夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

霜月美佳&アサシン

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匿名ユーザー

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◇◇◇◇




―――――――私/お前は、何色だ。




◇◇◇◇


深夜、とあるマンションの一室。
複数の部屋に加え、リビングやキッチン等の整った快適な環境。
それなりの裕福さを感じさせる内装だ。
そんな一室の、月明かりの射すリビングにて。
テーブルを前に置かれた椅子に、黒いスーツを身に纏う女性が腰掛けていた。
顔を俯かせており、その表情は僅かな影を落としている。

公安局刑事課一係所属の監視官。
それが彼女の本来の肩書き。
『霜月美佳』は、マスターとしてこの冬木の地に召還されていた。


「腹括ったかよ、相棒」
「…………」


唐突に美佳の耳に入ってくる低い声。
そこにいなかったはずの男が、魔力の気配と共に姿を現す。
威圧的なヘルメットの仮面。スパイクの付いた衣服。屈強な体格。
一目で理解出来る程に異様極まりない外見だ。
この男こそが古今東西の英霊の化身、サーヴァント。
霜月美佳が召還した従者―――――アサシン“暗殺者”。

秩序の狗、霜月美佳。
混沌の狂犬、アサシン。
本来組む筈のない相容れぬ存在同士が、聖杯戦争における主従となったのだ。

「今でも、夢じゃないかって疑ってる」
「だろうな。だが、あるんだよ。万物の願望を叶える奇跡の器ってのは」
「…でしょうね」

ぽつりとぼやく美佳。
一体どこから自分の歯車は狂ったのだろう。
監視官としての素質を見出された時からか。
一係に配属された時からか。
東金財閥の秘密を探ってしまった時からか。
兎に角、自分は取り返しのつかない過ちを犯してしまったのだ。
その結果、何の罪もない常守監視官の祖母が死んだ。
民間人が、自分のせいで犠牲になった。
そして。
自分の色相が、濁り始めた。

「私は、やり直したい」

故に彼女は願った。
己が黒に染まらない為に、無意識に祈った。
奇跡の願望器に縋った。
それが彼女が冬木に召還されるきっかけ。

「ククク……同感だよ相棒。俺もおまえと同じさ。
 行く道を間違えて、クソッタレな人生へと転げ落ちちまった」

仮面の下で不気味な笑みを浮かべる男。
それをよそに、美佳はテーブルの上に置かれる拳銃に似た装置へと目を向ける。

携帯型心理診断鎮圧執行システム――――――通称ドミネーター。

美佳の監視官としての唯一の武装。
この冬木に召還される際、そのまま持ち込んできたものである。
シビュラシステムと接続し、対象の犯罪係数を計測する装置。
潜在犯と認定された者を排除する為の処刑器具。
社会不適合者に対する、究極にして無二の武器。

(ドミネーターは、使えない)

だが、この世界を統制するのはヒトだ。
シビュラシステムの存在しない社会において、ドミネーターは無用の長物でしかない。
シビュラに接続出来ない以上、ドミネーターは機能しない。
執行どころか、色相の判定さえも出来ないただの置物に成り下がっている。
つまり、今の美佳は丸腰も同然だ。

「だが、まぁ…丸腰じゃ心許ねぇ。喜べよ、俺様からのプレゼントだ」

そんな美佳の現状を察してか、アサシンはのらりくらりとした態度でそう言い。
テーブルの上に『あるモノ』を置く。
それを目にして―――――――美佳は顔を引き攣らせた。


「もしもの時はこいつを使いやがれ。使い方くれぇ解るよな?
 ぶっ殺すのか、ぶっ殺さねえのか、それを決めんのはおまえだ」


それはアサシンが持ち込んできた複数の弾丸、そして一丁のショットガン。
今や目にすることも稀な、実弾を用いる銃。
法による執行ではない、意思による殺人の為の兵器。
美佳の心中に言い知れない不快感と嫌悪感が押し寄せる。

「肝っ玉の小せえ女だな、オイ」

美佳の表情に気付いてか、アサシンが呆れたように呟く。
従者でありながら口答えをする男に対し、僅かに睨むような視線を返した。

内心、美佳に現状への恐怖が無いかと言えば嘘になる。
むしろ胸の内では不安と焦燥が渦巻いているのだ。
聖杯戦争―――――――つまり、たった一つの戦利品を賭けた殺し合い。
勝ち残れば、自分はやり直せる。
あの過ちをリセット出来る。
黒く染まりつつある色をクリアに出来る。
だが、勝ち残った果てに自分は正気を保てるのか。
屍の山を踏み越えた末に、己の色相を守れるのか。
本当に、全てをやり直せるのか。
いや、それこそ聖杯の力で―――――――

「もたもたして全部失っちまった時にゃもうおしまいなんだよ。解るか、おい?」

そんな美佳の不安を突くように、アサシンが言葉を投げかける。
身を屈め、俯く美佳の表情をヘルメットに覆われたアサシンの顔が覗き込む。
そして、アサシンはにやりと醜悪な笑みを浮かべた。


「ビクビクしてんじゃねえ、とっととドス黒く染まっちまえよ。
 そうすりゃ何奪ったって楽になれる。何を踏み躙ったって心が痛まなくなる」


びくりと美佳の身体が震える。
耳元でそう囁く男の言葉は、余りにも淀んでいた。
美佳の心中で、疑心が確信へと変わる。


こいつは、濁り切った――――――『漆黒』だ。


自らの従者への嫌悪感が押し寄せ、彼をキッと睨む。
対するアサシンは顔を遠ざけ、のらりくらりとした態度で笑みを浮かべるのみ。
そんな彼を前にし、美佳は苛立ちと疑念を募らせるばかり。

何でこんな男が自分のサーヴァントになったのか。
自分を守る為に聖杯へと縋ったのに、何故ここまで来て追い詰められなければならないのか。
いいや、むしろ。
これが道を誤った私への罰なのだろうか。

兎に角、今言い切れることは二つ。
自らが犯した過ちを取り消す為に、聖杯戦争に勝ち残らなければならない。
そして――――――――


(……絶対に、濁るもんか)


霜月美佳は、決意するように心中で呟いた。


◇◇◇◇


(アンナ)

仮面の下の醜悪な素顔。
その更なる深層の心中にて、アサシンは静かに呟く。


『助けてくれぇぇアンナあ~~~~あ~~~~~~………お願いだぁ
 教えてくれよォオォオしえてぇぇ………オレは……』


瞳を閉じ、脳裏に浮かぶのは―――――頭部を押さえながら喚き散らす哀れな男の姿。
それは生前のアサシンの最期。
自嘲してしまいたくなる程に無様な、一人の悪党の末路。


『オレは……いつ……ドコで……!間違えたんだァああぁあ!!!!!!!』


回想の中で、男は醜く慟哭する。
こんな死に際に、ようやく全てを悟ってしまったのだ。
自分はどこで間違えたのか。
何故あんな運命を辿ってしまったのか。
答えは既に出ている。

(ああ、やってやるよ。何が何でも勝ち残ってやる。
 アンナを捨てちまった過去をやり直す為なら、俺はどんな卑怯な手でも使ってやる)

自分の支えとなってくれた、たった一人の少女。
自分を認めてくれた、唯一人の存在。
アンナを失ってしまった。
アンナを捨ててしまった。
それが自分の運命を、完全に変えてしまった。
故に彼は、それをやり直す為に戦うのだ。

(だからよ、せいぜい期待を裏切るなよ相棒?
 おまえは黒く染まりゃいい。勝つ為に悪魔になりゃいいんだ)

仮面の下で浮かべるのは、悪魔の笑み。
これが純粋な努力家だった者の末路。
透明な白だった少年は、憎悪と嫉妬、喪失の果てに漆黒へと染まった。
今のアサシンは文字通り悪鬼と化していた。
彼は自らのマスターにもそれを求める。
どんな手を使ってでも勝てばいい。
マスターも勝利の為にそうするべきだ、と。

彼は聖杯を求める。
全てをやり直す為に奇跡へと縋る。
決して手段は選ばない。
どんな卑劣な手を用いてでも、高みへと上ってみせる。
そしてクズの連中共に思い知らせてやる。
今は、悪魔が微笑む時代なのだということを。



(聖杯を手にするのは、このジャギ様だ)



――――――――――極悪の華が、咲く。



【クラス】
アサシン

【真名】
ジャギ@極悪ノ華 北斗の拳ジャギ外伝

【ステータス】
筋力B 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具C+

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】
気配遮断:D+
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
自らが攻撃体勢に入ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
ただしジャギの場合、闇討ちを仕掛ける際に限りランクが低下しない。

【保有スキル】
北斗神拳:C
千八百年に渡って受け継がれている一子相伝の暗殺拳。このランクは一定の技術を備えていることを示す。
矢などの飛び道具や様々な武器に対する返し技、ある程度の自然治癒なども備えている。
サーヴァントが秘孔を突かれた際、秘孔を解く技術が無ければ判定は対魔力によって決まる。
ジャギは伝承者候補だったものの、その技量においては稀代の才を持つ兄弟達に大きく水を開けられていた。
更に武器の使用さえ厭わぬ卑劣な戦法によって拳を歪めており、暗殺拳としての格を下げている。

欺瞞の梟雄:E-
憎悪する弟に成り済まし、悪評を広めた逸話が元になったスキル。
自らの胸の七つの傷を見せた者に対し、低確率で真名を誤認させる。
ただしジャギの真名を知った者には一切の効果を発揮しない。

カリスマ:E
軍団を指揮する才能。
賊徒や無法者の統率に長ける程度の能力。

【宝具】
「北斗羅漢撃」
ランク:C- 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大捕捉:1
育ての親にして師父であるリュウケンより伝授された北斗神拳奥義。
両掌を突き出した構えから変幻自在の連続突きを繰り出す。
憎しみや恨みといった負の感情を捨てた者のみ極められる技。
本来はBランク相当の宝具だが、ジャギが負の感情に囚われ外道へと墜ちたことでランクが低下している。

「北斗千手殺」
ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:100
ジャギが独自に編み出した奥義。
跳躍しながら相手に無数の突きを放つ。
数十の人間を一瞬で虐殺する程の威力を持つ。
北斗神拳の正当な技ではなく、神秘のランクは極めて低い。

「極悪ノ華」
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
拳法家としての道を踏み外し、悪逆の外道として突き進んだ生き様の具現。
不意打ちや闇討ち等のあらゆる卑怯な戦法を用いた際、ダメージ判定・命中判定において有利な補正が与えられる。
更にジャギが扱える凶器足り得る道具を「サーヴァントに通用する武器」として使用できる。
例え何ら変哲のない鉄棒だろうと、ガソリンに引火させたマッチの炎だろうと、ジャギが用いることでサーヴァントにダメージを与えることが可能。
ただし宝具にはならず、あくまで低ランクの神秘を帯びた道具へと昇華させるに留まる。
そしてあくまで「ジャギが用いること」が条件。ジャギが用いたものをマスターに譲渡しても効果は発揮しない。

【Weapon】
「含み針」
口の中に仕込んだ針。
威力は低く、専ら不意打ちや急所を狙う攻撃として使用する。
「極悪ノ華」の効果に関係なく、最初から低ランクの神秘を帯びた武器。

【人物背景】
一子相伝の暗殺拳である「北斗神拳」の伝承者候補、北斗四兄弟の三兄。
幼少期に火災で両親を失っていた所をリュウケンに拾われる。
当初は息子として育てられていたが、ジャギ本人の強い要望によって伝承者候補入りを果たす。
伝承者候補として拳法の腕を磨き、修行の最中で暴走族の少女であるアンナとも交流を深める。
しかし兄弟の中では最も素質が低く、実力に於いて弟であるケンシロウにさえ水を開けられることとなる。
自らの実力への劣等感と焦りによって、ジャギは次第に苛烈な性格へと変貌していく。
やがて核戦争が勃発。混乱の最中、暴徒達にアンナを陵辱の末に殺されてしまう。
この一件でジャギの心は完全に悪へと墜ち、更に伝承者争いに敗北した彼の歪みは加速。
賊徒の親玉として祭り上げられ、憎悪するケンシロウの名を騙り暴虐を繰り返す破壊者と化した。
最終的にケンシロウと交戦するも、強敵との死闘の果てに非情さを得ていた彼の前に敗北。
走馬灯の中、「アンナを捨てた」という過ちに気付きながら絶命した。

稀代の才を持つ兄弟と比較するとその能力は大きく劣る。
しかし複数の賊徒を一瞬で虐殺する、独自の北斗神拳奥義を考案し体得する等、拳法家としては既に常人を凌駕する域に至っている。

【サーヴァントとしての願い】
アンナを捨ててしまった過去をやり直す。

【基本戦術・運用】
不意打ちと暗殺狙いが主な戦術となる。
気配遮断スキルのランクがそれほど高くなく、隠密行動は然程得意ではない。
そのため奇襲攻撃による短期決戦が推奨される。
例えそれで仕留められずとも、北斗神拳による体術で直接戦闘を挑むことが出来る。
それなりのステータスに加えて拳法の技量、更に宝具「極悪ノ華」による搦め手などそのポテンシャルは高い。
突出して強力という訳ではないが、白兵戦と奇襲戦法の双方を行える希少なアサシン。
手段を選ばぬ戦術でいかに敵を仕留められるかが鍵。

【方針】
聖杯を勝ち取る為に戦う。決して手段は選ばない。
マスターは可能な限り使う。


【マスター】
霜月 美佳(しもつき みか)@PSYCHO-PASS 2

【マスターとしての願い】
過ちから逃れる為にやり直す。

【weapon】
「ドミネーター」
対象の犯罪係数を計測し、潜在犯と認定された者を執行する機器。
大柄な拳銃のような形状をしている。
尤もシビュラシステムの存在しない冬木では機能せず、無用の長物も同然である。

「ショットガン」
水平二連式のソードオフ・ショットガン。
「極悪ノ華」の効果に関係なく、最初から低ランクの神秘を帯びた武器。
本来はジャギが持ち込んだ武装だが、弾薬と共に霜月美佳に譲渡された。

【能力・技能】
公安局の監視官であり、身体能力や判断力は常人より優れている。
また学生時代から直感が鋭い。

【人物背景】
公安局刑事課一係に所属する監視官。
正義感が強いものの高圧的であり、潜在犯に対しても差別的な視点が多い。
自分の能力に自信を持っている素振りを見せるが、大事に陥った際は自らの責任を回避しようとする傾向が見られる。
公安局のセオリーから外れて捜査する傾向の多い常守朱に強い反発を抱く。
作中で「カムイ」の事件と東金財団の関連性に気付き、禾生局長に調査結果を報告するが
資料に含まれた機密情報に接触してしまったため「シビュラシステム」の真相を知らされてしまう。
以降はシビュラの犬である東金朔夜の指示に従う立場となり、自分が情報を渡したことで朱の祖母が死亡したことに強いショックを受ける。
愕然とする美佳は自らの色相を保つべく、東金を潜在犯として執行しようとしたが…。

【方針】
自分を濁らせる全てを排除する為に戦う。
しかし、心の奥底では僅かに迷いもある。

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