一方こちらはレベッカ部屋の前である。
リリ「わ――――!!なにこれ!!」
レベッカの部屋のドアの隙間からは水が噴出していた。
だが中に入ってレベッカの無事を確かめようにも、ドアはびくともしなかった。
リリ「レベッカさん開けて!ねえ大丈夫?中で何が起きてるの?!」
リリアーナはどんどんとドアを叩いた。
残念ながら中から返事は無い。というのも、
レベッカは部屋の外へ自分達の会話が聞こえないように水牢をつくったのだが、
おかげで部屋の外から聞こえる筈の音までシャットダウンしているのだ。
リリアーナがレベッカに会うためには、物理的にドアを破壊する必要があるだろう。
リリアーナは大声で叫びながらドアを叩いたものの、レベッカの部屋からは反応がない。
マオ「ま、まさか溺死してるとかないよな?この量からすると相当の水があるっぽいが」
リリ「どうしよう、きっとレベッカさん今頃部屋の中で溺れてるんだわ!!」
マオ「おい無茶なことはやめろ!水圧があるんだ!タックル程度ではあくわけないぞ!」
リリ「何とかしてレベッカさんを助けないと・・・・・」
リリ『来たれ!ロックバスター!!』」
眩い水色の光がリリアーナの左手を覆ったかと思うと、
次の瞬間には召喚銃『ロックバスター』が装着されていた。
マオ「よしいいぞ!それでドアノブを壊すんだ!」
ロックバスターを召喚したリリアーナは、銃口をドアに向けた。
リリ「皆、ドアから離れて!」
それを合図に体当たりでもびくともしなかったドアをロックバスターでぶち破ってみせた。
どっと押し寄せる波をかぶってずぶ濡れになるマオとリリアーナ。
流水に一早く反応した
ヴァンエレンは常人を越える反応速度で蝙蝠に変身して上空に退避してみせた。
ヴ「苦手ですもん…しょうがないですもん」
主に許しを請うように言うヴァンエレン。
ヴ「うぼぁぁぁー」
パートナーによって自分の言ったことすべて否定されてへこみ気味。
リリ「レベッカさん!!」
部屋に飛び込もうとしたリリアーナは、レベッカの姿を見るや否や抱きついた。
リリ「レベッカさん無事だったのね!!良かった!良かった!本当に良かった!!」
レヘ「大変だぞ、リー。」
マオ「ズブ濡れになった僕の方がよっぽどたいへ……!?」
全裸のレベッカを見て、マオは文句の続きを言うどころか言葉すら失う。
リリ「・・・・・どうしたの?メイファはどこに?」
レヘ「敵意が無い証拠に服を全部ぬいだんだが、ファン・メイファに逃げられた。
あいつは瞬間移動が使えるから、もう一度捕まえるのも、捕まえ続けるのも難しいだろな。」
レベッカは、ドアの外に立っていたメンバーをまじまじと見つめた。
誰しもが、メイファが逃げたのはレベッカがいきなり服を脱いだせいに違いないと考えているだろう。
リリ「・・・・・・え、それってどういう・・・・・・」
慌てて身を離したリリアーナは絶句した。どうやら、やっとレベッカが全裸だという事に気づいたようだ。
リリ「うわああああ!!ご、ごめんなさ・・・・・」
真っ赤になって慌てたリリアーナは、今度こそ派手にすっ転んだ。
(その後レベッカは色々マオ達をからかっていたようだが、
びしょ濡れの上に盛大に咽ていたリリアーナはほとんど見ていなかったようだ。 )
レヘ「で、メイリンはどうした?」
マオ「いいから服をまず着ろォォォォォォ!!」
レヘ「やなこった。」
ヴァンエレンは蝙蝠の姿のままで、絶叫しているマオの肩に乗って羽を休める。
ヴ「まぁまぁ落ち着きなされ」
マオ「うぐっ……わ、分かったよ。確かに何言っても無駄みたいだからな。
それに馬鹿は死んでも治らないって言うしな。」
フリ「ギズモちゃん・・・見ちゃ駄目ですわよ」
とりあえず身近なお子様の目を塞ぐフリージア
レヘ「ここは俺の部屋だぞ?俺が俺の部屋でどんな格好をしようが俺の勝手だろーが。」
マオ「いい加減にしろ!中つ国からの留学生だかなんだか知らないがまずお前は常識を学べ!」
だいたい留学生っていうのはもっと慎ましくするものだろうが。
評判が悪ければもしかしたら自分の後に留学したいという祖国の生徒が断られるかもしれないんだぞ!?
マオ「なんでなんだ…だから会話をする相手には気をつけろと母様も言っていたじゃないかマオ・ミゼット」
レベッカは、ふと何か思いついたのか、裸のまま槍にまたがってみた。
レヘ「やべーな。これってすごくエロくねーか?」
フリ「ど~でもいいですわ」
結局ふざけ続ける場合でも無かったので、レベッカは服を着ることになった。
ちょうどレベッカが着替え終わると、メイリンが水の上を走りながらやってきた。
どうやら、レベッカの呪いの効果で、女子寮のほとんど(壁や天井も含めて)が水で覆われてしまったようだ。
フリ「この様子では私の部屋も水浸しかしら?」
ギ「ぼ、僕の本は!?」
当然水浸しである
フリ「私のクッキーは・・・・・ああいつもの所でしたわね」
何でもかんでも胸の谷間にしまいこむフリージアであった
レヘ「メイリン、一足遅かったな。妹様はどっかに行っちまったよ。」
そう言われたメイリンは、がっかりしたように水の上に突っ立ったままになった。
リリ「・・・ごめんね、メイリンさん」
レベッカはリリアーナに聞いた。
レヘ「で、どうするよ。この場合、俺達は何をするのがベストだ?」
マオ「フンッ、さあね。裸で踊ってでもいれば楽しそうだと思って寄ってくるんじゃないのか?」
ヴ「外へ行き聞き込みするか、数にものを言わせてしらみつぶしに捜索にあたるかといったところでしょうな。
誰かがメイファとやらの場所でも知っていれば別だけどね」
レヘ「残念ながら、誰にもわかんねーだろな。」
とヴァンエレンに答えるレベッカ。
レヘ「で、お前は誰だ?」
リリ「その前に女子寮を覆った水を何とかしないと。これじゃ外に出られないわ」
リリ「ねえレベッカさん、この水ももしかしてメイファの仕業?
もしメイファが水を自在に操るとしたら、このまま皆が水に浸かっていては危険だわ」
フリ「水が駄目なら氷にしてしまえばいいのですわ。氷にすれば物理的に破壊できますし」
リリ「フリージアにギズモ!来てくれたのね!!」
リリ「でも、このまま水を凍らせたら浸かってる私たちも氷漬けにならない?」
レヘ「メイファのせいじゃねえ。よく股間に手を当てて考えてみろ。これは魔法による水だ。
メイファには魔法はつかえねーよ。」
リリ「あ、そうか!ほんとだ、魔力を感じるわ!」
リリ「ああ、それとレベッカさん。メイファと二人きりでどんな話が出来たかも聞かせて欲しいな。
話の中に、彼女を見つけ出すための手がかりがあるかもしれないし。
・・・・・・本当はイベントの一環のふりして、彼女の目撃情報でも募れたら良いんだけどね。
まあメイファは変身もできるみたいだから、情報募っても無意味かなあ・・・・・くしゅっ!」
リリ「ねえ、マオマオならどうする?私達はどう動くのがベストなのかな?」
マオ「難しい話だな。聞き込みなどでは情報など集まらないだろうし向こうは常に移動している。
ましてや数にモノを言わせるなど向こうにこちらの動きを見せているようなものだ。
転移した術が魔法ならばどこに飛んだのか魔力の流れで探知できないこともないが…そうじゃないんだろう?
なにより僕たちは妖怪の使う術も妖怪のことも知らなすぎる…メイファの心理も何もかも」
ヴ「うぼぁぁぁー」
パートナーによって自分の言ったことすべて否定されてヴァンエレンはへこみ気味。
要するに考えれば考えるほどメイファを捕まえるのは難しいという結論に達するわけだ。
リリ「・・・・・・窓ガラス壊したら水は外に排出できるのかな? 」
フリ「他の部屋はともかく私の部屋の窓はガラスじゃなくて氷ですわよ」
レヘ「あーよ。でも、窓ガラスは壊すなよ。ぜったいに壊すなよ。」
フリ「とりあえずそこらの水を凍らせて窓ガラスにぶつけてみましょう」
球状の氷を作り出し氷で作ったラケットで打つ
フリ「いやぁぁぁぁ!!」
レヘ「おい(怒)」
リリ「きゃあぁぁぁあん!お蝶婦人ステキ―――― っ!!」
ギロリとリリアーナをにらむフリージア
リリ「・・・・・ごめん」
ギ「普通に氷ぶつければいいじゃん」
レベッカが呪いを解除するから、と言おうと思ったのに、フリージアが氷を窓にぶつけて割ろうとした。
考えてみれば、“ぜったい~”と言った時からこうなる運命だったのかもしれない。
ヴ「キャーイクサーン」
しかし、幸いにも窓ガラスは割れなかった。
水自体の抵抗もあったのだが、それ以上に氷は水から浮力を受けるからである。
レヘ「おめーら、どんだけ人の部屋壊したがってんだよ(怒)」
フリ「お~ほっほっほっほ!単なるノリと勢いでやったことだから気にしなくてもよくってよ!」
レベッカは、そういいながら槍を天井に向けた。その先には、天井に張り付いたスペルカードが見える。
レヘ「準備はいいか?」
ヴ「そーですねー」
フリ「ほえ?」
フリ「ちょっと!おまちなさいな!?」
何かコント的なものを感じたのかあわてるフリージア
マオとリリアーナが呆ける中、返事を待たずしてレベッカは槍を一薙ぎするとスペカが真っ二つになる。
呪いの終わりである。天井や壁を覆っていた水が、重力にまかせて下に落ちる。
リリ「へ?・・・・・きゃー!!」
ヴ「あ、あかん。
これはあかん!」
都合よく水が全て消えたりはしない。呪いは受けた対象にとって、とにかく不都合なものなのだ。
そんなわけで、レベッカも含めて、女子寮に居たメンバーは水を頭から被ることになってしまった。
呆然としていた状態のヴァンエレンも、目の前にいきなり現れた危機に対しての避難が遅れる。
その結果が煙を出して全身脱力というすでに満身創痍な始末であります。
フリ「お母さんの髪がストレートに!?」
びょびょ~ん
次の瞬間、元の縦ロールに戻るフリージアの髪
フリ「お母さんの髪がひとりでに元に戻った!?」
まるで形状記憶合金の様な髪の毛である
リリ「がぼがぼがぼがぼ!!(訳・誰か助けてー!!)」
危うく流されかけたリリアーナは、ドアの無い入り口にしがみ付き情けない声を上げた。
リリ「・・・・・・・誰か、タオルとか着替えとか出せない?」
マオ「……転移魔法使えないから無理だな。てかそれは僕のセリフだ」
フリ「私・・・・・・・持ってませんわ」
フリ「僕のお気に入りの服がびしょ濡れだよ」
レヘ「で、メイファの話だったな?」
レベッカは、頭から水をぽたぽた垂らしながらも、リリアーナに話しかけた。
タオルで頭を拭こうにも、そのタオル自体も水浸しである。
レヘ「あいつは最初、この部屋を物置か何かだと思ったらしい。まあ、たしかに今のこの部屋は物置とかわんねーけど(笑)」
と、レベッカは近くにあったダンボールを蹴った。おそらく、中の荷物も水浸しである。
レヘ「俺が話しかけると、あいつはすぐに応えたよ。中庭で会った時から同郷だとわかってたらしいし、
どうも俺はあいつから見ると魔法使いに見えなかったらしーぜ。なんでだろな?」
レベッカはそう言いながら、細い目をいっそう細めた。レベッカが発する魔力がひときわ小さくなった。
そこで僕はハッとする。細目にした瞬間魔力が小さくなったことからも想像ができる。
マオ「そういうことか……なるほど!」
リリ「やっぱり同郷の人だからかな?中つ国では魔法使いって珍しいんでしょ?・・・・・・ん?どうかした?」
ようやくリリアーナは、マオやヴァンエレンの視線に気づいたようだ。
レヘ「メイファは今、魔法使いを恐れている。報復を恐れているんだ。
中庭のあの惨劇も、メイファからすれば少し“じゃれた”程度のことだったみてーだぞ? 」
リリ「じゃれるって・・・・・・」
マオ「そ、それは本当か!?そこまでの力だったとは…
本気でやっても学園の生徒にすら馬鹿にされている吸血鬼もいるっていうのに…」
あれがじゃれると言うのなら、本気になったらどうなるのだろう。
レヘ「だが、メイファも事の重大さを理解したらしい。俺が魔法使いだとバレちまってな。
メイファは慌てて逃げ出そうとしたよ。そこで、俺は敵意の無い証拠に服を脱いだんだ。
ついでに呪いで足止めしようとしたが、意味無かったな。」
リリ「それはつまり、事の重大さを認識しただけで反省したってわけじゃないのね」
レヘ「だが、メイファも事の重大さを理解したらしい。俺が魔法使いだとバレちまってな。
メイファは慌てて逃げ出そうとしたよ。そこで、俺は敵意の無い証拠に服を脱いだんだ。
ついでに呪いで足止めしようとしたが、意味無かったな。」
ここまで話すと、メイリンは若干不機嫌そうな顔をした。
レヘ「俺は、今メイファを下手に刺激するのは良くねーと思うな。
人間にしろ妖怪にしろ、一番危険なのは追い詰められた時だ。そうだろ?」
リリ「だからといってこのまま放置するわけにも行かないわ。そうでしょ?
それに子供が悪い事をしたのなら、誰かがちゃんと叱って道を正してあげないと。
・・・・・とはいえメイファの能力は桁違い、捕まえておくことも出来ない、かあ」
マオ「リリアーナの言うとおりだ。人間にしろ妖怪にしろ。悪いことをしたら叱るのが当たり前だ。そうだろ?
報復や追い詰められたというのも向こうが勝手に思っているだけの話だ。
その誤解も解いてやらないとメイファが魔法使いに歩み寄ることはない。
お前の言う人間と妖怪の溝を向こうが作ってしまう前に何とかする必要があるんだ!」
レヘ「問題は何が“悪いこと”かってことでもあるけどな。そうだろ?
俺たちは今、メイファを悪い奴だと思ってるけど、後の世の人間は、
案外俺たちこそ悪だったと話すかもしれないぜ?
まぁ、わかんねーけどよ。善悪って、そんなもんだろ?」
フリ「お母さんは善なの?」
フリ「さあ?どうなのかしら?・・・・ただ私はいつも自分が正しいと思ったことをやっているだけですわ」
フリ「それがもし間違ってたらどうするの?」
フリ「その時はその時ですわ!お~ほっほっほっほ!!」
レベッカはそこまで言って訂正した。
レヘ「別にメイファの肩もってるわけじゃねーよ。ただよ、
そういう価値観だって、後からできるかもしれねーだろが。」
確かスカーフェイスは、メイファを瓢箪に閉じ込めていたはずだ。
リリ「メイファの空間転移って、使い魔カプセルや異空間でも封じ込めは無理かも・・・・・・」
レヘ「あーよ。フィジル島に来たのもその能力を使ったのかもな。
だとしたら、案外もう中つ国に帰ってるかもしんねーぞ?」
リリ「ねえフリージア、預けておいたメイリンさん通訳用の紙を出してくれない?」
レヘ「なんだよ、あの紙まだもってたのか?」
フリ「ちょっとお待ちなさいな」
と胸の谷間に腕を突っ込み紙を取り出すフリージア
フリ「これですわね」
とリリアーナに受け渡す
リリ「メイリンさんは、私達魔法使いの事をどう思う?
スカーフェイスさんに頼まれたから、仕方無しにメイファを止めようとしてるのかな?
本心では魔法使いは皆死すべしって思ってるのかな?
もしそうでないのなら、お姉さんであるメイリンさんがちゃんとメイファを叱って欲しい・・・くしゅ!はくしゅ!!」
レヘ「あー…聞かねー方が…」
棒メイリンの吹き出しが、さっそくレベッカが心配したとおりになった。
\そうだよ/
リリ「ここで立ち話もなんだし、とりあえず外に出ない?」
マオ「そうだな、このままでは風邪を引く…
ああ、そうだリリアーナ。さっきのレベッカの話で気づいたんだが……」
そして外に出る間に僕はリリアーナにさっきのレベッカの話で気づいた点を話す。
もしかしたら魔力を感知されない程度に抑えることができたら
接触が可能かもしれないという事。そして魔力を抑えることができなくても
そこは魔法薬によってフォローが可能だということをリリアーナ達に言う。
マオ「どうだ?まあこれがうまくいくかどうかは分からないが。
少しぐらいは効果があるかもしれないぞ?
最も見つけてからでは無いと意味はないのかもしれないが」
(ちなみに、ヴァンエレンは満身創痍のため聞けるような状態ではなかった。)
(205で〆)
最終更新:2009年01月22日 04:49