雀雀やりましょ魔法少女

マジアマゼンタ、マジアアズール、マジアサルファ
3人揃ってトレスマジア、彼女達は悪の組織エノルミータを倒すため日夜戦っている。
それらに加え時代が進み、誰でも世界を越えられるようになったことで数多くの別次元の敵とも相手をしなくてはならなくなった。

今まで以上に過酷な日々に休まる時間も少なくなるばかりだった。

「ふう……皆お疲れさま」

「はるか大丈夫?最近無茶しすぎてるわよ」

「大丈夫!私達も平和の為に出来ることがあるなら少しでも頑張らないと……」

「それで体壊したら元も子もないやろ」

「そうだよ、ヒーローだって体は無敵じゃないんだ、自分の事も大切にしないと」

近頃は強敵も多く顔や体には出てないがはるかの体はもうボロボロ寸前であった、マスコットのヴァーツにも心配されているが……ヒーローの代わりというのはあまりにも少ないのだ。

事実また時空犯罪者を狩る為にまたドアをノックして人が現れる、ココ最近『時空犯罪者を倒すのを手伝ってくれ』とトレスマジアに近づき情報を提供する胡散臭い男『アメイジング志賀森』だ。

「もう暫く来るなや、何人ウチらに相手させる気や、ここんところ毎日やぞ!?はるかだって限界来とるんや!!」

「う……それは悪いと思ってるよ俺も」

「志賀森だっけ…?僕はあまり時空の事情には詳しくないが、やけにこの辺りに時空犯罪者とやらが集まるようだがなにか…?」

「アンタらも戦ってるマジアベーゼって奴が関わってることは確かだ、時空で有名になり危険帳簿に加えられてから規模が急激にデカくなった」

「二匹目のドジョウってわけね……」

時空犯罪者と化したマジアベーゼの影響は計り知れない、有名人が集まるところには名所として沢山人が集まるように、時空犯罪者の所には時空犯罪者が集まり、それを止めるためにヒーローも集まる。
結果として、はるかとうてなの世界はほぼ毎日ヒーローとヴィランの戦いの繰り返しとなるのだ。

「が、聞いてる限りだとマゼンタは休んだ方がいいっていうのは確かだな」

「でもこのままじゃ……テレビ出演とかのお仕事もあるし」

「その辺は俺が代わる、時空犯罪者討伐を頼んだ俺にも責任はあるからな」

「ブラックイリュージョン!!」

志賀森が指から黒い成分を出して形を整えると、ガワだけはるかそっくりの姿になる。
これに触れた志賀森はガワが吸い付いてはるかのようになる。

「どうだ?とりあえずコイツで戦い以外は変わる、真似だけは得意なんだ、心配するな」

「ほら、貴方は少しでいいから休みなさい」

「ごめんね、皆………」

こうしてはるか及びマジアマゼンタは戦いの疲労により暫く活動休止を発表した。
これまで数多くの戦いについでにエノルミータとの戦いもやっている姿を見てきた世間もこれは仕方ないと受け入れる姿勢を見せていた。




ただ1人、マジアベーゼの柊うてなを除いて。


「きゅ……きゅきゅきゅ、休止………マジアマゼンタが……マゼンタが……」

「許さねえ……時空犯罪者………」

「自分も原因の一端とは心から思ってないわね……」

ニュースを見たうてなはもう暫く魂が抜けて目が虚ろになっている、自分も以前から彼女たちにやりたい放題やっておいてこの言い草である。
そもそも自身が大物の時空犯罪者になったせいでこんな事になったとは思いもしない。

しかし、毎日過酷な戦いを繰り広げているのはエノルミータ側も同じ。
ベーゼ目当ての時空犯罪者は時にジャイアントキリングも目指してくるし、ヒーローの殆どがべーゼ狙い。
トレスマジア以上に全員がかりでそれらを撃退している為ネロアリス(こりす)は魔力を使いすぎて会議中も爆睡。
ロコムジカ(真珠)とルベルブルーメ(ネモ)はそれに加えて時空のアイドル活動の為大半が留守。
そして、べーゼも数多く時空犯罪者を仕留めた後にその後にトレスマジアを苦しめることをモチベに頑張ってきたのだが………

「一体どこのどいつですかこんな腐った世の中に変えたのは」

「シュバルツバルドって奴、でももう死んでるって」

「あ"〜〜〜もう」


「そもそも私、時空犯罪者なのは分かるんですけどこんな危険人物扱いされるほど何かやりました?」

「え、コイツ自覚ないの?」

「素敵ですわマジアベーゼ様〜♡」

だがこのままでは時空のせいでトレスマジアもエノルミータも疲労していくだけなのは事実。
自分が全ての時空犯罪者を倒せばいいのに……と思うが、マゼンタロスのせいで現実的に思えない。

「ひとまず総帥命令です、ロコちゃん達にも伝えておいてください、戦闘員達にも」

「トレスマジアを初めとして魔法少女は全員私ひとりでやります、他の皆さんは時空犯罪者を片っ端から潰すように」

「私以外がトレスマジアを叩きのめすのは心底気に入らない」

べーゼは決意を固め、自分以外の時空犯罪者抹殺の意思を強める、全てはトレスマジアと戦い、やがて危険帳簿とまで言われた自分が彼女達に倒される為に、

なんとなくこれを聞いていたキウィは
『これ、第3勢力が現れた時だけ共闘関係になるお馴染みの奴じゃん』と思ったがうてなは否定すると思ったので口に出さなかった。

「自分が魔法少女を倒すだと……ふざけるな!!」

だがこの作戦を認められないのがギンガだった。

「私はドラグレジスターを倒すためにエノルミータに入ったんだ!そこにいる変態の自己満足を満たす為に協力してるわけでは」

「酷い言い草ですね、まあ事実だからしょうがないけど」

「今のままではドラグレジスターに関われるかも怪しいですよ、それに」

「今の貴方は戦力外です、私と違い貴方はドラグレジスターに勝つ為に戦っている」

「鍛錬なら付き合いますから今は強くなってください」

ギンガは何も言えなくなる、この女はこういう時だけ自分の事は棚に上げるが総帥っぽいことを言う。
自分はあれだけ強くなったと思い、ようやく土俵に立てたと思ったのにあのマジアサルファになにも出来なかった、べーゼはふざけている、心から勝つ気は無い、だが自分より強いことは確かだ。

(マジアべーゼより強くならなければ……私は……)

………

「行ってくる」

「薫子?貴方どこに……その写真は」

「倒せるうちに倒した方がええ、雑魚だけ片付ければアイツほど無茶にもならん」

「ウチらで時空犯罪者は1人残らずこの街から追い出すんや、小夜!」

「私と同じこと考えてたのね」

小夜もまた写真を1枚持っており、それとは別で薫子に

「ヴェーナが調べたの、あの志賀森という男素性を隠しているけどマジアべーゼと同じく時空危険帳簿に登録されていたって」

「アイツが?」

「そう、だから私は奴が信用は出来ない、貴方も警戒して」

「分かっとるわ」

薫子と小夜は各自別れ、見えないところでマジアサルファに変身し、向かうべき場所へ向かう。

しばらく飛んでいると、見慣れてない空間に出る……未知の力を感じる。
足をつけてみると、そこには雀卓があり、席には覆面の男が座っていた。

時空犯罪者やな」

「我が名は雀雀慈、V級時空犯罪者と呼ばれている」

「名前なんかどうでもええわ」

サルファは目の前にある雀卓を蹴っ飛ばして魔法を放つ構えを取る。

「お前のルールに大人しく従うと思っとんのか?」

「いいや、人である以上ルールには逆らえない、運命の理」

「あ?」

雀卓を吹っ飛ばしていたはずのサルファはいつの間にか椅子に座っていた。
立ち上がろうとしても尻が剥がれない、ギリギリ椅子が回転する程度だ。

「………何が狙いや?」

「ゲームをしたい、それだけだ」

「だがメンバーが足りない、麻雀は4人でやるものだ」

「ウチを餌にアイツらを呼ぶ気やな、無駄や……マゼンタは今身体を休めてるしアズールは別のやつと戦ってる!」

(………が、それでウチの所に来ないような奴らでもないからな)

席は残り2つ、サルファとしてはこれ以上巻き込みたくない、かと言って奴が来るのも……と言ってられなかった。

「あ、こんな所にちょうどいい椅子がありますね」

「ちょっと失礼しますよ」

「マジアベーゼ……!!」

………
サルファが座った直後、雀雀慈の情報を知った上にサルファが来ていると知ったうてなは即変身し、瞬間移動の如く目的地へ向かっていった。
時空犯罪者を潰しつつ魔法少女を楽しめて一石二鳥なその性欲は音を置き去りにした。

「テンション上がってきた」

……

「2人まとめて相手できるなんて好都合……そう思いませんか?」

「奇遇やな、ウチも同じこと思ってた」

「だがまだ1人足りない……」

「だったらその席」

「俺で埋めさせてもらおうか!!」

「アメイジング志賀森!!」

(誰?)

いつ話を聞いていたのか、いつ待っていたのか志賀森が最後の席に座り込み、遂に4席全て揃った。
「見事」

(こいつ……いつから?まさかグルか?)

「貴方なんなんですか?」

「俺は敵でも味方でもない、正義の悪役……とでも名乗っておくかな、ワケあってアンタらとは戦ってるがね」

サルファは志賀森を見る、今回のゲームはこの男が信頼に値するか判断するチャンスかもしれない。
こいつは敵か、味方か、あるいはそれらにも当てはまらない、本人が言うような『正義の悪役』なのか。
ゲームを始める準備が整うと、各自の目の前に麻雀牌が置かれ始める。

「何?あんた本当に麻雀するだけなの?変わった時空犯罪者だな」

「ただの麻雀ではない、だが詳細はゲームの後に」

(え、マジでこのまま麻雀するんか?)

(ふむ、なるほど、見たことはありますけど)

「2人とも問題は無いか?」

「あるけど些細な事や」

「ええ、まあ大したことでは」

「「麻雀のルールを全然知らない」」

「大問題じゃねえか」

まあ、中学生で麻雀のルールを把握してる方が稀なのでしょうがない
とりあえず何か絵柄っぽいの揃えるということしか分からない。
雀雀慈もそれが狙いだったのか……?

「俺は親父がやってるのをちょっとだけ見たことある、この牌とかいうのを交換したり捨てたりして揃えるんだよ、確か同じやつ3つと連なる数字1組で……」

「それだけ分かれば充分や、とっととこんな茶番終わらせてコイツぶっ倒すで志賀森!」

「へいへい」

(全然分からない)

かくして魔法少女、悪の組織、ついでに時空犯罪者にもよる麻雀が始まった。
ちなみに3人は知らないが普通に街の各地で放映されている。

………
「チー」

「なんですかそれ」

「数字が続くの出す時なんかこう言うんだったか、確かポンとかいうのもあるぞ」

「ポン!!」

「チー!!」

「カン!!」

もはやただのエアプ麻雀会場、とりあえず言っておけ感溢れる状態!
上がれるものも上がれるはずがなく、3回連続流局。
全然ツモれずグッダグダになっていた。

(この運ゲー何が楽しいんだ……?)

(何がチーやこのチー牛が……)

(国士無双)

(牌って聞くとなんかおっぱいに見えてきますね)

各自の思想が雀卓を巡り、いよいよゲームが動き始める。
マジアサルファがなんか上がれるなと思い切って上がったらなんとかなった。

「ロン!!」

「えーと満貫ドラ1」

「ジャッジ!」

「え!?ちょっと!?」

べーゼの点が減っていくと同時に翼みたいな所が消滅していく。

「ま、まさかルールというのは……」

「案の定脱衣麻雀やないか」

脱衣麻雀……簡潔に言えば、スコアが減っていくと少しづつ服を脱いで、勝つことより相手を全裸にさせることを目指すアホみたいな遊びである、つまりこの時空犯罪者は強制脱衣麻雀野郎ということだ、こんなもの小説カキコでは絶対に出せない。

「と、とりあえずルールは分かりました!合法的にサルファを脱がせられるならなんでもやります、覚悟を!!」

そして次の手が始まった瞬間


「ツモ!!」

「は!?」

べーゼ初手ツモ大三元。
当然ルールなんて分からないので悪らしくキスマークの力を使い時間停止で都合のいい役を1分で作らせたのだ。

「お前なんかイカサマしたやろ!」

「ほう……」

サルファ達の服が脱げて……いや、志賀森だけなんか全身溶けていくように見える。

「マジかよブラックイリュージョンも服判定かよ!?仕方ない破り捨てる!!」

「誰やこのオッサン!?」

志賀森は表面を破り捨てて、お馴染みの読者ならもう分かってたかもしれないが、時空危険帳簿の1人、史上最悪の時空犯罪者たくっちスノーが飛び出してきた。

「や、やっぱりお前……!」

「俺の正体に気付いてたのか……?まあいいか、いずれマゼンタにはバラすつもりだったし」

「フフフ……どこの誰かは知りませんがついでにひん剥かれてください時空犯罪者!」

(なるほど……こいつ自身も時空犯罪者だが、何か俺達に対する強い憎悪を感じる、魔法少女に対する執念も伊達じゃないか)

(あれ、我のゲーム完全に無視されてる……?)

雀雀慈が空気状態の中次のゲーム、べーゼはキスマークの力で国士無双の状態にする。
(フフフ……何がどう凄いのかは全然分からないけど、これでサルファをあられも無い姿に出来る!)

「ツ

「ロンだ」

声を上げたのはたくっちスノー、出された役は国士無双よりずっと難しいとされる四暗刻単騎であった。

「な、な、な、貴方どうやって!?」

「なるほど、マゼンタ達から聞いたがお前の部下は時間停止能力を持ってるんだな?それで牌を細工したか、だが俺からすればまだ地味すぎるぜ!」

「もっと牌を作り替えるとかさ!」

たくっちスノーが見せたのはマガイモノ成分で黒く塗りつぶした上で書き換えられた牌であった。

(そもそもイカサマを公言するなや!!)

「ああああ消える!消える!また全裸になる!」

が、マジアべーゼの服は中途半端に消えた、具体的にはほぼ消えてはいるのだが右乳のニップレスは残ってるのに左乳は消失した。

「どうせ消すならまとめてでいいでしょう!?なんで片方だけ!?」

「半分だけ残ってる方がエロい」

「言われてくるとなんか恥ずかしくなってきた!」

「まあ気にするなよ、乳首なんて胸の真ん中に付いてるだけのただの点だろ!」

「この人微動だにしてないのなんなんですか!?」

だがルールである以上仕方ないのでゲームを続行させるが、ほぼあられも無い状態であった。

「というかサルファは何故脱げないんですか!?もう何回も手を取られてるのに!」

「いいや脱いでるわ下だけな!!」

「アッッッ!!」

そう、今全員は雀卓に座ってる状態なのでノーパンノースカートで下半身丸出しになったとしてもテーブルで隠れるので何も恥ずかしいことは無いという理論だ、幾度となく辱められたトレスマジアは今更ケツを見られたところでどうということはない。

「何を貴様こいつめ!」

「ギャアアアアアア!!?」

べーゼは怒りのあまりサルファの椅子を鞭で怪物化させ、サルファを強制開脚させ綺麗な割れ目が周囲に大公開されるように回転させられる。
回っているのでほんの一瞬だが、一瞬見えるからこそいい、こいつプロだな……雀雀慈はすぐ前で感心した。

「べーゼ………これ終わったらお前も殺したる」

「そんな恥ずかしいものでも無いだろ、人間の股間なんてせいぜい小便する所程度だろ?」

「お前はお前でデリカシー無さすぎるわボケ!!」

と、3人で盛り上がりすぎてたせいかサルファもうっかり忘れていたが……

「そういやコイツ……ウチらと同じで得点は減ってるはずなのにさっきから服変わらへんやん」

「いや、多分中の服を消してんだよ、消すのはこいつの匙加減だからな」

「まあなんでもいいですよ、私がまた上がって大回転羞恥の刑です」

「やってみろカス!倍にして返してやる!」

「我の時空犯罪空間だったはずなのに……」

「「ロ」」

「イカサマすんなつっとるやろ!!」

サルファは初手ロン回避のためべーゼとたくっちスノーの鼻の穴に指を突っ込む。

「貰った!!それでロンや!!混一色!!」

「なにっ」

その瞬間、雀雀慈の服が木っ端微塵に消え去って、初めてサルファは自分達がカメラで映ってたことを知るがそれどころではない。

「汚ったない乳首見せんなや!気持ち悪いやろうが!」

「何だその乳首は早く隠せ!」

「ふざけた乳首しやがって!」

ゲームは終わり、麻雀では無くなったのでこの空間は脱衣麻雀の地ではなくサルファによる時空犯罪者ぶっ殺しゾーンに進化した、エリア内が血に染まり、べーゼは半殺しにされて顔面が前が見えねェにされ、たくっちスノーは雑巾みたいに絞られた。


「サルファ……お、俺は今のところ、味方なんだよ……得をするという意味では……」

かくして雀雀慈は逮捕され__


………

「ロン!天和七対子や!」

「また負けた!」

「薫子ちゃん麻雀上手いね〜」

薫子は麻雀がそれなりに上手くなった。
最終更新:2024年05月03日 14:30