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【 ベタオリ論 】 そのⅲ

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【 ベタオリ論 】 そのⅲ


 【 ベタオリ論 】第3回。
 今回は 『 一人リーチ 』 の局面におけるベタオリを、実戦の例をまじえ個別の対応などをみてみよう。

 まず原則として、【 デジタルベタオリ 】では牌の安全度の高い順に落としていく、というものであった。
 ツモった牌が安全そうな牌だから切る、というのではなく、より安全度の高いものがあればそちらを切っていく。

 というのも、リーチ後に和了決着がつくのはリーチ後5巡目ぐらいまでが50%ほどを占める。
 よって、細心の注意を払ってその巡目までは生き残らなくてはならない。
 他家が放銃するかもしれないし、ツモられるかもしれない。
 ベタオリ後、流局まで粘れる局面は全体の10%強ほどしかない。

 ではまず例を見てみよう。

 東4局 2本場 24500 2位

 下家 捨て牌

  リーチ

 手牌 :

   ツモ 

 ● 4位の下家がリーチ。変則的でなんとも不気味な捨て牌である。
   タンヤオサンショクを狙っていたが、放銃すると3位に転落もありえるのでベタオリすることにする。
   当然現物の  切り。

   ツモ 

 ● 2枚切れの  をツモる。充分通るであろう牌である。
   しかし、優先順位に照らし合わせれば、

   【 現物 】(ランクⅰ) > 【 2枚以上切れた役牌 】(ランクⅱ)

   なので、  から切る。
   この局は最終的に流局した。

 このように、  は充分通る牌であるが、ベタオリの基本法則に従い  から切れるようになろう。
 この局では  を切った次の巡目に上家もリーチ。
  を取っておいたので安全にベタオリすることができた。

 『 一人リーチ 』 という局面において、最も安全な牌は【 ランクⅰ 】の現物牌である。
 単純に言ってしまえば、この現物牌だけを切っていてもベタオリは可能である。

 では【 現物牌 】とは何か。

 ① リーチ前にリーチ者が切った牌
 ② リーチ後にリーチ者が切った牌 【 重要 】
 ③ リーチ前後に関わらずリーチ者が鳴かれた牌 【 重要 】
 ④ リーチ後に自分を含めて他者が切った牌 【 最重要 】

 ①は誰でも注意するのだが、②~④は初心者が忘れがちな項目である。
 特に③は見落としやすい。河だけ睨んでいても安全牌は増えない。
 ④はぼーっとしていると、他家の捨て牌のどこからがリーチ後に切った牌なのか曖昧になることがある。

 リーチ後、イッパツで切った他家の牌くらいは覚えておくように。

 さて、ベタオリの際に【 現物牌 】ばかりを切ることが出来ればこれほど楽なことはない。
 ほとんどの局面では自分も和了に向かっているので、安全度の高い牌ばかりを手に持っているわけではないからだ。

 そんな局面ではどうすればよいか。
 次の例を見てみよう。

 東2局 0本場 37000 1位

 対面 捨て牌

  リーチ

 手牌 :

   ツモ 

 ● 対面の早いリーチ。トップ目でもあるし、充分形とも言えないのでオリたいところ。
   現物がない状態でドラの  を持ってきてしまった。
   ここで最も安全ランクが高い牌は、

   【 無スジ19牌 】(ランクⅵ)

   の  となり、これを切ることにする。
   イッパツなので切りたい牌ではないが致し方ない。1枚通ればもう一枚切れる点も良い。
   実戦では2枚目の  を切った後、上家が放銃。

 早いリーチに対しても、同じように手牌の中で相対的に安全度の高い牌を切る。
 そういった際のポイントは、

 ○ 同じ牌を複数枚切れる牌を選択する

 ということ。この枚数は多ければ多いほど良い。
 1枚より断然2枚の方が良いし、2枚より暗刻落しの3枚の方が良い。ときには4枚ということだってあるだろう。

 数巡の安全が確保されれば、それだけ安全牌の枚数は格段に増える。
 先ほどの注意点をお忘れなきよう。他家が切ってくる牌も【 現物牌 】として増えていくのだ。
 よって1巡よりは2巡、2巡よりは3巡の安全が確保されればそれだけベタオリしやすくなる。
 既出のとおり、リーチ後は5巡目まであたりが最も危険なのだ。

 では次に、『 ベタオリする局面 』を簡単にまとめてみよう。

 オリる局面というのはそれこそ数限りなくあるもので、すべての条件を網羅することはできないのだが、以下のポイントに絞れば
 よりわかりやすいだろう。

 1. 他家との差が大きいトップ目のとき
 2. 手が高くならない、または非常に遅いとき
 3. ドラ・赤牌など、放銃した際に相手の得点を上げてしまう牌が孤立しているとき

 以上、3点を忘れなければ放銃はぐっと減る。

 1.は大きく点数を稼いでいるので、無理に放銃の危険を冒すことはない局面である。
 トップ目でもガッツリ和了に向かわなければいけない局面も多いのだが、概ねオリ気味で打って良いと思う。
 2.が最も難しくかつ広範囲にわたっている。このあたりは各人で基準を設けると良い。
 『 ザンク以下ならオリ 』『 2シャンテン以下ならオリ 』などの基準があるのとないのとでは成績に差が出てくるだろう。
 3.はピンポイントの局面で誰しも迷うところである。
 無造作にドラを切り飛ばすような雑な麻雀は控えたい。ドラを切って勝負するにはそれなりの理由があるようになりたいところ。

 ではそれぞれの例を見てみよう。

 例1. 他家との差が大きいトップ目のとき

 東3局 0本場 41000 1位

 対面 捨て牌

  リーチ

 手牌 :

   ツモ 

 ● 早いリーチである。ダントツでもあることだし、和了する気は毛頭ない。
   幸い現物の  をツモってきた。これで現物牌が

     

   になったのだが、このどれを切っても良いのかというとそうではない。
   上家の動向を見ると、マンズのホンイツの路線が濃厚である。
   そうなると、危険度は

    (ランクⅵ) >  (ランクⅳ) >  (ランクⅱ)

   になるため、ここはいま切られたばかりの  を切る。
   この手は  を落とした直後に下家が放銃した。

 例2. 手が高くならない、または非常に遅いとき

 東1局 0本場 配給原点

 上家 捨て牌

  リーチ

 手牌 :

   ツモ 

 ● 手が重く、8巡目であるが面子なしの状態。ここはさっさとオリである。
   リーチ直後に  をツモったが、初心者はこの  を無造作に切りすぎである。
   ここでの候補は  か スジ牌の  であるが、【 リーチ宣言牌または直前の37牌 】はランクⅵとなかなかに危険である。
   ここは、

    (ランクⅰ) >  (ランクⅵ)

   となり、  を落とす。2枚連続して落とせるのもポイントである。
   風牌や役牌を一鳴きしないのは、こういったときのために備える、という意味合いが最も強い。

   実戦では  をツモられた。

 例3. ドラ・赤牌など、放銃した際に相手の得点を上げてしまう牌が孤立しているとき

 東1局 0本場 38000 1位

 上家 捨て牌

  リーチ

 手牌 :

   ポン  ツモ 

 ●  ドラ であり、全然オリる手ではないのだが、  の辺塔と、浮いたドラ  の処理に困る可能性が高い。
   よって、トップ目でもあることなのでこの局面からベタオリ。

   【 現物 】(ランクⅰ) > 【 1枚以上切れたオタ風牌 】(ランクⅱ) > 【 1枚切れ役牌 】(ランクⅳ)

   なので、

    →  →  →  → 

   と落としていく。
   実戦では2枚目の  を切る直前にツモられた。

 早い巡目の一人リーチに対しては、手牌の中に余裕もあることなので、対応に窮することはあまりない。
 問題は自分の手も中張牌でいっぱいになっている中盤である。

 そういった場合の対処法はケースバイケースになることが多いのだが、基本は同じである。
 では例を見てみよう。

 東1局 0本場 配給原点

 下家 捨て牌

    リーチ

 手牌 :

   ツモ 

 ● かなり煮詰まってからの親のリーチ。こういう終局間際はより一層気をつけなければならない。
   リーチ者の手牌も、待ちが二転三転している場合もあり、素直な待ちでないことも多い。
   特に、リーチ者だけではなく、他家の動向にも注意が必要である。聴牌を継続していた散家が、触発されて追っかけリーチ
   という展開も大いにありえるからだ。

   手牌を見ればもう行く手ではないので、現物の  切りである。
   ここで【 スジ 】を頼っての  ツモ切りは非常に危険である。

 以上のように、【 ベタオリ 】自体はそれほど難しい技術ではない。
 だが、概ね初心者はツッパりすぎである。
 自分の放銃率を鑑みて、オリる局面の定義づけを行うと良いだろう。

 次回は【 2者リーチに対するベタオリ 】を考察してみたい。


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