ここは時空から見ればありふれた世界、分類は時空用語で表すと『マジカル☆ロリポップ』
主にカワイイ魔法少女が悪の組織に素敵な力と絆で立ち向かう王道路線の物語を表している、ちなみに人死が出たり裏切ったりするダークな路線の場合は『ブラッディ☆ドレス』と別の括りなので注意。
時空監理局上層部のポチと
野獣先輩はこの世界に訪れていた、何故この世界に訪れていたのか?それはざっと二十分前まで遡る……。
◇
「
たくっちスノー、俺達でグッズ売れば儲かりそうなんだけどいいアイデアある?」
「えっ、確かに儲かりそうだけど大丈夫なのそれ?訴えられない?……あっおい待て逃げるな黒影!都合悪くなったな!?」
「ねえポチ、ちょっくら良い感じのグッズアイデアだして」
「そりゃやっぱりタイアップでしょ、人気アイドルとかキャラクターの推し活グッズ!ちょっと色々あって俺も星野アイちゃんのグッズ買い漁ってるんだよね!」
「なるほどキャラクター人気か!だったら皆がまだ手を出してなさそうなもの……あっ、マジカル☆ロリポップに出てくるようなファンシーな魔法少女!」
「俺はいいアイデアだと思うね、ただプリキュアとかをお金の道具にするのはちょっと気分的に良くないから……その辺の交渉は全面的に任せてくれる?」
「うん、その手のグッズ作るのはポチが上手いって聞いてるからね……あと一人誰か暇そうなやつは」
ということがあり野獣先輩が駆り出された、もちろん嫌々な顔をしているが分身が余ってたのでしょうがない。
ポチは早速魔法少女グッズの交渉ついでにサイン貰ったり観光する気満々だったがそう簡単にはいかないだろうと思っていた。
「この世界に居る魔法少女はトレスマジアっていうのか……ああここもう既にメディア展開してグッズ作られてるのか」
「は?(威圧)じゃあもう俺らがここ来た意味ねえじゃん、金出せ」
「まあ待って!グッズを作る上の注意事項とか参考になる事とか見つかるかもしれないしさ!それに……」
ポチは拾って一面を見る、トレスマジアと相対する悪の組織エノルミータに関する記事が載っていた。
典型的な世界征服を掲げるエノルミータはつい最近総帥が変わったと時空の情報でも聞く、新たに総帥となったマジアベーゼは経歴が一切不明で幹部から一気に成り上がり前総帥を実力で引きずり降ろした……それ以外の事は一切の謎に包まれている、分かっているのは弱肉強食で結構武闘派な組織なんだな……ということ。
トレスマジアもだが変身者は認識阻害の力があり正体は関係者以外誰にも分からないようになっているらしい。
本題は……マジアベーゼが台頭してからエノルミータの規模は時空の脅威レベルまで跳ね上がった、ついこの間特盟がマジアベーゼを『要注意
時空犯罪者』として認定したことも記憶に新しい。
「時空犯罪者になっていきなり要注意だよ?たくっちスノーも怪しんでるから余裕があればマジアベーゼの調査もしたくてね」
「多分そういうのこそアイツがやるべきだと思うんですけど(正論)」
ポチと野獣先輩ははっきり言って両方とも戦闘向きではない為に悪の組織に潜入するなんて無茶ぶりかもしれない、だがポチはこの仕事をするなら自分がうってつけであると自負している、マジアベーゼの正体を特定することも……。
「魔法少女といっても突然変異レベルで変化するようなのは稀だ、魔法使いプリキュアとかあるにはあるけど基本的にその心配はないと言っていい」
「性別とか変わるパターンもあるにはありますねぇ」
「でも基本的に変わってないってことは肉体構造は同じということ、顔は分からなくても体は正直だ、骨格、肌の質、ほくろの数、体の癖、体毛、傷跡、スリーサイズ、胸のハリ、乳首と乳輪の形と色……」
「待て待て、途中からアンタの趣味入ってるからそこまで細かくデータ化したらアンタがお縄だから」
「冗談だよ、要はマジアベーゼの身体的情報をメモして同じ情報を持つ人間を黒影局長やたくっちスノーに調べてもらえればビンゴってわけ」
「そんな都合よく……」
「まあいかないだろうね、だから今回は魔法少女タイアップグッズの仕事を軸に頑張っていこう!というわけでいこうぜ田所くん!」
「はあ……この仕事中にこいつ捕まったら絶対見捨ててやる」
時空監理局は2つの目的のためにトレスマジアとエノルミータに近付く。
だがこれが壮大な歴史の転換の前触れであることを二人はまだ知らない。
というかこの世界に生きる者全てが想像だに出来ないだろう、どんなとんでもないことが起きるのか……それがポチ達のせいじゃないとしてもだ。
◇
「……各時整列」
どこにあるかも分からない時空監理局でも突き止められないエノルミータアジト、トレスマジアに対抗する為に戦いを繰り広げる幹部達が会議室に集う。
【ベーゼちゃん親衛隊長】レオパルト
【おねむ本部長】ネロアリス
【アイドル志望宣伝部員】ロコムジカ
【コソコソ潜伏工作員】ルベルブルーメ
四人の幹部の真ん中に陣取る総帥マジアベーゼは冷たい顔をしながらこれからの目的について語る。
――実の所彼女は前総帥と違い世界征服には微塵も興味がない、ただ楽しみたいだけだ……トレスマジアとの激闘、勇姿、間近で拝められる至福の姿。
しかし現在は問題が多い。
「……ここ1週間我々は何回トレスマジアと戦いましたか?」
「3回くらいね」
「……では次に、我々はトレスマジア以外にどんな敵と戦ったか私がリストアップしていきます、えー……秘密結社HERO、猟兵を名乗る謎の集団、なんとかの神の使い、なんとか監理局、全時空特殊警察連盟とかそんな名前のやつ、殺し屋、なんとか竜のなんとかかんとか……ああもう!!最近の私達変な奴らに絡まれすぎですって!!」
エノルミータが時空規模に有名になったことや誰でも時空を越えられるようになった弊害も当然ある、トレスマジア以外に戦う相手が一気に増えたことである。
悪の組織なので相手を選ぶ贅沢は言ってられないが、ヒーローや警察の他にも名を上げたい時空犯罪者や気まぐれで現れた第三勢力まで邪魔してくる。
百歩譲って魔法少女でも来てくれないかと思うがそうもいかない、ベーゼにとっては魔法少女以外面白みもないのに無視できないのだからストレスが溜まる一方である。
だがそれより許せないことがまだある、トレスマジアの方もまた数多く現れる敵存在の相手ばかりさせりて疲弊している。
「トレスマジアがここ一ヶ月で戦っている存在、我々を省いても沢山あります、さっき言った秘密結社HERO、多幻獣という謎の化け物、業界用語で
オブリビオンなどと呼ばれている生命群、それと※長いので10分省略」
マジアベーゼはトレスマジアを愛している、変身する前から尊敬し敬愛して憧れている。
そして今では……そんな誇り高い彼女達の尊厳を自分の手でめちゃくちゃにすることに悦びを感じているが、今ではそんな機会も少なくなっている。
まるで一方的に玩具を取り上げられたような気分であり現在の情勢には不満しかない。
「だからどうするって?こっちもめちゃくちゃやってはいるが全部こっちのせいってわけでもないだろ」
「ええ、ですが土足で一方的に好き放題されて貴方達もいい気分ではないでしょう……我々の邪魔をする者は全員追い出しましょう、この空間には私達とトレスマジアだけが戦えばいいんです」
「オッケーだよベーゼちゃん、私らにとっても面倒な奴らだしどうせ襲ってくるなら……」
全員叩きのめす、こうしてエノルミータはトレスマジアと戦えるようになるために……あくまで自分達の目的の為に住処に蔓延る時空各地の悪を殲滅してやる。
トレスマジアが誰にも余計な悪に巻き込まれて自分達と無縁なところで倒れて欲しくない、最終的には自分が彼女達に倒されるようにしたい。
そんな理想を叶えるために『それ以外』をひたすら根絶する、それが時空犯罪者マジアベーゼの願いだった。
◇
「後から知ったんだけどさぁ、ベーゼやトレスマジア狙いで色んな奴が来て本日もニッチなショータイムらしいんですよ」
「それ早く言えや殺すぞ!!」
その一歩絶賛戦闘中に巻き込まれてるポチと野獣先輩、こういったバトルが絡むお話の世界は毎日のように他の世界から来た奴らが様々な動機で戦いを繰り広げる、はっきり言ってこういう世界に住める人々はよっぽどのタフかバトルマニアくらいである。
ビルがぶっ壊れたり海が荒れるような奴も空気を読まずに我が物顔で街を荒らすのでベーゼのストレスが溜まるのも納得である、彼女はつまらないので無関係な人間は襲わないタイプらしい
「それで魔法少女って奴らはどうしてんスか街の危機だぞ!」
「クソみたいな市民みたいなこと言わないの!時空犯罪者は百人居てもトレスマジアはたったの三人!空気読めない奴らばかりで……って、だから
時空ヒーロー達も来るのか」
「何呑気な事言ってんだ変態野郎!これじゃ元の任務どころじゃねえ俺は帰るゾ!」
「あー待って待って!君がいなくなったらもし俺が捕まった時身元引受人になってくれる人が」
「やっぱお前と組みたくなかった!!アーッ!!」
ポチ達は逃げていく内に何かに引っかかってすっ転ぶ、足元には大量のメカブ……これが妙にネチョネチョしてるので動きにくいし磯臭い。
周りでメカブを街に撒き散らしている変な奴らがいた、ポチから見た場合あれはW級時空犯罪者だが充分めんどくさい。
「我らメガブ団!時空の全てをメカブで埋め尽くして全人類1日3食メカブ生活を掲げる!」
「クソみたいな動機だな!」
「いやーでもたくっちスノーだったら相手しないよねこの公害メカブ変質者」
メカブの山でベトベトになって立ち上がれないながらもポチはこれなんとか出来ないかと考えていた、おいしいメカブのレシピなら心当たりはあるがもう既に街中メカブまみれにしてる時点でもう
時空監獄で断罪者にお世話になってもらうしかないのでポチに出来ることは1つー!
「トレスマジアー!助けてー!!」
「お前監理局として恥ずかしくないのか」
「だって俺エロいものが作るのが得意なだけでヒーローとかじゃないんだもん!!」
そんな声が届いたのか上空から光るものが遠目でも見える、しかし飛んできたのは鳥でも飛行機でもトレスマジアでも無くミサイルの雨、メカブごと木っ端微塵に吹っ飛ぶが二人は
マガイモノなのでどんなに身体が弾け飛んでも復活できる。
メガブ団は吹っ飛んで真っ黒なまま予め野獣先輩が通報しておいた緊急次元通行で落ちていく、これは監理局上層部の特権であり抵抗不可と判断した時空犯罪者を直接時空監獄に放り込むことが出来るのだ。
ミサイルが撃ち終わり煙が晴れてポチは双眼鏡でミサイルの発射先を探ってみると一瞬だが人の姿が見えた。
「自衛隊?それとも時空ヒーロー?」
「今は分からないけどデータベースから特定は出来る……けど多分時空ヒーローや魔法少女とかではないね」
ポチは女性ならほんの一瞬でも見逃さず見た目の特徴を覚えられるが下から上を見たので顔などは見れない、ペンで書けたのは下半身を軽くだけであったがあまりにも特徴的だった、何せスカートの類は一切つけておらずパンツ一丁、パンツにしたって布面積があまりにもえげつなさすぎて方向によっては尻がもろ出しではないかと思うほど。
これを見ている野獣先輩も「自分の理想で脚色しすぎだろ」と思っているがマジでそんな風に見えたのだからしょうがない。
「ひ……ひとまずエグい格好の女の子のことはいいや、また変な奴らに捕まらないうちにさっさと逃げるよ」
「あのさぁ……今更なんすけどポチ、俺らがその変な奴らに含まれないって保証は?」
「え?」
突然背後から肩を叩かれる、ポチみたいな人間にとって突然声をかけられることは身に覚えがありすぎる恐怖なので恐る恐る振り返ると警察ではない、ないのだが……金髪でフリフリのお洒落な姿を着たそれはまさしく魔法少女……。
「ま、まさか……トレスマジア……ですか……?」
「なあそこの兄ちゃん、うちとちょっとそこでお話せえへんか……?」
「俺知らね」
「有言実行で逃げようとしないで田所くん!!」
「なら実力行使や」
「ファッ!?ウーン…(昏睡)」
黄色の魔法少女は逃げる野獣先輩を強引に力で失神させて眠らせ、ポチは最初から抵抗しても良くないと思ったので大人しくすることにしたが念の為たくっちスノーにはメールした。
◇
「くたばれー!!」
その一方マジアベーゼは息を切らしながらも一般徘徊時空犯罪者をしばき倒している、魔法少女に比べたらメガブ団くらいの奴ならタイマンでも倒せるし鞭を振るえばいくらでも怪物を作り出せるし時空通販市場で取り寄せてた物を使えば強力な下僕を作れる。
ベーゼはこれを個人的に『星壁獣』と呼んでいる、3秒でルベルブルーメに考えてもらった。
名前はかっこいいがトレスマジアにセクハラしたい要望から淫猥な事を得意とする……そのついでで他陣営に対するストレスから強大な戦闘能力を持っている。
「もう一発いでよ!星壁獣パンドラゴラ!」
【星壁獣パンドラゴラ】
元にしたもの:ダイヤフラワーの種。
値段:400
ジーカ
能力:結晶操作・スタチュー化。
ベーゼの力で生まれた花のような怪物は七色に輝く結晶をまき散らしたり敵を拘束して一気に片付ける、今日だけで三日分は魔力を消費してる気がする所にさきほどメガブ団にミサイルを撃ち込んでいたレオパルトから連絡が入る。
「おつかれ~ベーゼちゃん、今SNS見たらトレスマジアが不審者捕まえて一旦離れたってさ」
「分かりました、数も減ってきましたし今日は一旦引き上げ!各自撤退するように!」
ベーゼはパンドラゴラを残して
時空の渦を作り撤退、パンドラゴラは信号弾を握っており投げると爆発、レオパルトを筆頭に次々と中に入っていき閉じた。
数分後にはトレスマジアの一人が駆けつけて切り裂いて一瞬で倒すが、仲間が不審者を捕まえたと聞いて急いで戻った。
◇
「で?この絵に関しては?」
「いや違うんです……格好に関してはマジでそんな感じだし……仕事で使うんですよ、いや仕事といってもいかがわしいような事ではなくてですね?そりゃあのお尻は直で眺めたいとは思って一瞬でトレースしましたけど……そりゃ俺はね?女の子のそういうアダルトな物には興味もありますし変態であることに否定はしないので……あっ本当に今回は仕事!仕事でここに来たんです変質者じゃないんです!」
「俺もう帰っていい?」
「戻ったわサルファ……それで変質者というのはその人?」
「ああ、尻を舐め回すように眺めていたから捕まえてきた」
「舐め回すようには見てないよ!?一瞬見れば覚えられるから!」
「おっそうだな、こいつさっき裸体を記憶すれば一瞬で特定できるとか言ってたしアンタらのくびれや乳首見れば誰だか一瞬で分かるぞ」
「言い方ァ!そっちは趣味の範疇でもう少し健全な方向から調べイェアアアア!!」
サルファと呼ばれた魔法少女は当然の如くポチに腹パンして腰を浮かせる、いくら性癖広しといえどリョナ趣味でもマゾでもないポチは震えながら悶える。
埒が明かないのでそろそろ遊ぶことをやめた野獣先輩は、自分達は時空監理局と呼ばれるあらゆる世界を管理する存在であり本当に仕事で来ていること、金を稼ぐために魔法少女のタイアップ商品を作るために魔法少女を探し回ってることまで説明した。
トレスマジアの3人は怪しんでいたが、エノルミータや最近現れる時空犯罪者とは無関係であることは理解したという。
「それならそれで最近現れる変な奴らに関してはどういう見解や、アレのせいでうちらは今までの何倍も忙しくなっとる」
「新時代を起こしたのは俺たちじゃないから……といっても見過ごせないのは分かってる、でも俺たちにも余裕がないんだよ」
「そうだよ(便乗)ただでさえ俺等も分身して金稼いでる段階だから」
「よくそれで私達に会ってお金貰おうって態度取れるわね……」
「それで俺が見たっていうミサイルの雨を打ち出した子は君らの敵でいいんだよね?」
「それは多分レオパルトの事だよね……おかしな話ではあるんだけど、この世界に訪れる変な人達をやっつけてるのって私達よりエノルミータの面々なの」
「えっマジアベーゼが?うちら時空界隈でも急に名を上げ始めた厄介な奴なんだけど」
「ま、だからといっていい奴というのも違うけどな」
「さて……田所君、俺のリュックにどこでもテント用意してあるからセッティングしておいて」
「は?何いっとんねんお前、まさかウチらの所に上がり込む気か?」
「だってここに入れば魔法少女とかも沢山来そうだからね、マジアベーゼの調査も俺達の仕事の範疇だしここで魔法少女を待ってグッズ交渉しておけば俺達の仕事は楽に終わるってわけ」
「じゃあまた敵がなんか来て襲ってきたら?」
「なんか流れ弾でやられてくれないかなって祈る!」
「典型的な寄生プレイやめちくり〜」
「オンラインゲームならバリバリアシストできるんだけどリアルの戦闘はね!戦闘方面以外なら何でも出来るからそれでなんとかして!田所くん戦えるでしょ?」
「アンタなんかの為に戦いたくねえつってんだよ、さっさと魔法少女見つけてタイアップ商品作りだよ〜!」
意気揚々と目的の為にこの世界に滞在を決意するポチ、その後ろ姿を神妙な顔で眺めていた……。
「どうしようかアズール、サルファ」
「多分ほっといちゃいけない奴よね……タイアップは絶対したくないけど」
最終更新:2025年04月22日 21:38