ある者は悲しみに囚われながらも主催者への反抗を決意していた。
ある者は探し人とすれ違い、それでも会おうとしていた。
ある者は探し人の死を知らず、しかし、やはり会おうとしていた。
ある者は失った仲間のことを、殺せなかった標的のことを、見失った同行者のことを、偉大なる主のことを、親愛なる友人のことを――
託された任務を
託された魂を
苦楽を共にした幼馴染みを
苦楽を共にした親友達を
見捨てることになった犠牲者を
捨て石になった犠牲者を
任せられた命を
果たすべき使命を
信頼できる仲間を
利用している道具を――
恐怖を、愉悦を、打算を、計算を、逃避を、計略を、苦悩を、義務を、興味を、疲労を、困惑を、混乱を、狂気を、酔狂を。
ゲームが始まってわずかに六時間。
十三人の死者と四七人の生者を前にポーキー・ミンチの放送が始まった。
ぴーんぽーんぱーんぽーん
「六時になりました。みんな大好きポーキーさまのありがたい放送のじかんです。」
「よおお前たち、元気に殺しあってるな。そんなに暗い夜なのによくやってるよ。それとも夜のほうが殺しやすいかな?もお十三人も死にました~。」
「死んだのは
三沢真帆
九十九遊馬
風間トオル
雷刃の襲撃者
骨川スネ夫
レックス
香椎愛莉
赤座あかり
歳納京子
の十三人で~す。――ゴホッ、ゲハッ、ゴホゴホッ‥‥」
「ハァ‥‥ハァ‥‥次は何だっけ?‥‥ああ、名簿にないやつらの紹介だっけ。」
「じゃあ繰り上げ合格したお友達の紹介で~す。
ドルベ
トロン
鹿目タツヤ
歳納京子
の五人。あれっ?もう二人死んでる?もっとがんばんなきゃだめだぜ。」
「あ、そうそう一番大事なこと言い忘れてた。おまえらにどうすれば優勝するっていってなかったっけ。なんで今から優勝する方法を決めま――ゲフッ、ハァ、ハァ。」
「――ふぅ、じゃあなににしようか。なんかよさそうなの――ああっ、じゃあこうしよう。みんなで手をつないでよ。数は――じゃあ二四人。一人でも多かったり少なかったりしたら――ゴフッ――だめだぜ。二四人で輪になって手をつないでよ、そしたら優勝。」
「超簡単だよね。今生きてるやつの半分は生きて帰れるとかポーキーさまやさしい。」
「あー、でも殺すのが好きってやつも――ゲホッ、ゴフッ――いるみたいだね‥‥じゃあ、半分。半分の十二人殺したら優勝でいいよ。MVPとしてなんでも一つ願いを叶えてあげるよ。でもつまんない願いなら殺すぜ?」
「タイムリミットは六時間。それまでに優勝できるかな?まあ安心してよ。優勝者が出なかったらまた新しいルールブック考えるから。じゃあね。」
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
「あっ、言い忘れてた。禁止エリアを発表しゲホッ、ゲフッ、ハァーハァー‥‥」
「ハァ‥‥あぁ‥‥じゃあE1とE5とA5の順に禁止エリアにするから‥‥ゲフッゲフッ!ハァ‥‥あとは
ルール見ろ‥‥」
「ゲフッ。」
最終更新:2014年06月02日 07:35