しかし本作は本来抜きゲー寄りの作品であり、エッチシーン単体で抜ければストーリーの問題は些末な問題となろう。
だが、テキストが壊滅しているためその希望は崩れ去る。
特に擬音のセンスは壊滅的で、胸を揉むシーンでは「もみぃ!」「もみぃぃ!」「もみぃぃぃ!」と、まるで怪鳥の鳴き声のような音が三段活用で連呼され、濡れ場をギャグ空間へと変貌させる。
またタイトルに巨乳が入っているパイズリが重要とされる作品で、そのパイズリのシーンが「ンッ、ンッ、ンッ」という単調なセリフばかりで全く抜けない。
一応、シリーズの1作目から怪擬音はあるのだが、本作においては繰り出される頻度が問題視された。
ひたすら同じような擬音が繰り返されているため、クリックしてもひたすら同じような文章が表示されるのである。
「ンッ、ンッ、ンッ」の多用というテキストの問題がボイスの質を大きく損なっていることも問題であろう。
パイズリシーンでヒロインのセリフが流れるたびに「ンッ、ンッ、ンッ」と聞こえてくるのであれば抜くにも抜けない。
エッチシーンはイラスト、テキスト、ボイスの3つから成り立っている。
テキストをもとに台本が作られて声優がセリフを読む以上、テキストが壊滅していると2つを損なう事となってしまう。
これにはずっぷの方がセリフにかかっていないだけマシとさえ言われてしまった。
そして極めつけは、ババアのフルヌードである。
ギャグのつもりで用意したであろうババアが全裸になる立ち絵の躍動的な乳房にモザイクをかけ忘れてしまうという痛恨のミスを犯した。
一応修正パッチでモザイクが追加されるが、配布ページの
「本来乳房にもモザイクを掛けるはずだったのが掛けられていなかったので、改めて乳房にモザイク修正」
という文言は巨乳ファンタジーというタイトルらしからぬシュールさを醸し出してしまった。
総じて、余計なものが沢山混じった独特の存在感を放つ作品となった。
4月2作目は新ブランド、アトリエショコラから発売された『異世界ヒロインと同棲生活』がエントリー。
定価2,970円の低価格とはいえ、CG枚数がSDイラストを除き9枚と値段にそぐわない。
にもかかわらずに余計なサービス精神を出してしまったがためFANZAの商品ページで7枚を見ることができた。
そのため、ゲームを買って新規に増えるCGが2枚しかないと金を出して買った人に対して苦痛を与える事に成功する。
そしてテキストには、
ーーーーーーーパンッパンッーーーーーーーパンッパンッパンッ。
ーーーーーーーパンッパンッーーーーーーーパンッパンッパンッ。
と、「かっ飛ばせー!!!」と聞こえてきそうな擬音がほぼ全てのエッチシーンに侵食していた。
行為の最中に球場の熱気を感じさせる斬新なテキストだが、当然ながらエロには全く寄与しない。
システム面でも選択肢がテキストウィンドウに表示されていたり、コンフィグ画面にゲームエンジンデフォルトの『吾輩は猫である』の例文が残っていたりと手作り感あふれる不備が満載。
質の悪い同人ゲームと錯覚させるクオリティだが、ソフ倫の審査番号があるため正真正銘の商業作品である。
なお、本作は同年7月にはFANZAの販売ページが削除され購入不可能となり追加検証が不可能となってしまった。
同棲生活は早々に解消され、ヒロインは異世界へと帰還してしまったのである。
そして4月の3つ目の選評はTinkerBellから発売された『蠢牝~仄ちやう滴り~』がエントリー。
サブブランドに「悪魔」を生み出したWendyBellがあるが、ついに本ブランドであるTinkerBellからも選評が着弾した。
本作最大の問題点は、フルプライスという強気の価格設定ながら未完成のまま世に放たれたことである。
フルプライスでありながらもCGモードで確認できるCGが25枚と1jksを下回る。
この惨状に対し、メーカーは発売から2日後に「強化DLCパッチ」の存在を告知。
あまりにも購入者を舐め腐った態度にDLC配信予定日の1日前に選評が投げ入れられることになった。
肝心の中身も、未完成であることを差し引いても擁護不要な出来だった。
そしてストーリーは意味不明。
突然留学に行くことになったと思ったら、どういうわけか娼館に売られており、いつの間にか家が没落し、因習村に売られ、子供を産まされ殺される。
他のヒロインルートでも、何かありそうな伏線が一切回収されないまま犯されたあとに突然暗転してエンドロールが流れるなど意味不明。
特筆すべきは、物語のオチとして安易に用いられる脱糞である。
配信中に脱糞、出産直後に脱糞、殺されると知って脱糞。
困ったらとりあえずヒロインに糞を漏らさせておけばハードだとでも思っているのか、物語のオチが糞に集約される様は、まさに文字通りのクソゲーだった。
一応、予定していた日付から2日遅れて配布された強化DLCで改善こそする。
ストーリーはルートが不足していたヒロインのルートが解放され、明らかに途中で終わっていたものにも続きが追加されていた。
しかしながら追加されたとしても合計48枚とフルプライスにしては物足りない。
事前にエッチシーンイベント倍以上と告知されており、確かにエッチシーン自体は倍以上になっていた。
が、使いまわしの産物であり追加されたCGは23枚であり嘘は言っていないものの誠意が感じられない。
追加されたストーリーも竿役の男の悪事が発覚したと数行で語られ屈辱シーンが存在しないと、存在意義がわからないルートが存在する。
一見ハッピーエンドに見えるが、エンドロールでは他のルートの暗いBGMを使いまわしてしまったがために、
「果たして、無事に明日、屋敷で会えるかどうかは、誰にもわからない」
といった雰囲気になってしまった。
結局、パッチによって未完成のクソゲーは普通の駄作へと微進化を遂げただけであった。
ゴールデンウイークが終わろうとした頃、また新しい選評が届く。
Waffleから巨乳ファンタジー5の有料アペンドとして発売された『温泉パイズリファンタジー』が、本編に続いてのエントリーとなった。
本編の胸糞展開で疲弊したユーザーを癒やすためのファンディスクかと思いきや、そこにあったのは誇大広告と本編に引き続き質の低いテキストであった。
まず公式サイトに『夢の10Pハーレムエッチ』を謳いながらそんなシーンは見当たらない。
4人が並んでいるところをベルトコンベアー式に乳首にしゃぶりつき母乳を吸っているところがマックスであった。
これを、「4人の母乳を連続で吸うのか。ならばほとんど10Pハーレムエッチのようなものだな」と受け入れるものは皆無であろう。
これに対し、公式サイトから『夢の10Pハーレムエッチ』の文言を削除することで解決を図る。
また、タイトルにパイズリが入っているにもかかわらず、パッケージにいるヒロイン5人のうち、4人にパイズリのシーンが存在しない。
そしてパッケージ画像にはメインヒロイン5人が書かれているが、サキュバスの一人とそれ以外とで扱いに差がありすぎた。
方やベルトコンベアー式乳吸いと個別のセックス5カットのみ。
方やサキュバスたちには合計11カットCGを使い贅沢に尺を取る。
この配分であればパッケージに描かれるべきはこのサキュバスの3人にするべきである。
テキストの問題も巨乳ファンタジー5から変わっていない。
胸を揉むときの「もみぃぃぃ」といった擬音が連発される、パイズリのシーンで「ンッ、ンッ、ンッ」というセリフが繰り返されるといった問題は引き続き発生。
本編はシナリオの途中にエッチシーンが入っていたのでまだマシだったが、本作はひたすらエッチシーンなのでゲシュタルト崩壊してしまう。
ヒロイン4人のおっぱいベルトコンベアの際も、4人中3人のシチュエーションで「イッたらちんぽ入れてやんない」とコピペで作られたような展開が続く。
11カットを贅沢に使われているサキュバスたちも、「もう出ない」「まだ出るでしょ」という問答を10回も見せられる。
かくして手抜きテキストにより抜けないアペンドディスクは本編の評価をさらに下げる追撃弾となった。
8月の猛暑にうなされるスレに、涼しくなるどころか肝が冷えるような怪作が届けられた。
レベルの高い合格点を超える抜きゲーをオールウェイズリリースしてくれるMOONSTONECherryから『ホめられて伸びるSR少女たち』がまさかのエントリー。
まず気になるのはゲームを開始した後になかなかキャラクターの立ち絵が表示されないという事である。
ひたすら背景が表示され、立ち絵のないモブからの長ったらしい設定説明が続く。
検証したところ、オートモードで13分30秒もの間立ち絵が表示されていなかった。
物語のつかみでこれでは先の事が心配となるが、プレイヤーを待ち受けているのは抜きゲーにしては重すぎる設定である。
ヒロイン達はホンモノの幽霊が見えたり、魔法少女に変身したりといったSRという個別の能力を持っている。
しかしこの能力のせいで余計なシリアスさを追加してしまっている。
一人は、両親が新興宗教を立ち上げ、娘の能力を使い傀儡教祖に仕立て上げて信者を破産させた挙句、その両親は逮捕されたというヘビーな過去を持つ。
幽霊が見えるも幼い頃に連続殺人鬼に誘拐され、殺された被害者の幽霊の助言で脱出し犯人は逮捕。
犯人に死刑がくだされるが、自殺未遂で昏睡状態となり生霊として付きまとっているという、サスペンスホラー顔負けの設定である。
シリアスな作品であれば面白くなりそうな要素ではあるが、『愛とエッチでSR少女を伸ばしちゃう?ADV』を謳う明るく楽しい雰囲気が期待される本作では余計であろう。
そして余計なものはエッチでヒロインたちの能力を高めるという設定がゆえに、エッチシーンに混入している。
淫魔をおびき寄せるためにツキテラセックス、魔法少女の力を使うためにアクマに襲われている友人を放置してフェラチオと絶妙に集中できない。
特に幽霊が見えるヒロインのエッチシーンには隠し味レベルでない刺激物が投与されている。
主人公が過去に友人を亡くしているが、ヒロインと手を繋ぐことで幽霊を見たことで精神世界に囚われてしまい、エッチな事をして現実に戻すという導入で始まる。
だがヒロインの初々しい一人称視点のフェラチオシーンを楽しんでいると突然主人公の精神世界に切り替わる。
友人の死に感じていた負い目が、精神世界で幽霊となった友人と対話する事で解消されて目を覚ますという謎展開となった。
ポルノの最中に感動ポルノをねじ込む愚行はエロに対しての冒涜である。
また、死んだ時点で成長が止まった友人に対して自分だけが大人になった事に気づくという王道展開のきっかけが、友人におちんちんが勃起している事を指摘されるというシュールさが笑いと混乱をもたらした。
かくしてプレイヤーは本作のSRがSurRealismの意味だと思い知らされる事になるのであった。
そして8月も終わりかけの頃、『VanillaAndroid-シコ猿DT大学生の俺と美少女アンドロイドがいろんなプレイでハメパコミッション!-』が、新ジャンルの「クソ」ゲーとしてエントリーを果たす。
人気のベテラン原画家を起用しており、質の高いグラフィックでシナリオもロープライス作品としては手堅くまとまっている。
しかし、それら全ての美点を台無しにするたった一つの汚点が存在した。
それは主人公のおちんちんである。
設定上オナニーのしすぎで黒ずんでいるという説明はあるものの、画面に表示されているおちんちんは黒ずんでいるというレベルを超えている。
そのせいで、おちんちんがうんこにしか見えないと言われてしまった。
一応亀頭が写っているシーンであればマシだが、挿入などで亀頭が見えなくなると途端にうんこに見えてしまう。
フェラチオのシーンは食糞にしか見えず、アナルに挿入しているシーンはもう完全にうんこであった。
そのため、スレではこのおちんちんを「うんちんこ」という不名誉な愛称で呼ばれるようになってしまう。
設定上の性欲の強さを表現しようとして余計な事をしてしまったがための悲劇と思われる。
しかし耐性のないものにとっては圧倒的な破壊力を持つ地雷となり文字通りの糞ゲーとなってしまった。
11月に入り、肌寒さを感じる季節に未完成品が漂着した。
kelpから4年ぶりに発売の『レイブン・ブラック・ラック・ライフ~廃宿の主になってワケアリ姫とシスターと過ごす宿屋ライフ~』。
「クエスト受注で宿屋を経営するADV」というジャンル名とは裏腹に、シビアなフラグ管理が災いしてプレイヤーは経営ではなく金策に追われる。
そしてストーリーも共通ルートこそミドルプライスなりの出来だが、個別ルートに入ると事態は一変する。
風呂敷を広げたものの、予算か納期か、あるいはその両方に敗北した結果、物語の要所をごっそり削ぎ落としたようなスカスカの展開がプレイヤーを襲う。
地下に眠るオーバーテクノロジーなダンジョン、マナを生み出す神、暗躍する二重スパイ、謎の美女剣士、主人公の失われた記憶……。
これら全ての伏線が謎のまま終わる。
ヒロインたちは何か重大な秘密を知っていそうな素振りを見せるが、結局何も語られない。
ダンジョンの最奥で神らしきオブジェが破壊されて終了したり、主人公が夢の中で神の正体らしき少女と出会うが、目覚めても何も解決しないといった消化不良極まりない結末を迎える。
特に聖職者ヒロインのルートのエンディングにおいては、ヒロインが主人公に幻術をかけて都合の良い夢を見せているとしか解釈できないような描写があり、意図せぬバッドエンド感を醸し出している。
ワケありなのはヒロインではなく、このゲームそのものだったというオチが待ち受けるのだった。
9月、常連Calciteから『悪役令嬢をわからせる!?』が投下された。
前作に続きAI技術をグラフィックに採用したが、やはりその質の悪さが問題視された。
生成AI利用の是非は問わないが、それを使った結果として出力されたものの品質がやはり著しく低いのはいただけない。
前作『異世界娘と秘密のコンカフェえっち』にも同じような問題があったが、本作ではどういう訳か悪化している。
立ち絵は切り抜き処理が甘く、立ち絵の周囲に白いフチが残ったまま放置されている。
ついにPhotoShopに支払う金すら用意できなかったのではと懐事情を心配せずにはいられない。
スチルでは、ベッドの上だろうがどこだろうがヒロインが靴を履いたまま行為に及ぶ。
さらに、ファンタジー風の世界観であるにも関わらず、背景に描かれたモブが現代の学生服やスーツ姿であるなど、世界観の統一すら図られていない。
その他にも生成AIで出力ができなかったシーンを無理やり表現しようとした結果全体的に違和感のある仕上がりとなっている。
シナリオの惨状も、画像の粗さに負けず劣らず凄まじい。
主人公は乙女小説の世界にモブとして転生したはずなのだが、作中で語られるその小説のタイトルはなぜか『ヒーローファンタジー』。
乙女向けなのか男性向けなのか、タイトルの時点で設定が破綻しており、元々の主人公の存在は不明で基本的な世界観すら練られていない。
そして主人公の知能指数も絶望的だ。
小説の知識を持ち、目の前のヒロインが国を滅ぼす悪役令嬢であることを知っているはずである。
それにもかかわらず、彼はヒロインの甘言にあっさりと引っかかり、国家予算レベルの大金を騙し取られたり、あっさり魅了魔法にかかり軍事機密を喋ったりとあまりにも愚かである。
個別ルートも同じような展開であり3人ヒロインのルートでは散々調教した挙げ句になぜか恋心が芽生え、豚小屋でボテ腹セックスという全く同じ結末を迎える。
他の悪役2人の存在を放置し、ルートのヒロインが主人公の子供を妊娠した事を祝うハッピーエンド風に幕を閉じるが、調教で行われていたのは街中での公開乱交である。
どう考えても父親が誰かわからない状況なのだが、主人公は微塵の疑いもなく「俺の子供だ!」と狂喜乱舞し、豚小屋で愛を叫ぶ。
結果としてわからされたのは悪役令嬢ではなくCalciteの現状に他ならなかった。
12月、年の瀬に届けられたのは、癒やしのサプリメントではなく、プレイヤーを苦しめる劇薬であった。
ま~まれぇどから発売の『バカップル・サプリメント』がエントリー。
何度も延期を繰り返した挙げ句、マスターアップ後にも延期をして、満を持して発売された本作。
しかし、その中身は度重なる延期の成果とは到底思えないバグの温床だった。
まず、発売日当日に配布された「修正パッチ1.01」が、プレイヤーを地獄へと叩き落とす。
このパッチを適用すると、なぜかエラー落ちという致命的なバグが発生した。
一応ウインドウモードであれば動作するのだが、本作のデフォルト設定はフルスクリーンであったがため、修正パッチを当ててしまうと再インストールしなければ動作しない。
また、ブランドが採用しているエンジンはバージョンが変わるとセーブデータの互換性がない。
それを気にして開始前にパッチを当てたユーザーほど、起動した瞬間にクラッシュしてゲームを始められないという孔明の罠が待ち受けていた。
何とか起動できたとしても、修正パッチを当てるとその他のバグも多い。
修正パッチを当てたはずなのにカットインが表示されなくなるバグが追加されていたり、エッチシーンでは表情が切り替わらないといった不具合が乱舞。
さらに、妹ヒロインが真面目な話をしているシーンで、なぜか別のヒロインとのデートシーンのCGが表示される間違いがあり、妹のセリフを思い返しながら別の女のことを考えている最低な主人公を作り出してしまう。
一応修正パッチ1.02にてバグの大半は修正されるが、エンディングのCGでカットインが表示されないためヒロインがのっぺらぼうになっていたり、エンディングで別のヒロインの曲が流れたりといった不具合が報告されている。
テキストとCGの不整合が著しく、パイズリフェラのシーンではペニスが乳に完全に埋没しているため、ヒロインが胸の間に口がついている怪物になってしまっていた。
そして、エピローグでの妊娠エッチシーンがヒロイン全員に用意されているのだが、4人のうち2人に問題がある。
テキストではお腹が膨らんでいると明記されているにもかかわらず画面に写っているヒロインのお腹はぺったんこであり、性癖を持っているものに対しての裏切りが発生した。
シナリオ面でも、癒やしとは程遠い不快さがプレイヤーを襲う。
主人公は生徒会長に「俺の子を孕んでください」とセクハラをかまし、幼馴染をナンパしてきた客にコオロギ定食を提供するなど、ギャグとしても笑えない奇行を繰り返す。
本作のジャンルが『めちゃくちゃ恥ずかしい超絶バカップル体験ADV』だが、めちゃくちゃ恥ずかしいのは主人公だけである。
一応、ライターの作風として好意的に受け止める声もあるが、作品全体に散りばめられたモブによる余計なギャグはいただけない。
なぜなら主人公が冒頭でエロゲの尺稼ぎのためのモブ会話を批判しておきながら、全く意味のない不快なモブ会話を延々と見せつけてくるからだ。
例をあげると転校生に街を案内するというエロゲ定番のシーンでさえ、登場する子供たちが
「ママのクレカで配信者に200万投げ銭したらカード停止になった」
「親がリボ払い地獄で給食費が払えない」
などと、家庭崩壊レベルの闇をシーンが切り替わるたびにハイテンションで喚き散らす。
街を案内するシーン全体をギャグシーンにしているため、ギャグ調の激しいBGMがずっと流れているためヒロインとのやり取りに集中できない。
かくして、バグで下がった評価を挽回するには程遠い出来となった。
ま~まれぇどはすでに次回作の予告がされているが、サプリメントを摂取して集中力を十分に保った状態で制作してもらいたい。
12月、クリスマスの聖夜にサーフィンでやってきたサンタクロースがプレイヤーの目にダイレクトアタックをしかけた。
PULLTOPLATTEから発売された『キミと恋するハッピーサマー』がエントリー。
まず、テキストが絶望的に読めない。
薄い文字色に同系色のウィンドウを重ねているせいで文字を読むだけで目に過大な負荷がかかる。
そんな見づらい文字を凝視していると襲いかかるのが画面切り替え時のトランジション演出である。
錯視を起こすレベルの細いストライプが画面全体に表示されるため、目と三半規管にダメージを負う。
体質によっては吐き気を催してしまうほどであるが、その被害を受けたのは選評者である。
プレイの中断を余儀なくされ、10月発売ながら12月に選評投下と遅れたのである。
過去に精神的な苦痛を与える作品は幾作もあったが、本作のように身体に直接苦痛があるタイプの作品は稀有であろう。
ではゲームの中身がいいのかというと、そういうわけでもない。
CGは使い回しが多く、1枚の差分で乳揉みからハグまで無理やり表現している。
これを別CGモードで別CGとして登録しているので見た目上は38枚ながら実質31枚と、ミドルプライスにしても物足りない。
立ち絵とCGで水着のデザインが異なったり、CGによって胸のサイズが変わったりなど細かな部分で粗が多い。
また、ヒロイン以外に唯一立ち絵のある祖父の立ち絵をウィルプラス系列の別作品から流用している。
価格帯を考えれば工夫の産物かと思えるが、なぜか悪役を選んでしまった。
そのため孫を大切に思うはずのおじいちゃんが悪人面となり異物感が強い。
シナリオについても粗が多い。
あらしじを読む限りヒロインと少しずつ恋人としての距離が縮まっていく純愛もののように思えるが実態はそうではない。
日常シーンには必ずといっていいほどサブヒロインが割り込み、二人きりになったと思ったら即エッチシーンとなる。
抜きゲーとしては正解かもしれないが、通常CGにそれなりの数を割いているので解釈にこまる。
サブヒロインルートも用意されており、当然そうなると浮気となり修羅場を迎えそうな予感はする。
しかしこれをヒロインの圧倒的なものわかりの良さで解決する。
サブヒロインが友達の彼氏を好きになってしまうという禁断の恋心をヒロインに打ち明けると、「二人で恋人になれたらと思ってた」とまさかの三人で付き合えば解決という狂った提案がなされる。
葛藤も修羅場もなく即座に和解するようでは、恋人に見えない文字でセフレとルビが振られていると言われても仕方あるまい。
同じような展開が、もう一人のサブヒロインのルートでも起こるので、どういう気持ちで見ればいいのかわからない。
その後の展開もほぼ同じで、プロットを使い回すワンパターンぶりを発揮。
これではなんのためにサブヒロインを二人用意したのかわからない。
そして三人のヒロインのルートをすべて終えると、突然エピローグのようなものに突入するが、これも理解に苦しむ。
主人公の祖父にヒロインが彼女ですと挨拶すると、どういうわけかサブヒロインも彼女ですと挨拶を始める。
主人公は知らされておらずに困惑するが、困惑したいのはこちらである。
そして3人から自分が本命だよねと詰め寄られるサイコホラー展開となる。
このままハーレムエッチシーンを迎える……となればまだ理解できるのだが、本作にそんなものはないので不可解さだけを残す謎のシーンでしかない。
ハッピーサマーどころか、プレイヤーにとってはハァッ!ヒィッ!サファー!な冬の悪夢となった。
そして年が明け1月、申し開き期間となった。
しかし今年は31日になっても申し開きは届かなかった。
今年は申し開きがないのかと誰もが思っていた31の夜、直前になり放り込まれた季節外れの桜があった。
長らくスレを盛り上げてくれた常連、アトリエさくらが活動休止前最後の作品『学生会長・紫藤喜那の淫鬱―学生会長兼恋人の寝取られ議事録―』の選評が手向けとして届けられた。
その内容はやはり他人棒が入ればNTRと定義してきたアトリエさくららしい迷走した仕上がりとなっている。
まず本作の評価を地に落としているのが、間男である校長の圧倒的な不快さだ。
保身のために息子のいじめは揉み消す一方で、正義感から動いた主人公は個人的な恨みで追い込む小物臭漂うクズ。
さらに、息子と同い年のヒロインに幼児プレイを強要するその醜悪な姿は、教育者以前に人として直視に堪えずプレイヤーに生理的嫌悪を催させる。
また本来NTRの醍醐味はヒロインが心身ともに他者へ落ちていく様子を描くことにあるが、本作で落ちる過程が丁寧に描かれるのはヒロインではなく主人公の方である。
間男からの「行為をしている雰囲気を感じたり目撃したらシコれ」という謎の命令に唯々諾々と従ってしまう。
そして「その興奮は性癖なんだよ?」というどこか強者感あふれるセリフで自身のNTR性癖を自覚させられ、ヒロインが校長と行為をしている事に対して興奮し始めてしまう。
本来NTRが描くべき喪失や絶望は、主人公が自ら進んで恋人を差し出しその状況に快楽を見出した瞬間に消滅する。
そこに残るのはカタルシスではなく、単に性癖をこじらせたカップルを見せつけられるだけの虚無である。
そしてすべてNTRエンドとアナウンスされているが実態は違う。
ただの暴力でしかない輪○、自ら差し出す寝取らせ、竿役を踏まえた3Pとなる3つのエンドがあるが、いずれもヒロインとの関係はそのまま続くため喪失感は微塵もない。
他人棒が入ればNTRという浅い解釈の果てに、喪失感もカタルシスもない失敗作を残した常連は静かに幕をおろした。
以上で今回の全エントリー作品の紹介を終え、まとめに移る。
2025年はここ数年の中でも余計なことをしている作品が目立った年であった。
クリエイターが独自なアイデアや斬新な試みを行うのはゲームの発展において必要な事ではある。
しかし、プレイヤーがどう思うかという視点が抜け落ちてしまえば、それはただの暴走でしかなく、いらない苦痛を与える結果となる。
これを度々オナニーと批判されるわけだが、今年はまさにその傾向が顕著だった。
しかしこれらは作品にとって不必要な蛇足ではあるが、致命的ではなかった。
減点法では標準を大きく下回るも、加点法では100点を超えるポテンシャルを秘めている。
むしろ他の要素が良ければ良いほどに、余計なことさえしていなければという歯痒さが際立つ。
それでも普遍的な破綻になるような過去の魔物たちが持っていた欠陥までは届いていない。
2025年のエントリー作品はどれも欠点はあった。
しかし余計なことに目を瞑れば楽しめるのかもしれない。
そんな作品の中からむりやり大賞を捻り出す事が正しいとは思えない。
よってKOTYe2025はーーー
大賞なしである。
王座不在となった今年、クソゲーとは何かという過去何度も問われてきた問いについて改めて考えていきたい。
今年なりの結論を出すとしたら、「やるべき事をやっていない作品」か、「余計な事をしている作品」のどちらかと言えるだろう。
やるべき事をやっていない作品の例を出すなら簡単である。
商品として未完成、デバッグをやっておらずバグだらけ、質の悪いグラフィック、苦痛なストーリー。
どれも的確にユーザーを苦しめるが、過去にこれを極めすぎた魔物がひしめく中、もはやこれだけでは物足りなさを感じてしまう。
そして余計な事をしている作品、それはある意味でKOTYeの華である。
余計な設定、余計な展開、余計な描写、余計なセリフ、余計な擬音、余計な前後、余計な枝豆……。
あえて作品名は出さないが、各々印象深いクソゲーが頭に思い浮かんだのではないだろうか。
2025年のKOTYeを振り返ってみてもなぜそれをしたのかと思う事が多かった。
見えぬ文字、ババアのヌード、うんちんこ……。
それらは作品にとって不必要な蛇足であり、本来ならば良作として世に出るかもしれなかった作品をクソゲーと言われてしまう余地を与えてしまった。
創作を行ううえで新規性は必要である。
しかしその新規性は本来ユーザーを楽しませるための手段であるはずだ。
ところが今年のエントリー作品たちは、新しいことをすること自体が目的へとすり替わってしまったのではないかと思う。
目的はあくまでユーザー体験の向上であり、新規性はそのためのスパイスに過ぎない。
スパイスの分量を間違えれば料理の品質を損なう。
2025年は、その分量を間違えたシェフたちが劇物をテーブルに並べた年だったと言えるだろう。
大賞なしという結果や、昨今の業界の衰退ムードと重ね合わせ「このスレが終わればエロゲも終わりだ」など妄言を言うものまでいる。
だがエロゲは今も創られている。
そして創作の火が消えない限り必ず失敗が生じる。
熱意が空回りした愚作、技術が追いつかなかった駄作、夢をこじらせた失敗作。
それらは業界が生きている証そのものであり、我々が愛してやまないクソゲーという名の徒花はこれからも咲き続けるだろう。
ブランドの活動終了や開発期間の長期化のために1年に出る本数が減っている中でポンポン大賞級の作品は現れない。
その状態で無理やり大賞を選んでいたらいつか歪が生じる。
原則的に1本大賞を選ぶというルールを変える時が今なのではないかと思う。
そしてKOTYeは誰か特定の主催者がいて、開催を宣言して行われるイベントではない。
傷だらけになりながら選評を書き残すものが現れる限り、そして総評を書くものが現れる限り、この場は誰に命じられることもなく自然発生的に続いていく。
それらを書くものがいなくなれば終わるであろうが、まだその時ではない。
現代において匿名掲示板の役割の多くはSNSという新たな広場へと奪われている。
しかし、SNSは繋がりの場である。
クリエイターやファン同士が近くなりすぎた現代において本音の不満は同調圧力によって封殺されやすい。
だからこそ、この場所は続いてほしい。
顔も名前もない、匿名という鎧を纏わなければ叫べない不満がある限り。
違う意見を許す事ができない現代のSNSには流せない、淀んだ本音を吐き出す避難所がむしろ今は必要である。
王者不在の年は、終焉を意味しない。
「クソゲーが出ないことは良いことです」
この言葉で締めくくることができる1年があってもいい。