出発した一行を心配げに見送った後、ロック達はメイレン復活のための手順を踏むことになった。
リリ「思ったより血液集まったわね。もしかして
ヴァンエレン、学園のみんなに結構愛されてる?」
アナスタシアの素晴らしい勧誘テクニックを知らない
リリアーナは、ひたすら感心している。
69「きっと学園の男達は皆、夢と希望と真実と勇気と自由と正義と愛と平和とか弱き女性を守る使者だからだぜ!」
リリ「後は、メイレン様に血を飲ませれば良いんだったよね。
ロック、メイレン様が復活なさっても、しばらくはハードニングを解いたらダメだからね」
60「ああ、ガチガチのまま待機しとけばいいんだな!」
目の前のメイレンの血色が、見る見るうちに良くなっていく。
この分なら、メイレンが目を覚ますのも時間の問題だろう。
美人「元気百倍!ファン・メイレン!」
メイレンの首が体にくっつき、彼女は復活した。
なんだか性格が若返りの薬を飲む前にもどっているようだが、
もしかしたら胴体が輪切りになったせいで外に流れ出たのかもしれない。
ヴ「あっさり治りすぎでしょうに・・・」
あんたも人のこと言えんがな。
リリ「ヴァンエレン見て!メイレン様の身体が元通りに!
メイレン様、良かった、本当に良かった・・・・・ああっ、メイレン様何を!!」
目の前の光景に、リリアーナは激しくショックを受けている!
ター「メイレン様の無事の御復活、ターロン心よりお祝い申し上げます」
一方、瓶の中に入ったままのターロンはまだリリアーナの部屋にいた。
メイレンの性格が昔の状態に戻っていても、力まで巻き戻ったかはまだわからない。
だから、ターロンは恭しい態度を崩そうとはしなかった。
69「なあ、リリアーナ!俺は妖怪のことはよくわからん!
だが、こうもあっさりと復活していいものなのか!?
なんだか生命を侮辱されたような気分だぜ!」
リリ「あ、あら。何でも人間の尺度で物事を考えたらダメよロック。
メイレン様のご主人なんて、お身体が目玉しかなくても生きていらっしゃるのよ!
ここは素直に喜ぶところ・・・喜ぶところ・・・なんだけど・・・・・・」
そう語るリリアーナの声は、わなわなと震えていた。
美人「あら~、そんな硬いこと言わないでロックきゅ~ん♪」
そう言われたロックは物理的にも硬い状態を維持していた。
リリアーナの忠告通り、彼はハードニングを継続しているのだ。
だがリリアーナは、メイレンがロックきゅーんとしなだれかかったところで、自制が切れてしまった!
69「これがその結果だぜ!どうすればいいんだリリアーナ!
俺にはどうするればいいかわからないぜー!」
リリ「やだー!やだー!メイレン様、早くロックからお離れ下さいー!!
ロックもロックよ!何よ馬鹿!えっち!絶対、ぜーったい目を開けたらだめなんだからね!」
69「理不尽だぜ!」
リリアーナは泣きそうな顔で、メイレンとロックを引き離そうとした。
そう、実は今までのロックのやりとりは全て目をつぶったままでのことなのである。
理由はごく単純なものであった。
リリ「メイレン様もお戯れが過ぎます!
お願いですから早くお召し物をー!目のやり場に困りますー!!」
69「そうだ!さっさとその凶器を隠せ!!」
そう、彼女は全裸だったのだ。
美人「あら~?それってどういう意味~?」
69「わかりきったことだ!大事な部分をちゃんと隠せって意味だ!リリアーナと同じように!」
美人「間に合ってま~す♪」
ロックは未だに硬く(←変換間違いじゃないよ)目を閉じていたので、
メイレンがリリアーナとペアルックになってしまったことに気づかなかった。
大妖怪メイレンが持つ能力、“意味を操る程度の能力”は健在のようだ。
メイレンとおそろいとなったリリアーナは、哀れすっぽんぽん・・・・・・には、ならなかった。
代わりに、長身で巨乳な妙齢の美女による制服姿が実現してしまった。
リリ「ロックにヴァンエレン、一応お召し返されたから、目を開けてもいいわよ」
全裸とは別の意味で刺激的かもしれないが、一応隠すところはちゃんと隠せたわけである。
ヴァンエレンは手で赤くなった顔を隠しているが隙間からガン見してます。
まあこれで、ロックが鼻血を出して倒れる心配はないだろう。
ター「どうでしょう、ともかくそろそろ硬化魔法を解除して、一休みとされては。
長い間魔法を使っていては消耗も激しく、よい考えも浮かばないでしょう」
ロックが仮に食べられても、ターロンからすれば困るどころか大助かりなのだ。
リリ「こんな時に解除できるわけ無いでしょー!あんまりふざけてると、本当に封印するわよ!」
リリアーナ自身は魔法が使えないが、この部屋にはそういった類の呪札があるのだ。
例えば、さっき窓を封印していたお札の予備、などだ。
ター「おお怖い怖い」
69「ああ!俺にはミセス・スイションを攻撃できないからな!なぜなら俺は夢と希望と(ry」
美人「も~、人を猛獣か何かのように言わないで~!」
69「(だめだ、この練乳の一気飲みのようなミセス・スイションの喋り方…長くは耐えられないぞ!)」
リリ「メイレン様、このトカゲあげますから、早くロックから離れて・・・・・・・あっ!」
リリアーナは不意に口を噤むと、それきり動きを止めた。
ちょうど今、ギズモが槍を持った状態で、レベッカを探し当てたのだ。
69「どうしたリリアーナ!」
美人「しかし、トカゲはありがたくもらっておくわ♪」
ター「メイレン様、私はとかげではありませんから食べても美味しくないでしょう。
それより他の者を食べられた方が、メイレン様の妖力供給に良いと考えますが」
リリ「よ、良かった!レベッカさん、良かった・・・・・・!!
メイレン様、聞いてください!レベッカさんが無事復活なさいました。
今は保健室でお休みに。この糸車に触れていただければ見えま・・・す?わ―――― っ!!」
リリアーナはいきなり大声を出すと、糸車を放り出してしまった。
顔はゆでだこのように真っ赤である。
リリ「あ、いや、ななな何でもないよ、何でも。
ととととにかく、レベッカさんは無事に復活を遂げたみたい。
でも、保健室にはまだヨハネカインが居るのよね。・・・・・・どうしよう?」
69「じゃあ聞くが、リリアーナはどうしたいんだ?
お前はレベッカとミセス・スイションが回復すればそれで良かったんだろ?
ケルビムをぶっつぶしたい、って思ってんなら協力は惜しまないがな!」
リリ「うん、レベッカさんもメイレン様も回復したし、ムウ大陸での目的は既に果たしたわ。
ケルビムについては・・・・・・・ごめん、正直どうしていいか分からないの。
ヨハネカインは医者としては成功した人らしいし、非魔法使いの人達にとっては尊敬の対象よ。
私だって何も知らなかったら、弟子にして欲しいと思ったかもしれない。でも・・・・・・」
リリアーナは、ムウ大陸でのロクーやクリムゾンヘッドの事を思い出していた。
そして、ロクーの記憶の中にあった、ヨハネカインの行った殺戮も。
ロックは、リリアーナが放り出した糸車を触って「んま~!」と叫んで赤くなっているメイレンを無視して答えた。
69「ヨハネカインは自分に酔い過ぎている。
自分が正しい事をしていると思いながら悪事を働く奴ほど手に負えないものはないぜ!
悪を悪と知りながら自分のエゴのために生きたマリアベルの方がマシだと言うつもりもないがな!」
リリ「あなたはロック・ウィルよ。マリアベルじゃない!
・・・・・・あーもう!考えても仕方ないわ!!
とりあえずヨハネカインに会いに行く!あの後、ロクーが妹さんの元へ本当に戻ったのか気になるし。
でも・・・・・・・」
リリアーナはたっぷり5秒はロックの顔を眺めた後、はーっとため息をついた。
リリ「だめだわ。やっぱりロック、ロクーと似すぎてる。
・・・・・・ミルク達の話を聞いた印象だと、ヨハネカインはムウ大陸の事を知らないみたい。
だから多分、私が直接彼に会っても何の問題も無いんだけど・・・・」」
リリアーナはうーっと唸りながら、髪の毛をくしゃくしゃとかき回した。
リリ「ロックはだめよ。そのまま会わせるわけにはいかない。危険すぎるわ」
ター(マリアベルじゃない?どういう事だ。
この少年は、ロクーと名乗っていたクリムゾンヘッドによく似ている。
…確かマリアベルとヨハネカインは、兄弟だと言っていなかったか?
それに永遠の絆とはなんだ?
この部屋は、なぜ不必要に思えるほど厳重に封印術式が施されている?
…謎だらけだ。やはりこの学園には隠された裏の顔があるのだろうか)
そんな事を考えながら、ターロンは静かにリリアーナ達の会話に耳を傾ける。
リリアーナはあわただしくクローゼットを開け、何かを探し始めた。
リリ「ロック、落ち着いて聞いて。
あのね、学園長の話では、ロクーは、少なくともクリムゾンヘッドとは永遠の絆を結んでいるそうよ。
それがどういう意味を持つか、ロックにはわかるわよね?
ロクーにそっくりなあなたを見れば、ヨハネカインがどんなに鈍くたって何かを察するに決まってる。 そんなのダメ」
岩男「確かに、なんだか皆の計画をぶちこわしそうな雰囲気がビンビンするぜ!」
リリ「・・・・・・あ!あったあった!よかった~!!」
リリアーナはクローゼットの奥にあった女物の服を引っ張り出してくると、あわただしくロックに手渡した。
リリ「だからねロック、ここはひとつ変装しましょ」
リリアーナの中では、ロックがヨハネカインと接触するのは既に決定事項のようだ。
そして、それにホイホイ賛同してしまうロックなのであった。
リリ「メイレン様、ロックは着替えるので、離れてください。
ささ、ロックも皆も急いで。メイレン様も、レベッカさんにお会いになりますよね?」
リリアーナが「やたら背の高い女子生徒達」と連れ立って歩いていると、ギズモが物凄い勢いで飛んできた。
ギ「こ、これは・・・・・・」
何か恐ろしいものを見たギズモきゅん
リリ「ど、どうしたのギズモ?そんなに慌てて。
――――え?ヨハネカインはもう保健室に居ない?!どういうこと?!」
岩子「わ、わたしを見ないでギズモ!見ないで~!…俺をそんな目で見るなバカヤロウ!」
「へぶるは!?」
ロック似の女性徒に殴られ車田落ちするギズモ
リリ「わー!ロックがギズモを襲ってるぅ―――― っ!!止めてロック、落ち着いて!」
リリアーナはロックを背後から羽交い絞めにした。
リリアーナはどうする?と一同の顔を眺めた。
リリ「メイレン様は、その・・・・・・レベッカさんに逢いにいかれるんですよね?
あ、いやその・・・・・・ウマに蹴られるとか、そういうことが言いたいわけでは・・・・・・」
美人「あら~、私がそんな無粋なことすると思ってるの~?」
リリアーナはしどろもどろな上に、なぜかまた赤くなった。
美人「遠くからちょっと覗くだけでいいわ。母親ってそういうものでしょ?」
リリ「えっと・・・・・いや、なななんでもない、です。
それより困ったな・・・・・・ヴァンエレン、悪いけど、ここからメイレン様を保健室まで案内してもらっていい?」
ヴ「イエッサー!」
リリ「ギズモ、ヨハネカインはどこのゲートに向かって行ったか分かる?案内して!!」
「こっち!こっちだよ!!」
とさっき殴られたのが嘘の様に復活しリリアーナとロックを案内するギズモ
はたして追いつくことは出来るのだろうか?
岩子「いやん、待ってリリアーナ!この靴走りにくいのー!」
リリ「ロック早く早く!早くきてー!!」
女子生徒のようなおぞましい何かも一緒に後を追った。
リリアーナは今頃になって、とても大事な事を確認し忘れているのに気づいた。
大声を出すわけにも行かないので、こっそりテレパシーを送ろうとして・・・・・・無理な事に気づく。
レベッカやメイレンは、テレパシーが苦手なのだ。
仕方なく大声で言っても差し支えない言葉を選び、メイレンに呼びかける
リリ「メイレン様・・・・・私達、これでレベッカさんに償えたのでしょうか?」
美人「………」
メイレンは、レベッカが死亡した件に関わったもの全員に報復すると公言していた。
(実際は正当防衛に近いものだったのだが、報復は妖怪の本能で、メイレンの理性ではどうする事も出来ないらしい)
リリ「お返事、あとで構いません!お聞かせください!」
美人「………?(何のことかしら?)」
リリアーナが走り去るときレベッカの事を質問して行ったが、ターロンはそれには触れなかった。
だからメイレンには余計に何のことだったか思い出せなかった。何しろメイレンも相当なババ(ry
リリ「ロック、ムウ大陸での話はさっき部屋で話したと思うけど、何かわからない事ある?
・・・・・・そういえばロック、アンジェリーナの話全然してくれないね。どうだったの?
後で落ち着いたら、ちゃんと聞かせてね」
メイレンと話している間に追いついてきたロックにそう伝えると、リリアーナは再び全力で走り出した。
ター「いかがでしょうメイレン様。
私は、この場は彼らに任せ、我々はレベッカ様の無事を確認するのが最善の策と考えますが。
保健室の場所はすでに把握しています。
吸血鬼殿がヨハネカインとの対決に備えるなら、私が保健室までご案内いたしましょう」
学園に入っていたマリオの目を通し、ターロンはある程度学園内の部屋配置を知っている。
ヨハネカインとケルビムとマリアベルの秘密に、興味が無いわけではない。
だが、ヨハネカインに包囲網を突破された時の巻き添え受難を警戒したのだ。
ヴ「ん?私が戦うのか!?
まじか!?無理だ!」
ヴァンエレンの中ではヨハネカインはすんげぇヤバい奴の上位リストにランクインしてしまっている。
そんなん相手にして無事じゃすまないと察したヴァンエレンさんはひどく騒ぎ立ててます。
結局のところターロンにうまいこと乗せられてメイレンの案内はターロンがすることになってしまう。
美人「ええ、私達はテンちゃんをこっそり見に行きましょ♪
でも…ヨハネカインとの対決に備えるってどういう意味かしら?」
ター「この学園には、ヨハネカインと名乗る危険思想を持つ人物が潜入しています。
彼らの仲間が狙われている状況ですので、少しでも助けは多い方が良いかと思いまして」
美人「なるほど、そういう意味なのね。」
自分は正しいと思いこんでいるターロンは、自分も危険思想の持ち主だとは思わない。
ヨハネカインとターロンは、目的は違っても根本的な物は同じなのだ。
リリアーナが走り去るときレベッカの事を質問して行ったが、ターロンはそれには触れなかった。
なにしろ生殺与奪権を握られているのだから、迂闊な事を尋ねて機嫌を損ねては大変だ。
ター「彼らはこれからヨハネカインと戦うことになるでしょう。
興味がないわけではありませんが、あえて火中の栗を拾う必要もありますまい。
我らにはまだまだ時間があるのです。
この学園の者の持つ秘密は、この先に再び知る機会もある事でしょう。
…それよりメイレン様、レベッカ様をこっそり見に行くとはどのようなお考えでしょうか?
親子なのですから堂々とお会いになればよろしいのでは?」
美人「それがね、テンちゃんてば今意中の相手と保健室のベッドでイチャイチャしてるのよ。
だから親として、ばれないようにこっそり見てあげようと思うの。心配でしょ~?」
ター「それは親として心配するのは当然です。
私も娘を持つ身、メイレン様の心中お察しいたします」
痴「うるせぇ(笑)!!」
美人「いやん!?」
いつの間にやら保健室から出てきたレベッカが、メイレンに灰皿を投げつけた。
痴「やっぱりおめぇも回復したのか。良かったな。 」
一方、ターロンはメイレンと共に保健室に向かう途中だったが、その前にレベッカに遭遇する。
ター「これはこれはレベッカ様。我らに構わずどうぞお楽しみを…お?」
メイレンの持つターロンの体を、レベッカが引ったくるように奪い取る。
痴「その手に持ってるのはターロンだな?ちょっと借りるぞ。」
レベッカはやや無理矢理にメイレンからターロンをひったくった。
痴「俺は元の体に戻ったんだ。さっさと使い魔契約を終わらせちまうぞ。キスだ、キス。」
ター「レベッカ様お待ちください!キスで使い魔契約など聞いたことがアッー!」
ターロンの辞書に「キスで使い魔契約」の文字はなかった。
猫耳男がいたなら、『他にどんな方法で契約するんだ』と言っていただろうが。
この場合、ターロンに拒否権は無い。ターロンの顔にレベッカの顔が迫り…
痴「もげもげ、ふぁふぁ、もあ~(ちょっとリー達の様子を見てくるぜ。)」
美人「あら、そう。行ってらっしゃい。」
結果、キスというより食べられたような形になったターロンは、体より心にダメージを受け。
リリアーナがターロンを見るまでは、ぐったりしていたのだった。
ターロンを頭から咥えたレベッカは、なにやら泣き声が聞こえる方向へ走った。
美人「…“助けは多く”なったわね。」
(81で〆)
最終更新:2010年02月16日 21:22