その星の名は、雷炎(らいえん) ◆OmtW54r7Tc
星光の殲滅者――通称シュテルは、この殺し合いに連れてこられる直前のことについて考える。
自分は、雷刃の襲撃者――レヴィと共に、暴走するシステムU-D――後で調べてユーリ・エーベルヴァインという名を知った――と戦い敗れ、その力を闇統べる王――ディアーチェに託して眠りについたはずだった。
そして、次に目を覚ました時には、あのポーキー・ミンチという老人のところにいて、こうして殺し合いの舞台に立っているというわけだ。
理を司るマテリアル――シュテルは考える。
殺し合いをしろとは命じられたが、その勝利条件は特に伝えられなかった。
スマートフォンで
ルールの記された項目を読んでも、それは不明だ。
普通に考えれば、最後の一人になるまで、というのが条件であるというのが妥当だろう。
一人になれば、殺し合いは成立しなくなるからだ。
あるいは、別の条件があるのかもしれないが――
「問題は、ディアーチェの行動ですね。我らが王はこの場でどのように動くのか…」
彼女の傲慢で他者を塵芥と呼び見下す性格を考えれば、殺し合いに乗っていてもおかしくはない。
しかし同時に、ポーキーへの怒りを募らせ叛逆を試みる可能性も高い。
「どちらにしても…まずいですね」
殺し合いに乗っていたなら、当然多くの敵を作ることになり命の危険が伴う。
逆に殺し合いに乗っていなかったとして――あの性格を考えれば他人との協調をできるかどうかも怪しく、やはり多くの敵を作ることになりそうだ。
「それならば…私の為すべきことは、敵の殲滅」
ディアーチェが多くの敵を作るというのなら、自分はその敵を減らす。
敵を減らすことは、それだけで彼女の安全は高まるはずだ。
この殺し合いの勝利条件は不明だが、ポーキーが自分たちに殺し合いをしろと命じたのは確かだ。
故に、勝利条件がなんであれ、殺し合いに乗ることにマイナスな要素がある可能性は低い。
「我らが王を…闇統べる王を、ここで失うわけにはいきませんからね」
彼女は、ユーリ――紫天の盟主をこの手におさめ制御するための…いや、破壊の衝動から救うために、自分とレヴィが希望を託した、なくてはならない存在だ。
彼女は――ディアーチェだけは、絶対に生き残らせる。
「たとえこの身が朽ち果てようとも…絶対に……!」
「! この音は……!」
少し離れたところから聞こえてくる爆発音。
どこかで、戦闘が行われているのだ。
「いきましょうかルシフェリオン――我らが悲願の為に」
シュテルがその場に訪れたその時には、全てが終わっていた。
目の前に広がるのは、3つの死体。
二人の少年の遺体が、重なり合うように横たわっている。
そして、少し離れた場所にあったのは…
「レヴィ……!」
初めにシュテルを襲ったのは、衝撃であった。
しかしすぐさま思考を切り替え、この場所で何があったのかを考える。
左目に眼帯のようなものをしている少年はともかく、もう一人は明らかに幼いただの子供にしか見えない。
まあ、なのは達のように年少でも強いものがいるため断定はできないが…どちらにせよ、こうして重なるように倒れているという事は、この二人は仲間であり、殺し合いに乗っていた可能性は低い。
そうなると、おそらくレヴィは…
「あなたも…私と同じ道を選んだんですね、レヴィ」
二人の少年とレヴィが組んでいて、第三者によって全滅させられた、という可能性もなくはないだろう。
しかしシュテルは、不思議とその可能性を頭の中で排除していた。
なんとなくだが、この子は自分と同じ道を選ぶだろう、という予感が胸の内にあったのだ。
レヴィの性格を考えれば、遊びと称して喧嘩を吹っ掛けたという可能性も考えられるが、しかしそれは絶対にありえないだろう。
何故なら、彼女の表情は、とても楽しそうな表情などしておらず、むしろ苦しそうな顔をしていたから。
もしも遊びで喧嘩を吹っ掛けただけならば、死ぬその瞬間でも楽しそうな表情をしていたに違いない。
「レヴィ…あなたは優しい子でした。私よりも、ずっと」
先ほど同じ道を選んだといったが、正確には違う。
自分は、ディアーチェだけの生存を考えて殺し合いに乗ると決めた。
決してレヴィの身を案じていなかったわけではないが、それは事実だった。
だが、おそらくレヴィは、ディアーチェだけでなく、シュテル――自分の事も、助けようとしてくれていたと思う。
ユーリを救うために必要だとか、そういう難しい理屈など抜きにして、ただ単純に仲間である自分たちの無事を願って。
あの子は――レヴィは、そういう子だ。
「ありがとうございます、レヴィ…私たちの為に、戦ってくれて」
(シュテるん)
「レヴィ?」
声が聞こえた気がした。
聞き覚えのある愛称。
間違いなくこれはレヴィの声だ。
周囲に残った魔力の残滓が、彼女の意思として現れたのだろうか。
(王様のこと、守ってあげてね…僕の力、預けるから)
その言葉と共に、レヴィの身体は静かに消えていった。
「レヴィ…あなたは、本当に優しい子です」
シュテルの身体には、変化が生じていた。
その背中には、水色の魔力光を象った羽が生えていた。
シュテルは3つのランドセルを回収する。
さすがに4つのランドセルを持ち歩くのは非効率なため、自分のランドセルにすべて荷物を入れた。
このランドセルというカバンには、なにか特殊な魔力が施されているのか、どれだけ入れてもいっぱいになることはなかった。
ランドセルの中身を移し替えると、シュテルは倒れている二人の少年のうちの一人――九十九遊馬の腕にあるものを取り外した。
「これがルールに書かれていたデュエルモンスターズカード、というものでしょうか」
遊馬の周りには、何枚かのカードが散乱していた。
シュテルの手元にあるカードとは違ってモンスターの絵柄が消えており、ルールの中に書かれていた「一度使用されたカードは使った戦闘の終了以降は使用不可」という項目を思い出し、使用済みであることを示しているのだと察した。
「これは使えそうですね」
ルールの記述を見る限りではこのカードは戦闘に使えるらしい。
実際、元の持ち主である少年はレヴィとの戦闘でこれを使って戦ったのだろう。
絵柄のモンスターを召喚して戦わせるのだろうか。
ともかくシュテルは、決闘盤を腕に装着し、遊馬の持っていた用途のよく分からない機器、ついでに使用済みのカードも念のために回収すると、その場から離れた。
その背に、水色の光を発する羽を纏いながら。
「レヴィ…あなたが託したこの力、存分に使わせてもらいます」
レヴィは自分の中で生きている。
彼女の託した願いに報いる為にも、ディアーチェを守るためにも…負けるわけにはいかない。
「さあ、いきましょうか…血で血を洗う戦場へと」
友の死を悼む時間は終わり。
ここからは、殺し合いという過酷な現実と戦う時間だ。
「雷刃の如く素早く、熱き炎で敵を燃滅します!」
【A-2/深夜】
【星光の殲滅者@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:健康、レヴィの魔力を引き継ぎ
[装備]:ルシフェリオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ、決闘盤(遊馬)&D・ゲイザー@遊戯王ZEAL、デッキ(遊馬)@遊戯王ZEAL
[道具]:基本支給品一式×4、ランダム支給品3~7
[思考・行動]
基本方針:ディアーチェを守るため、殺し合いに乗る
1:参加者は見つけ次第、燃滅
2:ディアーチェと合流したい
※A’s PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-のSEQUENCE10、消滅後からの参戦です
※レヴィの魔力を引き継ぎました
詳細は不明ですが、雷の魔力変換を行えるようになったかもしれません
最終更新:2014年03月11日 20:00