最初期のデュエル・マスターズの個人的印象は「バロムかっけー」であった。
「闇のクリーチャー以外をすべて消し飛ばす」という強烈な文章は、バロム登場まで見たことがなかったのである。
(当時は「破壊」ではなく「持ち主の墓地に置く」という表現であり、こちらもまた味があるテキストであった)
漫画においても、黒城凶死郎がバロムを用いて黄昏ミミのクリーチャーを殲滅し、トドメを刺したシーンは非常に印象深く残っていた。
しかし改めて考えてみると、これはバロムのインパクトもあるが、そこまで複数に対して介入出来るカードが非常に限定され、かつ高コストであったこと、
それどころか単体除去すら満足に行えなかったという実態があってのことだと思われた。
最初期デュエル・マスターズの特徴は「遅いゲームスピード、手札・テンポアドバンテージの軽視、フィールド・シールドアドバンテージの過剰な重視」にある。
「踏み倒し」など勿論なく、マナブーストにおいても(《グローリー・スノー》といった例外はあるものの)自然文明の専売、かつ鈍重気味であった。
定番の《フェアリー・ライフ》ですら第6弾で初登場である。
それに加えて、有用なCIPを持つクリーチャーも当時は高コストな(進化)クリーチャーに限定されていたのである。
……水文明を除いては。
最初期デュエル・マスターズは文明によって得意不得意がはっきり分かれていた。
光文明:防御(ブロッカー)、タップ、攻撃には消極的
水文明:ドロー、バウンス、軽量
闇文明:除去(スレイヤー)、ハンデス、動きが鈍重・非力
火文明:軽量で攻撃可、ドラゴンがカッコいい
自然文明:マナブースト、パワー高い、相手への介入がほぼ不可
ドローの軽視(《アクア・ハルカス》《サイバー・ブレイン》《ストリーミング・シャイパー》《アストラル・リーフ》《アクアン》)が
すさまじいものだったことは周知の事実かと思われるが、
バウンス(テンポアドバンテージ)が軽視されていたことも非常に大きな要因だった。
「行けえ、(6マナ払って)ボルシャック・ドラゴン!」
「はいはいスパイラル・ゲート、コーライル、サーファー」
……6マナもあれば、「マリン・フラワー ⇒ アストラル・リーフ」の流れが2回出来る。
先述した通り、有用なCIPを持つクリーチャーは限られていた上にコストが高い(水文明除く)。
進化クリーチャーという手を使おうにも、当時は進化元も進化先も総じて高コストだったのである(水文明除く)。
それゆえ、バウンスによるロスは非常に大きかった。
上記に対して、クリーチャーの除去、シールドについては非常に大きいコストがかけられていた。(白鳳がウルスで攻撃する際に「W・ブレイカー」とカッコよく宣言していたのが印象深い)
安定して「W・ブレイカー」を持てたのは6コストからであったし、5コスト以下となると条件付き、または限られた進化クリーチャー(ヴァルボーグ、ヴァルディオス)になるレベルであった。
《灼熱波》《ボルカニック・アロー》《スネークアタック》が(シールド1枚犠牲にするとはいえ)あれだけ破格の効果を持つに至ったのもシールドの価値が高かったからに他ならない。
除去に関しても同様で、バウンスに比べて非常にコストが高く設定されている。
《バースト・ショット》が速攻メタの主力だった。S・トリガーを外せば低コストのものがあったかというと、そんなこともない。
1体除去している間に、水文明は悠々と3体目あたりを出しているはずである。
(代わりといってはなんだが、一度墓地に行ったものを取り戻すことはほぼできなかった。闇文明も含め)
光のラ・ウラ・ギガを始めとする高パワーなブロッカーを延々と出していくだけで、他のデッキは膠着状態になるほどだったのである。
水文明はクリスタル・パラディンかクリスタル・ランサーで悠々飛び抜けてゆくが。
ということで以下の図式が出来上がっていた。
光:有用なCIP持ちがいない、相手を妨害する手段が皆無(ホーリー・スパークで一時しのぎくらい)、物量で押される、高性能ブロッカー出してもパラディン・バウンスで処理される。
闇:闇の除去コスト>>>水の展開コスト。リアニメイト・墓地進化なんて便利なものもなく、あっという間に場・手札ともに圧倒される。
火:なぜだか水の方が早い。手札も減らない。
自然:ブーストしても高マナ域にアクセスする前に倒される、またはバウンスされる。相手を妨害する手段が皆無(マナ・クライシス、ナチュラル・トラップで一時しのぎくらい)。
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