夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

狩谷由紀恵&キャスター

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匿名ユーザー

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「いやぁぁぁぁぁ!!」




何故、どうしてこうなった。


ようやく自分は、幸せな時間を手に入れたというのに。


誰よりも愛する者のために、その夢のために役立てる時が来たというのに。





「やめて!」




言うことのきかない身体に、必死に叫ぶ。




「やめてっ!!」




愛する者に向けて迫る凶器を止めようと、ただ只管に抗おうとする。




「やめてっ!!!」




しかし、止まらない。
止まってくれない。


どれだけ叫んでも、どれだけ慟哭しても。



『否定』の名を冠した漆黒の機体は、彼女の意思を否定して進む。



やがてその拳を強く握り締め、高く振り上げて。





「やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」





彼女の全てを否定し、粉砕した。





「……ミツヒロ……さん……」




愛した男は、ただの肉塊と化し赤い鮮血の花を咲かせて散った。

目の前で死なせてしまった。

自分の手で、死なせてしまった。

殺してしまった。



「あ……ああ……」



絶望が魂を覆い尽くしていく。


それに伴い、その肉体も機体に取り付いたモノに侵食―――同化されていく。


心が消えていく。
意思も、思い出も、何もかも。
自分という存在が消失してゆく。



そんな薄れゆく意識の中、彼女―――狩谷由紀恵が心に思う感情は……




「…憎い……憎い、憎い……!
 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!」




全てに対する、憎しみであった。




◇◆◇




「ッ……!!」


由紀恵は布団を跳ね退け、慌てて体を振り起した。
その息は荒く、全身にはじっとりと汗がにじみ出ている。
最悪の夢だった。
最も忘れたい、悪夢以外の何物でもない死の間際の光景。
この街に来てから、もうこの夢を何度も見続けてきた。


「……憎い……フェストゥム……!」


その都度彼女が抱くのは、強い憎しみの心だ。
自身の全てを奪い去ったフェストゥムが、敵が、憎くてたまらない。
だから、やり直したかった。
最悪の結末を否定し、望んだ幸せな時間をもう一度手に入れたかった。

そう強く願ったがために、聖杯は彼女を選んだ。
やり直しを望む者達が集う、この夢現の聖杯戦争に。



そして……心を憎悪に染め上げた彼女に宛てがわれたのは、当然ながら憎悪を良しとするサーヴァントだった。



「フフ……相変わらず、目覚めは最悪のようだな」



目覚めた彼女の傍らに立つのは、深紅の独特な軍服に身を纏う屈強な男。
その肉体ははち切れんばかりの筋肉で膨れ上がっており、そこから発するオーラはそれだけで人を圧倒する程に強力だ。
彼こそが由紀恵のサーヴァント。
人の持つ邪悪な心こそを武器とし、人の領域を踏み越えんとする邪悪な魔人。
人の世を乱す者と呼ばれる、悪しきサイコパワーの使い手―――その外観からはとても想像できないが、キャスターだ。



「キャスター……サイコドライブはどうなっているの?」

「心配する必要はない。
 今のところは順調よ……」


由紀恵の問いに、キャスターは微笑を浮かべて答えた。
戦争開始までのこの猶予期間の間、二人は他の参加者より優位に立つべく陣地作成に徹していた。
この陣地作成が上手くいけば、戦況は大きく変わる。
一般的なキャスターの陣地といえば、多種多様な罠の類を設置したり使い魔を放つ工房めいたものだが、
このキャスターのそれはやや異なる。

宝具『悪しき魂の炉心』

トラップもなければ配下もない。
ただし、陣地内においてはキャスターの戦闘能力が純粋に高まり、魔力供給も大きく賄えるようになる。
ただそれだけの極めてシンプルな、それでいて強力な代物だ。
無論、陣地抜きにしてもこのキャスターは三騎士にも迫るだろう強さを秘めた規格外品ではある。
しかし、その分魔力消費量も通常のキャスターの比ではない。
実力を発揮しようとすれば由紀恵の魔力が持たない恐れがあった……故に今は、陣地作成をある程度進めることが先決だったのだ。


そして……その為に、二人は一切の手段を選んでいなかった。



「ムハハハッ!
 聞こえおるわ……もがき苦しむ虫けらどもの、憎悪の声が!!」



炉心の設置された部屋を開き、キャスターは高らかに声を上げて笑った。
部屋の中央にそびえ立つ円柱状の炉心。
その周辺を囲い込むように、緑色の培養液で満たされた等身大のシリンダーが複数立ち並び……



「―――――!!??」



その各シリンダーの中では、総勢二十のNPC達が声にならない叫びを上げて苦しんでいた。
シリンダーからはコードが伸びており、全て炉心に直結されている。
即ち……内部のNPCこそが、この炉心の動力源。
早期完成の為の材料なのだ。
魔術の心得があるものならば、この行為は魂喰いに他ならないと感じる光景だろう。

しかし……現在キャスターが行っている行為は、実は魂喰いとは異なる。
その証拠として、NPC達は苦しんでこそいるもののまだ生きている―――生かされている。

これこそが悪しき魂の炉心の、そしてこのキャスターの性質。
キャスターは、人の持つ『負の感情』を取り込み己の力に変えることが出来るのだ。
こうして炉心に苦しむNPC達を繋いでいるのも、彼らが発する感情を糧として動かす為である。
見る者が見れば、その残酷極まりないやり方に嫌悪感を覚えるだろうが、この二人にはそんなものなど一切ない。
由紀恵は目的を果たすためならば他者がどうなろうとも構わなく、キャスターに至ってはこの状況すら楽しんでいるのだから。


「今で大凡五割程度……一日一段階で進むとして、五日目には完成する予定ね」

「他のNPCか、或いは参加者を捕らえられたならばより早く進行させられるがな?」


今のままNPCを使い続けるならば、陣地は五日目には完全なものとなる。
七日間という制限時間を考えれば中々に厳しいタイミングではあるかもしれないが、寧ろ短い準備期間を思えばよくできている方だろう。
そして、他にもNPCを捕らえられれば当然ペースは早まる……それがNPCではなく聖杯戦争の参加者だったならば尚のことだ。
NPCとは比較にならない程の負の感情を発してくれるに違いなく、炉心完成までの時間は大幅に短縮させられる。
これからこの聖杯戦争がどう動くか。
それによって、燃料追加をするか否かも見極める必要があるだろう。


「……私は必ず、この聖杯戦争に勝つ。
 あの人の為に……全てを無かったことにして……!!」


由紀恵は強く誓っていた。
例えどれだけの惨劇を引き起こすことになろうとも、心を痛めることなど微塵もない。
ようやく手にした幸せな時間を取り戻すために。
憎き敵を全て葬り去り、二度とあの様な地獄を味合わないために。
必ず、聖杯を手にしてみせる。


(ふん……愚かな女よ。
しかし、その憎悪だけは認めてやらんでもないがな……)


そして、キャスターはそんな彼女を内心で嘲笑していた。
サーヴァントとして呼び出されたとはいえ、彼には由紀恵に対する主従の感情など皆無。
ただ、自分をこの場に立たせるために存在するだけの駒としてしか見ていなかった。
しかしその身から発する負の感情は、側にいて実に滑稽でそして心地よい。
他者を害することに一切躊躇いもないその姿勢も、全力を振るうに当たって都合がよかった。


(精々、役に立ってもらおうか。
 このベガ様が最強の肉体を得て君臨する為にな……!!)


侵略者フェストゥムへと人類に対する憎しみの感情を学ばせ、人類に壊滅的な被害を与える間接的な原因となった由紀恵。

人の世を乱す者として君臨し、自らの糧とすべく世界に甚大な被害を与え続けてきた魔人ベガ。


人にとっては最悪ともいえる憎悪の化身たる主従は、この夢の聖杯戦争においても悪夢を撒き散らさんとしていた。


【クラス】
キャスター

【真名】
ベガ@ストリートファイターシリーズ

【パラメータ】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運E 宝具A+

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】
陣地作成:B
 自らに有利な陣地を作りあげる。
 このキャスターが作成するのは魔術師としての工房ではなく、自身に優位に働く力場である。

【保有スキル】
カリスマ:B
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
 団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。 
 Bランクであれば国を率いるに十分な度量。

気配感知:C
 気配を感じ取ることで、効果範囲内の状況・環境を認識する。
 近距離ならば同ランクまでの気配遮断を無効化する。
 武術を磨く過程で身につけた技術。

心眼(偽):B
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
 本来ならばキャスターのクラスが持つことは極めて稀なスキルなのだが、
 その生前において極めた武術とサイコパワーによって保有する事になる。

【宝具】
『人の世を乱すモノ(サイコパワー)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:100人
キャスターを象徴する宝具にして、キャスターが持つ悪の力そのもの。
 生前よりキャスターが身につけていた超能力の一種であり、憎しみや悪意といった負の感情を攻撃力に変換したもの。
 キャスターは己に向けられた負の感情をも自らの内に取り込み力とすることができ、
 その強さの度合いに応じて自身のステータスを上昇させる。
 視界には青白く燃える炎の様なオーラで表れ、キャスターはそれを敵にぶつける他、拳や肉体に纏い攻撃の威力を上げて用いる。
 また、他者に力を直接注入することでその憎悪を増幅させたり、
 自身に忠実な部下として洗脳することも可能だが、意志の強い相手には通用しない。
 生前にはこの力を高めるためだけに一つの部族を壊滅にまで追い込み、自身への負の感情を高めたという逸話すらある。 
 極めて強力な宝具ではあるが、その分魔力消費も相応に高い。
 また生前同様、この宝具の力が高まりすぎた場合には肉体が耐え切れず崩壊するデメリットも存在している。
 その際には代替ボディへと自らの魂を移し替えることで状況を乗り切ってきたが、サーヴァントとして呼び出された為に
 魂の性質が生前とは異なった為、この聖杯戦争においては不可能である。

『悪しき魂の炉心(サイコドライブ)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:100人
 キャスターが生前開発させた、サイコパワーの増幅装置。
 この宝具はキャスターの生前においても不完全なままに運用されていた為、未完成のままに宝具となった。
 この炉心は陣地作成を進めるに当たって自動的にその中心部に設置される。
 キャスター自身のがサイコパワーを定期的に注ぐ事によって炉心は完成に近づくが、
 かつてキャスターが計画した様にその内部に人間を捕らえる事でその負の感情を変換し、動力とすることでも可能。
 陣地内においてキャスターは限定的な空間転移すら可能になる他、
 炉心より放たれるエネルギー波を取り込みサイコパワーを増幅させ、自身のステータスを上昇・或いは魔力源として用いる事ができる。
 完成に近づくほど、その度合いは大きくなる。
 また炉心が完成した場合は、キャスターが陣地の外にいた場合でも近距離ならばエネルギー波を照射して
 力を増幅させることすら可能になる。

【weapon】
 サイコパワー及び自らの鍛え上げた体術。

【人物背景】
 世界に多大な影響を与える犯罪組織『秘密結社シャドルー』の総帥にして、人の世を乱すモノと呼ばれる魔人。
 邪悪そのものと言えるサイコパワーの使い手であり、また独自に身につけた体術の腕前も非常に高く、
 一説では『格闘王』の異名も持っていたという。
 その強大な組織力で世界を裏から支配しようとし、また更なる自己の強化を図るべく暗躍していた。
 傲慢かつ冷酷残忍な性格であり、自身の目的を妨げる者は何者であろうとも一切容赦しない。
 容姿については、赤い特徴的な軍服というのは共通しているが、筋肉質の細身な肉体だという話もあれば、
 はち切れんばかりの筋肉をした凄まじく太い体格という話もある。
 これはベガが持つサイコパワーが肉体を膨張させている為であり、全盛期においては非常に屈強な肉体をもっていたものの、
 最終的には肉体自体が耐え切れず崩壊したとされている。
 その問題を克服すべく自身の力に耐え切れる最強の代替ボディを見つけ出す為、
 また自身のサイコパワーを高めるために世界規模の格闘大会を開き数多くの格闘家達と戦ってきた。
 その末に、殺意の波動と呼ばれる力を肉体に秘めた一人の格闘家に目をつけたのだが、
 彼やその仲間達との壮絶な戦いの末に敗北し、シャドルーも壊滅に追いやられている。

【サーヴァントとしての願い】
 聖杯の力で最強の肉体を手にし、再び人の世を乱す者として世界に君臨する。

【基本戦術、方針、運用法】
 キャスターでありながらも三騎士に匹敵する戦闘力を持った規格外の英霊。
 しかしその分魔力消費も高いので、悪しき魂の炉心の作成を主とし、陣地を中心として戦闘する。
 ただし場合によっては、陣地の位置を悟られぬよう、また挑みかかる敵の持つ負の感情を吸収し力とするべく自ずから出向くことも考える。
 魔力消費の問題がある為長時間の戦闘は不向きだが、自らに敵対する者は容赦なくたたきつぶす。
 マスターである由紀恵は、精々便利な駒としか見ていない。


【マスター】
狩谷由紀恵@蒼穹のファフナー

【マスターとしての願い】
 ようやく手に入れた幸せな時間を取り戻す。
 自身に悪夢を与えた憎き敵=フェストゥムを世界から完全に抹殺する。

【weapon】
 特に無し。
 軍人としての訓練は受けているため、簡単な拳銃程度なら使用可能。

【能力・技能】
 スパイとしての基本的な情報収集活動能力及び間諜技能がある。
 肉体にフェストゥム因子を移植されており、神経接続によるファフナー搭乗が可能。
 ただし適正年齢を過ぎている上にもともとの適正値も低いため、因子活性剤を致死量ギリギリまで投与しなければならない。

【人物背景】
 人口二千人程の島『竜宮島』の国語教師。
 自尊心が強く、毅然とした女性。
 その正体は新国連から竜宮島の情報を収集すべく送り込まれたスパイである。
 竜宮島の実態は地球へと来訪してきた侵略者フェストゥムに対抗すべく作られた人工島『アルヴィス』であり、
 フェストゥムに唯一対抗できる機動兵器ファフナー運用巨大潜水要塞艦だった。
 由紀恵はファフナーやパイロットのデータをはじめ様々な情報を入手すべく島に潜入していたのだが、
 一部の者にはその素性が見透かされておりわざと泳がされてもいた。
 幼い頃に実験事故で両親を失って以来、特殊組織アルベリヒド機関で育ったが、そこで新国連の上席技官である
 ミツヒロ・バートランドにファフナーの適正値を見出された事がきっかけで、彼に父親のイメージを重ね、恋愛感情を抱くようになった。
 ファフナー運用に必要不可欠なフェストゥム因子を植え付けられた第一世代の生き残りだが、
 自分や同級生が事実上の実験台であったため、アルヴィスに対しては憤りを覚えている。
 その後はミツヒロの為に自身の全てを捧げ、自らの命の危険も顧みず、
 彼が提唱した新型ファフナー『マークニヒト』のパイロットとなった。
 こうして愛する者の役に立てる幸せな時間を手にすることができたのだが、その可動実験の最中、
 マークニヒトが施設内に侵入していたフェストゥムに同化されるという事故が発生。
 結果、彼女は制御が効かないマークニヒトで不本意にもミツヒロを殺害してしまい、彼女自身も同化されてしまった。
 その際に抱いた強い憎しみは、フェストゥムに人類に対する憎しみの感情を学習させてしまい、
 結果として人類はこれまでにない窮地を迎えることになった。

【方針】
 優勝し、聖杯を手にする。
 その為には一切手段は選ばない。

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