マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

5-715

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
715 :ツチノコ採り アルラン : 2009/01/31(土) 02:14:23 ID:HHXJQ6Q+
ありがとうございます。
以前に「胡桃に酒」というタイトルで書いたのがありまして
その続きです。
※エロなし

早朝、ランカとアルトは虫かごと網を持って、裏山に向かっていた。
ツチノコを掴まえるためである。
なんでこんなことに・・・ 前方でぴょこぴょこ揺れる緑の髪をぼんやり見ながら、
アルトは寝ぼけ眼をこすった。
今日は貴重な休日なのだ。アルトはむさぼり寝たかった。
それが今朝の7時にランカの携帯で叩き起こされたのである。

「はぁ・・・?ツチノコを捕獲しに行く?・・・何言ってるんだおまえ」
『昨日アルトくんが言ったでしょ、お目にかかれるもんなら見てみたいって』
「言ってない」
『言ったよぉ!いるわけねーよって言った後に。だからトクベツに見せてあげるから』
「見せていらない、じゃあな、おやすみ・・・」
『待って!まーって!分かった、じゃあね、掴まえたら映像送るから。楽しみにしててね』
「バカなことしてないで家でおとなしくしてろ」
『大丈夫、絶対掴まえてあっと言わせてやるんだから。じゃあね、起こしちゃってごめんなさい』
「待て!・・・まじで独りで山行く気か?」
返答を聞き、しばらくの沈黙の後、アルトは唸るような声でランカに時間と場所を言った。

そういうアルトの甘さが、ランカを増長させる要因でもあるのだが、
なんだかんだでランカをほっとけないのはアルト自身の気質でもあるのだから仕方がない。
とにかく待ち合わせ場所に行って、ランカを一括し、帰らせるつもりだった。
短パンにジャージを羽織り、虫かごと網と麦藁帽子を装備し、気力を充実させたランカが
アルトを出迎えた。
「アルトくん、おはよう!」
キラッ☆と星が出てきそうな笑顔で、ランカは手を振った。
「帰るぞ」開口一番にアルトが言ったので、ランカは「ええーっ、どうして?!」と
失望のあまり蒼白になった。
「ツチノコなんかいるわけねーだろ。ほら帰るぞ」
「一緒に採りにきてくれたんじゃなかったの」
「バカ。もともといねーやつを採ることなんか出来ねーよ」
腕を掴まれて、ランカは足を踏ん張った。
「でもわたし、本当に見たんだよ」
「だからそれはヘビ。勘違いしてるんだろ」
「でも、わたし・・・」
「あーもう!」
血圧が上がりきっていない状態のアルトは、深い溜め息を付いた。
「なんだよ、今日暇持て余してんのか。だったらどっか、つきあってやるから・・・それで勘弁してくれよ」


ランカはぽかんとアルトを見つめ、やがてひどく哀しそうな顔をした。
ランカの大きな瞳に涙が盛り上がったので、アルトは仰天した。
「げっ、ラン・・・っ」
「信じてくれないなら、もういいよ。一人でいくから」
くるりと背を向けてスタスタ歩き出したランカを、アルトは慌てて呼び止めた。
しかしランカは 「アルトくんのバカ!」
と叫んで振り返りもしない。
「ば、ばかだと」
初めてランカに暴言を吐かれたアルトは、飼い犬に手を噛まれた気分でしばし唖然としたあと、
「なんで俺がばかなんだよ」と猛烈に異議を申し立てたくなった。
バカはおまえだろ!山に虫取りにいくのになんで短パンなんだよ!

ランカの涙の理由をちゃんと知ってやるには、まだまだアルトは乙女心を分からなさすぎた。
分からないまでも、とにかくランカを追いかける。
追いかけられるとめんどくさいのに、離れられると急に自分の位置が不安定になって足元がおぼつかなくなる。
俺から離れるとか、ありえないだろうが。
そういう傲慢さが、今はアルトを動かしていた。

----

人の手がしばらく行き届いていない、鬱蒼とした茂みの中を一組の少年少女が彷徨っていた。
「仮におまえ、ツチノコを捕まえたとして・・・」
アルトは眉をしかめてランカの腰に下げられた虫かごを見た。
「それに入れて持ち帰るのか?」
「そうだよ。変かな」
「いや、何が適しているのかは俺にも分からんが」
アルトは何と言っていいか分からず黙った。
虫かごにうねうねと動くツチノコを想像すると、実に気味悪い光景だった。
普通、女の子って、そういうの気持ち悪いって思うものじゃないのか。
それを、ひっ掴まえて持ち去ろうなんて!
変なやつ、とアルトは改めて思った。
「もし掴まえたらどうするんだ。飼うのか。テレビ局にでも売るのか」
「まさか・・・」
ランカは困って、髪に手をやった。
本当のところを言うと、もう捕獲しようとまでは思っていない。
ただ、アルトにも見てもらいたいというのが願いなのだ。
「まあ、掴まえてから議論するか、そういうのは」
はなから見つかるわけないと信じて疑わないアルトは、ばかばかしいとばかりに
肩をすくめる。
アルトの溜め息と、「いねーだろ、もう帰ろう」という言葉を
聞き飽きたランカは、もう何も気にしなかった。
もしかしたら、あの時アルトの言うとおりにして、一緒にどこか遊びに行ったほうが
楽しい時間になったかもしれない。
ランカが喜びそうなところをアルトはそれなりに連れて行ってくれただろうし、
恋人気分になれるような時間を、演じてくれそうな気もした。
けれども、文句言いつつ機嫌を悪くしながらも、付いてきてくれるアルトの優しさのほうが、
ランカには嬉しかったし、本当の彼に触れているような気がした。





茂みの中を網でなぎ払ったり、木の上をつついたり忙しく動き回る。
「おーい。出ておいでよぅ」
「“でておいでよー”でツチノコ出てきたらなぁ、苦労しねーんだよ」
悪態を付くアルトに、ちょっと膨れて睨んでみせる。
(もうぜったい見つけてやるんだから)
勢いよく網を振り回した拍子に、太ももに痛みが走った。
「痛っ」
顔をしかめたランカに、アルトは「おい」と駆け寄る。
「大丈夫か」 「うん、平気。枝が摺れちゃったみたい」
ランカの太ももには、ここ数時間山の中を歩き回ったせいで、結構な擦り傷が出来ていた。
「棘は・・・刺さってないみたいだな」
膝をついて太ももに触れたアルトが確認する。 
傷の痛みよりもアルトの手の温もりを太ももに感じて、ランカは頭がぼうっとした。
「だ、大丈夫だよ、アルトくん」もぞもぞ口の中で言うと、
「ツバ、付けとくか」 アルトが人差し指を舐めて、傷口に塗りつけたものだから、
ランカは飛び上がるほどに驚いた。
「あっ、あっ、あるとくん!!」
「ん・・・?痛かったか。悪い」
アルトは至極真面目な顔で、ランカを見上げる。
そうじゃなくて・・・!顔が熱くて息がしにくい。
心臓がどくどく鳴って、ランカは胸元の服をぎゅっと握った。
アルトはしばらくランカを見つめたあと、ランカのジャージのジッパーをおもむろに開けた。
悲鳴を上げて、飛びずさろうとしたランカを掴まえ、さっさとジャージを脱がしたアルトは、
「これ腰に巻いとけ」
と袖の部分をランカの腰にくくりつけた。
「これなら少しはガードできる」 「あ・・・」
ランカが頷く。確かにそうだった。しかし、上がTシャツだけでは少し肌寒い。
「で、上はこれ着とけ」
アルトは自分の上着を脱いで、ランカに着せた。
「だめだよ。アルトくんが寒い」
無視してアルトは着せてやりながら、「おまえ、さっき何か勘違いしただろ」
とからかうようにランカを覗き込んだ。
「な、何が?してないもん・・・!」
アルトの匂いに包まれて、至近距離に顔を近付けられて、
しかも図星を言い当てられたので、ランカは死にそうになりぶんぶん首を振った。
アルトはくくっと笑っておでこを突いた。
「お化けみてえ」
アルトの上着を着たランカは、余りすぎた袖を両手に垂らして、確かにお化けのようだった。

つづく
人気記事ランキング
ウィキ募集バナー