夜明けの迫る
招き猫広場では、有志による魔法陣制作が急ピッチで進められていた。
一方で広場の隅では、にゃんこ先生によるムウ大陸探索メンバーの選定が行われている。
「うむ。いってよし」
「お前は今はダメじゃ、相性が悪い」
断られた生徒から抗議の声があがるが、にゃんこ先生に気にした様子はない。
「仕方が無かろう、先に勝手にムウ大陸に行った輩のせいで時空間が不安定になっておる。
仲間と一緒に時空の狭間に消えたくなければ、空間が安定するまで待っておれ。
文句があるなら、案内人のわしを通さず無理やりムウ大陸に行ったターロンとやらに言うがよい」
招き猫広場に置かれた氷で出来た二つの姿見
それはいわゆる合わせ鏡になるように配置されている
合わせ鏡・・・・・それは古代から悪魔を呼び出すための儀式とされる行為である
「そんなことしなくても僕らはここに居るのにねv」
ギズモ・・・美少年の姿を模したこの子悪魔はかわいらしく笑う
「ギズモちゃん、この合わせ鏡で開くのは魔界では無くってムーへの扉ですわ」
フリージア・・・いかにもお嬢様といった風貌の少女は使い魔を窘める
「それぐらい分かっているよお母さん」
ギズモは少女のことを母と呼ぶ
小悪魔と少女は主人と使い魔の関係ではあるのだが
小悪魔は母親のように少女を慕っているのだ
「あとは時が来れば・・・・・」
リリ「フリージアにギズモー!!」
リリアーナはサンタクロースのような大きな袋と槍、ウェストポーチといういでたちで広場にやってきた。
リリ「二人ともおはようっ!――――わあ、もう合わせ鏡出来上がったんだ。さっすがフリージア、仕事早いね!」
「夜明けは近いぞ!急いで魔法陣を完成させろ!」
「ブン屋から提出を受けた呪文の解析データはこれか!?
呪文詠唱に自信のある方か、事件発生時現場にいて呪文を覚えている方!
ムウ大陸への道を開く呪文の詠唱にご協力をお願いします!」
ケオ「あぁ、それなら僕が……マンダ、メイレンさんと一緒に居てね。
僕は呪文の方を見て来るから。」
マン「わか、た。」
ケオスは呪文解析をしてる人物たちの元へ行く
リリ「これは私はお呼びじゃないわね。
フリージアも合わせ鏡の管理があるだろうし、ケオスさんや他の方々にお任せかな。
そういえば、レベッカさんは今の体で呪文詠唱とかできるの?」
レヘ「ちょ、話しかけるな。人が多すぎる。」
レベッカはそう小声で言ったきり何も話さなくなった。
今のレベッカはだれがどう見ても槍そのものである。
その槍がしゃべるのだから、珍しいマジックアイテムか何かと詮索されたくなかった。
ちなみに当のレベッカは、喋れるんなら呪文唱えられるんじゃね?、と気楽に考えていた。
彼女が魔法に使うスペルカードは、今もリリアーナが持っているはずである。
リリ「ところで、他の皆は?
あっ、そうだ。ねえフリージア、私、メイレン様を探してるんだけど、どこかで見」
見なかった?という言葉は、何かぶつかったような音にかき消された。
キィィィィィィという金属のこすれる音があたりに響く。(急ブレーキはやめましょう。)
その音の方向に目を向けると、一台のバイクが勢いよく近付いてくるのが見えるだろう。
キィィィィといういやな音を出しながらものすごいスピードでやってくるクリスの魔導二輪。
クリ「!!危n」ドンガラガッシャーン
ヴ「あいやぁぁぁあああああああ!」
突撃をくらって吹っ飛ばされていく
ヴァンエレン。
そして血を流してぴくりとも動かなくなりましたとさ。
クリ「おい、大丈夫か!!」
あわてて魔動二輪から降り、飛ばした奴に近付いてみるとそいつは吸血鬼だった。
クリ「・・・なんだ、ヴァンエレンか。」
まあヴァンエレンはゾンビ級にタフなので、この程度で死ぬ可能性は皆無だが。
リリ「わ――――!!クリスさんにヴァンエレン?!!
ど、どうしたの?いったい何がどうしたの?ふ、二人とも大丈夫??」
リリアーナは、たまたま招き猫広場に居合わせたミシェルに手招きした。
ミシ「やぁ、リリアーナ君。しばらく見ない間に武術に目覚めたのかい?」
リリ「ミシェル殿下!・・・じゃなかった、ミシェル先生大変です!
吸血鬼がバイクに轢かれちゃいました!
私はヴァンエレンの方を治療しますので、先生殿下診シェルはクリスさんとバイクを!!」
ミシ「向こう?解った。後は少し落ち着きなさいな」
クスッと小さく笑ってから、事故ったらしいバイクに向かっていく
(さすがに吸血鬼に手を出すのはマズいよな)
いっそ美人なら幽霊でも良い。くらいに思ってるミシェルでも、吸血鬼はどうだろうと考える。
ギ「・・・・・これだから機械は信用なら無いよ」
フリ「あれは単なる操作ミスじゃなくって?」
まあ轢かれたのは吸血鬼だし特に問題も無いだろう・・・・多分
フリ「まあ鏡に傷が出来ても修復すればいいだけですわ」
一応、鏡を点検して見るフリージア
さっきの事故で飛び散ったヴァンエレンの血が・・・・・
一方、引かれたヴァンエレンの方では、ユリが記録石を片手に持ってパシャパシャ記録を取る真っ最中だ。 盗撮防止のため、記録写真を取るときには光と音が出るようになっているのだ。
ユリ「ヴァンちゃんそのままそのまま!
変身した美貌の吸血鬼が、明け方の招き猫広場で謎の暴走車と激突!
記録石が押さえた決定的瞬間だね!
リリ「ちょっとユリさん、治療の邪魔だから!!」
ユリ「そうだフリージア、鏡の方は無事だった?」
フリ「皆さん!鏡には特に問題はありませんわ!!」
ユリ「良かったー!これならムウ大陸に行くのも遅れないね!
私は行けないけど、みんなの事を応援してるから!」
フリ「お土産話を期待してなさいな!お~っほっほっほっほ!!」
いつも通り無駄にえらそうな雰囲気をかもし出すフリージアさん
リリ「うん、ムウ大陸でがんばってくる。
あ、そうだ!ねえ、誰かメイレン様が昨日どこでお休みになられたか知らない?
早くお迎えにあがらないと、大変なことになるってレベッカさんが・・・・・・」
ヴァンエレンの顔に薬草を塗りつつ、リリアーナはメイレンの行方を聞いてみた。
リリ「で、さっきの話なんだけど・・・」
フリ「私はぜんぜん存知無くてよ!」
レヘ「(威張るなっつーの。)」
ギ「綺麗なお姉ちゃんが引率の先生だvうれしいなv」
ギズモはギズモで一人ではしゃいでいる
何故かアナスタシアのほうは見ないようにしているようだ
ユリ「今朝の朝刊によると、ケオスがメイレンさんをお持ち帰りしたらしいよ!
さすがメイレンさん、若い男子が好物なだけはあるね!」
でいりぃ・ふぃじるの記者には当然男子生徒もいる。
ケオスが部屋にメイレンを泊めた事を知るのは、訳もないことだ。
リリ「な、なんですって――――!!!!!!!!!」
リリアーナはムンクの叫びのような顔で絶叫した。
リリ「どどどどどどうしよう、このままじゃ大変なことに」
広場についたマオは、ヴァンエレンの顔に薬草を塗っているリリアーナの横に行き。
なんともひどいことになってるヴァンエレンに対し溜息をつく。
マオ「なんでお前はいつもいつも『やられちゃう』側なんだ……」
ヴ「面目ない。
なんで私はこんな目にあうんだろう」
リリ「あっ、マオマオ大変なの、実はね・・・・・」
マオはリュックから血液の入ったボトルを取り出す。
マオ「なんでムウ大陸に入る前からこれを使っているんだ全く……」
とりあえず薬草とかそういうのよりも血液を与えた方がはるかに有効なのは
リバースで確認済みだ。強引に口を開かせボトルを突っ込みガブガブと血を飲ませる。
リリ「あっ、そうか!マオマオ頭いい!」
そのおかげでみるみる回復していくヴァンエレン。
リリ「もしかしてそのボトルの血液、マオマオの?ふ~ん?」
リリアーナは後始末をしながら、ちゃーんと分かってるわよとばかりにニコニコしている。
リリ「やっぱり愛よね、愛」
マン「おはよ、リリ、アーナさん。」
マン「メイレン、さん、いるよ。」
どうやら会話が聞こえていたようで自分の後ろにいるメイレンさんを指差す。
リリアーナはへなへなとその場に座り込んだ。
リリ「よ、良かった~。ケオスさん元気そうだ~!おはようございます、メイレン様!」
ユリ「おっと噂をすればだね!マンダおはよー!
メイレンさんもおはよー!」
だがしかし、次のマンダの言葉はユリの記者魂に火をつけるものだった。
マン「メイレンさん、きのう、わたし、ねたよ。」
……言葉が足りないのは分かるがこの言い方は少々誤解が生まれそうだ。
ユリ「なぬー!?メイレンさんは若い男が好物なんじゃなかったの!?
もしかして、若ければ男でも女でもばっちこーいの両刀使い!?
昨晩の情報をもっと詳しくプリーズ!!」
ユリはがっしとマンダの両肩を掴んだ。目がマジだ。
レン「………ん。」
レヘ「(あれ?なんかやけにババァ、元気がねーな?)」
メイレンの顔はうつろで、ユリに取材をされてもあいまいにうなずくだけだった。
実は、
ケオスの部屋で目を覚まし、朝食を食べている間も、ずっとこの調子だったのだ。
リリ「ねえ、レベッカさん、メイレン様、なんか元気無くない?――――あ、間違えた。
マンダ、夕べ、メイレン様と何かあった?」
リリアーナはレベッカにそういったつもりだったが、声をかけるなと言われていたので
あわててマンダへ話を振ることにした。
リリ「それとその・・・・・・今朝、何か変わったことは無かった?
男子寮で騒ぎが起こったとか、だ、誰か神隠しにあったとか・・・・・・・ははは」
ユリー!この娘を寮の部屋まで送っていく仕事ができたぞー!」
ユリ「はいはーい、今行きまーす!
マンダ、詳しい話はまた今度ねー!」
だがちょうどアナスタシアから呼び出しが入ったので、ユリはマンダの所から移動する。
フリ「さてっと呪文が必要でしたわよね・・・・ゲムギルガンゴーグフォ・・・ビィータァ!!」
ギ「ゲボ子?」
フリ「・・・・・違うみたいね。イア! イア! ハスター! クフアヤク ブルグトム ブグトラグルン ブルグトム
アイ! アイ! ハスター!」
今度はやばい呪文を唱え始めるフリージアさん
どっちかって言うと水属性の延長である氷属性はクトゥルーさんの担当である
ギ「駄目だよ!それ唱えるとムーより危険なあそこにつながっちゃうよ!!」
リリ「え?ダメなの?」
リリアーナは慌てて踊るのをやめた。
フリ「う~んやっぱり私、覚えてませんわ!お~っほっほっほっほ!!」
リリ「実は私もなの。あはははは」
ギ「しょうがないなあお母さんは・・・じゃあ僕が」
地面に魔法陣を書き呪文を唱えるギズモ
ギ「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」
リリ「えっ、ギズモ魔法使えたんだ!」
リリアーナはわくわくしながら魔方陣を見ている。
だが。
リリ「うわっ、ギズモが消えた?!フリージア、ギズモが消えちゃったよ!?」
ギ「・・・・・う~ん違ったみたい」
数秒後に姿を消し、煙とともに魔方陣の中から現れるギズモ
どうやら自分で自分を召喚した模様です
まったく意味がありません
リリ「あーびっくりした。でもギズモ、これ、結構便利ね。何かに使えるかもよ?
だって魔法陣のそばで誰かが今の呪文使ったら、ギズモが瞬間移動できるって事でしょ?」
フリージアが他のメンバーに呪文協力を求めている横で、リリアーナはそんな提案をした。
「お主ら何をしておるのじゃ…」
呪文詠唱を失敗するフリージアとギズモの所には、呆れ顔でにゃんこ先生がやってきた。
フリ「誰か覚えていらっしゃる方!代わりにやってちょうだいな!!」
アナ「よーし、暴走危険運転の現行犯を押さえたぞ、そこ動くな♪」
どっかんとヴァンエレンをはねたクリスの前に、金髪の幼女が現れた。
右手は腰に当て左手にはアリクイのぬいぐるみを持ち、大変高圧的な態度だ。
アナ「昨日からこの学園に教育実習生として入った、アナスタシア・ホーリーだぞ!
ちなみにー、今回のムウ大陸探索チームの引率の一人なのだ♪
それじゃあ自己紹介も済んだし、名前と暴走行為の理由を聞いてやろー。
事と次第によっては見逃してあげるぞ♪
あ、逃げようとしたら即死刑だからな!」
見かねたミシェルは生徒に助け舟を出しに二人へ近付いていく。
ミシ「脅しは感心できませんよ、先生。
私は教員のミシェル・シュスター。一応引率です。よろしく」
手を出すには幼さな過ぎる。と自分の見た目を差し置いて
頭の中で勘定しながらにこやかに握手のため、手を差し出す。
アナ「おー、お前がミシェルかー。話はいろいろ聞いてるぞ」
最初はお前誰だと言いたげな顔をしていたアナスタシアだが、ミシェルの名前を聞いて納得した。
一緒にムウ大陸行きを引率する教師として、名前を聞いていたからだ。
アナ「お互いバカな子羊を導くのは大変だけど、これも先生の役目だから仕方ないな。
ミシェルは神父らしいけど、私は天使だから私の方が偉いんだぞ。
引率の時はちゃんと私をサポートするよーに」
威張りながら、差し出された手を握り返す。
ミシ「天使様なら人の子を導き護るのが使命でしょう?
他力本願はよろしくないですよ」
やんわりと甘えてるんじゃねぇ。と言い放ち、柔らかい表情で事故った生徒を見る。
クリ「いいんですよ、先生。
騒ぎを起こしたのは事実ですし。
えっと、俺は魔工科のクリスです。
テスト機が少し暴走してしまって・・・
彼が体を張って止めてくれなきゃまだまだそこらじゅうを走り回っているところでしたよ。」
そういうことならば仕方ないね。
もしもヴァンエレンがいなかったら暴走バイクはほかの生徒たちに被害がいっていたかもしれない。
ありがとうヴァンエレン!さようならヴァンエレン!
君のことは決して忘れない。
ヴ「ひどい…」
黙れ小僧。
マオ「そうだな、せっかくヴァンエレンが自分の身を犠牲にして危険性を
訴えたんだ。この危険物は今すぐに壊すべきだ。そう思うだろ?」
クリ「って待て、不用意に魔力を注ぐと・・・」
魔動二輪とはその名の通り魔力で動く二輪車である。
つまり、魔力を注ぎ込めば動き出す恐れがあるのだ。
だが、幸いなことに焦げ臭い煙を吹くだけで済んだようだ。
このにおいだと油圧シリンダーの油が焦げたな。
後で点検もするし、その時に詰め替えておくか。(自作物なので壊した責任とかはなさそうである)
マオ「さてと、引率する教師も来たことだし、そろそろ本格的にムウ大陸探索を開始するか?
…そういえばグレイブがいないな。あいつにはしっかり稼いでもらわないといけないのに…」
マオは昨日の屋台での事件のことでグレイたちを奴隷のように使う考えは変わらないようだ。
クリ「・・・そんな悠長なことを言ってていいのか?
こいつは魔力を利用して動く機体なんだぞ。
この後にまた暴走を始めたらマオにも責任があるからな。」
W型(風の魔力が動力)の機体だったから今動きださなかったが、これがもしT型(雷の魔力が動力)だったら間違いなく動き出していたはずだ。
マオ「………ま、まあ僕のようなエリートだったら、
暴走させずにショートさせることなど造作もないのさ」
冷や汗が流れながらも強がりを僕は見せる。
アナ「ふーん、テスト機の暴走かー。本当かー?
実は遅刻しそうだから慌てて暴走してきました、なーんて言うんじゃないだろうなー?」
クリスの言い訳を聞いたアナスタシアは、半目でにやにや笑いながら聞き返した。が。
クリ「ところで先生方もムウ大陸に向かわれるんですか?
実は俺も向かおうと思っていたんです。
ですから引率よろしくお願いします。」
続くお願いを聞いてご機嫌になる。
基本的におだてられたり、下手に出る相手には弱いのだ。
アナ「クリスはなかなか礼儀正しいなー、偉いぞ。
その素直さに免じて、暴走行為は無罪放免にしてやろー。
これからも私の言うことは素直に聞くんだぞ♪」
ミルクが慌ててアナスタシアに走り寄ってきたのは、そんな時だった。
アナ「おー、かわいい妹よ♪そんなに急いでどこへ行くんだ?」
ミル「ミシェル先生にクリス、うちのアホ姉が迷惑をかけてごめんなさい。
よーく言って聞かせますんで、許してやってください。
ほら、行くよアホ姉」
ミルクはアナスタシアを無視してミシェルとクリスに頭を下げ、アナスタシアの腕を引っ張って歩き出す。
その後頭部を、アナスタシアはアリクイのぬいぐるみでぶん殴った。
ミル「痛ったーい!!なにするんだよアホ姉!」
アナ「お前なー!それがお姉ちゃんに対する口のきき方か!?」
ミル「アホをアホと呼んでどこが悪いんだよ!だいたい…!!」
アナ「アリクイクラーッシュ!!」
そこまで言ったところで、アリクイのぬいぐるみが今度は脳天を直撃し、ミルクはぶっ倒れた。
アナ「姉より優れた妹なんか存在しないんだぞバーカ♪
生徒諸君もミルクみたいに、人にアホだなんてバカな事言わないように。
アナスタシア先生との約束だぞ♪」
遅れて登場したグレイブは、教師であるミシェルに会釈をし、天使ということで一応幼女にもしておく。
そして顔見知りである二人に挨拶を。
青「おはよう、クリスにマオ。朝から何かあったようだが……少し頼みがある。
出来れば、いや絶対に女子で、ムウ大陸に行かない奴は近くにいないか?
こいつが眠ってしまって……お前はこのネリーを知ってるだろ?マオ」
背中からずり落ちかけたネリーを、お姫様抱っこ状態へとシフトさせる。
クリ「ああ、おはよう。
さすがに大陸に行かない奴は知らないな。
マオは誰か知っているか?」
マオ「この僕に友達や何かを頼める知り合いがいると思っているのか?
自慢じゃないが僕はここに来たときから他人を蹴落としながらここまできた。
それになんで僕がお前の頼みなど……僕はお前が大嫌いだ。」
しかしネリー……どっかで聞いたことがあるような……ネリー……あっ!
マオ「もしかしてあの15歳の一等過程?こいつが!?」
僕は驚きを隠せなかった……こんな警戒心0で
馬鹿グレイブの背中で寝ている奴が一等過程など……
一方グレイブは他の皆と話を続ける。
青「このままムウ大陸に連れていけないが、かと言って寮まで送っていくには時間が無い。
置き去りにすれば風邪をひかせてしまう。それで、誰かに部屋まで連れていくよう頼みたいんだがな」
ぐっすりと寝ているネリーの顔を見ながら、少しだけ不安げに言った。
ヴ「む?さすが狼。
手がはやいね」
女の子をお姫様だっこしている人狼をみてむふふと妖しい笑いを浮かべる吸血鬼。
クリ「・・・先生方は誰か送ってくれるような人を知りませんか?」
ヴ「そういえばさっきユリがムゥには行かないって言ってたね」
アナ「んー?その娘を寮まで送っていけばいいのか?
それなら妹の友達が適任だぞ。
ユリー!この娘を寮の部屋まで送っていく仕事ができたぞー!」
そういう天使の足元にはミルクが。
黒【……ミルクさんのお姉さん?この人が?】
グレイズは不思議そうに天使のアナスタシアを見つめた。
アナスタシアから呼び出しが入ったので、ユリはマンダの所から移動する。
ユリ「おはよー殿下!クリスにマオにヴァンエレンにグレイブもおはよー!
誰を女子寮まで連れていけばいいの?」
言いながらユリは、スタスタグレイブの所に近づいた。
青「……お前か。連れて行ってほしいのはこいつだ」
呼ばれてやってくるはユリ。グレイブは腕の中の姫を軽く持ち上げてみせる。
ユリ「お!ネリーじゃん!もしかして、グレイブと朝まで一緒だったの!?
お姫様だっこまでして隅におけないねー、よっ!この色男!」
グレイブを冷やかしながら、ユリはネリーの体を受け取る。
青「あのなあ、俺は……」
ユリ「わかってるわかってる、みなまで言うな!
それじゃお姫様は私が責任もって部屋に届けるから!
ゆっくりムウ大陸の冒険を楽しんできてねー!」
そう言ってユリは、ネリーをお姫様抱っこしたまま寮に向かって歩き出す。
ユリの技術では眠っている人間を落とさず飛ぶのは不可能なので、妥当な判断だろう。
マオ「なんで……あんなのが僕よりも上なんて!?」
ユリがネリーを連れて行き、ケオスの協力によりムー大陸への扉もなんとかなるとのことで、
行く人間は全員猫車に乗り込むとなったときも僕は一人認められずにいた。
青「……やれやれ。462号室だからな、頼んだぞ」
落ち込むマオを傍目に、グレイブはユリに場所の指定をする。
- 事故騒ぎの間にあっちはゲートを開こうと頑張っていたようだ。
ケオスが向かっていったようだし、もう少しで完了するのだろう。
でもマリオさんに頼めば一発だったんじゃないか?
そう思ってあたりを見回したが、マリオさんを見つけることは出来なかった。
フリ「誰か覚えていらっしゃる方!代わりにやってちょうだいな!!」
- 事故騒ぎの間にあっちはゲートを開こうと頑張っていたようだ。
ヴ「ごめんなさい。
私は力になれないよ」
ほんと使えないダメな奴だなお前は。
でもマリオさんに頼めば一発だったんじゃないか?
そう思ってあたりを見回したが、マリオさんを見つけることは出来なかった。
クリ「・・・マリオさんはどうしたんだ?
来てたらこんな手間はかかっていないと思うんだが・・・」
マリ「オーウ!私はここデース!」
クリスたちの近くに、ぴょんぴょんと小人が飛び跳ねながら近づいてきた。
驚いたことに、それは服まで小さくなったマリオだ。
マリ「スミマセーン、どうやら力を使いすぎて縮んでしまったようデース。
私の一族はキノコの力を使って大きい姿になるので、普段はこの姿なのデース。
魔法は使えないので呪文の手伝いはできないのデースが、他のお手伝いなら…」
リリ「そっかー。マリオさん小人だったんだ。今度、キノコの国のお話も聞かせてね!」
リリアーナは小人になったマリオに多少驚いたものの、それ以降はまったく普通だった。
「マリオさん!鉄化の後遺症がどう出るのかわかりませんから、まだ安静にしていてください!」
マリ「オーウソーリー、スミマセーン!」
リリ「そう言えばロウさん来てないね。調子悪いのかな? 」
怒る白衣の生徒に謝ってから、マリオはクリスたちの方を向く。
マリ「何もできまセーンが、みなさんの冒険の無事を祈っていマース。
決して無理をせずに、危ないと思ったらすぐ戻ってきてくだサーイ。
それが冒険家の長生きする秘訣デース」
マリオはそう言って頭を下げると、またぴょんぴょんと白衣の生徒の方に戻っていった。
リリ「マリオさんも身体ちゃんと休めててね。お土産話、期待しててね~」
ニャ「お主らもムウ大陸に行くんじゃろ?
ようやく魔法陣も完成したようじゃし、夜明けも近い。
そろそろ招き猫像が押しておる猫車に乗った方が良いのではないか?」
にゃんこ先生がそう言ったとき、招き猫広場に声が響いた。
ヴ「あぁ…もう行く時間か。
大丈夫かな~?
嫌な予感しかしないよ」
「ケオスさんありがとうございました!
これなら後は、我々ムウ大陸探索隊サポートチームだけで魔法を発動出来そうです!
お待たせしましたが、ムウ大陸探索隊のメンバーと引率の先生は、猫車に乗り込んでください!
夜明けが来たらすぐにムウ大陸への扉を開きます!」
マオ「よし、ヴァン行くぞ。こうなったらムウ大陸でお宝をゲットだ!」
やる気満々で気合十分のマオが猫車に乗り込み、ガタガタ震えているヴァンエレンを隣に座らせる。
ヴ「不安で押しつぶされそうだよ…フランケンシュタインのような怪物でも待っているのじゃあないか?」
てめぇも同じ西洋妖怪だろうがこの化け物。
一度みた悪夢はたとえ想像といえどふくらんでいき、吸血鬼を押しつぶす。
にゃんこ先生やサポートチームの声に押され、ぞろぞろと猫車に入ってゆく。
赤【猫車かー。面白そー!】
黒【それよりも無事に着くかなぁ、僕はそっちのほうが心配だよ】
青「ま、なるようになれ……だ」
前の席に座って少しすると、猫車が出発する。ムウ大陸への冒険のスタートだ。
ミシェルはそこで、一応持ち物のチェックをしておくことにした。
白い外套の中に黒くてやや丈の長い詰め襟を着込み、ロザリオ、ポケット聖書、少し細工をしたナイフを持っている。
ミシ(チクショー、飯くらい持ってくるだったな)
彼は今気づいたが、後ろの方にアイシャがいた。
席は後ろから詰めるのがマナーだろう。と少女の横に座る。
リリアーナは女の子を負ぶっているグレイブを見た。
彼が女の子を大事そうにおろしているのを見て、知らずため息をつく。
マオの横にはヴァンエレン、マンダもケオスの姿を目でじっと追っている。
リリ「皆いいなあ・・・・・」
リリアーナは周囲を見渡した。
レヘ「(あー、やっぱりブルースは来ねぇのか…)」
レベッカは周りを見まわしたが、そこにブルースの姿はなかった。
今回のムー大陸探索には参加しないつもりなのだろうか?
レヘ「(まぁ、来ても来なくてもいいって言っちまったもんなぁ。
それに、今はあいつの顔を見ない方が、俺としては気が楽だしな。)」
リリ「来てないね。もしまた会ったら、思いっきりとっちめるつもりだったのに」
だが、ムウ大陸へは来ても来なくてもいいと云ったのは自分なのだから仕方が無い。
ミル「いつつつ……くっそー、アホ姉の奴思いっきり殴りやがって…」
痛む頭を押さえて立ち上がると、どうやら数瞬意識がぶっ飛んでいたご様子。
そりゃあたしもアホ姉アホ姉言ったけど、元はそっちが悪いのにそんなに強く殴るか普通。
ああぁ、早くもムウ大陸探索の先が思いやられるなぁ…
リリ「あれ?ねえミルク、あの小さい女の子誰?初等部の生徒さん?」
ミルクやアナスタシアの話を半分も聞いていなかったリリアーナは、空気を読まない発言をした。
ミル「そう見えるだろうけど、違うよ。
子供に見えるのは人間やめて天使やってるからで、実年齢は19歳。
あれでも教育実習生として学園にやってきた、あたしのお姉ちゃんです」
さすがに『自慢の』なんて恥ずかしくて呼べませんが。
リリ「ええっ、この方がミルクのお姉さんなの?!おまけに天使?!」
周りから事情を説明してもらったリリアーナは仰天した。
リリ「天使様ってどんなことが出来るんですか?!
もしかして、死人を生き返らせたりとかも出来るんですか!?」
アナ「お前なー、バカか?天使がそんな事出来るわけないだろ。
天使っていうのはなー、神様の意志を代弁し代行するのが仕事なんだ。
お願いがあるなら、普段から善行を積んで、神様に直接するように。以上♪」
…さすがに信仰ブレイカー様は言うことが違う。
仮にも神の代弁者が、迷える子羊をバカ呼ばわりとかありえんだろ普通。
アナ「それよりリリアーナだったっけな、私はお前の持ってる杖と槍に興味があるんだ。
ちょっと私が調べてやるから貸してみろ」
げげ!杖はともかく槍はマズい!
今はレベッカもおとなしいけど、神経逆なでするような事言い出したら大変だぞ!
ミル「まーまーアナ姉、そんなの後でいくらでも調べられるからさ!
今は猫車に乗ろう猫車!放送もあったし、引率の先生は早く乗らないと!ね!」
「そだな、さすが我が妹はよく気が利くなー。
ご褒美に後でジュースをおごってやるぞ♪」
ほっ…なんとかごまかせたか……
お姉ちゃんがアホ…じゃなくて単純で良かった…
最終更新:2009年06月18日 11:55