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メイファ追跡開始



女子寮の外に出た後、レベッカは言った。
レヘ「なぁ、もうその紙はしまっとけよ。」
紙の中の棒メイリンは止まらなかった。
\あたいは人間が好き。でも、魔法使いは嫌い/
このメッセージは、暗に魔法使いが人間とは違うものであると示唆している。
\あんた達ってば、いつだって自分を正当化してばかりね/
\はっきり言えば、偽善者なんだよっ/
\あんた達ってば、必ず攻撃魔法をおぼえようとするよね/
\自分の大切なものを守るためだって?/
\でも、善悪はいつだって自分達のルールできめてきたじゃない/
フリ「だって善とか悪とかってそういうものでしょ」
リリ「・・・・・・フリージア、ぶっちゃけすぎ。
 でも確かに、妖怪だって妖怪のルールで動いてるわよね。
 文化革命の話だって第一次はともかく、第二次なんかは完全に・・・・・・」

\さっきだって、この学園の生徒があたいを攻撃してきたよっ/
\回復魔法だっておぼえようとするだって?/
\そうね。それで、あんた達のルールにあった者だけが癒されるわけだ/
\レベッカは拒んだのに、あんた達ってばそれでも回復させたよね/
レベッカの股間ピアッシング時の話である。
レヘ「やめろよ、メイリン。」
\レベッカがお礼を言わなかった理由も、ぜんぜん考えてなかったわけだ/
レヘ「………」
\結局、あんた達ってば目の前の現象を自分達の好きな形に歪めたいだけね/
\自分が無力であると自覚するのが嫌いだから/
レヘ「スペル・カード発動!ジェン・ファーフオ!」
\でも、安心して。あんた達をメイファに殺させたりはしないよっ/
\だけどゲロロは… (ボワッ!)
突然、棒メイリンの描かれていた紙が燃え出した。
レベッカが、呪符・珍発火をその紙に投げつけたからだ。
珍発火は、触れたものを発火させる呪いである。
先程の棒メイリンの吹き出しが消え、棒メイリンは急いで火から遠い紙の隅まで逃げている。
早く火を消さないと、棒メイリンは焼けて消えてしまうだろう。
無論、棒メイリンともう話したくないのなら、そのままにすればいいが…

フリ「まあ確かにお母さんは氷の中で眠ったり・・・顔色が悪すぎたり人間かどうか怪しいけど
 でもリリアーナお姉ちゃんは笑ったり怒ったり悲しんだりする人間だよ!!」
リリ「いやギズモ、フリージアはちょっと人とは好みが違うだけでれっきとした人間だし」
フリ「ギズモちゃん・・・・・おやつ抜きますわよ」

リリ「わーっ!ちょっと待って―――― っ!!」
リリアーナは燃える紙に手を伸ばし、何とか燃え尽きる前に消火させた。
リリ「ああー。こんなに小さくなっちゃった・・・・・・」
棒メイリンは紙の隅っこで窮屈そうにしているが、何とか意思疎通は出来そうだ。
リリ「もうレベッカさんったら!いくら都合が悪い事を言ったからって、何も燃やす事無いでしょ。
 メイリンさんの内心はどうあれ目的は同じなんだから、ちゃんとお話出来ないと困るわ」
レヘ「…まぁ、お前らが不快でないなら続けろよ。」

リリ「・・・・・・メイリンさん、あなたの気持ちはよく分かったわ。
 私は友達になりたいけど、あなたが魔法使いを嫌ってるのならしょうがないよね。
 でも確か、メイリンさん達のお姉さんは魔法を習ってるんでしょう?
 お姉さんはお姉さんのままなのに、たったそれだけで毛嫌いしちゃうのってなんだか寂しいね」
レヘ「リーよ。悪いがそういう事にはふれないでやってくれねーか?
 中つ国の人間は、あんまり身内の問題を他人からふれられたくねーもんだ。」
リリ「そうなの?でも・・・・・」
その割にはレベッカがメイファ達のプライバシーに随分踏み込んでいるような気がする。

リリ「えっと・・・でもね、内心はどうあれ、こうしてちゃんとメイファ探しをしてくれて嬉しい。ありがとう」
\あいよっ/
リリアーナはそう言ってぺこりと頭を下げた。
リリ「仲間の非礼は詫びるわ。本当にごめんなさい。
 多分襲われたのは、メイリンさんが来客用のリボンをつけてないせいだと思う。
 でも、いくらリボンが無いって言っても、警告もなしにいきなりって変な話よね・・・・・何か心当たりは無い?
 たとえば何かを勝手に触ったり、持ち去ったり、食べたり――――あ。」
リリアーナはメイリンの反応を見て、大きなため息をついた。
棒メイリンの吹き出しが\テラウマス!/に変わる。
レベッカも何となく察してメイリンに言おうとした。
(おめーまた人の食い物勝手に食っちまっただろ?)
しかし、レベッカは何も言わなかった。レベッカは、これは後で使えるなと、表情を変えずに思った。

リリ「んーと、『郷に入りては郷に従え』ってことわざ知ってる?
 この学園にはこの学園なりのルールが存在するの。
 魔法使いだろうが妖怪だろうが、ここにいる以上はちゃんとルールを守る必要があるの。
 だからこそ、マオマオとヴァンエレンみたいな天敵同士でも仲良くやっていけるんだからね。
 さっきの襲われた話に戻すけど、実はこの学園にある物にはたいてい所有者がいるのよ。
 勝手に持ち去ったら泥棒って事になっちゃうから、トラブルが嫌なら今後は気をつけてね」

リリアーナはレベッカに向き直ると、また頭を下げた。
リリ「レベッカさんもごめんね。私、知らないうちにすごく無神経な事してたのかも」
レヘ「…まーな。」
リリアーナはしょんぼりした。てっきり遠慮してるとだとしか思わなかったのだ。
リリ「だからね、これからは嫌な事や困った事があったらもっとちゃんと話して欲しいな。
 ほら、さっきテレパシーが苦手だよって私に教えてくれた時みたいに。
 だって友達になりたい人が、自分のせいで不愉快な思いをしてるだなんて私は嫌だもの。
 あっ、メイリンさんもよ。嫌な事や困った事があったらちゃんと話してね!約束よ」
リリアーナはちょっと考えた後、こう付け足した。
リリ「中つ国と西方は文化も思想も全然違うわ。妖怪と魔法使いも。
 だったらまず、お互いの事をよく理解しあうのがトラブル回避の第一歩だと思うのよ」

リリ「・・・・・・・で。話を戻すけど、さっきのマオマオの提案について皆はどう思う?
 有効なら試す価値はあると思うんだけど。
 あ、そういえばまだ聞いてなかったけど、そもそもメイリンさんはどうやってメイファを止めるつもりなの?
 私たちに何か協力出来るようなことってあるのかな?」
レベッカは、林の方へ耳をそばだてた。今のところ爆発音や悲鳴は聞こえてこない。
それもそうだろう。レベッカさえ林に行かなければ、メイファは“待機”し続けるのだから。
\ないよっ!あたいにぜんぶまかせときなっ!/
メイリンは、レベッカが想像した通りの返事をして、くるりと踵を返した。
さすがにレベッカにはメイリンの感知能力を妨害できないので、黙って見送るしかない。
遅かれ早かれ、メイリンは林の中にいるメイファを見つけ出すだろう。
そして、もしもメイリンがメイファを見つけたら、棒メイリンを見ればすぐにわかるはずだ。

クロ「マオ、女子寮でいったい何が…」
ヴ「燃えたよ…。燃え尽きた。
 真っ白にな」

クロ「で、女子寮の中でいったい何があったんだ?
 入口の方から水が大量に噴き出してきてスクナとミルクが流されたっぽいんだが。」
マオによるとレベッカが服を脱いでいたり水をかぶったりとさんざんだったみたいだ。
だんだん愚痴っぽくなってきたな…
ただ、魔力を感知されない程度に抑えればメイファと話すことができるかもしれないという収穫はあったようだ。
しかし、その方法だと俺には…

レヘ「“嫌な事や困った事があったらちゃんと話してほしい”…か?」
レベッカは、メイリンが少し皆から離れた後、そうきりだした。
レヘ「なるほどたしかに。お互いをよく理解しようと思ったら、言いたい事をガマンするのはよくねーよな?
 じゃあ、言ってやろーじゃねーか。」
そして、レベッカは“言いたい事”を話し始めた。
レヘ「第二次文化革命が“妖怪のルール”だって、お前は言ったな?
 だがよ。後に学者は、もしも第二次文化革命が起きずにスズメが駆逐されたら、
 その餌だった害虫がはびこり、大飢饉が発生して4000万人以上の死者が出ただろうと推測している。
 はたしてこれでも、“妖怪のルール”の一言ですませられんのか?
 そもそも、妖怪の能力は天から与えられるもんだ。しかし、魔法は自分から学ぶもんだ。
 そこんところをちゃんとわきまえて考えなきゃいけねーよ?
 もっとも、妖怪でもない魔法使いの俺がこんなこと言っても、説得力ねーか?」
レベッカはまだまだ続けた。
レヘ「お前さっき俺が紙を燃やそうとしたのを“都合の悪い事を言ったから”って決め付けやがったな?
 俺はただ、おめーらがあんまり気を悪くしたら気の毒だからそうしようとしただけだっつーの。
 それだけじゃねぇ。お前はさっき、メイリンが誰かの食い物を勝手に食べたと決め付けただろ。
 そもそもメイリンは何も言ってねーぞ。お前の注意に返事をしたのは、ただあいつが素直だったからにすぎねぇ。
 態度だけで人の事を勝手に決め付ける奴の口が、よくも“お互いの理解”なんて言葉を吐いたな。」
リリ「・・・・・・・・・。ごめんなさい」
リリアーナは一言謝罪を述べると、それきり口を噤んだ。
クロ「ちょっと状況がつかみきれてないけど、
 言葉が悪くないか?
 …まあ、態度だけで判断していたのであれば非があるだろうが、
 注意すればいいだけだろ。」
フリ「まあ確かに何の証拠も無く人のことを決め付けるのは良くないけど・・・・その言い方はひどくなくて?」
リリ「クロウさんいいのよ。いいの。・・・・・でもありがとね」
レヘ「そうだぞ。こいつはリーが望んだ事だ。他の奴にとやかく言われる筋はねーよ。
 (いいぞ、もっと俺を言葉責めしろ)」
リリ「そういえばメイリンさん用の来客リボン、生徒会のほうで手配できそう?」
クロ「ああ、リボンは副会長に頼んでおいたから大丈夫だ。」
リリ「そう」
だとしても、この男は早くメイリンを追いかけた方がいいだろうなとレベッカは思った。

ヴ「やっと力が戻ってきました」
しょうげているリリアーナと全体的に重い空気の中、ダメージからようやく回復できたヴァンエレンは空気を読まずに元気を取り戻した。
リリ「・・・・・・・ところで、何でそんなに消耗してたの?」
リリアーナは、つい思ったことを口に出してしまった。
ヴ「流水をあびたからです」
リリアーナの吸血鬼は水を浴びるのも苦手なのでは?という憶測はまさしく正解であった。
己の弱点を隠しもしないであっさりと答えてしまうヴァンエレン。
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…。

フリ「とりあえず今はメイリンさんの後を追いましょう」
とりあえずリリアーナを追いかけるように走るフリージア
ギ「そうだね一人にしておくとまたトラブルに巻き込まれそうだし」
クロ「ああ、リボンが付くまで誰か近くにいた方がいいしな。」

メイリンは、林の方ではなく、校舎の方へ移動して行っている。
しかし、これはレベッカにも意味がわからない行動だった。
レヘ「(林にまっすぐ行かないのかよ?)」
レベッカは、校舎に行くのは何の問題も無い。
本来はここでごねてメンバーから離脱するつもりだったが、
その必要が(少なくとも今は)無くなってしまった。
もっとも、いずれはメイリンもメイファのいる林に移動する筈である。
レベッカは、予定通りに行動する事にした。
レヘ「まあ、はっきり言えば俺はお前らがいまいち信用ならねーってことだ。
 だから後はお前らだけで好きなようにやんな。俺は降りるぜ。」
リリ「え?ちょ、ちょっと待って!」
リリアーナは慌てたが、次の言葉がどうしても出てこなかった。

レベッカがメイファと全く同じ考えとは思っていない。
だとしたら、メイリン達の話や文化革命について詳しく話す必然性が無いからだ。
だが、仮説が真実ならこのまま放置もできない。
でも自分がまたしゃしゃり出ても良いものだろうか?

レベッカは女子寮の中に引き返そうとした。
クロ「信用しろとは言わないが、寮に引き籠ってていいのか?
 この学園祭は留学生にどんな施設があるか紹介する意味もあるんだぞ。
 かなり広い学園なんだから場所を覚える為に出てた方がいいんじゃないか?」
リリアーナはうんうんうん!とばかりに首を縦にふった。
リリ「そうね。今のうちにいろんな所を見て回らないと、今後の学園生活に支障がでるかもしれないわ。
 それに、今女子寮に戻っても部屋は水浸しできっと休めないだろうし。
 寮の周りだってトラップが山のようにあるし、慣れない人が一人で近寄ったら危険だし」
通訳がいないとメイファの説得は難しいのだが
忘れているのか単に言い出せないのかまでは、リリアーナの表情からは分からない。

レヘ「うっせーな。…まあ、おめーらの言うことももっともかもな。」
レベッカは、後でトイレに行くとでも言ってばっくれようと考えた。
そういうわけで、しばらくはメイリンを追うメンバーに同行することにした。
あくまで、そういう魂胆があると悟られないように渋々とした様子で、である。

リリ「メイリンさんは校舎の方に向かってるね。
 飼い主のいない犬(メイファのこと)が学園祭に紛れ込んでいたら、きっとすごく目立つ気がするんだけど」
クロ「普通は騒ぎになるな。
 ただ、人ごみの多い所に潜んでいる場合は、注意しないと気付かないぞ。」
これだけの騒ぎだ、身元不明の犬がうろついていたとしても気にしないこともあるだろう。


メイリンは校舎に入ると、階段を上へ上へと昇っていった。
リリアーナはふと、マオの提案に自分が返答していなかった事に気づいたようだ。
リリ「あ、マオマオ。さっきの魔力を感知されない程度に抑えることができたらって話だけどね、
 私はメイファに顔がばれているから、魔法使いじゃないって言っても通じないと思う。
 うーん、となると私もフリージアもクロウさんも接触役は難しいかもね」
リリアーナは封印の魔石の影響で、ほとんど魔力らしい魔力を持っていない。
(顔さえメイファに知られていなければ立派に説得役を引き受けたかもしれないのに、残念である)
フリ「なるほど・・・・・確かにそうですわね」
ギ「僕は元々魔法使いじゃないよ!!」
フリ「あなたに説得なんて難しいことが出来ますの?」
ギ「・・・・・う」
マオ「というわけでクロウ、悪いがお前が……」
クロ「…その説得の間なんだが、」
俺も事情を話しておかないとな。
クロ「俺は別の所に行っていようと思う。
 …体質上感じ取れないほど魔力を小さくすることができなくてな、
 余計な刺激を与えかねない。」
リリ「クロウさんも難儀な体質ね。もしかして小さい頃、かくれんぼ苦手だったんじゃない?
 だとしたら奇遇ね、実は私もよ」
レヘ「俺も駄目だな。さっきメイファに逃げられたばっかりだ。
 …言葉の問題はメイリンがいるから大丈夫そうだけどな。メイファもメイリンを信用してるしよ。」
レベッカは、さり気無く自分が役に立たないとアピールした。
マオ「…そうとは限らないぞ。たとえばお前がメイファを逃がしたとかも考えられる訳だ。
 実際お前は僕たちを信用してないと公言しているんだ、嘘ぐらい平気でつけるだろうしな」
マオの言葉に応えることはないレベッカ。まあいいさ。
何を考えているか変態だけにさっぱり分からないが協力する気のないやつに期待したって無駄だ。

レベッカはメイリンの様子を見た。メイリンは、さっきからずっと早足で階段を昇り続けている。
レヘ(どこまで登る気だ?)
レベッカは少しメイリンを不審に思った。メイリンは心眼で物を見るから、
きょろきょろと辺りを見回したりしないのはわかる。しかし、
校舎内が怪しいと感じたなら一階一階もうちょっと丁寧に探知した方がよさそうなものだ。
もしかして、メイリンは屋上に妖怪の気配を感じたのだろうか?
しかし、仮に校舎の屋上に何かしら妖怪の気配を感じたとしても、
距離的に女子寮に近かった林の中にいるメイファに気づかない筈が無い気がする。
いや、まてよ。もしかしたら、本当にメイファは(理由は不明だが)屋上にいるのかもしれない。
すると好都合だ。レベッカは、屋上でメイファを見つけ次第こう言えばいい。
“黄河二号!命令不服従につき、謹慎処分とする!”
レベッカは、もうしばらくリリアーナ達と行動を共にする事にした。

リリ「メイリンさんがメイファを止めるのは、単にそうしろと言われたからでしょう。
 いくら彼女が素直でも、魔法使いと妹様の通訳まで引き受けてくれるものかしら?」
リリ「ねえメイリンさん、一度メイファと話してみたいんだけど、通訳ってお願いできるかな?」
リリアーナはダメもとで、メイリンの背中にそう問い掛けた。

リリ「あっ、忘れるところだった!
 レベッカさん、あれが符術科エリアよ。で、あちら側が幻術科エリアだからね」
リリアーナはレベッカの様子をうかがいつつ、取ってつけたように学内施設を紹介した。
リリ「話を元に戻すけど・・・・・・そっかあ、となると、残った人でメイファと接触できそうな人は・・・・・・・」
リリアーナはくるん、とマオとヴァンエレンの方を見た。
リリ「大変な役回りだけど、お願いできるかな?」
もしかして僕にやれって言っているのか?僕はそういうに苦手だって言っているのに。
だったらまだヴァンエレンの方が説得なら向いているじゃないか。
同じ人じゃないもの同士何か通じ合えるかもしれないし。
マオ「うーん。僕がしゃしゃり出てもあまりいい結果になりそうもないな。
 というわけでヴァンエレン。お前に任せたいんだけど…」
どうせもうヴァンエレンは僕の使い魔なんだ。少々色々と押し付けても何も文句は言えないはず。

ギズモと同じ人外組でギズモより長く生きており精神年齢が高い為
メイファを説得できる可能性が高いヴァンエレンであったが・・・
ヴ「ダメっす。
 無理っす。
 働きたくないでござる」
駄々をこねて全力で拒否しはじめた。
この吸血ニートがやらないというならば必然的に主人であるマオが引き受けることになるのだが…。
ギ「駄目だぁぁぁぁぁ!?」
あまりのことに突っ伏すギズモ
マオ「何言っているんだ!?お前は僕の使い魔だろ!それも正式な。
 だったら主人の言うことは絶対じゃないのか!?
 そんな態度じゃ吸血ニートと言われてもいいわけできないぞ?」
ヴ「いやっす。
 もう血は見たくないので候」
マオは叱咤してみるが、ヴァンエレンは働きたくないでござるとダダをこね続けるばかり。
この者、こと生死に関わる事になるとガン待ちスキルが発動して恐るべきニートパワーを発揮するのだ。
ダメだこの吸血鬼……どうしようもない。

リリ「後は説得をどこでするかって事なんだけど・・・・・・。
 あーあ、ヘレン先生がここにいてくれたらなー」

リリ「あ、ヘレン先生って言うのは、最近学園に来られた見習い教師なのよ。
 この間の「魔本リバース」のイベント覚えてる?
 実は、あの魔本を管理なさってるのがヘレン先生なのよ。」
まさか魔本=ヘレン先生ですとはいえないリリアーナは、当り障りの無い説明をした。
リリ「リバースの中なら、説得に失敗して殺されても復活できるでしょ?
 それに考えてもみて。
 メイファを閉じ込め続ける事ができないのは、メイファが自分は閉じ込めれると気づいているからよ。
 だったら気づかれなければいいんじゃないかって・・・思ったりして・・・・・」
リリアーナは人差し指同士をすり合わせながら、そう自分の意見を述べていた。
だが次第に声が尻すぼみになっていく。
リリ「まあ、単なる思いつきなんだけどね」

レヘ「教師だったら職員室にいるんじゃねーか?呼んでくればいいじゃねーか。
 あ、なんなら俺が呼んでやろか?」
クロ「呼ぶってどうやって呼ぶ気だよ。」
なんかいやな予感しかしないぞ。

レベッカは、大きな声で叫んだ。
レヘ「ボーイズラブのヘレン先生!ボーイズラブのヘレン先生!
 襲われ受け系の美少年がお待ちです!至急こちらまでお越しください!」
ヴ「なに?そんな教師がいていいのか?」
ヘレン先生の特殊な性癖をあらん限りの大声で言うレベッカ。
もちろんそんな性癖をレベッカは知りようが無いので嘘八百である。
そこの吸血鬼はネタにマジレスしてどうすんの?

ギ「ま・・・まずい」
慌てふためくギズモ
別にBLな先生のせいで自分の貞操がやばいとかそういう事ではないのだが
ギ「お母さんが!!」

ヘレン先生の名誉のために説明するが、レベッカはヘレンと面識が無いので、
もちろんボーイズラブというのはレベッカの勝手な決めつけである。
ついでにそれがフリージアのトラウマである事ももちろん知らない。

リリ/フリ「「いやぁぁぁぁぁ!?」」
リリアーナとフリージアの悲鳴が奇しくもハモった。
フリ「いやぁぁぁぁぁ!?やめて!やめてそんな物を私に見せないで!!
 殿方同士なんていやぁぁぁぁ!?」
BL発言に案の定、発狂するフリージア
リリ「レベッカさんってばヘレンに向かって何てこと言うのよ―――― !!
 確かにヘレンは彼のこととっても気に入ってるけど、ボーイズラブには該当しない・・・・ああそうじゃなくて!!
 あああどうしよう、もし私がヘレンことを陰でそんな風に話してるなんて誤解されでもしたら・・・・・・」
リリアーナはムンクの叫びのような顔になった。
どう考えても死亡フラグです本当に(ry

説明しよう!!
フリージアは幼少の頃
死んだ母親の友人に無理やりそっち系の同人誌(故母作)を見せられたため
BLがトラウマになっているのである
ゆえにBLとか青き伝説衆道とか男色とかの言葉を聞くと発狂してしまうのだ

フリ「いやぁぁぁぁ!?そんな物見たくない!見せないで!!」
フリ「斜め45度チョップ!!」
暴走するフリージアをチョップでとっとと黙らせるギズモ
ギ「ふう・・・やれやれだぜ」

レヘ「ははは、まぁさすがにこんなんでヘレン先生が駆けつけたりしねーよな?」
クロ「それ以前に別のものを呼ぶだろ!!」
腐女子とかショタコンとかetc… 嫌なものしか来そうにない
レヘ「安心しろ。俺が腐女子やショタケットに負けるはずがねーだろ。」
クロ(そういう意味じゃない!
  なんというか、俺の身が危うくなりそうな予感がする。 )
リリ「とりあえず襲われ受け系の美少年ということで、クロウさんとギズモは後よろしく! 」
クロ「待て!なぜ俺を入れる!
 というか後を任せるな!!」
リリ「フリージア、私を使い魔カプセルに隠して・・・・・・フリージア?!」
リリアーナはギズモに昏倒させられたフリージアを見て仰天した。
リリ「な、何で急に眠っちゃったの?おきてよー!起きて私を使い魔カプセルに匿ってよー」
リリアーナは半べそになりながら、気絶したままのフリージアをがくがく揺さぶった。
だが一向に起きる気配は無い
ギ「・・・・・・ちょっと強く叩き過ぎたかな?」
ギ「まあお母さんだし・・・・大丈夫、そのうち復活するよv」

レヘ「ははは、おもしろくなってきたな。ヘレンってそんなに恐ろしい奴なのか?」
リリ「そんな笑ってる場合じゃ・・・・・・・」
リリアーナはばっと振り向き、そのままの体勢で固まってしまった。

誰かが、レベッカの肩をコンコンと叩いた。
レヘ「あ?何だよ?」
レベッカが振り向くと、金髪碧眼の少年が立っていた。顔には甘い笑みが浮かんでいる。
リリアーナはあわあわとジェスチャーで口を慎むよう訴えている。 だが願いは届かない。
レヘ「おー、ちょうどよく襲われ受け系の美少年が来たぜ。本当にヘレンが来るかもな?」
クロ「いや、そういう問題じゃないだろ…」
クロウの冷静な突っ込みをうけつつ、リリアーナの顔色はさらに蒼白になった。
制止しようとする動きは、既に奇妙な踊りの域である。
??「それは違うと思うよ。」
金髪の少年がレベッカに言った。彼の手は、まだレベッカの肩の上に乗ったままで…
レヘ「何が違うんだ?」
これがレベッカの、その時の最後の言葉だった。
ヘレ「僕がヘレンだ。」
へレンがレベッカの肩をぎゅっと掴むと、レベッカはしゅるしゅると縮み、その手にすっぽりと収まってしまった。
しかし、それはもはやレベッカではなく、ただのカブトムシである。
リリ「わー!レベッカさんがオスにいぃぃぃぃぃ?!」
ギ「なんでカブトムシ?普通は蝦蟇蛙とかじゃないの?ベルトに取り付けて変身でもするの?」
ヴ「ひぃ、食われる!?」
マオ「吸血鬼なんだからちょっとは落ち着け!全く…これじゃあ
 お前のマスターである僕が恥ずかしいじゃないか…
 僕みたいなスーパーエリートの使い魔なんだからもうちょっと堂々としてもらわないと」
ヴ「そ、そうは言うけどもだな…」
その後はごにょごにょと小さい声でなにか言っているようだが周りはまったく聞こえない。
さしずめ自己弁護する言い訳を何か言っていたに違いない。

ヘレ「…女の人は食べないよ。」
ヘレンは困ったように笑った。
マオ「それはつまり男性は大好物だということでいいのか?」
つっ込みを入れてみたが鋭く睨み返されたのでそれ以上言うのはやめた。

ヘレンは、かつてレベッカだったカブトムシを掌の中で転がしながら言った。
ヘレ「君は間違いを二つ犯した。一つは僕を怒らせた事。もう一つはさらに僕を怒らせた事だ。」
クロ(それは同じことじゃないか?
 けどそれを口に出したらまずいだろうな。)

ヴ「ひぃ、食われる!?」
カブトムシにされてしまったレベッカを見て勘違いしたヴァンエレンは恐怖に震えた。
マオ「吸血鬼なんだからちょっとは落ち着け!全く…これじゃあ
 お前のマスターである僕が恥ずかしいじゃないか…
 僕みたいなスーパーエリートの使い魔なんだからもうちょっと堂々としてもらわないと」

ヘレンは、辺りにいる面々を見回した。ヘレンはあいかわらず甘い笑顔を浮かべているが、
もう、その笑顔が必ずしも心情と一致しない事を悟ったメンバーは多いだろう。
ヘレ「で、どういう事情なのか…もちろん、説明してくれるよね?」
…と、言われてもねぇ。
俺はヘレンって先生を全く知らないわけだし、リリアーナの発言が発端だったような気もするし、
クロ「リリアーナ、説明頼むわ。」
リリ「わ、私?!」
頼みごとをする前に相手をこれほど怒らせる事になるとは思っていなかったリリアーナは、
正直どうしたらいいか困惑していた。

実はリリアーナは、ヘレンのことは彼が学園の見習い教師になる前から知っている。
行きがかり上、一度ならずお互いの危機を救ったこともある。
だが関係が良好かというと、必ずしもそうとは言えない。
ヘレンから見たリリアーナ像を一言で言うなら、知人――――もしくは、邪魔者・・・かもしれない。
リリ「・・・・・・・・・・・・・・・う・・・・・・分かった」
だがこうしていても仕方が無い。
やがてリリアーナは、観念したように真顔に戻りヘレンに向き直った。

その頃、メイリンはレベッカ達のやりとりを完全に無視して屋上を目指していた。
もしもレベッカやヘレンに気をとられていたら、きっとメイリンを見失っているだろう。
『ねえメイリンさん、一度メイファと話してみたいんだけど、通訳ってお願いできるかな?』
リリアーナはダメもとで、メイリンの背中にそう問い掛けた。 
その時のメイリン、いや性格には棒メイリンの返事は\NO/であった。
メイリンにとって、メイファは尊いものなのだ。故に、
魔法使いに気安く話しかけられたく無いという感情が働いたのかもしれない。
しかし、それだけではない。メイリンは、メイファを確実に保護できる方法を知っているのだ。
そして、それを実行するためには、なるべく高い場所へ移動する必要があるという事も…
ほどなく、メイリンは校舎の屋上へたどり着いた。

また同じ頃頃、リリアーナとスクナを繋いでいる蚕の糸も猛烈な勢いで巻き上げられていた。
だが、幸か不幸かリリアーナにはまだ影響は出ていないようだ。

リリ「ヘレン先生、その前にレベッカさんを元の姿に戻してあげてください。
 レベッカさんはヘレン先生のことは全く知りません。
 だからさっきのアレも、きっとレベッカさん流の私に対する悪ふざけなんだと思います。
 本当にヘレン先生に聞こえるとは思っていなかったんだと思います。
 レベッカさんは人前に裸で出てきたり股間にリボンをつけたりと、西方の習慣には少々疎い部分があります。
 ・・・・・・失礼はエスコート役の私がお詫びします。
 だからお願いします。どうか彼女を『私たちの知っているレベッカさんの姿』に戻してあげてください」
リリアーナはまだるっこしい言い回しをして頭を下げた。
ヘレ「まずは、事情を聞いてから、それからだよ。」

リリアーナは、今までの事情を簡単に説明し始めた。
リリ「というわけで、今私たちはメイリンさんと一緒にメイファを探しています。
 彼女はメイファの場所がわかるらしいので・・・・・あれっ、ねえ皆、メイリンさんは?」
クロ「へ?」
突然のヘレン登場とレベッカブトムシで驚いているうちに、すっかりメイリンを見失ってしまった。
とはいってもこの先にあるのは、屋上と塔くらいのものだが。
ヘレ「ねぇ、ちょっとその話を聞いて思ったんだけど…」
リリ「大変、追いかけなきゃ!ヘレン先生、話は移動しながらでもよろしいですか?」
リリアーナはヘレンの返答を待たず、階段を駆け上がり始めた。
ヘレンもまた、カブトムシを持ったままリリアーナ達と走った。
クロ「この先は屋上と塔だけだよな?
 俺は塔の方に行ってみる。
 メイリンさんがいたらテレパシーで連絡するな。」

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最終更新:2009年01月26日 17:29
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