「臨時ニュースをもうしあげます。
ポーキーさまの言う通り殺し合っているよい子も、ポーキーさまに逆らおうとする悪い子も聞いて下さいね」
この舞台で殺しあう全ての少年少女の元へ、なんの前触れもなく気取った声が響いてきた。
どこから響いてくる、あからさまな機械越しの音声。
それは紛れも無くポーキーのものだったが、音量などが補正されているのか、はじまりの場所で聞いたポーキーの肉声よりずっと聞きやすかった。
「楽しくやっている奴も、楽しくやっていない奴もいるみたいだな。
お前達がどう思ってるかどうかなんて、僕には関係ないけどね。
でも、あんまり面白くない事ばかりやってる奴は、面倒だから殺しちゃうぞ。
僕がたいくつじゃないか」
あらかじめ自分を落ち着かせてから口を開いているのか、ポーキーの台詞は咳などをする様子もなく流暢に紡がれていく。
或いは、放送用に合成音声を使っているのかもしれない。
「そういえば言い忘れたんだけどさ、この殺し合いには禁止エリアって奴があるんだ。
そこに入ると首輪が爆発する。君達が引きこもってばっかりだと、僕がつまらないだろ?
……
ルールには書いてあったかな?」
その言葉を境にして、放送はしばらくの間無言で止まった。
大方、近くにいる誰かに確認させているのだろう。
「ある? じゃあ問題ないよね。ルールを読まない方が悪いんだからさ……読んでない奴はちゃんと読んでおくように。
禁止エリアは7時からBー7、9時からA―3、11時からGー4だ。
まだ始まったばかりだから、君達が動きやすいよう注意して決めてるんだ。僕は気が利くからね……
ついでに気を利かせて、誰が新しく参加したかと誰が朝までに死んだか言おうか。
新しく来たお友達は
ドルベ、トロン、
鹿目タツヤ、歳納京子、
ジークの五人だ。
仲良くやらないと駄目だぞ……あ、こいつらはもう二人死んでるんだっけ?
じゃあ次、死んじゃった奴の発表。
鹿目まどか
李小狼
三沢真帆
九十九遊馬
風間トオル
雷刃の襲撃者
骨川スネ夫
レックス
香椎愛莉
赤座あかり
ドルベ
歳納京子
野比のび太
以上、13人。
つまんない死に方をした奴もいれば、傑作だった奴もいたよ。
博士が光ったとかさ、まぬけすぎてさぁ、あははははは、あは、ゲホッ、ハァーハァー」
今までとは微妙に違う様子の声が響いた直後、笑いすぎたポーキーが咳き込み始める。少なくともこの感想は自分で喋ったらしい。
十秒ほどポーキーの呼吸が乱れている様子が続いた後、ようやく放送が再開された。
「ゼイゼイ……ああ、言ってないと言えば何をどうすれば優勝かも言ってないんだっけ。
でも、言ってあげません……うそ、うそ。僕はいい奴だから教えてやるよ。
じゃあ、言うぞ。ちゃんと耳を澄ませてくれよ。
僕を一番楽しませた奴が優勝だ。やり方はなんでもいいから、僕を満足させるような殺しをしろ。
あは、あはははは、べろべろべー!」
果たして本気でそういうルールを設定しているのか、或いは嘲るために適当な嘘をでっちあげただけなのか。
ポーキーは全く何の目安にもなっていない言葉を言い残して、放送を打ち切った。
それはルールとしても冗談としてもあまりにも無茶苦茶で……「子供のわがまま」と言うべき内容だった。
最終更新:2014年06月02日 07:36