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涙の向こう側 ― 第3部

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lupinduke

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涙の向こう側 ― 第3部
The Far Side of Tears, Part Three
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フリーポートのセイジより購入できる本です。
もちろん、購入後クエストをクリアしないと読める形にはなりません。

 涙の向こう側 ― 第3部

この一連の書の第3部では、”戦禍の時代”におけるフリーポートの軍艦L.M.S. Assault号が、それまで追跡を受け続けていた謎の同型艦の正体をついに知ることになる。

その計略は危険を伴うものだったが、フリーポートが封鎖されたとすれば、そういつまでも航海を続けられないことは我々全員が認めるところであった。Assault号は当時最高の船であったが、補給なしに食料を乗組員に供給する能力はなかったからだ。艦長は我々に命じて風を帆からそらせ、同型艦が我々に近づけるようにした。ただし、他の船が近づいてきたときには、ただちに帆を揚げて我々に有利な位置につくつもりだった。 最終的な狙いはもちろん、あの同型艦の舷側に船体を寄せて乗り込むことだった。それまでAssault号は敵兵に乗り込まれたことはなかった。我々乗組員は白兵戦に備えて万全の体制を整えていた。このことは艦長があの船に追いつかせようとしたもう1つの理由だった。しばらく補給を受けられないとすれば、乗組員は困窮するばかりだろう。我々の船に有利な時と場所を選んで戦うことで、艦長は我々が冒す危険を最小限に抑えようとしたのだ。
夜の暗がりで星だけが光を放ち、”涙”は恐ろしいほどの、そして見せかけの静けさに包まれていた。我々は、相手が近づいてくる水音を聞き逃さないよう静かにしていろ、と艦長に命じられていたのだ。我々の船からはフリーポート港の巡視にあたる船の灯りが見えたが、遠すぎて音は何も聞こえなかった。どんな任務でも、待つということはいつも一番辛いことだった。その遂行に我を忘れる代わりに我々にできたのは、ただ任務について思いを巡らすことだけだった。 我々は待ち続け、ようやく港の光を背にした同型艦の影をこの目で捉えた。その船は速度を落としてはいたが、暗い色に染まった海面を依然として軽快に移動しながら進路を我々に合わせていた。やがてその船が良い頃合いまで近づいたと見るや否や、艦長の合図で乗組員たちは一斉に帆を揚げた。このとき我々は、星の光を反射させて位置をすぐに悟られてしまうことを避けるために黒い帆を使った。
相手の船は滑るようにどんどん近づいてきた。すでにその白い帆が我々の目にはっきりと映り、もはや海上の単なる影ではなかった。我々はその船に舳先を向け、船内に乗り込むべく接舷させるための進路を取った。艦長をはじめとする我々乗組員の腕のおかげで、相手の船に進路変更の隙を与える間もなく、船上の乗組員の驚きの表情が見えるほどに船を寄せることができた。今度は奴らを追い詰めたのだ。 彼らはフリーポート港に向けて逃げ出そうとはせず、我々の乗船を阻むように向きを少し変えただけだった。しかし、我々のほうは相手の動きを見定め、進路を修正しながらその船に動きを合わせた。だんだんと互いの距離は詰まっていった。「あの船の名前を見て」船酔いに悩まされていたあの少年が、嘔吐をこらえながらかすれた声で言った。その船にはDevastatorという名が記されていた。
ジリジリと距離を詰めるにつれ、Devastator号とAssault号の酷似ぶりが次第に明らかになってきた。前の船主だった織物商人のためにAssault号を建造した船大工が、何らかのねらいで同型艦を建造したことは明白であった。それがもともと軍艦として作られたのか、あるいは商船から改造されたのか、我々にはわからなかった。だが我々は、長年見慣れたその外観のおかげで、船上での白兵戦に先立ってその船の様子を隅々まで把握することができたのだった。 敵の船が攻撃範囲に入るとすぐに、我々はひっかけ鉤を投げ込んでしっかりと敵船を捉えた。当然ながら、奴らもまた同じように我々の船をめがけてひっかけ鉤を投げつけてきた。我々の船上にいた船酔いの少年は、ずっと下を向いていたのですぐそのひっかけ鉤に気づき、嘔吐の合間をぬってナイフでその綱を切断した。双方の船は互いに引き合い、最初の衝突が起こると、我々の熟練乗組員数十名がDevastator号の船体に飛び移って登り始めたのだった。
Devastator号を操るオークたちは獰猛だったが、頭数が少なく、数の上では我々が有利だった。オークたちには、Assault号に乗り移る兵力も、Devastator号に乗り移った我々を撃退する兵力もなかったのだ。私の役目はAssault号を守ることだったが、その指揮所からはオークどものあいだに血路を開いて切り結ぶ艦長の姿が見えた。 接近戦の達人でもあった艦長は、Devastator号の艦長をあっという間に降伏させたのだった。こうしてわずか数分で戦いの勝負は決し、オークたちの遺体は我々の手で海に投げ込まれた。いまや我々は、素晴らしい船を2隻も手中におさめたのだ。やがて”涙”の上に太陽が昇ったが、我々には安全に入港できる船着き場のあてが依然としてなかった。新たに始まったこの日のうちにも、きっとそのあてが見つかるだろう。

 
この手の海戦の描写を見ていつも思うんですが、基本的にNorrathでは大砲撃ったりしないんですね。
基本的に銃器の類がありませんし、その手の飛び道具はTimorous Deepの蒸気圧でスパイク撒く機械か、Zekでよく見るカタパルトの類くらいでしょうか。
アレもまぁ、Kunark独自の技術っぽい話をしてましたし、カタパルトもあくまで陸戦で使うもんです。

火薬はあるんだし、大砲が開発されれば海戦は変わる…とか言い出すと、冒険者の仕事が無くなるので聞かなかったことに。

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