夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

呉島貴虎&キャスター

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「主任、この書類の決済をお願いします」
「ああ…」


ユグドラシルコーポレーション・冬木支部。
社員たちが忙しなく仕事に追われる中、主任と呼ばれた男・呉島貴虎はどこか釈然としない思いを抱いていた。
何度社内を見てもいつもと変わらぬ平和な光景が広がるばかり。

この会社、いやこの部署はここまでのんびりとした空気だっただろうか?
いや、むしろもっと重大な、根本的なことを忘れているような……?
だがそれが何なのかわからぬまま、ただ時間だけが過ぎていった。


仕事を早めに切り上げ退社した貴虎は悶々とした違和感を感じながらも車を停めてある駐車場へと歩を進めていた。
違和感を払拭しようとこれまでの日常を思い返してみたが余計に違和感が募るばかりで、それどころか軽く頭痛がしてきた。
何かが、あるいは何もかもが決定的に間違っている。
何故かは自分でもわからないが、心が強くそう訴えかけていた。





「おや?主任様じゃねえか。お早いお帰りのようで」
「………シド?」



声を掛けてきたのは営業担当の、シドと呼ばれる男だった。
確か地元のダンスチームをターゲットにした取引のためそれらしい格好で仕事をしている社員だったはずだ。
いや、違う。ありとあらゆる意味でこの男がここにいるのは絶対的に間違っている―――!



「お前が、何故生きている…!?お前はロシュオに……」
「はあ?」



無意識に疑問を絞り出した瞬間、全てを思い出した。
プロジェクトアーク成就のために奔走していた本当の日々。
葛葉紘汰と遠回りの末友好関係を築けたあの瞬間。
戦極ら部下の裏切りによって結果的にオーバーロードの王と出会ったこと。
オーバーロードの真実、圧倒的な力、蹂躙された沢芽市とユグドラシル。
そして、オーバーロードに隷属する道を選んだ弟・光実。



不審がるシドに目もくれず車に飛び乗り、自宅を目指して走り出した。
街が破壊されていない。インベスもいない。そもそも沢芽市ですらない……!
知らない街であるはずなのにまるでずっとここに住んでいたように道順を思い出せる。
知らない間に脳を弄られたかのようで吐き気がするが、それを堪えて武器を取り戻すためひたすらに自宅を目指した。







「ここだけは、沢芽市と同じか」


この偽りの時間を過ごした呉島邸だけは寸分違わず沢芽市にあったものと同じだった。
平時からは考えられないほど大急ぎで、乱暴にドアを開けると一目散に自室へ向かった。
目的はスーツケースに保管していた貴虎の身を守る最大の装備だ。


「意味もなく捨てずに保管していたのは、こういうことだったのか…?」


ゲネシスドライバーを失った今、懐かしさすら覚える貴虎が愛用していた戦極ドライバーとメロンロックシード。
記憶を失っていても、身体がそれを大切なものだと覚えていたのかもしれない。



「どうやら記憶を取り戻されたようですね、マスター」



女の声に振り向くと、何もないところからローブを深く被った女性が現れた。
知識として刷り込まれている。聖杯戦争、万能の願望器を巡る殺し合い。
そしてこの女性こそ呉島貴虎に割り振られた戦闘代行者、サーヴァントだ。
その証拠に、令呪と呼ばれる紋様が自分の右腕の甲に刻まれていた。


「ああ、そのようだ。君が私のサーヴァントのようだな」
「ええ、この身はキャスターのサーヴァント。真名はメディア。
マスターのお名前を伺っても?」


キャスターは素直に自分の真名を明かした。
隠したところで疑り深いマスターなら令呪を使ってでも口を割らせるだろうと考えたからだ。
不本意だが少なくとも「ある程度は」付き合う相手ならそのぐらいの情報は明かさねばなるまい。


「呉島貴虎だ。それと、悪いがそのフードを取ってもらおうか。
君の生きた時代がどうだったかは知らないが、現代社会で素顔を見せない者を信用するわけにはいかんな」
「…………」


貴虎の物言いはあくまで現代日本を基準とした、礼儀を咎めたものだったが、言い換えればそれだけだった。
少なくとも素顔を確かめてどうこうする、という下心は一切なく、キャスターもそれは見抜いていた。


「……これでよろしいですか?」


ローブを取ったキャスターの素顔に貴虎は一瞬だが言葉を失った。
この世のものとは思えない美貌、それでいて品の無さというものを全く感じさせなかった。
人間では有り得ないほど尖った耳もそうであることが自然だと思わされる。
しかしすぐに見とれている場合ではないと気を取り直した。




「ああ、もう良い。早速だが書斎に来てくれ。
方針についての打ち合わせをしておきたい」






「つまり、当分は陣地と魔力源の確保、情報収集に専念するよりないということか」
「はい、ただでさえも私は三騎士には相性が悪いので、慎重に動かざるを得ません」
「そうだな。それに伝承から考えて、君は戦う者ではないだろう?
つまり、策もなく歴戦の戦士と事を構えるのは自殺行為でしかない。私も自分がヘラクレスやジークフリードと戦えると思うほど自惚れてはいない」


現在の貴虎とキャスターの戦力は決して心強いものとは言えない。
元よりキャスターは魔術の腕はともかく戦闘代行者としての実力は低く、貴虎も戦極ドライバーがあるとはいえ無策でサーヴァントに挑むのは無理がある。
せめてゲネシスドライバーがあればもう少しはマシなのだろうが無いものねだりをしてどうにかなるなら苦労はない。

加えて、キャスターの見立てでは貴虎のマスターとしての適性は低く、十分な魔力を提供できないとのことだった。
魔術師のサーヴァントが魔力不足とあっては笑い話にすらならない。
となれば、余所から不足分を補うのは魔術師としては当然すぎるほど当然の発想。



「ですから、NPCから魂喰いを行う許可を頂きたいのです」
「それは構わない。私も手段についてどうこう言える人間ではない。
だが大量殺戮は問題だろう。何か考えはあるのか?」
「殺戮が問題ならば、殺さぬ程度に魔力を吸い上げれば良いのです。
それならば誰にも文句はつけられないでしょう」
「なるほどな、しかし意識を失わせたり、騒ぎになるような真似はするな。
大丈夫とは思うが、マスコミのしつこさと影響力を軽視するのは危険だ。
それに、万が一高潔な参加者に事が露見すれば損得勘定抜きで未知のアームズを使いロックビークルに乗って突撃してくることも無いとはいえないからな」



貴虎自身元の世界ではマスメディアを使った戦略を指揮する立場にあったため、その影響力と危険さを熟知していた。
例えば集団が突然倒れたなどのニュースが流れればそこからサーヴァントの仕業と推測されてしまう可能性もある。
葛葉紘汰のようなマスターないしサーヴァントがいれば、当然怒りを買うだろう。
序盤からそのような事態になることは絶対に避けなければならない。




「……わかりました。では、軽度の疲労を覚える程度に留めましょう」
「ああ、それで頼む。それからサーヴァントには宝具というものがあるのだろう?
君の宝具はどういったものなんだ?」


宝具とはサーヴァントの半身と呼んでもいい。
その性能を知ろうとするのは聖杯を求めるマスターとして当然のことであり、キャスターもこの質問は予期していた。
キャスターは弱りきった風を装い誤魔化すことにした。通じるかどうかは五分五分というところだろうが。


「そのことなのですが……マスターは魔術師ではないため、抗魔力が低いのです。
そして、私と同じようにキャスターのクラスで現界したサーヴァントなら魔術で貴方の精神を読み取ることは容易い。
つまり、そこから私の宝具が漏れ、対策されてしまう可能性が高いのです。申し訳ありませんが……」
「教えなければ対策されることもない、というわけか。確かに道理だな。
わかった、宝具を使うタイミングは君に一任する。魔術に関して門外漢の私などよりよほど適切に使えるだろう」


ちょろすぎる。キャスターはこのマスターの扱いやすさに感謝した。


「君を裏切りの魔女などと言う文献もあるようだが、私はそのような風聞を何も考えず真に受けるほど愚かではないつもりだ。
そもそも、メディアに裏切りを働かせたのはイアソンを支持するアフロディーテの謀略だろう。
私も君も聖杯を求めてここへ足を踏み入れた。利害が一致しているのなら何も問題はあるまい。
部屋を用意させておこう、休息する時にでも使ってくれ。私は少し夜風に当たってくる」



話を切り上げると貴虎は無防備に背中を晒しながら外へと出て行った。
キャスターの指にかかればその背中に風穴を開けることがどれだけ容易か理解しているのだろうか?


(ふん、馬鹿な男……)


キャスターは基本的に顔立ちの整った男を信用しない。いやできないと言っていい。
それにあの迂闊さだ、あれではいずれ他の者に陥れられて脱落するのが目に見えている。
このため、キャスターは最初からマスターの乗り換えを視野に入れていた。

しかし貴虎の財力やコネは使いどころが大いにある。
それにこちらの言う事をあっさり信じる分、操縦も容易。
今はせいぜいサポートしてやろう、と魔女は一人ほくそ笑んだ。







「葛葉、お前は俺のやり方を許さないだろうな……」


偽りの月を眺めながら今も沢芽市で人々を助けるために戦っているだろうあの男なら人殺しには決して賛同しないだろう。
勿論貴虎とて好き好んで殺人をしたいわけではない。だがもう他に方法が全く無いのだ。


「無理なんだ、葛葉。お前がいくら強くなったところでオーバーロードには、ロシュオには絶対に勝てないんだ」


戦略ミサイルすら消し去り、ゲネシスライダーを赤子のように葬り去るオーバーロードの王に人類が対抗する術など存在しない。
それこそサーヴァントを引き連れて立ち向かったところで跡形もなく消し飛ばされるのがオチだ。
さらにオーバーロードが開いたクラックによってヘルヘイム浸食のタイムリミットは年単位で縮まってしまったことだろう。
聖杯を手に入れなければ、遠からず人類は全滅してしまう。それを防ぐためならばもはや手段を選んではいられない。



「ヘルヘイム、それにオーバーロードさえ消し去ることができれば……光実、お前ともまたやり直せるだろうか」


光実が道を誤ってしまった理由には少なからずヘルヘイムの森の真実が関わっていることには貴虎も気づいていた。
逆に言えば、森の脅威と光実が当てにしているオーバーロードが取り除かれれば弟と敵対する理由もなくなる。
簡単には拗れた兄弟仲を修復することはできないだろう。あるいは光実は一生貴虎を許さないのかもしれない。
それでも、光実が人類の敵でなくなってくれさえすればもうそれで良かった。


「失敗は許されない、必ず、どんなことをしてもこの手に聖杯を……」




呉島貴虎は気づかない。
裏切りのクラスたるキャスターが実際に叛意を抱いていても、気づけない。
何故なら、貴虎の本質は性善説に基づいている。
日頃口で何と言っていようと、本心では誰も理由なく悪に手を染めるはずがないと思っている。
だから何度騙されても人を疑いきることができない。そして何度でも裏切られる。
部下や同僚からも。実の弟からも。そして、契約したサーヴァントからも。


その善性を嘲笑われていることに、気づかない。


【クラス】 キャスター

【真名】 メディア@Fate/stay night

【ステータス】

筋力 E 耐久 D 敏捷 C 魔力 A+ 幸運 B 宝具C

【クラス別スキル】
陣地作成:A…魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。”工房”を上回る”神殿”を形成する事が可能。

道具作成:A…魔力を帯びた器具を作成できる。擬似的ながらも不死の薬さえ作り上げられる。

【保有スキル】
高速神言:A…呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。大魔術であろうとも一工程で起動させられる。

金羊の皮:EX…とっても高価。竜を召還できるとされるが、キャスターには幻獣召還能力はないので使用不能。

【宝具】
「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」

ランク:C 種別:対魔術宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
メディアの「裏切りの魔女」としての伝説が象徴として具現化した宝具。
攻撃力は普通のナイフと同程度しかないが、「あらゆる魔術を初期化する」という特性を持つ最強の対魔術宝具である。
原作ではマスターとサーヴァント間の契約を断ち切るなどの用法で用いられた。
しかし、どれほど低いランクであっても宝具の初期化は出来ない。

【人物背景】

ギリシャ神話に登場する「裏切りの魔女」。自身を召喚した魔術師に数日で見切りを付け、彼を殺害して逃亡した。
本来なら二日はマスター抜きでも現界可能だが、マスターが自身より優れた魔術師であるキャスターへの嫉妬で魔力量を自身以下に制限していたため早々に消滅の危機に瀕する。
そこへ偶然通りがかった男性・葛木宗一郎に助けられた。彼と出会い、葛木が居候している柳洞寺に転がり込む。
その後、生前手に入らなかった束の間の日常を守るため、そしてマスターに聖杯を渡すため、町中から魂喰いを行いルール違反なサーヴァントであるアサシンを召喚し、第五次聖杯戦争で暗躍し始める。
冷酷・残忍、目的のためには手段を選ばず、奸計を得意とする正真正銘の悪女。
しかしこの性格は彼女に課せられた運命の反動である面もあり、裏切りに遭い続けた結果に、今度は自身が人を裏切る立場へ堕ちてしまった悲劇の女性。
本来は清純な女性で、惚れた相手にはとことんまで尽くすが、惚れた相手は甘えると逃げていったというトラウマを持つために、一歩引いた態度を貫く。必要であればどんなあくどい手段に訴えることも厭わない反面、必要でないのなら何もしない人で、hollowでは日常を十分に楽しんでいる。
かわいい女の子とかっこいい男を好む。筋肉マッチョとイケメンは嫌い。
天敵はバーサーカー。バーサーカーが狂化しているので描かれないが、同じギリシャの英霊で面識があるため。



【サーヴァントとしての願い】
受肉し、故郷へ帰る。







【マスター】 呉島貴虎@仮面ライダー鎧武

【マスターとしての願い】
オーバーロードとヘルヘイムから人類を救い、光実との兄弟関係をもう一度やり直す

【weapon】
戦極ドライバー:アーマードライダーに変身するためのベルト。
イニシャライズ機能があり貴虎以外の人間は着けることさえできない。

メロンロックシード:クラスAのロックシード。戦極ドライバーに嵌め込んで使うことによってメロンアームズへ変身できる。
専用アームズは近接・投擲武器としても使用できる大盾・メロンディフェンダー。

仮面ライダー斬月・メロンアームズ:貴虎が戦極ドライバーとロックシードを使い変身した姿。
システムの補助により視覚や聴覚、運動能力などが大幅に増大する。
前述のメロンディフェンダーと銃剣・無双セイバーを駆使した白兵戦を得意とする。
ただし科学兵器であるためそのままでは霊体であるサーヴァントにダメージを与えることはできない。

【能力・技能】
生身で新世代アーマードライダーの攻撃を受け止めるなど、並外れた頑強さと生命力を持つ。
また、アーマードライダーとしての力量自体も原作に登場する誰よりも高く、ロックシードの性能差をも覆す。

【所持金】
大富豪

【人物背景】
ユグドラシルコーポレーション研究部門のプロジェクトリーダー。
ヘルヘイムの森の浸食に備え人類のうち十億人のみを生き残らせる計画「プロジェクトアーク」の責任者でもある。
ノブレス・オブリージュを信条とする責任感の強い人物であり、逆に覚悟や責任といったものを持ち合わせず遊びに興じるビートライダーズには冷ややかな目を向ける。
その一方弟・光実をはじめとした身内に対しては甘く、自らの信頼とその対象を疑うことができず光実からは「一番信用しちゃいけない人ばかり信用する」とまで評される。
ある時オーバーロードインベスと接触したことを機にプロジェクトの方針を転換。
葛葉紘汰と結託し犠牲を出さない方法を模索しようとしたが事前にオーバーロードの存在を知っていた部下からの裏切りに遭う。
一命は取り留めたもののゲネシスドライバーを失い、変身できない状態でオーバーロードの王・ロシュオに捕らえられる。
やがてオーバーロードが本格的に地球侵攻へ動き出すと用無しと見做され解放される。
紘汰と接触しようと行動する中、光実がオーバーロードの手先になっていた事実を知る。
責任を感じた貴虎は光実と決着を着けるため自宅に保管していた戦極ドライバーとメロンロックシードを手にした。
本聖杯戦争の貴虎はドライバーとロックシードを取り戻してから光実との決闘に赴くまでの間から参戦している。

【方針】
何をするにも神殿を形成し、魔力を集めなくては何もできないため序盤は雌伏し情報を集める。
場合によっては斬月の仮面で正体を隠して敵マスターを襲撃することも視野に入れる。

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