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7:レベッカ復活

すうっと、窓の外に氷の結晶が到着した。
やった!あんなもので空飛ぶなんてフリージア以外にいないはず!
これは待望の援軍到着だ!
ミル「やー!ちょうど良いとこに来てくれたよ!フ…リー……」
喜び勇んで窓を開けて、あたしは氷の結晶に乗ってる見知らぬ人に絶句した。
長いピンクの髪を2つのタイヤ型にした、金髪縦ロールのフリージアとは似ても似つかぬ人だったからだ。
誰―――!?顔は似てるからフリージアの妹かお姉さん!?
フリージアの一族ってみんな変わったファッションなの!?

金魚みたいに口をぱくぱくさせながら次の言葉を探すあたしは、謎の少女の近くにいるギズモに気づいた。
じゃあやっぱりこれはフリージアなんだ。
でもなんでこんな格好してるんだ?
コスプレ?儀式?伝統芸能?……変装!
そうか、ヨハネカイン博士に顔を知られてちゃまずいから変装してきたのか!
…とすると、名前も呼ぶのまずいよな…あー、でもフリーまで言っちゃったよ、どうしよ…

ミル「フリーダム!フリーダムじゃない!
 いやいや、実はこちらヨハネカイン博士っていう名医でね。
 あたしが受けた男になっちゃう呪いを見破って軽く解いた上になんと!
 槍に憑依してたレベッカまで元に戻しちゃったんだよ凄いでしょ!
 それでお礼に学園祭の案内をしたいんだけど、博士がすぐ帰っちゃいそうでさー。
 何かこう、博士が残ってでも見たくなりそうなイベントとかあったら教えてよ!ね!?ね!?」
変な名前つけてごめんと心の中で謝るけど、とにかく今はそれどころじゃないのだ。
あたしは必死の目配せで。
ミル『博士の影が無くなっちゃってるんだよ!見つからないようにこっそり確認してー!!』
と頼み込む。
あ――テレパシーが使えるリリアーナになりたい――――っ!!!
Yo「ミルク君。」
窓の外に浮かぶ友人に話しかけるミルクの肩にヨハネカインが手を置いた。
Yo「申し訳ないが、私には私を必要とする患者のもとへすぐに行く必要がある。
 他に患者がいるならともかく、レベッカ君を治療した以上、
 私自身の娯楽のためにこの学園に留まるわけにはいかないな。
 君の気持ちには感謝したい。だが、失礼するよ。」
ヨハネカインは学園長の両腕を破壊していることで余裕があるのか、
あくまで紳士的な態度で学園を去ろうとした。
Yo「一週間後には休日がとれるかもしれない。その時にまた友人として会おうじゃないか?
 (一週間もあれば、ケルビムの政治力でフィジル島の物資と情報を完全に封鎖できる。
 学園から出れば、私の勝ちだ。)」
ミル「そ、そうですよね。患者はレベッカだけじゃないですもんね。
 でも呪いを解いてもらったお礼が一週間後じゃ申し訳なくて…」
良かったー気づかれてないよ…
でもどうなんだろう。
このまま帰ってくれるんなら、ボロが出ないうちに帰ってもらった方がいいのかな。
恐縮している振りをして、こっそりもう一度影を確認……あれ。
博士ちゃんと影ついてるじゃん。おっかしいなぁ…見間違えたかな…

フリ「始めまして私の名前はクーラ・フリーダムですわ
 まあまあそんなに焦らないでもいいじゃありませんこと
 せめてこのレモンパイでも食べていかれたらいかがですの?」
とレモンパイをホワイト博士に食べさせようとするフリージア
胸の辺りからぴしぴしっと言う破滅の音がしはじめているがフリージアは気にしない
ギ「ボタンが取れかけてやがる・・・・小さすぎたんだ」
リリアーナに貸してもらった服の胸元のボタンが取れそうな様子を
何故かジブリ風に言うギズモ

フリ「この槍をレベッカさんの所へ持っていって頂戴」
ギズモに指示を出し槍を運ばせるフリージ・・・クーラさん
ギズモは小さな羽根をパタパタと羽ばたかせレベッカの元に行く
近いんだから歩けよと思わなくも無いがたぶん歩くほうが疲れるのであろう

ギ「あ、レベッカお姉ちゃんだ!槍持ってきたよ」
とレベッカに槍と糸を渡すギズモ
痴「…おん?」
レベッカはカーテン越しに手を出してそれを掴んだ。
はたしてリリアーナにレベッカの無事が伝わるのだろうか?

ルス「じょうおうさ、ま~ん!あなたのルズが参りましたわーん!!
 今日のお召し物も、口紅も、髪の色まですっかりわたくし好みでしてよ、
 ああ、そんなにわたくしの事を思ってくださっていたなんて!ルズ、か・ん・げ・き~ん!」
Yo「…この黒い猫。もしかして頭が病気なのか?
 (そういえばこの猫、たしか学園長室にいたはずだが…)」
ルズはちっちっち、と右前足を左右に振った。
ルス「まったく分かっていらっしゃいませんわねぇ。
 ええ、確かにわたくしは、医者にも治せない不治の病にかかっておりますわ~!
 ですがそれは!頭ではなく!恋 の 病(はあと)!なのですわ~ん!! 
 ああ、我が麗し女王様!どうか!どうか!わたくしの愛を受け取って~ん!!」
Yo「では、この銀のスプーンをあげよう。」
ヨハネカインはそう言って彼女に銀のスプーンを渡した。

フリ「その子は単なるガチレズだから気にしなくてもいいですわ
 同性が同性を好きになるとか私には理解できませんけれど
 それよりレモンパイはいかがですの?」
執拗にレモンパイを勧めるフリージアさん
Yo「では、一切れだけもらおうか?」
ヨハネカインは、それが致命的なことだとは思わずにそれを口にしようとした。

ルス「あの女王様が!あんな男に何度も何度もレモンパイを薦めていらっしゃるなんて!
 どうして!どーしてルズにはお声をかけてくださいませんの!」
Yo「(…なんだか食べづらいなぁ。)」

B「おいおい、その魔法を解いてから薦めたらどうだ。
 俺だったらそんな魔法のかかった得体の知れないものなんて食いたいとは思わないな」
そこに、冷えた感じのする、ヨハネカインではない男性の声が聞こえた。
その声の方向には、いつの間にか制服を身に纏った青髪の男子生徒が腕を組んで壁にもたれ掛かっていた。
薄く開かれた目は切れ長で、青い瞳を覗かせている。
Yo「何だって?」
ミル「えっ…!?あ、グレイブ!」
ルス「あらん、グレイブとやら。女王様が差し出したものにケチをつけるつもりですの?
 てめーに食わせるレモンパイはねえ!って感じですわね~。
 それ以上いうとピヨピヨ口の刑にしますからそのおつもりで」
Yo「…媚薬でも入れたのか?ミス・フリーダム?いけないお嬢さんだ。」
フリ「ちょっとあなたがいい男だから痺れ薬を入れてお持ち帰りしようと思っただけですわ」
とベアトさんみたいな事を言うクーラ様
どうやらクーラというキャラクターを演じきるつもりらしい
ギ「まさかさっきからレオ先生を見ないわけって・・・・・」
レオ先生がいない理由を思いついて恐怖におびえるギズモちゃん

B「よう、ミルク、フリージ……と、いやフリーダム?だったか?
 随分と久しぶりな気がするな」
いつの間にやらカプセルから出てきた人狼クォーター、グレイブである。
フリ「気のせいですわ」
とグレイブに返すフリ・・・・クーラ様
B「気が付けば仄かにトカゲの臭いの染み付いた使い魔カプセルの中。周りを見れば既に学園。
 俺達は何時ムーの冒険からいつの間にか帰ってきたんだか」
はぁ、と見るからに残念そうな溜息を吐いた。
ミル「あ、あははは…」
嘆息するグレイブの言葉を聞きながら、あたしは冷や汗ダラダラだ。
いつ帰ってきたかわからないってことは、博士の危険性を知らないかもって事だから。
ミル(うわーうわーどうやって伝えよう… )
ルス「しかし、トカゲの臭いの染み付いた使い魔カプセル、はいただけませんわよねー。
 グレイブとやら~マンダのファンに殺されますわよ~」
マンダとは、以前ルズが養っていたサラマンダーだ
現在は、とある学園生徒の使い魔になって、ルズの元を離れても楽しく暮らしている。
ギズモ同様、外見が人型になったため、男子寮ではなかなか人気者でもある
B「ハッ、見て感じたままの感想を言ったまでだ。そんな下らないことで妙な刑やら殺害やらされてたまるか」
ルズの言葉を一蹴する。
グレイブはマンダのことを何度か見かけているが、元がサラマンダーなのだ。
トカゲにトカゲの臭いがすると言って悪いことなどあるものか。
そういう考えの下で動く彼は、いつか後ろからマンダのファンクラブに刺されるかもしれない。

グレイブはムー大陸探索の道中、数ある罠の一つに足を取られ連鎖的に引っかかり、結果気絶。
同行していたのにさり気に回避していたルズの使い魔カプセルに保存されて忘れ去られ、貴重な宝物を見ることも無く帰ってきた。
そして今さっき漸く目が覚めた、所謂役立たずである。
ちなみにどんな罠に引っかかったかは……既にグレイは忘れている。

ルス「ところで女王様、このルズにレモンパイはありませんの?!」
Yo「いいだろう、とって来るがいい!」
ヨハネカインはルズにそう言って、レモンパイを外に向ってフリスビーよろしく投げた。
ルス「女王様の最高傑作に、何をしますの――――!!」
ルズは勢いよく窓から飛び出した。
そして暫くして・・・・・・窓の外から、まさに絹を裂くような断末魔の悲鳴が上がった。

B「こんにちは、でいいだろうか?Dr.ヨハネカイン」
視線を女性陣から部屋で唯一の男性へ向ける。
銀髪の長身、彫りの深い顔つき。
学園で見たことが無い人物だが、博士とつく人物が医務室にいるのだ。恐らく医師だと見当がつく。
そして部屋での会話は粗方グレイズが聞いていた。
どうしてか偽名を使いつつ二人がヨハネカインを引きとめようとしていることをグレイブは知っている。
まさか理由も無いわけでもあるまい。とくれば、知り合いに少し加担してみようと思うのもありえない話でもない。

B「人より耳が良いんでね、失礼だがカプセルの中でも多少の話は聞いていた。
 何やら忙しそうなところ悪いが、右足の調子がおかしくてね、少し診てくれないか?
 動かす度に痛むんだよ。
 生憎レオ、ああ此処の保険医なんだが、どうやらいないらしいようだからな。」
Yo「そういう君の名前をお聞かせ願えるかな?」
B「……ああ、これはまた失礼。俺の名はグレイブ。以後宜しく」
痛くも無い足をぶらつかせながら、グレイブは自己紹介をした。
Yo「改めて名乗らせてもらうよ。私はヨハネカイン・ホワイト、医者だ。
 診察料は、レモンパイの件でチャラにしようじゃないか?」
B「ん?やっぱり医者か。……そうだな、そうしてくれるとありがたい」
魔法が掛かっていた、とはいえその用途は外見を変えるだけのもの。
レモンパイが多少、いやかなり不恰好ならそうやって誤魔化す生徒も珍しくない。
だからといって折角の費用無料を断る気はないし、丁寧に教えてやる義理も無いが。
R『んまーラッキーだなー!あひゃひゃひゃ!』
何もわかってなさそうなグレイルが腰のホルダーから適当に発言する。人形の中が存外に面白いらしい。
ミル「あそーだ!あたしちょっと学園長呼んでくるね!
 せっかく博士が来てくれてるんだから、学園長もお願いしたい事があるかもしれないし!」
と、ここで突然ミルクが声を上げた。
その表情からは心なしか、焦りが見える。
そして保健室に置かれているキャビネットに向かっていった。
S【ふうん、学園長室の近くの何処かに繋がっているのかな?】
幽体でふよふよと浮遊していたグレイズが見当をつける。
グレイルとは違い、人形は狭苦しいらしい。
S【それにしても、学園長まで出張ってくるなんて。ヨハネカイン博士って凄いね】

Yo「(少しばかり遊びすぎたか…面倒な。)」
ミルクが学園長を呼びに行くことにヨハネカインが動揺しなかったわけではない。
しかし、ミルクが学園長を呼びに行くことも、グレイブが仮病を使った事も、
既にヨハネカインは知っていたことだった。そう、彼の能力トップ・オブ・ザ・ワールドによって。
ヨハネカインは、自分が最も自然にその場を去れる行動をとった。
Yo「君は私をおちょくっているのか!!」
ヨハネカインがグレイブに激昂した。
Yo「君の右足はなんともないではないか!私の邪魔をしてそんなに楽しいかね!?
 もう結構だ!私には次の患者が待っている!失礼させてもらおう!!」
ヨハネカインは早足で保健室から出て行った。そのまままっすぐゲートまで歩いていく。
Yo「(グレイブには感謝しなくてはならんな。レモンパイを口にせずに済んだし、
 こうやって帰る口実まで用意してくれたのだからな。
 しかし、どうもやはり私を引きとめようとする意図はあったらしい。
 学園長がそうするようにテレパシーを送ったのか?ありえない話ではない。
 だとすると、私はやはりすぐに帰ったほうがいいな。時間さえあれば、
 ゲートを封鎖する手立てが、まだ残っているということなのだろうから。)」
その言葉に、グレイブは面食らう。
B「ああ?おいおい、俺は現に……」
取り付く暇も無く、ヨハネカインは保健室を出て行った。

入れ違いにミルクが学園長室から戻ってくる。
唖然としてそれを見送ってしまうグレイブ。
だが、すぐに頭を切り替えて思考する。
B「……怪しいな。実に怪しい。こんな下らないことで怒り心頭とはな。
 随分とせっかちに出て行くものだ。まるで、何かに追われてるみたいだな」
フリ「ちょっと!グレイブさん!逃げちゃったじゃありませんのどうしてくれますの!!」
ヨハネカインが去った後にぶちぎれるフリージアさん
ぶきぎれたとたんに服のボタンを留めていた紐もパーンとぶちぎれた
ギ「しょうがないよクーラお姉ちゃん・・・・グレイさんは事情を知らないんだから」
フリ「だからって・・・・どうせだますんだったら事前に自分で足をばきっとやればよかったのですわ
 それかひとつの体に3つの魂がある今の状態を説明して相談に乗ってもらうとかほかに方法があったじゃありませんの!!
 私の変装して謎の物体Xを食べさせて下痢にしてトイレに引き止める作戦が全部パーじゃありませんの!!」
ギ「とどめに男子トイレのトイレットペーパーをすべて隠すんだねお母さん」
ミル「物体Xってなんだよ!?」
足折れ発言も物体X作戦も危険すぎるだろ。やっぱ怖いよフリージアお嬢…

S【……いや、違うよ。追われるというよりは、『逃げていた』】
B「!……つまりこうとでも言いたいのか?『また闇の魔法使いの襲撃だ』とでも?」
また、というのは夏季休暇前にマリアベルという魔法使いが襲撃を起こしたからだ。
グレイはそのときには大半の生徒同様、学園外に避難して取り残された生徒と教師の活躍を見ていた。
S【え?いや、どうだろう?魔法使い特有の感じもしなかったし……】
B「……やれやれ」
再び嘆息し、残っているフリージアに視線を向ける。
B「仕方ない、とりあえずあの医者を追いかけてくる。自然にキレたようだが、なんとなく不自然だ。
 昔『アクロイド殺し』や『そして誰もいなくなった』を読んでから、どうにも細かいことが気になる性分になってな。
 まさかもうゲートをくぐってる、なんてこともないだろう。というわけで他の奴らに言っておいてくれ」
そう言い残すと、グレイブはヨハネカインの後を追って駆け出した。
フリ「ちょっとグレイブさん!!」
ミル「博士の影に気をつけて!自分の影を殴られたら死んじゃうかもしれないから!」
あの能力をどう説明したものなのか。とにかく考える暇もなく、走り去るグレイブの背中に忠告する。
S【あっ、ありがとー!あ、これじゃ聞こえないか……『ありがとうミルクさん!気をつけるよ!』っと】
ヨハネカインを追跡するグレイブの代わりに、グレイズが人形に入って返事をする。

ギ「あ~あ僕知らないよ。グレイブお兄ちゃんの死体が明日の新聞に乗っても」
まさに外道なギズモきゅん
フリ「いいからあなたはリリアーナさんに事情を説明しに行きなさい!私はグレイさん達を追いかけますわ!!
ミルクさんはどうしますの?ルズさんは・・・・・戦力になるかわからないけど一応」
一人でも複数形・・・・それが彼・・・彼らの特徴である
ミル「もちろんあたしもグレイブ達を追いかける。
 ルズは…あれ、どこ行っちゃったの?」
ギ「ルズお姉ちゃんそれ食べて・・・・・大丈夫なの?
ミル「まさか……物体Xを食べさせたんじゃないだろうな…」
なんという鬼畜な所行。
恋は盲目とはよく言ったものだけど、さすがにルズに同情するよ…
ギ「っていうかお母さんミルクさんを見てあいつ何の反応もしなかったし変装を解いていいんじゃ?」
とヨハネカインはフリージアの情報を知らないのではと言うギズモ
フリ「髪の毛を元に戻すの面倒だしもう少しクーラ・フリーダムをやりますわ」
どうやらこの格好を気に入っているようである
ミル「つまり、ムウ大陸での出来事は博士は知らないって事か。
 知らないフリをしてるだけかもしれないし、油断はしない方がいいだろうけどね。
 …よし。じゃあ、足止めなり博士の正体を暴くなりできそうな作戦を行こう。
 裏目にでたらいきなり襲いかかられるかもしれないから、警戒してて!
 ギズモは出来たらゲート方面の人払いもお願い!」
フリージアとギズモにそう言ってから、あたしもグレイブ達を追いかけて保健室から走り出た。
(47で〆)

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最終更新:2010年02月08日 00:18
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