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Aタワーの戦い 3 - (2024/02/06 (火) 10:05:40) の1つ前との変更点

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  実のところ、スピードランサーはずっと決めかねていた。  スラグソウルを破壊しながら、二人の魔法少女と会話しながら、心中では自らのスタンスをどこに持っていくのか、判断を保留にし続けていた。  それは、本来のスピードランサーからすればあまりに『遅い』行動だった。  殺し合いに抵抗は無い。故に、どっちに転んでも、葛藤は無い。  ただ、本当にそれでいいのか。それが正しい選択なのか。  そんなことを徒然と思いつつ、状況に流されるようにスラグソウルのコアを破壊し。  そして今、槍でパペッタンを貫いたのである。 (——あぁ?)  何故自分は今、パペッタンを殺した? それは、アレヰ・スタアを殺そうとして、パペッタンが飛び出したからだ。  では、どうしてアレヰ・スタアを殺そうとした? (あいつの『再現魔法』……あれは殺し合いにおいて厄介だ。色んな魔法少女が激突する殺し合いにおいて、あいつは生き残れば生き残るほど、無尽蔵に強くなっちまう)  叩くなら今しかない。  強豪魔法少女の魔法をフルセットで使えるようになる前に、まだ格下であるうちに、始末しておく。  そうスピードランサーは考え、槍を振るった。 (……つーことは、あたしはゲームに乗ったのか?)  アレヰ・スタアを殺そうとしたということは、そういうことになる。  半ば無意識の行動だった。槍を振るった後、その理由を考えている。 (っていうかこれ……不意打ちじゃね? あたしって、そんな卑怯なことする奴だったか?) もしゲームに乗っているにしても、本来のスピードランサーなら「じゃあ殺し合おうぜ。準備できてるか? バトルする前に休憩いれとくか?」などど自分のポリシーに則った言動をするはずである。  こんな、こちらを味方だと誤認している格下に、不意打ちをかますような真似を、何故自分が……。 (…………それだけ、クリックベイトが、佐々利 こぼねがあたしにとって大事だってことか……?)  自分のポリシーを曲げる程に。  スピードランサー、槍ヶ崎 舞矢はクリックベイト、佐々利 こぼねに死んでほしくないのだ。  彼女を優勝させる。——魔法王に勝てるはずが無いのだから。 (……よし)  ようやく決意が固まった。と、スピードランサーは考えた。  スタンスを決めかねる前に殺し合いを始めてしまったが、槍に心が追いついた。  自分の心が分からなくても、槍が間違うはずがない。  アレヰ・スタアを殺そうとしたことも、パペッタンを殺したのも、自分にとっては正しいことだ。  そう、信じる。  ……スピードランサーの自問自答は、時間にすれば数秒程度のものだった。  たった数秒。これが人間同士の殺し合いなら、たかが数秒。  ——されどこれは、魔法少女同士の殺し合いである。  スピードランサーがアレヰ・スタアに与えた数秒は、彼女がショック状態から脱し、魔法を発動する隙を与えることになる。 「『メモリアル・マジカルミスト』!」  アレヰ・スタアが叫び、巨大な魔法陣が彼女を中心に展開する。  魔法陣はフロア内の床全てを覆うほど大きく、そして。  周囲は、瞬時に濃霧に包まれる。  足元さえ見えないほどの、自然界でも滅多に発生しない密度の霧。 「逃げるつもりか?」  されど、ただの霧ではスピードランサーは止まらない。 頭上に魔法陣を展開し、アレヰ・スタアに向けて超高速で槍を射出する。  視界さえ封じられているが、スピードランサーの熟練の感覚が、アレヰ・スタアを串刺しにしたと感じさせる。  即死したと思うが、念入りにトドメを刺すべく、スピードランサーは接近し 「……あん?」  槍が、無い。確かにこの方向に射出したはずだ。  こんな短時間で消えるほど、スピードランサーの槍は脆い魔法ではない。  自分で消したわけでもない。  ……方向を間違えたのだ。 (そんな馬鹿なことがあるか?)  スピードランサーは方向音痴でも天然でもない。  自分が射出した方向を間違えるなんて。  自分が投げた球を拾いにいくとき、見当違いな方向に行く馬鹿はいない。  例え濃霧の中とはいえ、スピードランサーは魔法少女。感覚も常人を遥かに超える鋭敏さで……。 (違う、この霧、人間界のものじゃねぇ……!)  スピードランサーはようやく気づく。  アレヰ・スタアはかつて、ティターニアに魔法の国のダンジョンに放り込まれたことがある。  経験したことが力になるなら、色んな経験するのが重要だと思うな。ほら、頑張って!  そんな、野外体験に誘う教師のような口調で危険なダンジョンに放り込まれたアレヰ・スタアは、トラウマになるような経験を多数こなし……魔法の霧も、そのうちの一つである。  覆われた者は方向感覚を狂わされ、容易に脱出を許さない。  そして長くとどまり続ければ 「くっ……」  スピードランサーは吐血する。  血で濡れた掌さえ、濃霧で見ることもできない。 「微弱だがこの霧、毒があるな……」  認めざるを得ない。身体能力も、戦闘技術も、経験値も、魔力量も、魔法の練度も、自分より格下だが。  魔法の性能は、あっちの方が遥かに上だ。  ただ槍を出せるというシンプルで地味な魔法を、槍ヶ崎舞矢の技術でカバーし、槍が届かない敵でも倒すために槍を射出させるという戦法を開発し、そうした長年の努力を嘲笑うかのような、再現魔法のでたらめぶり。 「こりゃあ、気を引き締めねぇとな……」  霧の中で、スピードランサーは獰猛に笑った。 ◇  アレヰ・スタアは逃げていた。  いじめ問題から逃げ出したように。  ティターニアの特訓から逃げ出したように。  三度目の挫折。  目の前で、確かに心を通わせたはずのパペッタンを見捨てて、死に物狂いで階段を駆け下りる。 (どうして……どうして……どうして……!?)  何故スピードランサーが裏切ったのか、アレヰ・スタアには分からない。  殺意があったのなら、最初からそうすれば良かったのに。  何故このタイミングで……? (怖い……怖いよ……死にたくない……)  思考は断続的で、刹那的で、悲観的だった。  家に帰りたい。  ふと、そう思う。  スピードランサーのことも、パペッタンのことも、殺し合いのことも、魔法少女のことも全て忘れて、シーツを頭から被って、閉じこもりたい。  帰ろう。  そんなアレヰ・スタアの逃避を遮るように。  槍が、上から降ってくる。 「ひっ……!」  悲鳴とともに、足を止める。  槍の色は、赤。  パペッタンを貫いた赤い槍。  ガガガガガッと追いつくように複数の槍が頭上から降り注ぎ、アレヰ・スタアは悲鳴をあげながら、バックステップで回避する。  そして、瓦礫と共に降りてくるのは赤いスーツの女。  魔法少女、スピードランサー。  彼女が煙から逃れるためにとった手段は単純明快、自身の足元に槍で穴を開け、1階に逃れるというものだった。  アレヰ・スタアの運が悪かったのは、偶々スピードランサーが降りた場所に居合わせてしまったことだ。 「厄介だ」  と、スピードランサーは言った。 「あんた、長生きさせると手がつけられなくなりそうだからな。弱いうちに——」  スピードランサーの周囲に魔法陣が浮かび上がる。 「——殺しとく」 「『メモリアル・マジカルシールド』!」  槍が発射される前に、アレヰ・スタアは魔法を発動させる。  彼女を守るように出現するのは五枚のシールド。  槍はシールドに吸い込まれ——そのまま勢いを殺さず方向を転換し、スピードランサーの方へと射出される。  自分に向かって放たれる槍に対して、スピードランサーは手に持った槍を振るった。  同時に到達する五本の槍。  通常の人間なら、同時に五本の槍は対処できない。  人間の反射神経では追いつけない。  が、此処に立つのはスピードランサー。参加者随一の実力者。 「しゃらくせぇ」  スピードランサーが狙うのは、五本のうちの一本。手に持った槍の穂先で、平愛する槍の穂先を弾く。  結果として一本の槍の回転軸が変化し——それに弾かれるようにして、残りの槍も弾かれる。  実家の道場で鍛えた技術と魔法少女の身体性能が合わさって初めてできる神業。  「『メモリアル・ランサー』」  すかさず、追撃。  撃ち込まれる二十の槍を、やはりスピードランサーは難なく対処してしまう。  ——重い。  再現魔法の連続使用。  魔力消費が普段より増大しているのもあって、アレヰ・スタアは全身に疲労感を覚えていた。 (ち、近づかれちゃ駄目です……。槍の間合いに入ると、死ぬ……!)  それでも、先ほどよりはマシだ。  アレヰ・スタアは街のパトロールを日課にしていた。魔法少女との戦闘なら何度も経験がある。いざ戦闘が始まってしまえば恐怖を無視して、体が自然と動く。  問題は、スピードランサーにどう対処するか。  近接戦闘では勝ち目が無い。  ならば遠距離戦。  どうやら相手は槍を射出できるだけ(超高速かつ威力も甚大だが)、一方こちらが取れる手段は多い。 (本当に……ティターニアとの三日間が無ければ死んでましたね……)  相手が究極の一なら、こちらは究極の万能だ。  死んでたまるか、死んでたまるか、死んでたまるか……!  ——決意は固まった。  相手はスピードランサー……ゲームに乗った、悪い魔法少女だ。  そして悪い魔法少女の相手は慣れている。  殺し合いじゃない、悪い子は倒す。あくまで日課通りだ。  ふぅ、と息を吐く。  体の震えが収まる。  思い出が、人を作る。  アレヰ・スタアが魔法少女になって行ってきたことが、彼女を支える。 (もし、スピードランサーを倒せなければ……)  最初の玉座の間に居た、ハスキーロアを想う。  無残に殺された、パペッタンを想う。  ああいう純粋な子が、これからもスピードランサーの犠牲になるかもしれない。  ——これ以上そんなことは、絶対に起こさせない。 「『メモリアル・サンダー』!」  放つのは大技。  槍では、雷に対処できない。  かつて見た遠雷が、スピードランサーへ向かい。 「チッ……」  スピードランサーが顔を歪め、魔法陣を大量に展開する。  槍が上から下へと突き刺さり、即席のシールドが出来る。 (何て応用力……でも!)  直撃こそしなかったが、雷は槍のシールドを貫通し、スピードランサーに被弾する。 「ぐっ……」  スピードランサーが苦悶の声を漏らす。  初めての有効打。  アレヰ・スタアは、スピードランサーに通用する。 (この機を逃しません……私の最強の魔法を……!) 「『メモリアル・ティター………………』」  声が、出ない。  口内全体に鉄の味が拡がり、アレヰ・スタアは思わず咽た。  吐き出された大量の血が、槍の柄にかかる。 「え……?」  どうして、自分の身体に槍が刺さっている?  何故、スピードランサーは前にいるのに、後ろから貫かれた?  緩慢に、アレヰ・スタアは振り返った。  そこには、誰もいない。  捨てられたテレビ塔の内装があるだけだ。  ただ、自分の背後に、魔法陣が浮かんでいた。  ——槍は、そこから延びていた。 「ひ……ひきょう、もの……」  スピードランサーの固有魔法『槍を出せるよ』。  どこからでも槍を生やして高速射出できる。地面だろうと何も無い虚空だろうと。  敵の背後だろうと。  スピードランサーは能面のような顔で、崩れ落ちたアレヰ・スタアを見下ろしている。  腹部を貫いていた槍が光の粒子となって消滅する。  それは、慈悲ではない。患部を押さえていた凶器が消えたことで、傷口から膨大な血が噴き出る。  掠れる視界でアレヰ・スタアは、スピードランサーを見下ろす。  無機質な、まるで人形のような眼で、スピードランサーはこちらを見下ろしている。  窓から射し込む月光が、スピードランサーを照らし出す。  ——浮かび上がる影は、竜の姿をしていた。  (ねぇアレヰ・スタア。黒竜って知ってる? かつて魔法の国を滅ぼしかかった史上最悪のエネミー。この怪物の恐ろしいところは、他者に自身の魔力を寄生させて、人形のように操ることにあったのよ。それで幾つもの国が傀儡にされ兵士にされ資源として利用されたの。今度魔法の国の図書館案内してあげるわね) (そんなことより早く助けて! 助けてください! エネミーに囲まれてる状態で呑気に歴史語るのマジでやめてください!) 「はは……なんだか、なつかしいです、ね……」 「まだ死んでねぇのか。さっきの雷撃で、魔法陣の位置がズレたか? まぁいいけどさ」  確実なトドメを刺すべく、スピードランサーの頭上に、魔法陣が浮かび上がり 「じゃあな」  槍が放たれる。アレヰ・スタアの脳髄を破壊し完全に沈黙させるための一撃。  ——金属音が響く。  弾かれた槍が、宙を舞う。 「——何だと?」  槍を弾いたのは、人間の形をしていなかった。  ぬいぐるみである。   鎧を纏ったドラゴンのぬいぐるみが、羽をぱたぱたと動かしながらスピードランサ―に相対している。  ドラゴンのぬいぐるみは、びしっと丸っこい腕をスピードランサーに向けた。  それは、凄惨な空気に似合わぬ、あまりにも可愛らしい——けれど確かな、宣戦布告だった。
  実のところ、スピードランサーはずっと決めかねていた。  スラグソウルを破壊しながら、二人の魔法少女と会話しながら、心中では自らのスタンスをどこに持っていくのか、判断を保留にし続けていた。  それは、本来のスピードランサーからすればあまりに『遅い』行動だった。  殺し合いに抵抗は無い。故に、どっちに転んでも、葛藤は無い。  ただ、本当にそれでいいのか。それが正しい選択なのか。  そんなことを徒然と思いつつ、状況に流されるようにスラグソウルのコアを破壊し。  そして今、槍でパペッタンを貫いたのである。 (——あぁ?)  何故自分は今、パペッタンを殺した? それは、アレヰ・スタアを殺そうとして、パペッタンが飛び出したからだ。  では、どうしてアレヰ・スタアを殺そうとした? (あいつの『再現魔法』……あれは殺し合いにおいて厄介だ。色んな魔法少女が激突する殺し合いにおいて、あいつは生き残れば生き残るほど、無尽蔵に強くなっちまう)  叩くなら今しかない。  強豪魔法少女の魔法をフルセットで使えるようになる前に、まだ格下であるうちに、始末しておく。  そうスピードランサーは考え、槍を振るった。 (……つーことは、あたしはゲームに乗ったのか?)  アレヰ・スタアを殺そうとしたということは、そういうことになる。  半ば無意識の行動だった。槍を振るった後、その理由を考えている。 (っていうかこれ……不意打ちじゃね? あたしって、そんな卑怯なことする奴だったか?) 「じゃあ殺し合おうぜ。準備できてるか? バトルする前に休憩いれとくか?」  などど本来のスピードランサーなら自分のポリシーに則った言動をするはずである。  こんな、こちらを味方だと誤認している格下に、不意打ちをかますような真似を、何故自分が……。 (…………それだけ、クリックベイトが、佐々利 こぼねがあたしにとって大事だってことか……?)  自分のポリシーを曲げる程に。  スピードランサー、槍ヶ崎 舞矢はクリックベイト、佐々利 こぼねに死んでほしくないのだ。  彼女を優勝させる。——魔法王に勝てるはずが無いのだから。 (……よし)  ようやく決意が固まった。と、スピードランサーは考えた。  スタンスを決めかねる前に殺し合いを始めてしまったが、槍に心が追いついた。  自分の心が分からなくても、槍が間違うはずがない。  アレヰ・スタアを殺そうとしたことも、パペッタンを殺したのも、自分にとっては正しいことだ。  そう、信じる。  ……スピードランサーの自問自答は、時間にすれば数秒程度のものだった。  たった数秒。これが人間同士の殺し合いなら、たかが数秒。  ——されどこれは、魔法少女同士の殺し合いである。  スピードランサーがアレヰ・スタアに与えた数秒は、彼女がショック状態から脱し、魔法を発動する隙を与えることになる。 「『メモリアル・マジカルミスト』!」  アレヰ・スタアが叫び、巨大な魔法陣が彼女を中心に展開する。  魔法陣はフロア内の床全てを覆うほど大きく、そして。  周囲は、瞬時に濃霧に包まれる。  足元さえ見えないほどの、自然界でも滅多に発生しない密度の霧。 「逃げるつもりか?」  されど、ただの霧ではスピードランサーは止まらない。頭上に魔法陣を展開し、アレヰ・スタアに向けて超高速で槍を射出する。  視界さえ封じられているが、スピードランサーの熟練の感覚が、アレヰ・スタアを串刺しにしたと感じさせる。  即死したと思うが、念入りにトドメを刺すべく、スピードランサーは接近し 「……あん?」  槍が、無い。確かにこの方向に射出したはずだ。  こんな短時間で消えるほど、スピードランサーの槍は脆い魔法ではない。  自分で消したわけでもない。  ……方向を間違えたのだ。 (そんな馬鹿なことがあるか?)  スピードランサーは方向音痴でも天然でもない。  自分が射出した方向を間違えるなんて。  自分が投げた球を拾いにいくとき、見当違いな方向に行く馬鹿はいない。  例え濃霧の中とはいえ、スピードランサーは魔法少女。感覚も常人を遥かに超える鋭敏さで……。  アレヰ・スタアはかつて、ティターニアに魔法の国のダンジョンに放り込まれたことがある。  経験したことが力になるなら、色んな経験するのが重要だと思うな。ほら、頑張って!  そんな、野外体験に誘う教師のような口調で危険なダンジョンに放り込まれたアレヰ・スタアは、トラウマになるような経験を多数こなし……魔法の霧も、そのうちの一つである。  覆われた者は方向感覚を狂わされ、容易に脱出を許さない。  そして長くとどまり続ければ 「くっ……」  スピードランサーは吐血する。  血で濡れた掌さえ、濃霧で見ることもできない。 「微弱だがこの霧、毒があるな……」  認めざるを得ない。身体能力も、戦闘技術も、経験値も、魔力量も、魔法の練度も、自分より格下だが。  魔法の性能は、あっちの方が遥かに上だ。  ただ槍を出せるというシンプルで地味な魔法を、槍ヶ崎舞矢の技術でカバーし、槍が届かない敵でも倒すために槍を射出させるという戦法を開発し、そうした長年の努力を嘲笑うかのような、再現魔法のでたらめぶり。 「こりゃあ、気を引き締めねぇとな……」  霧の中で、スピードランサーは獰猛に笑った。 ◇  アレヰ・スタアは逃げていた。  いじめ問題から逃げ出したように。  ティターニアの特訓から逃げ出したように。  三度目の挫折。  目の前で、確かに心を通わせたはずのパペッタンを見捨てて、死に物狂いで階段を駆け下りる。 (どうして……どうして……どうして……!?)  何故スピードランサーが裏切ったのか、アレヰ・スタアには分からない。  殺意があったのなら、最初からそうすれば良かったのに。  何故このタイミングで……? (怖い……怖いよ……死にたくない……)  思考は断続的で、刹那的で、悲観的だった。  家に帰りたい。  ふと、そう思う。  スピードランサーのことも、パペッタンのことも、殺し合いのことも、魔法少女のことも全て忘れて、シーツを頭から被って、閉じこもりたい。  帰ろう。  そんなアレヰ・スタアの逃避を遮るように。  槍が、上から降ってくる。 「ひっ……!」  悲鳴とともに、足を止める。  槍の色は、赤。  パペッタンを貫いた赤い槍。  ガガガガガッと追いつくように複数の槍が頭上から降り注ぎ、アレヰ・スタアは悲鳴をあげながら、バックステップで回避する。  そして、瓦礫と共に降りてくるのは赤いスーツの女。  魔法少女、スピードランサー。  彼女が煙から逃れるためにとった手段は単純明快、自身の足元に槍で穴を開け、1階に逃れるというものだった。  アレヰ・スタアの運が悪かったのは、偶々スピードランサーが降りた場所に居合わせてしまったことだ。 「厄介だ」  と、スピードランサーは言った。 「あんた、長生きさせると手がつけられなくなりそうだからな。弱いうちに——」  スピードランサーの周囲に魔法陣が浮かび上がる。 「——殺しとく」 「『メモリアル・マジカルシールド』!」  槍が発射される前に、アレヰ・スタアは魔法を発動させる。  彼女を守るように出現するのは五枚のシールド。  槍はシールドに吸い込まれ——そのまま勢いを殺さず方向を転換し、スピードランサーの方へと射出される。  自分に向かって放たれる槍に対して、スピードランサーは手に持った槍を振るった。  同時に到達する五本の槍。  通常の人間なら、同時に五本の槍は対処できない。  人間の反射神経では追いつけない。  が、此処に立つのはスピードランサー。参加者随一の実力者。 「しゃらくせぇ」  スピードランサーが狙うのは、五本のうちの一本。手に持った槍の穂先で、平愛する槍の穂先を弾く。  結果として一本の槍の回転軸が変化し——それに弾かれるようにして、残りの槍も弾かれる。  実家の道場で鍛えた技術と魔法少女の身体性能が合わさって初めてできる神業。  「『メモリアル・ランサー』」  すかさず、追撃。  撃ち込まれる二十の槍を、やはりスピードランサーは難なく対処してしまう。  ——重い。  再現魔法の連続使用。  魔力消費が普段より増大しているのもあって、アレヰ・スタアは全身に疲労感を覚えていた。 (ち、近づかれちゃ駄目です……。槍の間合いに入ると、死ぬ……!)  それでも、先ほどよりはマシだ。  アレヰ・スタアは街のパトロールを日課にしていた。魔法少女との戦闘なら何度も経験がある。いざ戦闘が始まってしまえば恐怖を無視して、体が自然と動く。  問題は、スピードランサーにどう対処するか。  近接戦闘では勝ち目が無い。  ならば遠距離戦。  どうやら相手は槍を射出できるだけ(超高速かつ威力も甚大だが)、一方こちらが取れる手段は多い。 (本当に……ティターニアとの三日間が無ければ死んでましたね……)  相手が究極の一なら、こちらは究極の万能だ。  死んでたまるか、死んでたまるか、死んでたまるか……!  ——決意は固まった。  相手はスピードランサー……ゲームに乗った、悪い魔法少女だ。  そして悪い魔法少女の相手は慣れている。  殺し合いじゃない、悪い子は倒す。あくまで日課通りだ。  ふぅ、と息を吐く。  体の震えが収まる。  思い出が、人を作る。  アレヰ・スタアが魔法少女になって行ってきたことが、彼女を支える。 (もし、スピードランサーを倒せなければ……)  最初の玉座の間に居た、ハスキーロアを想う。  無残に殺された、パペッタンを想う。  ああいう純粋な子が、これからもスピードランサーの犠牲になるかもしれない。  ——これ以上そんなことは、絶対に起こさせない。 「『メモリアル・サンダー』!」  放つのは大技。  槍では、雷に対処できない。  かつて見た遠雷が、スピードランサーへ向かい。 「チッ……」  スピードランサーが顔を歪め、魔法陣を大量に展開する。  槍が上から下へと突き刺さり、即席のシールドが出来る。 (何て応用力……でも!)  直撃こそしなかったが、雷は槍のシールドを貫通し、スピードランサーに被弾する。 「ぐっ……」  スピードランサーが苦悶の声を漏らす。  初めての有効打。  アレヰ・スタアは、スピードランサーに通用する。 (この機を逃しません……私の最強の魔法を……!) 「『メモリアル・ティター………………』」  声が、出ない。  口内全体に鉄の味が拡がり、アレヰ・スタアは思わず咽た。  吐き出された大量の血が、槍の柄にかかる。 「え……?」  どうして、自分の身体に槍が刺さっている?  何故、スピードランサーは前にいるのに、後ろから貫かれた?  緩慢に、アレヰ・スタアは振り返った。  そこには、誰もいない。  捨てられたテレビ塔の内装があるだけだ。  ただ、自分の背後に、魔法陣が浮かんでいた。  ——槍は、そこから延びていた。 「ひ……ひきょう、もの……」  スピードランサーの固有魔法『槍を出せるよ』。  どこからでも槍を生やして高速射出できる。地面だろうと何も無い虚空だろうと。  敵の背後だろうと。  スピードランサーは能面のような顔で、崩れ落ちたアレヰ・スタアを見下ろしている。  腹部を貫いていた槍が光の粒子となって消滅する。  それは、慈悲ではない。患部を押さえていた凶器が消えたことで、傷口から膨大な血が噴き出る。  掠れる視界でアレヰ・スタアは、スピードランサーを見下ろす。  無機質な、まるで人形のような眼で、スピードランサーはこちらを見下ろしている。  窓から射し込む月光が、スピードランサーを照らし出す。  ——浮かび上がる影は、竜の姿をしていた。  (ねぇアレヰ・スタア。黒竜って知ってる? かつて魔法の国を滅ぼしかかった史上最悪のエネミー。この怪物の恐ろしいところは、他者に自身の魔力を寄生させて、人形のように操ることにあったのよ。それで幾つもの国が傀儡にされ兵士にされ資源として利用されたの。今度魔法の国の図書館案内してあげるわね) (そんなことより早く助けて! 助けてください! エネミーに囲まれてる状態で呑気に歴史語るのマジでやめてください!) 「はは……なんだか、なつかしいです、ね……」 「まだ死んでねぇのか。さっきの雷撃で、魔法陣の位置がズレたか? まぁいいけどさ」  確実なトドメを刺すべく、スピードランサーの頭上に、魔法陣が浮かび上がり 「じゃあな」  槍が放たれる。アレヰ・スタアの脳髄を破壊し完全に沈黙させるための一撃。  ——金属音が響く。  弾かれた槍が、宙を舞う。 「——何だと?」  槍を弾いたのは、人間の形をしていなかった。  ぬいぐるみである。   鎧を纏ったドラゴンのぬいぐるみが、羽をぱたぱたと動かしながらスピードランサ―に相対している。  ドラゴンのぬいぐるみは、びしっと丸っこい腕をスピードランサーに向けた。  それは、凄惨な空気に似合わぬ、あまりにも可愛らしい——けれど確かな、宣戦布告だった。

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