聖都市異変
アークノアの魂の一つ、光の魂が聖都市エレジェンドで発生していたことに気がついたアークノア達はすぐさま聖都市エレジェンドへと入って行った。
しかしそこではクリーチャー達の間の紛争....つまり争いが勃発していたのである。
聞いていた情報と違うことに呆気に取られたところに、騎士と思われるクリーチャーに、敵と間違われて襲われてしまった。
なんとか撃退するも、このまま固まっていると襲われやすくなることから3人は二手に分かれ、光の魂の行方を探すことにした。
光の魂のドラゴン
何とかクリーチャー達の攻撃が降り注ぐ街の中を駆け抜けたアークノアは、徐々に強まりつつある魂との共鳴に導かれて突き進んでいた。
そしてその導きは最終的にある不思議な洞窟へとつながった。
しかしそのとき、奥からもっと強大なパワーを放つクリーチャーが現れたのだ。
そのクリーチャーは セイヴァージャンヌ。
彼らのボスであり、アークノアが感じていた光の共鳴の正体だった。
計らずともアークノアの意思を感じとったのか、セイヴァーは襲ってくることはなかった。
そして彼が自分と同じクリーチャー...かつてひとつだった存在だと気がついたのだ。
そこでセイヴァーはアークノアの方を向き、膝をついて言った。
「私の魂はもとより貴方様のものです。ご自由にして構いません。
....しかし一つだけ頼みがあります。どうか私達と共に、この聖都市を救ってください」
彼女はこの聖都市であったこと全てを話した。
かつてここはクリーチャー界でも有数の平和な場所だったということ。しかしそれが突如崩れ去ったということ。
そして自分の旧友が革命を起こし、この紛争を起こしたということ....。
このまま行けば、どっちみち聖都市に訪れるのは破滅であり、自分はそれを止めたいとアークノアに頼み込んだ。
アークノアはその願いを黙って聞き入れ、彼女と共に一時的な共戦の契約を結んだのだ。
叛逆の黒金龍
そのころ、マスティア達も同じくしてセイヴァージャンヌを探していた。
しかし彼女達は運が悪いことに革命軍達の戦いの中心の場に足を踏み込んでしまい、その見た目から星剣士と見間違えられ、その戦いに巻き込まれてしまった。
奴らの革命チェンジによる猛特攻は、マスティア及びAlterヴァルキリーの力でも中々苦戦を強いられるレベルの激しさだった。
そんな中、彼ら革命軍のNo2である デスザクエイクに目をつけられてしまい、厳しい状況下の中戦わなくてはならなくなった。
奴らは恨みや執念といった心が、本来あるはずのブレーキというのを破壊し、ただひたすらに敵を殲滅する殺戮マシーンへと変貌していた。
以上なまでの猛攻により、少しずつ装甲が剥がされピンチになりかけるマスティアだが、咄嗟の判断で繰り出したオルタナ・スラッシュにより、デスザクエイクを撃破した。
安堵に浸るマスティア。しかしそんな油断を突かれたのか、背後からの攻撃により吹き飛ばされ、装甲を完全に剥がされ無防備となってしまった。
その攻撃を放ったのは奴らのボスである ライジング。
マスティアは気絶しており、最悪な状態に最悪の相手が来てしまった。
デスザクエイク以上の憎悪を感じる彼に、話は通用しないとオルタは判断した。
「...まだここで倒れるわけにはいきまセン。ワタシの目標を....達成するためニモ!!」
するとオルタは体を変形させ、戦闘モードへとチェンジしたのだ。
星剣王決戦
アークノア達はこの争いを集結させるためには、星剣王アスタフ=グラフを叩くことが一番だと考えた。
奴のいる場所を、星剣士達の攻撃を掻い潜りながら目指して行った。
奴は聖都市エレジェンドの宮殿、ヴェルサジェンドに鎮座していた。
真っ直ぐに向かったアークノア達は星剣王と対峙した。
奴はかつての噂とは違い、妙な威圧感に、ひしひしと肌を突き刺すような嫌なオーラ、その邪悪な気配と、言っていたとおりの明らかな異常は感じられた。
アスタフ=グラフはアークノア達を一瞥すると、いきなり対話もなく彼の愛剣であるエクス=カリバーで切り掛かってきたのだ。
対話する余地なしと判断したアークノア達は、一度アスタフ=グラフを無力化することを決断した。
アークノアはアーク軍を、セイヴァージャンヌは仲間の革命軍を呼び出し、熾烈な戦いが宮殿内にて広がる。
そんな中、2体はアスタフ=グラフを相手するも、奴は様々な剣を切り替え攻撃し、多彩な戦術で人数不利な状況を有利に進めた。
苦戦する2体。しかしここでセイヴァーが、奴ら星剣士達の異変に気がついた。
全員本気で戦っているものの、どこかやりづらそうな様子、戸惑っている様子が伺えた。
これにより、アスタフ=グラフの様子は部下から見ても何かがおかしいという確信を得て、ある作戦に移った。
それはアーク軍と革命軍、その全員をアスタフ=グラフに差し向けて、圧倒的な数で攻める作戦だった。
流石の奴もこの人数差では戦いづらそうな様子が見えた。
そして、その隙にアークノアはアスタフ=グラフの隙をつこうと背後へと回った。
しかし彼はそこであるものを一瞬目にした。
鎧と鎧の間に挟まる謎の人影....。まるでアスタフ=グラフを操るようにして動かしている謎の存在を発見した。
全ての原因を確信したアークノアは、その人影に向けてヴレイン・アークストライクを放ったのだ。
それを直で喰らった奴は、恐れのあまり影から外に出てその姿を露わにした。
AlternativeVSライジングリベリオン
ライジングリベリオンとその部下の攻撃を受け流しつつ、マスティアを守るオルタ。
しかし数でも威力でも勝る相手に1人で立ち向かうのは無理があった。
そこで彼は天に手を掲げ、何かを呼び出したのだ。
その天空から空を裂き現れたのは、ユニバース・カイザーというドラゴンだった。
ユニバース・カイザーの力で、奴ら革命軍の革命チェンジの力を半分以上抑えたことで、一気に対等な状態に持ち堪えたのだ。
その隙にオルタはライジング以外の全ての革命軍を薙ぎ倒し、今度は逆に2対1の状態までライジングを追い詰めた。
圧倒的に有利な状況....普通なら諦めかねない状態。
だが奴の執念はそれを上回った。
彼は切り札としてBURSTリベリオン・ストライクを放ち、ここ一帯ごと全てを破壊しようとした。
その一撃でユニバース・カイザーは闇へと消滅し、オルタも消し飛ばされそうになった。
しかしそこで、気絶から起き上がったマスティアがオルタを庇いその攻撃の全てを受けてしまった。
それによりマスティアは片腕が消し飛ばされ、体の半分も焼けこげてしまった。
しかし、それでも彼女は立っていたのだ。
流石のライジングもこれには唖然とした。しかしそれと同時に、彼女には自分と同じモノを持っていることに気がついた。
自分と同じく家族を失い、自分と同じく地獄を経験した。
そして何かしらの強い目標を持っていることも同じだった。
だがただ一つ、ライジングとマスティアの間に大きな違いがあった。
それは自分を突き動かすのは、絶望か希望かの違いだった。
改めて彼は周りを見渡し、己のしてきたことの愚かさを理解した。
絶望の衝動に突き動かされた彼は、何もかも失い破壊する覚悟で自分の目標を達成しようとした。
だがその結果、今度は自分が絶望を生み出す存在へと変わってしまった。
自分が忌み嫌い、憎悪する存在へと自然な形で変貌しかけていたことに気が付かされてしまった。
バタンっとマスティアが倒れた音と共に、ライジングの戦意も喪失した。
しかしその瞬間、宮殿ヴェルサジェンドの上空にて、謎の穴が発生したのだ。
それはこの世界とパンドラスペースを繋ぐ、超次元の穴だった。
超次元ファイナル・ホール
アスタフ=グラフから飛び出たものの正体。それはスカルジャックという謎のクリーチャーだった。
奴はあるもののためにこの聖都市エレジェンドに潜伏し、アスタフ=グラフを操り、この都市ごと支配していたのだ。
全ての元凶を知ったセイヴァーは真っ先に奴に斬りかかった。
しかしスカルジャックは何年もの月日をかけて探し出したこの聖都市の伝説の秘術、 《超次元ファイナル・ホール》を使用し、アスタフ=グラフも含めた周りのクリーチャーを次々と渦に巻き込み吸い込んでいったのだ。
さらにそれだけではない。吸い込んだ渦からは、あまりにも禍々しいクリーチャー、 《覚星剣龍王アスタレッド=グラフノヴァ》が現れたのだ。
その隙をつき、スカルジャックはこの宮殿から逃げ出そうとした。セイヴァーは逃がさずと追いかけようとしたが、目の前の強大なドラゴンに立ち塞がれ、惜しくも元凶を取り逃がす形となってしまった。
全てを焼き尽くす勢いで黒い炎を吐き散らかすアスタレッド。アスタフ=グラフとの戦いで疲弊し切っていた2体にはあまりに厳しい状況であった。
しかしそんな時だった。黒い雷と黒い閃光がアスタレッドの頭を切り裂いた。
現れたのはマスティアとオルタ、そして2人を乗せたライジングだった。
ライジングは自分の行いに精算をする理由からも、自身の命の半分をマスティアに与えて、瀕死の状態の彼女を復活させたのだ。
そして共に元凶を倒すために宮殿へ向かうと、そこには見たこともないようなドラゴンがいたのだ。
全ての役者が揃ったことで、真正面から彼はぶつかった。
強大な力を持つアスタレッド相手でも、ライジングの猛攻やヴァルキリーの閃光が突き刺さり、かなり優位な状態へと持ち込めた。
しかし奴は戦いに勝つことより、できるだけ多くのものを破壊しようと動いていた。
その結果、宮殿を破壊し尽くした後は、今度は聖都市エレジェンドの城下町へと進行し出したのだ。
このままではまずい。そんな焦りを覚え始めたその時、この宮殿にあるもう一つの秘術をライジングは取り出した。
それは 《無限と時間と魔王の決断》。かつてどこかの大陸を救ったとされる伝説のクリーチャー達の力を持った切り札であった。
4人全員、全ての力を込めたエネルギーをアスタレッドに放つ。
いくら屈強な身体を持つ奴でも、伝説のクリーチャーの力には抗えなかった。
その波動はアスタレッドを貫き奴を破壊し、全てに決着をつけたのだ。
全て解決......
放たれた波動は天へと昇り、空に虹を掛けた。
それを見たエレジェンドの住民達は、全ての戦いが終わったと察し大喜びで外へと出てきたのだ。
アスタレッドの崩れる身体からは、さっき吸収されたクリーチャー達が全て出てきたのだ。
星剣士達の姿を見て一瞬怯える住民達だが、セイヴァーが全ての端末を話したことで、この事件、この紛争の原因を全員が知ることとなった。
失った命は多い。それでも、平和な世界が帰ってきたことに皆が安堵していた。
しかし、自分のやった行いに悔いと罪悪感を感じているライジングは、これから訪れる平和な未来に自分の居場所はないと気がついていた。
同じくセイヴァーも、約束を果たしたことでアークノアに吸収されることを分かっていた。
結局、旧知の仲で誰よりもあの地獄を変えようとした2人には、この平和な未来は残されていなかった。
それでも後悔はない。自分のやったきたことへの精算、自分が成し遂げたことへの精算....。
それを2人は分かっていたのだ。
「約束です。私の魂を、貴方の魂に吸収してください」
命を惜しげもなく、アークノアの前に差し出す姿を見て一瞬彼は戸惑った。
しかしそれが彼女の覚悟であり、自分にとっても最良の選択であることは確かだった。
だからアークノアは彼女の魂を受け取る決意を固めた。
手を伸ばし魂に触れようとする.....。その瞬間だった。
突然、彼女の影から腕が伸び、その身体を鋭い爪で貫いたのだ。
あまりに突然の出来事に皆が唖然とした。
しかし、アークノアはその姿に見覚えがあった。赤黒い肌にこの世のものとは思えないほど邪悪な姿。
間違いない。奴はスカーレットゼロの部下である虚無魔獣であった。
「ふふふ...平和になるとでも思ったか?お前達の魂や憎悪....その全ては我々のボス、スカーレットゼロ様の者だ。
....そしてアークノアと小娘。貴様らにはあの時以上の絶望を与えてやる!!」
するとやつは姿を変え、龍覇スカーレットゼロ・デーモンへと変化した。
そして天に手を掲げ、そこからたくさんの虚無魔獣達と、一本の黒色の剣を取り出したのだ。
「さあ!!今からここは地獄となる!!嘆き苦しみ!絶望しながら我らの糧となれぇ!!」
戦いはまだ終わっていない。
聖都市エレジェンドの存亡をかけた戦いは、これからが本番なのだ。
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