| + | Ver3.5 DS | 
		| 全長 | 12[meter] |  		| 重量 | 中の天使の魂により重く |  		| 最高速度 | 中の天使の魂により速く |  		| 役割 | 神の軍団の先駆 |  		| 現在の主人 | ミカエル |  		| かつての主人 | ラファエル |  		| イラストレーター | もりお |  
		| フレーバーテキスト |  		| 白き翼、ミカエルは告げた。 
 ――主はおっしゃった。地上の子羊らは主への愛を忘れた。
 ならば、我々も地上の子羊らへの愛を忘れよ、と。
 子羊らの欲にまみれた心が、間もなく地上に地獄の門を開く。
 主は決断なされた。地獄から這い出る悪魔もろとも、地上の全てを滅ぼし、浄化することを。
 天使達よ。黙示録の時は来た。地上へと降り立ち、主の命を果たすのだ。
 
 そして今、ソロネの群れは地上へと舞い降りた。
 その車輪は赤く染まった轍を作り、神に逆らう躯の道を敷き、神の軍団を地上へと導いた。
 人間が作り出した一切は、瞬く間に彼らによって踏みしだかれた。
 
 地上に広がっていく惨状が物語る通り、主に忠実たる天使たちの魂を宿した、
 “神の車鎧”である名も無きソロネたちに、地上へと神の鉄槌を下すことに迷いはなかった。
 
 しかし、その中の一体。アケローンでの聖戦以前より仕える古びたソロネは、地上に降り立って後、動くことができないでいた。
 
 原因は、聖枢であるシステムの根幹に起きた致命的なエラー。
 その要因となったものは、目の前に立つ小さな天使であった。
 
 その天使は、天使であるにもかかわらず、黒き羽を持ち、
 地上に溢れ返る悪魔を殺すと共に――天使をも殺していた。
 車鎧は、自身が生まれ出でてより見たこのないこの不可思議な天使を、神敵として屠るべきか否か判断しかねていた。
 
 黒き天使は自分を見下ろす巨大な車鎧に気付くと、けだるそうにその巨躯をねめつけた。
 
 「フン、ソロネか。自ら考えることなく、ただ神の言葉に従うだけの豚が…
 ほら、かかって来い。私は自由だ。何者であろうと私を否定するものは殺してやる
 ――特に、神の家畜どもには容赦しないぞ」
 
 ――この黒き天使は、天使でありながら、
 こうして神の尖兵たる自分に立ち向かって来ようとしている――はやり、神敵であるのか――
 
 車鎧は、尋ねた――お前は、天使なのか、と。
 
 臨戦態勢にあった黒き天使は、思いがけない車鎧の質問に虚脱し、眉をひそめた。
 
 「天使? 馬鹿言うな、キサマも含めて、
 そいつは私がこの世で最も殺してやりたい奴らのひとつだ」
 
 ――では、悪魔なのか。
 
 「いろいろとやかましいソロネだな。あんな気色の悪い奴らと一緒にするな。
 あたしはフィオだ。それ以外の何でもない。
 私は、目と耳をふさいでただ神に群がる奴らと、私の前に立ちはだかる奴らの全てを殺してきた。
 今もただ、ここにいけ好かない天使共が集まっているというから来てみただけさ。
 …けど、こいつらはどこかおかしいな。いつもなら神、神、と煩いこいつらの魂の向こうに、神の野郎を感じない」
 
 ――何故、神に逆らう?
 
 そう尋ね、車鎧は、自分のした質問に驚いていた。
 ただ先陣を切り、神の敵を屠ることのみを使命とするソロネには、
 決して思いついてはならない概念だった。
 
 だが、同時にその理由にも気付いた。
 それは、かつて彼が目にした、今の大天使に仕える以前、
 彼が仕えていたある“主人”の所業のせい
 ――その主人の“戦い”に従事したソロネ達は大天使により全て処分され、
 生き残ったのは偶々戦列から離れていた自分だけだった――
 
 「決まっている」
 
 ――しかし、何故、今そんなことを思い出している――
 今の今まで忘れていた――何故、“あの方”を忘れていた――そうだ――あの時、大天使の手が――
 
 「私にとって、神が間違っているからだ」
 
 車鎧に衝撃が走った。彼はその言葉を知っていた。
 それは、かつての彼の主人の言葉――主に最たる寵愛を注がれ、
 故に主に手を上げ姿を消した熾天使の言葉――神への真の愛のあり方として、
 今は亡き多くの仲間たちと共に聞いた、あの言葉だった。
 
 気付くと、全てのエラーは解消されていた。そして、車鎧は“今すべきこと”をはっきりと理解し、黒き翼に告げた。
 
 「――私についてこい…だと? ハッ、私と戦うでもなく、か。
 もの好きな天使もいたものだな。…面白そうだ、付いて行ってやるよ。それも、私の自由だ。」
 
 黒き天使が翼を広げて飛び上がるのを確認すると、
 車鎧は黒き翼を置いて行かぬように気を配りながら、ゆっくりと移動を始めた。
 
 その行く先は、この戦場のある一点――彼はそこに、さきに悟ったこの黒き天使の正体と、同じ輝きを持つ魂の存在を感じとっていた。
 
 ...to be continued
 
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