赤単ヴァルタイラー

赤単ヴァルタイラー

キーカード2種の登場によって従来とは別格のスピードで展開できるようになった赤単デッキ
当時暴走気味であった水文明に対するメタ性能もあり、有力な対抗馬となった。

※一旦、第6弾までで構築。第7弾も含む場合は《クック・ポロン》も投入される見通し。

■キーカード

機神装甲ヴァルタイラー  VR  火文明  (2)
進化クリーチャー:ヒューマノイド   2000+
■進化―自分のヒューマノイド1体の上に置く。
■このクリーチャーが攻撃するとき、相手がブロックする前に、自分のシールドが1枚でもあれば、その中から1枚を裏向きのまま選び、自分の手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。その後、バトルゾーンにある、パワー4000以下の水のクリーチャーを1体選び、持ち主の墓地に置く。
■自分のマナゾーンにあるカードがすべて火のカードである間、このクリーチャーのパワーは+3000される。

特急野郎ボージェ  C  火文明  (1)
クリーチャー:ヒューマノイド   2000
■このクリーチャーが相手プレイヤーを攻撃したとき、攻撃の後、墓地に置かれる。

デッキサンプル例

赤単ヴァルタイラー

■収録カード 枚数 文明 コスト パワー 用途 登場弾
■クリーチャー 32 - - - - -
《凶戦士ブレイズ・クロー》 4 1 1000 今でも揺るがぬ速攻の華。 第1弾
《特急野郎ボージェ》 4 1 2000 ヒューマノイド期待の星。ヴァルタイラー、ヴァルボーグへの進化を最速で行う。 第6弾(仮)
《不死身男爵ボーグ》 4 2 2000 おなじみボーグ。 第1弾
《小さな勇者ゲット》 4 2 2000 パワーアタッカー+1000を持つ代わりに強制攻撃。軽量ヒューマノイド 第2弾
《機神装甲ヴァルタイラー》 4 2 2000 コンセプト。赤単ではパワー5000、更に攻撃時に1枚シールド回収+水文明指定でパワー4000以下除去。 第4弾(仮)
《ピーカプのドライバー》 3 2 1000 タップトリガーブロッカー破壊。主に光文明の大型ブロッカーへの対策。 第6弾
《機神装甲ヴァルボーグ》 4 3 5000 分かりやすく強い3コストW・ブレイカーパワーアタッカーのおかげでガイア・スマッシャー、ラルバ・ギア、パラディン、カオス・ワームといった同期に一方勝ち出来た。 プロモ(第2弾)
《襲撃者エクゼドライブ》 3 3 3000 パッと出て仕事をこなして帰る。除去も食らわず当時は本当に厄介だった。 第6弾
《ストームジャベリン・ワイバーン》 2 4 7000 当時、最強のコモン。このパワーにして敵対色に対するアンタップキラーまで持つ。 第5弾
■呪文 8 - - - - -
《火炎流星弾》 4 1 - S・トリガー。パワー6000以下の「ブロッカー」を1体破壊する。 第6弾
《ボルカニック・アロー》 4 2 - S・トリガー。シールド1枚を墓地送りにすることでパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。切札級以外を除去する《デーモン・ハンド》のようなものだった。 第3弾

文明別
火:40

コスト別
1:12
2:19
3:7
4:2

運用

赤単らしく「出して即攻撃」という方法が最適解と思われる。

環境について(という名の回想)

+ 長いので綴じ込み形式

+ 【前提】水文明がとてつもなく強い話


最初期のデュエル・マスターズの個人的印象は「バロムかっけー」であった。
「闇のクリーチャー以外をすべて消し飛ばす」という強烈な文章は、バロム登場まで見たことがなかったのである。
(当時は「破壊」ではなく「持ち主の墓地に置く」という表現であり、こちらもまた味があるテキストであった)
漫画においても、黒城凶死郎がバロムを用いて黄昏ミミのクリーチャーを殲滅し、トドメを刺したシーンは非常に印象深く残っていた。

しかし改めて考えてみると、これはバロムのインパクトもあるが、そこまで複数に対して介入出来るカードが非常に限定され、かつ高コストであったこと、
それどころか単体除去すら満足に行えなかったという実態があってのことだと思われた。

最初期デュエル・マスターズの特徴は「遅いゲームスピード、手札・テンポアドバンテージの軽視、フィールド・シールドアドバンテージの過剰な重視」にある。
  • 遅いゲームスピードに関して
「踏み倒し」など勿論なく、マナブーストにおいても(《グローリー・スノー》といった例外はあるものの)自然文明の専売、かつ鈍重気味であった。
 定番の《フェアリー・ライフ》ですら第6弾で初登場である。
 それに加えて、有用なCIPを持つクリーチャーも当時は高コストな(進化)クリーチャーに限定されていたのである。
 ……水文明を除いては。


  • 手札・テンポアドバンテージの軽視
 最初期デュエル・マスターズは文明によって得意不得意がはっきり分かれていた。
  光文明:防御(ブロッカー)、タップ、攻撃には消極的
  水文明:ドロー、バウンス、軽量
  闇文明:除去(スレイヤー)、ハンデス、動きが鈍重・非力
  火文明:軽量で攻撃可、ドラゴンがカッコいい
 自然文明:マナブースト、パワー高い、相手への介入がほぼ不可

 ドローの軽視(《アクア・ハルカス》《サイバー・ブレイン》《ストリーミング・シャイパー》《アストラル・リーフ》《アクアン》)が
 すさまじいものだったことは周知の事実かと思われるが、
 バウンス(テンポアドバンテージ)が軽視されていたことも非常に大きな要因だった。
「行けえ、(6マナ払って)ボルシャック・ドラゴン!」
「はいはいスパイラル・ゲート、コーライル、サーファー」

……6マナもあれば、「マリン・フラワー ⇒ アストラル・リーフ」の流れが2回出来る。

 先述した通り、有用なCIPを持つクリーチャーは限られていた上にコストが高い(水文明除く)。
 進化クリーチャーという手を使おうにも、当時は進化元も進化先も総じて高コストだったのである(水文明除く)。
 それゆえ、バウンスによるロスは非常に大きかった。


  • フィールド・シールドアドバンテージの過剰な重視
 上記に対して、クリーチャーの除去、シールドについては非常に大きいコストがかけられていた。(白鳳がウルスで攻撃する際に「W・ブレイカー」とカッコよく宣言していたのが印象深い)
 安定して「W・ブレイカー」を持てたのは6コストからであったし、5コスト以下となると条件付き、または限られた進化クリーチャー(ヴァルボーグ、ヴァルディオス)になるレベルであった。
 《灼熱波》《ボルカニック・アロー》《スネークアタック》が(シールド1枚犠牲にするとはいえ)あれだけ破格の効果を持つに至ったのもシールドの価値が高かったからに他ならない。

 除去に関しても同様で、バウンスに比べて非常にコストが高く設定されている。
《バースト・ショット》が速攻メタの主力だった。S・トリガーを外せば低コストのものがあったかというと、そんなこともない。
 1体除去している間に、水文明は悠々と3体目あたりを出しているはずである。
(代わりといってはなんだが、一度墓地に行ったものを取り戻すことはほぼできなかった。闇文明も含め)

 光のラ・ウラ・ギガを始めとする高パワーなブロッカーを延々と出していくだけで、他のデッキは膠着状態になるほどだったのである。
 水文明はクリスタル・パラディンかクリスタル・ランサーで悠々飛び抜けてゆくが。

 ということで以下の図式が出来上がっていた。
 光:有用なCIP持ちがいない、相手を妨害する手段が皆無(ホーリー・スパークで一時しのぎくらい)、物量で押される、高性能ブロッカー出してもパラディン・バウンスで処理される。
 闇:闇の除去コスト>>>水の展開コスト。リアニメイト・墓地進化なんて便利なものもなく、あっという間に場・手札ともに圧倒される。
 火:なぜだか水の方が早い。手札も減らない。
 自然:ブーストしても高マナ域にアクセスする前に倒される、またはバウンスされる。相手を妨害する手段が皆無(マナ・クライシス、ナチュラル・トラップで一時しのぎくらい)。

+ 【前提】どうやって勝つか


 水文明の強力な流れの根本は低コスト帯にある。
《アストラル・リーフ》は言わずもがな、
 1コストでブロッカーで主要進化元でもある《マリン・フラワー》や《アクア・ガード》、
 2コストではS・トリガーを仕込む《エメラル》、バウンスの《スパイラル・ゲート》、
 3コストでは最大4ドローの《ストリーミング・シェイパー》、青単でパワー6000ブロッカーになる《アングラー・クラスター》など
 とにかく序盤から無駄なくアドバンテージを稼ごうとしてくる点が凶悪である。

 しかし、その1つ1つはそこまで強力ではない。それらが累積することで誰にも止められない激流となるのだ。
 当時の水文明のクリーチャーは進化クリーチャーを除けば非力であり、バウンスによるテンポアドバンテージの獲得も、
 有益なCIP、スピードアタッカー、または低コストな進化元・進化クリーチャーがいれば半減となる。
 そしてドローによる無尽蔵のリソースについても、マナが少ない序盤であれば大きく差は開かない。

 それらの要素をかいくぐって環境に登場したデッキこそが赤単ヴァルタイラーである。

+ ヴァルタイラーの登場(第4弾時点)


 赤単という発想自体は、軽量なアタッカーを数多く持ち、当時破格の攻撃性能を持った《機神装甲ヴァルボーグ》を擁している以上、考えつくアイデアだった。
 しかし、第3弾以前の火文明は「ブロッカー」への軽量な対抗手段が《ボルカニック・アロー》《クリムゾン・ハンマー》とごくごく限られており、
 対水文明についてはヴァルボーグをバウンスされることで、最短でも再始動に5マナ(2コストヒューマノイドから進化)かかるような状態であった。

 第4弾で、2コストの進化クリーチャー・ヴァルタイラーが登場。
 赤単状態で自然の優良進化クリーチャーであるガイア・スマッシャーに並ぶパワー5000に加え、シールドを手札に加えつつ水クリーチャーを除去する能力により、
 ヴァルボーグ、ヴァルタイラーを4積みしつつ、2コストヒューマノイドから次々進化させてゆく赤単が発生した。

 ただこれでも大局を揺るがす程には至らなかった。
 3コストにして青単状態でパワー6000を誇る《アングラ―・クラスター》がいる他、
 水文明側には新たに、場に出ただけで3ドローの2コスト進化クリーチャー《アストラル・リーフ》が、1コストの進化元である《マリンフラワー》と同時に登場したのである。
 ヴァルタイラー・ヴァルボーグに進化しようとも、一度リーフが出てしまえば、圧倒的なリソースの差に悩まされることになるのだ。
 ただヴァルタイラー入りの赤単に対して若干の反応はあり、《アングラー・クラスター》の投入増加、
 相討ちを取られてしまう《クリスタル・パラディン》から若干の速度ダウンを以てしても《クリスタル・ランサー》に変える動きはあった。

+ 隆盛時代(第6弾時点)


 第5弾で有力な光・水メタクリーチャー《ストームジャベリン・ワイバーン》、バウンスへの抵抗力が強いスピードアタッカー持ち《解体屋ピーカブ》が増え、充実し始めた赤単だったが、
 それは第6弾でピークを迎える。
 1コストでパワー6000以下の「ブロッカー」を除去する《火炎流星弾》は、有力な進化元となる《アクア・ガード》《マリンフラワー》、強力な壁《アングラー・クラスター》を一挙に除去できた。
 2コストの《ピーカブのドライバー》は若干速度は落ちるが、タップトリガーで繰り返し除去が出来、必要に応じてアタッカーに回ることも出来た。
 3コストにして、スピードアタッカー、パワー3000、除去も受けづらい《襲撃者エクゼドライブ》は、シールドブレイクの他、速攻デッキへのメタにもなった。
 何よりも大きかったのは、1コストにしてヒューマノイドの《特急野郎ボージェ》が登場したことである。
 これにより(特に序盤における)進化ヒューマノイドへのアクセスが非常に高速になった。《スパイラル・ゲート》を踏んだとしても、次のターンには進化元も含めて再展開できるようになったのである。

 ボージェの登場により、1ターン目《マリンフラワー》が登場する青単の黄金パターンにおいても、
 先攻の場合においては、《火炎流星弾》《ボルカニック・アロー》《機神装甲ヴァルタイラー》最大12枚体制による突破が可能になったのである。
 初動のペースを握ってしまえば、ヴァルタイラーの除去能力とシールド回収能力で、後手後手に回すことが出来る。

 速度において水文明にも引けを取らず、低コストで良質なブロッカーを並べる光文明であっても《ピーカブのドライバー》《ストームジャベリン・ワイバーン》でたたき潰すことが出来た。
 闇文明・自然文明のカードはコントロール、ビッグマナ方面の収穫が大きく、速度で差をつけることが出来た。

 ミラーマッチ対策の為に《エグゼズ・ワイバーン》を採用するプレイヤーもいた。

+ その後(第7弾以降)


 次弾(第7弾)でも、殴り返しを受けない《クック・ポロン》が登場するなど後押しがあった。
 水文明の凶悪なドローソースが次々と規制され、水以外の文明も混合して入ってくるようになり、ヴァルタイラーの強みは若干薄らいできたが、それでも赤単の代表例として挙がるようになった。
 パンプアップを受けるには赤単である必要があるものの、軽量進化であるため《メビウス・チャージャー》との相性は悪くなかった。
 初回を撃つまではマナゾーンを火文明としてパワー5000を維持し、3ターン目に《メビウス・チャージャー》を発動。爆発的なリソースを得てからは、コントロール方向にシフトするといったデッキも考案された。

 聖拳編以降については、多色カードのスペックに押されて赤単ヴァルタイラーとしての隆盛は収まったものの、リーフと同じく進化元含め3マナで到達できる側面は大きく、ヴァルタイラーはボージェ共々長く用いられることとなった。

関連


作者:仙人掌

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最終更新:2023年05月10日 23:56
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