4/10 洞窟に潜むオークの討伐 ID:qforiC6Y

街から追い出されて洞窟にすむ女性?(オカマ)のエミネムが酒場で持ちかけてきた依頼
洞窟が多数のオーク達に占拠されたとのことで、討伐の報酬金はなんと10000Gだという
数人の冒険者がクエストを受けるも、洞窟で待っていたのはオークをはるかに超える上位オーク達だった
余談だがこれは夢落ちだった


4/12 時計塔の宿木 ID:3IDxt8Ur

途方に暮れて街道を歩いていた時計職人の娘からの依頼。
街の時計塔に異常が発生し、その原因を究明に行った人物等が次々と行方をくらませたと言う。
事の真相を究明すべく、時計塔内部に潜入した魔法使い達に夥しい数の木の根が襲いかかってきた。
なんとか根を掻い潜り、機関室に辿り着いた一行の前に“魔界ヤドリギ(木地闇×4)”を名乗る魔物が現れる。
魔界ヤドリギは樹根や重力を自在に操り、果ては牛頭人身の魔物“ミノタウロス”を召喚してその力を奮う。
しかし、傲岸不遜なその魔物も、魔法使い達の攻撃の前に氷結し砕け散った。
最上階で囚われの身となっていた時計職人の話によると、
魔界ヤドリギは時計塔を『音のなる木』と呼んでいたらしい。
涼やかなる鐘の音に魅せられた魔物が、時計塔に寄生したことが今回の騒動の始まりだったようだ。
魔物を討伐し、街に帰った魔法使い達を時計職人の娘が迎える。
再開を喜ぶ時計職人の親娘は報酬として、魔法使い達に40000Gと意匠を凝らした金の懐中時計を贈った。


4/18 羊たちの沈黙 ID:X0Ijjwxx0 (中断)

シープ共和国の主要産業の担い手である羊達が、次々と性器や目を抉り取られて死んでいるのが見つかった。
事態を重く見たシープ共和国大統領Hitsu Jisuki(ヒツ・ジスキー)は調査隊を派遣するも、
調査隊の行方はシープ・アイランドを最後に途絶えてしまう。
大統領は原因を究明すべく冒険者達を集め、第二次調査隊として編成、シープアイランドへの派遣を決定した。
公的な調査であるため、レポート作成は必須条件であったが、元来自由な性質の冒険者達は
何かと理由をつけて報告書の作成を辞退していく。
そんな中、業を煮やしたID:92Qz215/O(氷水水炎煙×2)が報告書の作成を引き受け、
ようやく一行はシープアイランドへと旅立った。
天の声に導かれ、シープアイランドの一大羊飼育地域である"Hitsu Jippai(ヒツ・ジッパイ)"に辿り着いた
冒険者達の前に、謎の言語を操る未確認生命体(グレイ,ノルディ,チュパ)が襲い掛かる。
光線、透過システムや酸性の体液を自在に操る高度な光魔法や水魔法の応用的技術に苦しめられる冒険者達。
劣勢を覆すべくID:92Qz215/O(氷水水炎煙×2)の放った大津波の威力を目の当たりにし、
驚くことに未確認生命体達は合体を始める。
個々の能力を遥かに凌駕するであろう「成体」と呼ばれる未確認生命体を、冒険者達はどう退けたのか・・・。
ID:92Qz215/O(氷水水炎煙×2)から送られたレポートの完成率は40%であり、戦いの全容を知ることは出来ない。
一部始終を目撃していたはずの羊達は、何も語らず、今日も草を食んでいる。


4/18 誰が為に鐘は鳴る ID:80lXCUcY0

とある町に時を知らせていた神殿の鐘が、ある日を境に鳴らなくなった。
困り果てた町の老婆から神殿内の調査を頼まれた冒険者一行は、町の近くにある神殿へと足を運ぶ。
神殿から漂う奇妙な匂いに辟易しつつ神殿内へと足を踏み入れると、
そこは巨大な蜘蛛やゴキブリ、鼠といった害獣の巣窟と化していた。
害獣の駆除を行いつつ、さらに神殿の奥へと向かう冒険者達に、異臭が容赦なく襲い掛かる。
香しいハーブの香りをもってしても消せない謎の異臭。
・・・神殿の最奥の扉を開けた時、その異臭の原因が明らかとなる。
なんと、金属を融解し栄養とするそのスライムが、神殿の鐘を鳴らす細工にびっしりとへばりついていたのだ。
スライムは、通電性の煙を操り、口から硫黄の玉を吐き出し、強力な酸で冒険者達を攻め立てる。
そして、攻撃よりもその余りの悪臭に耐えかねたのか、冒険者達は次々と戦線を離脱していく。
やがて、最後まで悪臭に耐え抜いたID:ZNwX/23u0(水雷(水雷木鉄)×2 下級魔族)によってスライムは駆逐された。
帰還した冒険者達に、依頼主である老婆がささやかなお礼としてリンゴ飴を二つ渡す。
しかし、悪臭とスライムの吐き出す汚物に塗れ、気の立っていたID:ZNwX/23u0が報酬の内容についにブチ切れ、
老婆に猛然と襲い掛かった。
・・・その後、老婆の弔い合戦へと発展した戦いを見守るかのように、町の鐘は低く、長く響き渡っていた。


4/20 古城の魔女 ID:eDfPQEDi

一ヶ月ほど前ほどからとある町の近くの古城に魔女が住み着いた。
ジヴァと名乗るその魔女は、戯れに町を荒らし、娘達を攫い、人身売買を行っていた。
娘を攫われ、嘆き悲しむ老翁からの依頼を受け、冒険者達は町を見下ろす古城へと乗り込む。
足を踏み入れるや否や、壁を覆う蔦が冒険者達に襲い掛かる。
苦もなく撃退する者、恐怖に怯える者、幻覚を見る者…
十人十色の方法で蔦を撃退した冒険者達の前に、奇妙な格好をした魔女“ジヴァ”が現れた。
炎と風、そして空間転移すら使いこなす彼女の実力に、冒険者達は苦戦を強いられる。
しかし、魔法使い達の波状攻撃を前に、ジヴァの魔力は枯れつつあった。
転移魔法を扱えなくなったジヴァにID:VCKU4p68(木音風(鉄))が斬りかかる。
深手を負ったジヴァは逆転を狙い、空高く舞い上がり、炎魔法で城の床を熔かしていく。
煉獄の大地と化した城の床が、冒険者達に襲い掛かるかと思われた瞬間、
命の危険を感じたID:JAX9C/lq(氷(氷)光×2)が恐怖のあまり、氷魔法を暴走させる。
高ランク魔術師が全ての魔力を込めて放った氷魔法の威力は、大地を冷やし、
毒に蝕まれていたジヴァの生命すらも凍りつかせた。
――全てを終え、冒険者達は町へと戻る。
彼等は老翁から15000Gの報酬を受け取り、また別の町へと去っていった。


4/22 モンスターを捕獲せよ! ID:tAvovO8F

観る者を熱狂させるため、様々な工夫が行われる闘技場で新たな試みが行われようとしていた。
モンスター同士を戦わせると言うその試みのため、冒険者達はモンスターの捕獲に乗り出す。
個性の強い面々を乗せた馬車が現地へと向かう途中、個性と個性がぶつかり合う場面もあったが、
どうにか目的地に到着し、第一の目標である“金色マンモス”の捕獲に取り掛かった。
しかし、平素はその巨体で猛威を奮う金色マンモスであるが、何者かが毒を盛っていたらしく、弱りきっていた。
依頼者がとある筋から手に入れた魔法玉の効果もあり、アッサリと捕獲は完了する。
これを見た冒険者達の中に一抹の疑惑が起こる。
毒を盛ったのは誰か、何故弱ったマンモスにトドメを刺さなかったのか、マンモスすら弱らせる毒とは一体・・・?
結局、先んじて派遣されていた討伐隊の仕業であるということが分かり、
冒険者達は次なる標的“崩落蟲”の捕獲へと向かった。
崩落蟲の住処に魔法玉を投げ入れた瞬間、大量の崩落蟲とオークが飛び出してくる!
しかし、英雄戦士(ID:gpgs+He+)の卓越した剣技や闇炎水(獣)×4(ID:/BO1C2S/)の絶大な魔力を前に、
オーク達は成す術もなく散っていく。
やがて、崩落蟲の捕獲数が依頼条件を満たし、冒険者達は仕事は終え帰路へ着いた。
余談ではあるが、オークの焼け焦げた死体は闇炎水(獣)×4(ID:/BO1C2S/)が美味しく頂いたと伝えられている。


4/23 優しい賢者 ID:1WVVRGLr

とある町の魔法機構の担い手である賢者“アンタレス”が行方不明になって数日・・・・・・
町の警備を取り仕切る男“バク”から冒険者達へアンタレス捜索の依頼が出された。
依頼を受けた冒険者達は、先んじて行われていた調査から、アンタレスが居ると思われる町の南にある洞窟へ
町に在籍する無属性魔法使い達の転送魔法によって転送される。
氷柱が垂れ下がる洞窟へと足を踏み入れた冒険者達の耳に、無邪気に笑う声が聞こえてきた。
次の瞬間、笑いながら、一片の躊躇も無く、声の主はあろうことか町へと攻撃を仕掛け始めた。
暴挙を止めようと、彼の者の前に躍り出た冒険者達の目に飛び込んできたのは、不気味に笑う男――
“賢者アンタレス”その人であった。
高ランクの炎魔法を操り、自らを焦がす炎すら我が身に取り込む「賢者」の名に恥じぬ高い能力。
しかし、その力とは裏腹に、彼の精神は酷く不安定であった。
冒険者達は彼の操る猛火に耐えつつ、じりじりとアンタレスを追い込んでいく。
やがて、劣勢に立たされたアンタレスは精神の均衡を崩し、全魔力を業火に変えると洞窟内へ解き放った。
凍てついていた洞窟は灼熱の炎に包まれ、解け落ちる氷柱と共に崩落を始める。
魔力を使い果たし、気を失ったアンタレスを拘束し町へと退避する冒険者達。
そんな中、 ID:QL1d1CpL(炎炎(炎))とID:1SN8gMt+(上級魔族 炎)の二人は、洞窟の最奥へと歩を進める。
そこには無味乾燥な洞窟に似つかわしくない街の模型や怪獣の人形といった子供の玩具が転がっていた。
街へ帰還した冒険者達は報酬のの25000Gを受け取り、正気を取り戻した賢者から、事の経緯を聞かされる。
賢者の話によると、今回の騒動の発端は彼が死んだ少年の呼び声に答え、自ら身体を差し出した事だと言う。
軽率な行動に呆れ返る冒険者達だったが、彼の浮かべた無垢な笑顔を見て、何も言えなくなった。
彼はきっと、等しく慈愛を向けただけなのだ。己の危険を省みず、すでに死したる者に。
優しい賢者として。


4/24 砂漠の純潔 ID:F/WOHDhA

「枯渇の街ヤザダ」 かつては満々と水を湛えていたオアシスが枯れ果て、
ゴーストタウンと化したこの街に、毎日新しい依頼書が貼り出されていると言う噂が流れた。
真相を確かめるべく街を訪れた冒険者達は、酒場の壁一面に貼られた依頼書を目にする。
日付の違いこそあれど全て同じ文面の依頼書。人の気配など無い廃墟で一体誰が貼り続けているのか…。
依頼を完遂すればその謎が解けるかもしれない。
そう思った冒険者達は依頼の通り、この地に緑を戻すため動き始める。
「砂漠の純潔」と称される“アティラ”の種を手に入れてはみたものの、
周囲のオアシスは枯れ、街の中の井戸には水の一滴すら残っていない。
途方に暮れる冒険者達を嘲笑うかのように、砂漠地方に済む砂烏が悠々と空を飛んでいる。
街に散開して情報を集める中、ID:oBM1EM5x(炎煙闇)は、カナートと呼ばれる地下水道を調べに行く。
一方、噂を確かめるため丁度街を訪れたID:VKZCgKJK(無)と街で情報を集めていた
ID:u6U9ZeXa(音氷水雷木鉄)が、朽ち果てた酒場で出会う。
目的は同じと知り、お互いの持つ情報を共有し始める二人。
丁度そこへID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)が訪れ、二人の話に割って入る。
そして、砂漠地帯に巣食う魔物「ギルタブリル」の名が出た途端、ID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)は
地下水道へと通じるカナートへの道を示した地図を奪おうと二人へレーザーを放った。
避けたレーザーの熱で、乾燥していた酒場は炎上を始める。
その光景を尻目にID:u6U9ZeXa(音氷水雷木鉄)とID:VKZCgKJK(無)の二人はカナートへと向かう。
カナートにはギルタブリルが居る可能性が高い。だとすれば、ID:oBM1EM5x(炎煙闇)の身が危ない。
ID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)も二人を、そしてギルタブリルを追って、カナートへと侵入していった。
その頃、先にカナートへと侵入したID:oBM1EM5x(炎煙闇)は窮地に立たされていた。
カナートの最奥、地底湖があったであろう場所に聳え立つ巨大なサルハ・タイジュ(サボテンの一種)。
そのサルハ・タイジュの傍らに寄り添うギルタブリルによって、彼は瀕死の重症を負っていた。
そして、ID:u6U9ZeXa(音氷水雷木鉄)とID:VKZCgKJK(無)、彼らを追うID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)が
カナートの最奥に辿り着いた時、ID:oBM1EM5x(炎煙闇)は静かに息を引き取った。
弔う間もなく、後続の三人も敵意を剥き出したギルタブリルに襲われる。
しかし、先の戦闘で傷ついていたギルタブリルは、ID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)が投げつけた魔法珠に
全ての魔力を吸い取られ、その場に倒れこんだ。
静寂を取り戻した洞窟内で、冒険者達は聳え立つサルハ・タイジュを見あげる。
サルハは体内に水を蓄える性質を持つ。
洞窟の天井まで成長したサルハであれば、大量の水を保有しているに違いない。
依頼書の通り、この土地に緑を戻すならば、この巨大なサルハ・タイジュを倒さねばならないだろう。
冒険者達は何とかして水を吐き出させようと、サルハ・タイジュへと攻撃を加え始める。
しかし、硬い外皮であらゆる攻撃を弾き、樹木の弱点である炎を近づければ杭のような棘を射出する
サルハ・タイジュを前に、冒険者達は成す術を無くしてしまう。
ID:VKZCgKJK(無)は静かにギルタブリルを揺り起こし、街で得た情報を元に推測した彼女の名前を呼んだ。
ギルタブリルの“サーシャ”は、憑き物が落ちたように、静かに語り始める。
依頼書を書いた“クロイツ”なる人物との間に子供を授かったこと。
渇きに生きるギルタブリルの卵にとって、水は猛毒と成り得ること。
卵を守るために水を取り込むサルハを植え、それが巨大化しやがて卵すら取り込んだこと。
クロイツは卵を取り出す方法を調べるため、洞窟を出て、戻らなかったこと。
話を聴いていたID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)が卵を取り出す方法を尋ねるも、サーシャは首を振った。
話の中でクロイツの依頼書の内容を聴いたサーシャは決意を顔に浮かべる。
そして、サルハ・タイジュの傷口に口を付け、直接音波を流し込んだ。
サルハの中で音は増幅し、強大な振動と化す。
振動に耐え切れず、サルハ・タイジュは体内に蓄えた莫大な量の水を吐き出し始めた。
濁流に揉まれながら、寂しそうに微笑みを浮かべてサーシャは冒険者達に話していく。
クロイツがこの地に緑を取り戻して欲しいと依頼したことは、
卵を取り込んだこのサルハを倒すことを意味する。
クロイツは、そしてサーシャも気付いていたのだ。すでに卵はサルハの養分と化していることを。
しかし、認められなかったのだろう。クロイツはすでに無い卵を取り出す方法を求め、
サーシャはすでに無い卵を守り続けることで、二人はその現実から逃げ続けた。
卵とサーシャを救おうと洞窟を満たす濁流の中必死で声をかけるID:VKZCgKJK(無)。
一方、ID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)とID:u6U9ZeXa(音氷水雷木鉄)はカナートを引き返しつつ戦っていた。
魔王復活の魔力を集めるために動いていた者とそれを阻もうとする者の戦いは、
ID:x5ZyfXfm(上級魔族 煙)が濁流に飲まれて終焉を迎えた。
地下水脈を流れ、街の傍らにあるオアシスへと辿り着いたID:VKZCgKJK(無)と、
戦いを制し、街へと戻ったID:u6U9ZeXa(音氷水雷木鉄)が火災によって焼け落ちた酒場の前で出会う。
二人は無事に再会できたことを喜ぶことは出来なかった。
結局、救われた者はいないのだ。人が死に、様々な思いが絡み合った一日が暮れようとしている。
そして、言葉もなく座る二人の前に一羽の砂烏が飛来する。
砂烏は口に加えた依頼書を酒場の跡地に置くと、そのままどこかへ飛び去っていった。
人によく慣れ、物覚えの良い砂烏を調教し、クロイツは依頼書を貼り続けていたのだ。
書き溜めておいた依頼書をわざわざ砂烏へ貼らせる理由。
それは、恐らくはクロイツが他界しているであろうことを示していた。
ID:VKZCgKJK(無)は決意する。自分は未だ依頼を果たしていないのだ。
この土地に緑を取り戻すため、二人は周囲にアティラの種を撒いた。
水分を含んだ大地に根を張り、アティラは純白の花を咲かせる。
花が咲いて数分後、上空を黒い影が覆った。見上げると、何百、何千羽と言う砂烏が群れを成して飛んでいる。
一拍の後、二人の頭上から、砂烏によって運ばれた金貨が輝きながら降り注ぐ。
撒いた種が全て花に変わる頃、砂烏達はクロイツが最後に教え込んだであろう仕事を終えて飛び去っていった。
後には大量の金貨と、純白のアティラが静かに風に揺れていた。
それから十の春と十の冬が過ぎ、潤いを取り戻したヤザダの町は再び活気を取り戻しつつあった。
砂漠を行く商人を助け、危険な魔物を排除し、ヤザダの町の復興を影から支えたのは、
二人の魔法使いと一匹の美しいギルタブリルだという噂がまことしやかに囁かれている。


4/25 娘へ捧ぐ子守唄 ID:AWY/3prn

とある街の片隅で、初老の男性が声を張り上げ冒険者を募っていた。
受注するまで仕事内容を明かせないと言うきな臭さを感じつつも、
10万Gという破格の報酬に冒険者達は名乗りを挙げ、馬車へと乗り込んでいく。
馬車の中で男性は、先日大規模な魔力暴走が生じた研究所から、資料の回収を依頼した。
質問は機密事項に触れると悉く却下され、仕事で見知った事は全て他言無用と言う徹底した秘密主義に
不安を抱く冒険者達を乗せて、馬車は研究所へと走っていく。
目的地に到着した冒険者たちはあまりの惨状に言葉を失った。
研究所の周囲は荒野と化し、魔力暴走の中心である研究所は全壊に近い状態であった。
空気中に浮遊する紫や黒色の灰が、魔力暴走の凄まじさを物語っていた。
荒廃した研究所内で、冒険者達は謎の人影を目撃する。
爛れた皮膚、朽ちた肉、欠損した四肢・・・・・・
かつては人であろう被験体達は、理性の欠片も無く、ただ本能のままに冒険者達に襲い掛かってきた。
しかし、頭を吹き飛ばされてなお動き続ける被験体も、戦い慣れた冒険者達によって沈黙せしめられていく。
戦いを終えた冒険者達は溢れ出る魔力の源泉である地下へと向かう。
途中、冒険者達は廊下に転がっていた死体から、今回の事件を知る手がかりとなるメモを見つけた。
驚異的な魔力を持った生物の融合、その結果生み出された
“エキドナの娘”なる怪物が逃げ出したことが今回の魔力暴走の発端らしい。
死体が握り締めていた“ベレロポーンの鉛”と書かれた注射器を手に、
冒険者達は逃げ出したエキドナの娘を閉じ込めていた資料室の扉を開く。
呼吸すらも覚束ない高濃度の魔力が漂う中、部屋の中央には鎮座する巨大な肌色の肉塊が居た。
冒険者達が部屋に足を踏み入れた瞬間、肉塊が不気味に蠢き、いくつもの人間の頭が生えてくる。
粘り気のある紫色の体液を身にまとい、この世の物とは思えないおぞましい声を発しながら、
エキドナの娘は猛毒のガスや再生能力で冒険者達を攻め立てる。
蜂の巣にされてもすぐさま再生する驚くべき能力を前に、万策尽き果てたかと思った瞬間、
どこからか優しい子守唄が聞こえてきた。
子守唄に呼応するように、エキドナの娘は苦しみ始めた。
幼子のように父を呼び、巨大な身体を震わせて、不安に押しつぶされそうな泣き声をあげながら。
冒険者達は、エキドナの娘に針を突き立てる。ベレロポーンの鉛が注入されるにつれ、
巨大な肉塊は痩せ細り、やがて死んでいった。
研究所内に鳴り響く子守唄は、子供と父とのやりとりを最後に消えていった。
子供の名は、アイシャ。エキドナの娘に掲げられていたネームプレートと同じ物であった。
冒険者達は研究資料を収めたブラックボックスを手に、依頼人の待つ荒野へと帰還した。
資料を取り戻した喜びから、依頼人は研究所の機密事項を話し始める。
人間と人間とを融合させ、膨大な魔力を持つ人工キメラを作り出す悪魔の研究・・・・・・
嬉々として話す依頼人を見て、冒険者達の怒りが爆発した。
怒りと悲しみ、悔恨、様々な感情を冒険者達は研究資料にぶつけていく。
硬いブラックボックスに守られていた悪魔の所業は、度重なる冒険者達の攻撃によって跡形もなく砕け散った。
依頼人は青ざめ、捨て台詞を残してその場を去る。
残された冒険者達の耳には、確かに子守唄が聞こえていた。
楽しそうに笑う父子の声を伴いながら。


4/27 「何もない」がある所 ID:U+KWbBAA

※このクエストはフィクションであり、実在の人物、地名、団体、事件などとは一切関係がありません。

島根県、松江市……影が薄いことで有名という言語矛盾を多分に孕んだ
“影薄タウン”に冒険者一行は辿り着いた。
旅の疲れを名物の温泉で癒す間もなく、謎のおっさんが冒険者達に語りかけてくる。
話しかけるだけ話しかけ、仕事内容の説明もせずにトイレに立つおっさんに半ば呆れながら話を聴くと、
どうやら最近松江市の南方で人間が昆虫と化しているらしい。
この地方独自の風土病である“縞音薄病”が原因であるとの事だが、首都からは半ば見捨てられた形である
この都市に、有効な打開策は見つかっていないとの事であった。
昆虫化した人々は周囲の村々を襲い、多大な被害が生じている。
そのため、冒険者達に駆除が要請されたのだが、昆虫とはいえ、元は人間と言う話を聞き、
躊躇する冒険者一向におっさんは胸を張り、誇らしげに言い放った。
「大丈夫だよ。なんたって、ここは島根だからね」
常識の通じない島根の恐怖と、謎のおっさんの無意味なほどの自信に押され、冒険者一行は車に乗り込む。
“TOYOTA”と呼ばれる魔法使いが絶妙なバランスで作ったと言う車に不安を募らせつつも、
冒険者達は昆虫の巣が存在する砂漠へと到達する。
砂漠に辿り着いた瞬間、冒険者達に人間大の蛾が襲い掛かってきた。
「何も無い」,「地味だ」,「どこにあるか分からない」,「島根? 鳥取の県庁所在地だっけ?」
など、小馬鹿にされ続けてきた島根県の負の感情を煮詰めたような雄叫びを上げながら、
昆虫と化した人間達は冒険者へ牙を向く。
しかし、洗練された冒険者達の連携攻撃の前に、昆虫達は次々と駆逐されていく。
数体をあっという間に駆逐し、一息ついた冒険者達の耳に、潮騒のような声が聞こえてくる。
巣から湧き出る虫・・・。
大地を、天を、視界の全てを埋め尽くす虫の大群であった。
多勢に無勢・・・絶望的な状況に冒険者達が諦めかけた瞬間、巣が謎の大爆発を起こす。
爆風が収まり、顔を上げた冒険者達の目に映ったのは、琴ヶ浜に沈む美しい西日であった。
踏めば音が鳴るほど均一な砂に覆われた砂浜に、斜陽が照り返すその光景は、
まさに“神の御座す土地”と呼ばれている島根の奇跡であった。
冒険者達は息を飲み、しばし現の時を忘れる。
後はただ、どこからか響く踏鞴の音が、冒険者達を優しく包み込んでいた。


4/29 最高の財宝 ID:47v0ON39

大陸の山間部、山深い未踏の地で冒険者によって新たな遺跡が発見された。
遺跡の中には莫大な財宝が眠っているとの噂を聞きつけ、
新婚旅行気分のID:7XugU1oU(炎地)とID:2UyH8WJe(水風)を始め、多くの冒険者達が集った。
偶然居合わせた冒険者達はパーティーを組み、山間に位置する遺跡を目指しての移動を始める。
山に足を踏み入れると、可愛らしい鳴き声を上げるウサギと出会う。
ウサギを食糧にしようと冒険者が蔦を張り巡らせるが、驚くことにウサギはなんなくその蔦を切り裂いていく。
なんと、その可愛らしい外見とは裏腹に、“首狩りウサギ”と呼ばれる一撃必殺を繰り出す魔物であった。
しかし、さしもの首狩りウサギも鋼鉄の檻を断ち切ることは出来ず、あえなく御用となった。
ウサギを撃退し、遺跡に辿り着くと、遺跡に外壁には先行者が開けたと思われる大きな穴が空いていた。
中からは、奇妙な重低音や乾いた音、謎の悲鳴など様々な音が鳴り響いている。
そして次の瞬間、音に怯えて遺跡の中を窺う冒険者達に向かって、スケルトンが襲い掛かってきた。
鋭い鉄の刃と硬い鎧で覆われたスケルトン達を、冒険者は次々と撃破していく。
スケルトンを葬りさった冒険者達は、遺跡の奥に満ちる強大な気配に気が付いた。
歩を進めると、ドーム状の広場の中心に、異様な人影が浮かび上がってくる。
見上げるほどの大きさ、2対四本の腕、無数の頭、拍動と共に不気味に蠢く表皮・・・・・・。
それは、生きた人間を寄せ集め、作り上げられたゴーレムであった。
ゴーレムは冒険者達を見つけると猛然と襲い掛かってくる。
鉄塊や岩を投げつける驚異的な腕力、精神を削り正気を奪う怨磋の叫び、闇の帳を吐き出す力。
ありとあらゆる攻撃が冒険者達の命と魂を蝕んでいく。
周囲の闇が、音を反響する遺跡が、ゴーレムの攻撃を助長する。
冒険者達はそれでも怖じることなく、互いを助け、ゴーレムへと攻撃を重ねていく。
やがてゴーレムは轟音を上げて地に伏した。そして炎を纏いながらどろり、と溶けて行く。
ゴーレムの屍骸が燻るのを止めた時、遺跡に静寂が戻った。
疲れた身体を引き摺り、財宝を求めて遺跡を探索する。しかし、見つけられたのは一冊の手記だけであった。
そこには、最強の兵士を作るために死体を集め、やがては自分すら材料にした魔術師の狂気が記されていた。
読み終えた手記をその場に戻し、遺跡を脱した冒険者達は笑う。
財宝が手に入らずとも、度重なる戦闘で身体が軋んでいようとも、彼らは朗らかに笑い合う。
隣で無事に笑っている人がいるのだから。


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最終更新:2010年11月27日 01:43