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とんぼり
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とんぼり 03/09/16
戎橋から飛び込む気分はどうだい?破傷風の予防接種はしたかい?大腸菌が元で何か怪しい病気になって隔離される覚悟はあるかい?
あの川は、あれは名目上は確かに川であるが、実質単なるドブであるが、あれでも結構水面から欄干まで高い。特別阪神の優勝がなくてもその場の勢いで飛び込んでしまった知合いは今、忙しく働いているらしいが、おそらく今ごろは飛び込んだ経験談を大いに自慢していることだろう。手前もあの時飛び込んでおけばよかった。
あの川は、欄干から水面まで結構な距離があり、上から酸っぱいシチュー状のものを吐いて、全て一気に吐き終わり、最後に唾を「ぅぺっ」と飛ばした頃にやっと、下の方から「だぱぱぱぱぱっ」と泡っぽいもんじゃの着水する音が聞こえる。この結構な時間差が飛び込む気持ちを萎えさせる。無論毎日毎日吐瀉物を呑み込み続けているあのドブに飛び込むことに対しての大いなる躊躇もある。それから実は泳げないこともある。
いずれにせよ道頓堀川に飛び込むことが何故か「文化」と認知されてしまった以上は、この先何かの変化が待っていることは間違いない。望みながら最も可能性の低い線はこうだ。「道頓堀川の浄化と周辺の水系纏めて浄化及び川への意識変化」、折角わけの判らん病気になって落とすかもしれない命を張ってくれる者がいる以上、どうせ死ぬならば病気ではなく飛び込んだ者に全ての責任があるとするべく綺麗な川にしてやれば、「汚い川にやられた」ではなく「溺れた馬鹿」で終わるから、流域住民やら河川管理者には咎が回っては来まい。そして最も可能性の高く馬鹿ばかしい変化はこうだ。「誰かが死んだ。もう飛び込み禁止。今後飛び込んだら罰金」、大阪といえども一応法律はあるし、それを運用している集団も一応存在している。
しかし、そこまでいかなくても、今年に限れば、その内に、飛び込んで体調を崩して、「もう飛び込みは止めます、皆さんも止めましょう」と嬉しそうにテレビに出る馬鹿が、きっと現れるだろう。 しかし誰も死ななければ大した騒ぎにもなるまい。それに阪神が毎年優勝する恐れもないから誰かが溺死なりする可能性も順じて低くなる。
飛び込みが愚かなことは思わない。飛び込む川を汚いまま放置していることが愚かだと考えるのだ。折角の機会ではないか。底を浚うだけではなくて真鯉でも生きることの出来る川にすればよいではないか。特別川を綺麗にしようとも考えないからこそ、汚さを恥じる裏返しに「飛び込むな」とは、随分腰が引けているじゃないか。
嗚呼しかし、汚さも嘔吐物も大腸菌も軟派も勧誘も蟹も食い倒れもグリコも飛び込みも全てを映して暖かく人情を包み込む道頓堀川を抱く街、大阪は心を惹き付けて止まない。
もう橋の上から吐くの止めます。
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