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  • 上と、下(前編)

上と、下(前編)

最終更新:2008年11月14日 17:22

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だれでも歓迎! 編集

上と、下(前編) ◆S828SR0enc




 加持にとって、人っ子一人いない夜の街というのはさほど重苦しいものではない。
 使徒の襲来や、あるいはセカンドインパクトという悪夢の前では無人の風景など大したものではないからだ。
 だというのに、

(気味が悪いな……)

 なのはの後を行く加持の心には、言い知れぬ薄ら寒い感覚があった。
 無人の街。
 立ち並ぶ建物の一つ一つを見るならばごく普通の街そのものなのに、人の息遣いがまったくしない。
 常ならば夜中でも誰かがいてしかるべき警察署も、明かり一つなく静かに夜に佇んでいる。
 当り前のものが当たり前でない様というのは、思ったよりもぞっとするものだった。

「…………」
「…………」

 なのはも先ほどから口をきかないのは、この奇妙な不安のためだろうか。
 闇夜に浮かぶ警察署の壁面のポスターには空気に似合わぬ能天気さで、『交通安全』だの『森林保護』だのと書かれている。
 その黄色や緑色の文字や絵の明るさがかえって気分を落ち着かなくさせた。

「……誰も、いませんね」

 ちらりと警察署の中を覗き込んだなのはが意気消沈したように言う。

「もともとホテルに行くつもりだし、大丈夫ですよ」

 元から期待してなどいなかった。何も問題はない。
 不安を織り交ぜた表情のままに歩き出したなのはを追って、加持も夜の街を進んでいく。
 警察署の扉に張られた『子供の安全を守ろう!』というポスターが悲しげに風に揺れていた。

 あまり変わり映えのしない街ではあるが、地図のおかげでおおよその位置の見当は付けることが出来る。
 この調子なら六時前にホテルにたどり着けるだろうと思いながら、加持は地図を指でなぞる。
 そうやって歩き続け、B-4とB-5の境目あたりまで来たときだった。

「え?」

 突如として先を行くなのはが、がくんと首を上に傾けたのだ。
 思わずつられて空を見る。
 未だ夜を色濃く残した暗い空を背景に、巨大な影が『飛んでいた』。

「……はぁ?」

 加持の口から呆けた声が漏れる。
 彼の常識に合わせてみれば、空を飛ぶのは鳥か飛行機か化け物くらいだ。
 だというのに今彼らの頭上を横切ったのは、どこからどうみても「頭に翼の生えた人間」だった。

 とっさにもしかしたら巨大な鳥に捕まった人間かもしれない、などと思うが、そんな話があるはずもない。
 使徒という明らかに非常識な存在とかかわりが深いとはいえ、にわかにお伽噺の世界に放りこまれたかのようで加持は混乱する。
 ゆえに、次に起こったことについての反応が遅れてしまった。

「すみません、加持さん!」

 未だ空を見上げて衝撃を隠せない加持の横を、なのはが叫びながら駆けていく。
 そして彼の見ている前で何事かを呟いた彼女は、地面を勢いよく踏み切ると同時に『飛んだ』。

「…………」
「あとで必ず行きますから、先にホテルに向かっていてください!」

 何やら焦ったようになのはが言うが、加持はその衝撃に言葉もない。
 加持をちらりと振り返る彼女の足はすでに付近の家々の屋根よりひとつ高いところにある。
 そして先ほど影が飛んで行った方向に向きを変えると、宙を泳ぐ魚のように迷いなく西へと飛んで行ってしまった。

 しばし、静寂がおちる。
 加持がゆっくりとため息のように細い声をもらし、再び歩き始めるまでに五分近く時間は流れていた。
 それほどの衝撃だったのだ。

「おいおいおいおい、聞いてねぇよ……」

 ただものではないと思っていたが、空を飛ぶ人間だったとは。
 嘆息すると同時に、先ほど彼女に手を出さなかった自分の判断を褒めたい気分だった。
 あの調子では、たとえばATフィールドじみたバリアーなども使えたりしてしまうかもしれない。
 性格に難ありで、しかしスペックは期待以上。
 喜ぶべきか、それとも泣くべきかという気持ちだった。

「あーあ」

 少し考え、結局喜ぶのも泣くのも後回しにすることにした。
 今の自分は銃を隠しているとはいえ一人きりだ、余計な行動をとる理由もない。
 言い知れぬ予感を胸に、加持はホテルに向かうべく足を東に向けた。


 ◆ ◆ ◆


 空に上がった瞬間、なのはの思考から加持のことはほとんど消えていた。
 無力な一般人、保護すべき人物を危険地帯に置き去りにする。
 「時空管理局の」高町なのはならば絶対にあり得ない行動だ。
 だが今の彼女にその意識はない。
 彼女の心を占めるのは、先ほど自分たちの上を横切った謎の影だけだった。

(もしかしたら、もしかしたら……!)

 なのはの心が焦りに叫ぶ。
 先ほどの影に魔力らしき反応は感じられなかった。とはいえ、一瞬の交錯だから確実とは言えないが。
 しかし、それは置いておいても、空を飛んでいたのは小柄な人影。少女のような体躯。
 もしかしたらそれは、なのはが探し続けているヴィヴィオではないか?

(早く、早く……!)

 なのはは飛ぶ。
 先ほどの人影が明らかにヴィヴィオより背が高いとわかっていても。
 その魔法にかかわる十年に及ぶ経歴において大きな損失をしたことのないなのはの、数少ない傷。
 愛娘ヴィヴィオを奪われ、それを止められなかったというあの事件は、予想以上に彼女の心のトラウマとなっていたのだ。
 ゆえに、一パーセントでもそれが彼女の大切な娘である可能性があるのなら、なのははそれを追わずにはいられない。
 自分の矜持をかなぐり捨ててでも守りたいものが、今のなのはにはあった。

 しかし、そんな彼女を嘲笑うかのように、体からは力が抜けていった。
 がくん、と宙を飛ぶ速度が下がる。口からせわしなく荒い息が漏れ、こめかみを汗が伝う。

「……っ、なんでぇっ……!?」

 悲鳴のような声を喉が上げた。
 この島に来た時から感じている魔力の不足、それが如実になっていた。
 いつもならば何の苦もなく飛べる距離、飛べる速度であるのに、なのはの体は言うことを聞いてくれない。
 全身に汗が滲み、空気の抵抗によって手足や胸が痛む。
 主催の力によって制限された魔法、そしてデバイスの補助なしでの飛行はあっという間になのはの体力を奪いつくしていた。

「う……っくぅ……」

 加えて、先をいく人影の複雑な飛行軌道もなのはを消耗させていた。
 何かを探しているのか、不規則に曲がり、くねり、ターンしたと思ったら上昇し、また下降する。
 近未来的なミッドチルダにて過ごしていたために完全な暗闇に慣れていないなのはにとって、それを闇の中で追うのはただ事ではなかった。
 ぐるりとビルを半周するように動いた時など、危うくバランスを失って堕ちるかと思った。

 そうしてなのはの速度が落ちていくというのに、人影はさらに速度を増している。
 今にも西の空に消えそうな月を追いかけるかのような人影は、そこだけ切り取ればロマンチックでさえあった。
 もちろん今のなのははそれどころではないのだが。

「はっ……はぁ……」

 呼吸も荒く空を行くなのは。その汗の流れる頬を、時々南の天地を焼く極光が輝かせた。
 すさまじい轟音とともに空を貫く光。森の木々をなぎ倒しながら進む光線。
 そういったものを飛行中になのはは何度も目にし、耳にした。
 そのたびになのはは本能的にそちらに向かおうとし、そしてぐっと目をつぶってまた人影を追う。
 またひとつ、またひとつと「管理局のエースオブエース」らしからぬ自分が積み重なっていく。
 自己嫌悪が膨れ上がる今の彼女を支えているのは、ただ愛娘への思いのみだった。

(ヴィヴィオ……ヴィヴィオぉっ……)

 彼女は飛ぶ。
 うっすらと明るさを取り戻し始めた世界を、かすかに瞳を潤ませて。
 守りたいものを守るために、悲鳴を上げる体を必死に行使して、西の空を飛ぶ。

 それでも、いつかは限界が訪れる。
 突如として体の自由が利かなくなり、飛行速度がゼロになる。
 半ば意識を失うようにして、力尽きたなのははゆっくりと学校の中庭に落ちた。
 彼女の着地地点が柔らかな草の生い茂る花壇であったことだけが、不幸中の幸いだった。

「……っ」

 ぼふ、と音をたててなのはの体が草の上に横たわる。
 口からははぁはぁと荒い息しか漏れない。見上げれば、空にあの影はない。
 思わず、ぽろりと涙が瞳からこぼれた。

(私、何をバカなことをやっているんだろう……)

 ヴィヴィオかもしれないと希望にすがって、ごく普通の人間である加持さんを置き去りにした。
 人影を追うことに夢中で、あちこちで起こった戦いの跡を見逃した。
 そして今、力を使い果たし、何もできないままにここに倒れている。

(情けない……)

 ぽろぽろと涙が頬を伝う。
 時空管理局に勤め幾多の戦績を誇ってはいても、彼女はその実まだ十九歳の女性にすぎないのである。
 いつも当たり前に使いこなせた力を失い、友は行方知れず、守るべき者がいるというのに何もできない。
 ここにいるのは管理局の高町なのはではない。ただの高町なのはだ。
 そしてその高町なのはは、なのは自身が思っているよりもちっぽけな、ただの人間だった。

「…………」

 小さく涙をこぼしながら、なのははゆっくりと起き上がる。
 不安に打ちのめされてはいても、彼女の心根には歩こうとする強さがある。それが彼女を立ち上がらせていた。
 涙に潤む視界を振り払うように、彼女はぐるりと中庭を見回す。
 そして、あまりにも不吉な「それ」に気がついた。

「……え?」

 南側の、教室の一室。机と椅子とが雑然とならんでいるだけの部屋。
 その部屋の真ん中になにか真っ赤なものが散らばっており、そこから飛び散ったであろう赤で窓が塗りつぶされていた。

 体より先に、足が動く。
 その教室の窓には、幸いと言うべきか鍵がかかっていなかった。
 ペンキのような赤が飛び散っていない窓を選び、がらりと引く。
 教室の中には、濃厚な血のにおいが充満していた。

「うっ…………」

 なのはの顔がゆがむ。
 教室の中央にあったのは、誰がどう見ても肉の塊だった。
 真っ赤な血を纏わせ、流した、ぶよぶよしたピンク色の内臓と黄色い脂肪、そして白い骨と筋肉の塊。そうとしか言いようのないもの。
 「それ」が纏わりつかせた服の切れ端と思わしき布だけが、かつて「それ」が人間であったことを証明していた。

「ひ、ひどい……」

 幾多の、時には世界規模の危機にかかわってきたなのはでも、初めて見るような無残な死体だった。
 重い何かが何度もその体を押しつぶしたかように、その肉塊はぐちゃぐちゃに歪みきっている。
 頭蓋骨と思わしき砕けた骨に絡みつく短い髪と、血まみれの服の残骸から、かろうじてそれが男であっただろうことが読み取れた。

 なのはの心に小さな安堵と、大きな絶望が生まれた。
 安堵は「それ」が明らかにここに呼ばれた仲間ではなかったため、絶望はこうしてすでに死者が出ているためであった。
 なのはの瞳から、一度は止まった涙が再びほろりとこぼれる。
 それは不安からくるものでも絶望からくるものでもなく、後悔からくるものだった。

「ごめん、ごめんね……」

 なのはは小さく謝り、泣いた。
 ひょっとしたら、自分がヴィヴィオを探すのではなく人助けを優先していたのなら、彼は助かったかもしれない。
 魔法の行使に躊躇いを持たず、最初から空に上がって怪しい人がいないか探していたら。
 あるいは、自分が加持とともにホテルに向かわず最初からこちらに向かっていたら。
 こんな場所で、こんな無残に死ぬことはなかったのかもしれない。

 このような非常事態にあっても、なのはの根底は変わらない。
 苦しんでいる人がいるならば自分がどうなろうと力になってやりたい、それがなのはの信念だった。
 例え自分がそのために傷つこうと、人を助けられるのが嬉しかった。
 だから、助けられたかもしれない人を助けられなかったという事実は、なのはの心の深いところを痛めつける。

 静かに涙をこぼしながら、なのははそっとその遺体に近づく。
 異臭が立ち上り、胃がひっくり返りそうな姿になってしまってはいるが、この人もかつては普通の人間だったのだ。
 もしかしたら、将来を夢見る学生だったのかもしれないし、子供を愛する親だったのかもしれない。
 その体を、このまま無残に冷たい床にばらまいておくわけにはいかないと思った。

「すみません、こんな、でも……」

 小さくあやまりながら、なのはは室内に置かれていた「もえるゴミ」と書かれたごみ箱を取り上げる。
 一度教室から出て中身をすべて捨て、水道でそれを洗う。
 廊下にはべっとりとした血の足跡が玄関まで続いていた。「彼」を殺した殺人者のものだろう。
 だがそれにはかまわず、なのはは教室に戻る。何かが麻痺したかのように、血も異臭も気にならなかった。
 そして何度も謝りながら、「彼」の残骸をごみ箱のなかに流し込んでいく。

「ちょっとだけ、ちょっとだけ我慢してくださいね」

 なのははゴミ箱を窓から外に出し、自身も中庭へ戻る。
 中庭には誰かが出しっぱなしにしたのか、大きなスコップがごろりと転がっていた。
 それを持ち上げ、花壇の土を掘っていく。
 骨の折れる作業ではあったが、土が柔らかかったためにさほどの時間もかからず、人一人入れそうな穴が開いた。

 そっと、慎重な手つきで「彼」をそこに流し込む。
 直接埋めるのはためらわれたので、あらかじめ近くの教室から失敬したカーテンで遺体をくるみ、土をかけていく。
 そうして出来た小さな墓に、花壇に咲いていた赤い花を添えた。

「ごめんなさい、こんなことしかできなくて……
 でも、せめて、どうか安らかに眠ってください」

 墓に手を合わせ、途端に力尽きたようになのははその場に座り込んだ。正直、体力も気力も限界だったのだ。
 見上げれば空はすでに太陽がその姿を現し始めたのか、夜の黒から昼の青へと色を変えつつある。
 校舎ごしに差し込む生まれたての陽光が、なのはと小さな墓を薄紅色に照らしていた。

「私……」

 思わず、つぶやきが漏れる。

「私、守るから。みんなを守るから」

 墓の下の「彼」に言っているのかは、自分自身でもわからない。

「ヴィヴィオも、加持さんも、この殺し合いに巻き込まれた人たちみんなを、守るから。守れるように、頑張るから」

 それは、なのはの心の一番奥から出てきた言葉だった。

 守りたい。
 みんなを守りたい。
 誰にも死んでほしくない。
 ヴィヴィオも、フェイトちゃんも、スバルも、加持さんも、まだ見ぬ人たちも、全て。
 そして、あの場所に帰りたい。

 それがなのはの望みだった。無力を嘆いていても、なのはの心の奥はいつもそう願っていた。
 そしてそれが出来るかもしれないだけの力を、なのははその胸の中に確かに秘めているのだ。

「探さなきゃ……」

 ここで無力に打ちひしがれている暇なんかない。
 ヴィヴィオを、みんなを探し出し、守る。
 今は疲れきっていて体が動かないけれど、もうしばらく休んでいけばある程度回復できるだろうから。
 そうしたら、飛んででも、走ってでも、ホテルに向かおう。
 加持さんや、まだ知らない人たちが自分の助けを待っているかもしれない。ヴィヴィオも、近くにいるかもしれない。

「…………」

 明け方の空をぼんやりと眺めながら、なのはは今は傍にいない相棒を思った。
 「彼女」の名を思い出し、心に刻む。そうして立ちあがり、少しずつ歩いていきたい。

「不屈の心は、この胸に」

 それが誰でもない、高町なのはなのだから。


 ◆ ◆ ◆


 明け方の空は、雲一つないこともあって場違いなほどに美しかった。
 とはいえ、そんなことに感傷を覚えるほどに小砂という少女は純粋ではない。
 それよりもよっぽどの重大事が、彼女に起こっているのだから。

「おえっぷ……」

 色気もなにもない声を出し、小砂は空を行く。正直言って吐きそうだった。

『小砂君、大丈夫か?』
「この顔色みて、平気だと思うわけ―――ううっ」

 なれない上下運動。見慣れない緑色の塊。
 加えて、人探しのために曲がったりくねったり、昇ったり降りたりを繰り返した飛行の軌道。
 おまけに、砂漠に生きる彼女には物珍しい、鉄筋の組み込まれた家々に時折混ざる高い建造物。

『ふむ、君は一度平衡感覚のテストをしたほうがいいかもしれないな』
「んなこと言ってる暇があるんならちょっとは気遣って飛べ―――うぷっ!」

 はっきりと言おう。人探しのために空を飛んでいながら、途中から小砂は意識が朦朧としていた。
 ぶっちゃけ、市街地など見ている暇はなかった。
 それよりもこみ上げる吐き気を抑えなければ、空を飛びながら胃の中身を撒き散らすという恐ろしい現象を起こしてしまう。
 他人の迷惑など大して考えない彼女でも、空からそんなものが降ってくる光景というのは非常に気色悪かった。

「この依頼、私には不向きだったかも……」

 口を手で押さえながら、小砂は市街地を見下ろす。夜が明け始めうっすらと太陽が出てきたため、ずいぶんと視界はよくなった。
 それに二時間近く飛んでいたので、吐き気というかこの不安定感にもようやく慣れ始めていた。

『人影はなし、か』
「どれだけの人間がここにいるかって話だしねー……っていうかさぁ」
『ん?』
「これ、人が建物に隠れていたら意味なくない?」

 飛び始めてよりの疑問を口にすると、頭上の翼兼ネコミミはしれっとこう言ってのけた。

『だからこその君だ。なんのために私が君をこうして飛ばしていると思う?』
「……日向冬樹を探すため、でしょ?まぁ他にも人を見つけるように頼まれてはいるけどさ
 それと何の関係があるわけ?」
『私は飛ぶ、君が見る。そういうことだ』

 その言葉を少し噛み砕いてみる。
 別にネブラにだって眼はある――先ほどのタママとの戦いを思えば明らかだ。
 そのネブラが飛ぶ役で、自分が見る役、ということは―――

「ねぇネブラ、まさかだけど私に建物の中を透視しろとか言ってない、よねぇ?」
『? そのまさかだが』
「やっぱりかぁっ!」

 透視しろ、というか、はたから見て中に人がいるのを分かれ。
 それがネブラの意図らしい。
 自分には人の心情を理解するのは専門外だから、同じ人間の君ならわかるだろう、と。

「無茶言うなって!人間は外から見て中を慮るなーんてことは普通出来ないの!
 まして日向冬樹なんて全然知らない人間のことなんか、ぜんっぜんわかんないんだから!」
『おや、そうだったのか?
 それでは私も人類の相互理解に対し少し認識を改めねばならないということなのか? 』
「あったりまえでしょうが!っていうか―――」
『待て、小砂君。人だ』

 小砂を遮って、硬い声が飛ぶ。
 翼の先が器用に湾曲し、ひょいと指の形になって前方をさす。と同時に、少し高度が下がる。
 見れば、四角くて真中が開いた建物――地図で確認するに「小学校」の中庭と思わしき場所に、人がいた。
 空を見上げながら、ぼんやりと物思いにふけっている。

「あれ、はどう見ても女だよね……」
『そうだな、日向冬樹ではない』
「冬月さんが言っていた、えーっと『惣流・アスカ・ラングレー』は確か茶髪の女だよね……
 あ、でも明らかにあの女は十五歳じゃないな、もっと年上だから違うか」
『どうする?声をかけるか?』

 あー、という声が小砂の口から洩れる。明らかに渋っている音だと自分でもわかるような声だ。

「やめとく。っていうか声かけたくない」

 小砂の視界に入るその女性は、身につけた白い衣服の前面を真っ赤に染めていた。
 見れば、近くにはスコップと中が真っ赤になった青い箱、そして小さく盛り上がった土がある。

 人を殺して埋めて、その事実に自分でも呆然としている。
 それが、小砂がその女に対して抱いた印象だった。

「とりあえずもう少しこの辺を見て回って、それからあの店に戻って、冬月さんに報告、かな。もう五時過ぎちゃったし」
『そうだな、では少し飛ばすぞ』

 ひらりとネブラの翼がはためき、小砂の体が再び上昇する。
 先ほどは西に向かって飛んだが、今度は東に向かっての飛行だ。太陽のおかげで東の空も昼の色を取り戻しつつある。

「そういえばさ、さっきのでっかいあの水たまり」
『……海か?』
「あれってさ、売ればいくらくらいになると思う?とりあえず百人くらいは一生遊んでくらせるよね、確実に」
『?』

 B-1の陸の切れ目で見た、果てのない水たまり――海を思いながら、風の中に紛れ込む。
 そうして、大地に座り込むかつての空の覇者の頭上を、小さな砂の民にすぎぬ小砂の翼は、軽々と越えていった。


【B-2 小学校・中庭/一日目・明け方】

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(大)、悲しみと決意 、制服が血まみれ
【持ち物】基本セット(名簿紛失) ディパック 
     ハンティングナイフ@現実 コマ@となりのトトロ
【思考】
0.ヴィヴィオをはじめとしたみんなを守りたい。誰にもこれ以上死んでほしくない
1.しばらく休んで体力を回復し、ホテルに向かい加持と合流する
2.ホテル、デパート方面に向かい仲間を増やし、ヴィヴィオやほかのひとの情報を得る
3.フェイト……?大丈夫……だよね


【B-3 市街地上空/一日目・明け方】

【小泉太湖(小砂)@砂ぼうず】
【状態】健康、ちょっと気分が悪い
【持ち物】ネブラ=サザンクロス@ケロロ軍曹、IMIミニウージー(9mm口径短機関銃)@現実
      ディパック、基本セット
【思考】
0.生き残る
1.「日向冬樹」を探して保護する。もう少しB-3周辺を探索する
2.「川口夏子」と合流する
3.「碇シンジ」、「惣流・アスカ・ラングレー」、「加持リョウジ」、「ケロロ軍曹」、「ガルル中尉」を探して接触する
4. 第一放送が終わったらB-7の『ksk喫茶店』に戻り、危険人物のことなどを報告する
5.「水野灌太」、「雨蜘蛛」には会いたくない。「水野灌太」の存在だけはきちんと確認したい
6.「日向冬樹」が死亡した場合には、ネブラの協力を得るために"闇の者"達を討伐する
※『長い茶髪を頭の横で縛った、白い服の女』を危険人物と認識しました


※【B-2】小学校の中庭に墓が一つあり、日向冬樹の遺体が埋葬されています



 ◆ ◆ ◆

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君、死に給うこと勿れ 高町なのは 君が残した光
加持リョウジ 上と、下(後編)
腹黒! 偽りの共鳴 小泉太湖(小砂) 師匠と、弟子


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