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研汁

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研汁 03/07/14

  例えばたまには霙鍋でもしようと思って大根を摩りおろし始めるが、大根を一本摩ってしまっても大した量にはならないことを知り、徒労感に包まれながら水炊きを大根おろしで食べることになる。しかし鍋で煮るには少ない量でも薬味としては絶望的に多く、「こんなに喰えるわけないやろ!一本分やぞ!」と怒りのままに鍋にぶち込みたくもなるが、既に鍋の中は満員御礼であって、行き場をなくした大量の大根おろしは、冷凍庫へ行く。

  さて、大根おろしを凍らせると見た目は驚くほどかき氷に似ている。しかし当然細かく砕けてはおらず、ただの塊であり、始末に困る。どうせ解凍したところで水分と繊維が分離して大根おろしの風体を為さないことは明白であり、うんざりして結局便器にごとりと捨てておく。自然解凍により、数十分後トイレには爽やかな香りが拡がっていることだろう。

  何かの理由で食べられなくなったものを流しに捨てることが出来ない場合、生ごみとして放置するのは腹が立つのでトイレに流すことになる。液状のものであっても流しに捨てた後はシンクを洗うのが面倒であり、その点トイレならレバーひとつで処理が済む。

  コンクリ三面張りの川の弊害として増水問題もあるが、これは今の刑法二編第十章第一一九条、溢水罪は最高死刑まであり、政治家と土建屋は縛り首にならないのは不思議でもあるが、それは別の話だ。

  米を砥ぐことは「汚れを落とす」というわけのわからない理由をもって正当化されているが、それほど汚れているものを売るなよ。買うなよ。そもそも汚れどころかビタミンBを洗い流してどうするのだ。白米をさらに砥ぐことがまるで意味のないことは、「玄米が健康食の雄」であることをもって証明できる。船乗りが脚気で苦しんでいた時、白米から玄米にするとあっさり直った話もある。虫がいるか。小さいゴミがあるか。それなら水に浮いたゴミだけ流せばいいではないか。大体沸騰する水の中に米を放り込んでおくのだ。殺菌にならないわけがない。「白米を砥ぐ?」大吟醸酒でも作るつもりか己は。農薬を洗い流す?米というのは白米で実っているわけではないのだ。

  米を砥ぎ、その研汁をそのまま流すことが地球の温暖化に直接、よろしいか、間接ではなく直接繋がっていることを知ってくれ。米を砥ぐことでビタミンBが失われることを知ってくれ。どうしても砥ぎたいならば、止めはしないから、もしガーデニングの名のもとにベランダ農園をしているならば、研汁はそこに捨ててくれ。研汁をかつて乳児にミルク代わりに与えていた悲しい時代があったことを知ってくれ。研汁をそのまま流してしまうのはやめてくれ。

  数年前に出て、最近ようやく根付いた無洗米を選んで買ってくれ。どうせブランド米と言ってもその正否を確認できる舌など持ってはおるまい。ラベルとパッケージで選ぶだけだろう。我々には川の三面コンクリ張りを止める力はなかった。でもそれより大きな問題である温暖化を微力ながら暫減できる力はあるのだ。
 
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