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  • 魔法少女を集めてバトロワするスレ@ ウィキ
  • 第一回放送(前編)

魔法少女を集めてバトロワするスレ@ ウィキ

第一回放送(前編)

最終更新:2025年02月16日 19:50

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だれでも歓迎! 編集
「で、いつ裏切るんだ?」

「え!?」

 ああああは、眼前で煙草を吹かすフリルの魔法少女の言葉に呆然とした。
 魔法少女・熾店長オシウリエル。分かりやすく強くてヤバい奴のパンデモニカやメンダシウムと比べて、オシウリエルはオートクチュールと同じ、よく分からないけどヤバそう枠だった。
 あのマンションにはいなかったタイプ。

「う、裏切るなんて私そんなこと全然考えてないですよマジで」

 おかしいとは思ったのだ。
 部屋に呼ばれてまず指示されたことは、部屋中に拒絶の幕を張れというものだった。
 そんな怪しまれることはしたくないと断ったが、報酬を提示されて交渉され、とうとう十五分だけ、もし疑われた場合はオシウリエルに強要されたと言っていいという約束で了承してしまった。
 どうにも釈然としないが、不思議と受け入れてしまったのだ。

(……精神干渉? いや、それなら私は拒絶できるしマジで分からん……)

そして、幕を張るなり衝撃の一言を言われた。
 いつ、裏切るのか。
 裏切ること、裏切っていることを前提の問いかけ。


(これ絶対私消されるやつだ)

「う、裏切ってないですマジで本当に裏切ってないです。運営陣の皆様には感謝してもしきれませんしオオカワウソを殺し合いに放り込んでくれて本当に感謝してるんです」

「へぇ、裏切ってないのか」

 少し驚いたようにオシウリエルは目を開く。

「じゃあ私の敵だな」

「へ?」

「私は今から裏切るからな。お前は私の敵ということになる」

「は? え、マジで言ってんすか」

「うん。さぁ殺し合おうか」

 そう言って、オシウリエルはスプレー缶を一つ、机の上に置いた。

「これが何か……」

 ああああは、攻撃を拒絶できる。例えティターニアの一撃だろうと拒絶できるのはつい数時間前の攻防で証明されている。
 よって、オシウリエルが拳銃だろうとバズーカを取り出そうと、ああああにダメージを与えることが出来ない。
 ましてやスプレー缶など……。

「ちなみにこのスプレー缶は、『武器商人』アロンダイト製だ」

「っ!?」

 ああああはのけぞった。
 貴族妖精アロンダイト。武器商人アロンダイト。神話の時代から生きる彼女が取り扱うマジックアイテムは、マンションの災厄にも匹敵する厄ネタだ。

「彼女からは色んなアイテムを値切らせてもらった。良いビジネスが出来たよ。君ともぜひウィンウィンな関係を築きたいものだな、ああああ君」

「…………裏切りに加担しないと始末するってことかよ畜生」

「おいおい、勘違いするな。ああああ君には保留でいてほしいだけだ」

「保留?」

「そう。簡単に言えば、私の話し相手が欲しいんだよ」

「……悪いこと言いいませんから、裏切りなんて辞めたほうがいいです。魔法王は……いや、たぶん貴女も知ってると思うんすけど、黒幕は、とんでもない力を持っています。パンデモニカさん曰く……『天上』だとか」

「知っている。いわゆる超越者、神に等しい存在らしいな」

 オシウリエルは煙草を口に加え、肺に煙を溜めた。

「ククク……」

「お、オシウリエルさん……?」

「狂気の沙汰ほど、面白い……!」

「うげっ」

 狂気。何故マンションを出れたのにそんなものと向き合わなくてはならないのか。

「で、でも神っすよ? 天上っすよ? 無理ゲー無理ゲー絶対無理」

「そうだ、人は神に勝てない。いくら魔法少女なる者に進化しようと限界がある」

 だからね、ああああとオシウリエルは酔いしれるような眼を向け、言った。

「天上を、地まで引きずり降ろそう」

◇

魔法少女とは、人を超えた存在である。
 そんな御伽噺(フェアリーテイル)を、ああああは信じていない。
 なるほど確かに人を超えた能力は持っている。筋力も、耐久力も、敏捷性も、常人を遥かに超えている。もし陸上競技に出ればあらゆる競技の記録を塗り替えるだろうし、もし格闘技をやれば無差別級の永年チャンピオンだろう。
 ああああは魔法によって騒音を耳栓無しでも拒絶できるし、ビルから落下しても衝撃を拒絶できる。銃撃されても拒絶できるし、ウイルスだってへっちゃらだ。
 超人。怪物。天使。最も神/天上に近しい存在。
 魔法少女(ヒーロー)。
 ——だから何なんだよクソが。
 もし、仮に魔法少女が世界に一人しかいなければ。
 魔法が存在しない世界でたった一人の魔法少女だったなら、きっとその子は己の快不快だけを信条に、好き勝手生きていられただろう。
 何て、羨ましい。
 ああああには、望むべくもない世界。
 ああああは、魔法少女だ。生まれながらの超人で、神に祝福された存在で、この世界の主人公だ。
 ——ただ、この世界で超人はありふれており、神の祝福など珍しくもなく、ジャンルは群像劇だった。
 そして、ああああは弱かった。
 川を泳ぐナマズは、甲殻類や虫、小魚を襲って食べる。食べられる彼らにしてみればナマズは、絶対的捕食者であり、どう足掻いても勝てない存在だ。
 ——そんなナマズは、オオカワウソの餌でしかない。
 自然界に存在する残酷なピラミッド。
 万物の霊長を誇る人間にしてみても、明確な格差が存在する。
 暴力、知力、権力、財力。上には上が居て、下には下が居る。
 魔法少女も、例外ではない。
 むしろ、現代日本の法を超越した存在(何しろ犯罪者を捕まえる日本の警察機構は、魔法少女に対抗できるどころか、その存在すら知らないのだから)である彼女たちの世界は、一皮むけば死で溢れている。
 ああああは、泥水を啜って生きてきた。なまじ生来魔法が使え、才能があったことが運命を狂わせた。思慮が定まる前から裏の世界にどっぷりと浸かり、がんじがらめに縛られて逃げ出せなくなった。
 ああああは、あらゆる物を拒絶する。だがそれは、魔力がある限りという条件が付く。そして、攻撃手段は一切持ち合わせない。
 魔法だけでは、身を守れない。一つの大きな組織が本気でああああを消そうと思えば、二十四時間波状攻撃を仕掛けてくるだろう。
 ああああは、媚びた。嫌いな奴に頭を下げ、相手の靴を舐めて生きてきた。
 何の才能も持たない、モブに過ぎない同年代が中学校に通っているとき、超人であるはずのああああは社畜をやっていた。
 階層構造で心を殺して働きながら、ああああは徐々に狂っていった。
 もう嫌だ、もうたくさんだ、もう解放してくれ……!
 どこに逃げても追手は来る。逃げられない、逃げられない。
 ……本当にそうか?
 絶対に追ってこれない場所がある。
 死だ。
 死の虚無こそが、最後の逃げ場所だ。
 自殺をしよう。
 ただ、ああああは魔法少女だ。
 普通に自殺をしても、死に切る前に蘇生されてしまうかもしれない。
 そんなのは嫌だ。死の苦痛なんて、一回しか経験したくない。
 だから——ああああは、確実な死を求めて、あにまんマンションを訪れた。
 ゲームが開始する、一年ほど前のことである。

 「……引きずり降ろす、ですか?」

 オシウリエル。よく分からない魔法少女。
 嫌いだ。大嫌いだ。
 未知が嫌いだ。不明が嫌いだ。混沌が嫌いだ。狂気が嫌いだ。
 あのマンションを思い起こさせるもの、全てが嫌いだ。
 どうやって、と聞く前にああああの口からは否定が溢れた。

「無理、無理っすよ。そんなの。どうして、みんなそうなんすか。魔法は万能じゃない。私たちは、人間に毛が生えた程度の矮小な存在なんすよ、神を引きずり降ろすなんて絶対無理!」

 自殺するために足を踏み入れたあにまんマンション。
 そこで、オオカワウソは自分が井の中の蛙だったことを知った。
 闇の秩序。裏の掟。社畜な私。
 そんなものは——天国に過ぎなかった。
 外の世界の地獄を知らない、ユートピアな井戸の中で生きていた蛙に過ぎなかったのだ。
 命令にさえ従っていれば、組織に忠実であれば、生存と報酬が与えられる。仮に逆らっても、たった一度の死で済む。
 あのマンションは、違った。
 伏魔殿。
 マンションに入ってすぐに、オオカワウソと名乗る『集団』に捕まった。
 そして、ああああは『増やされ』——無限の死を、味わうことになった。
 目の前で自分が死んでいく。
 水に沈められ、怪物に殺され、オオカワウソに喰われ、拒絶の抵抗も空しく死んでいく。
 分身ではない。使い魔でもなければ、偽物でもない。
 全て自分だ。同じ記憶を持ったああああだ。
 オオカワウソに触れられ、増やされ、生かされる方か、殺される方かは、ああああの自意識では運に過ぎない。
 偶々、マンションに入り、今まで殺される側にならなかったああああ、それが今、この場にいるああああだ。
 魔法王の使いによってオオカワウソの元から逃がされなければ、ああああは今も、マンションに囚われていた。
 感謝はしている。
 けれど、彼女たちもまた、オオカワウソと似た空気を感じる。
 狂気。
 そんな彼女たちを統括するのが黒幕——神。
 オオカワウソが、自身とああああを使い潰しても完全攻略が叶わなかったマンションを作ったのも、きっと神なのだろう。

「私ら殺し合わなくていい、安泰な地位じゃないすか。何でわざわざ黒幕に喧嘩売るような真似するんすか」

 オシウリエルの口から煙が漏れる。
 内面の年齢はどうあれ、フリフリな格好の少女が喫煙をする様子はああああにとって——見慣れたものだった。裏社会の魔法少女ならよくあることだ。どうせ煙草程度の毒など魔法少女には効かない。

「どうしてって、さっきも言ったろ。
 その方が、面白いからだ」

  パンデモニカの受け売りじゃないけどな、とオシウリエルはシニカルに笑った。

「まぁ話を聞けよああああ。私は何も……世迷言を吐いてるわけじゃないんだ」

「そう言う風にしか受け取れないんすよ、こっちは。神を、天上を引きずり降ろせる根拠って何すか」

「そうだな、まずはその、神は殺せないって偏見を無くした方がいい。魔法は、イメージだ。神とか、天上って言葉に惑わされるな」

「漫画やアニメ、ゲームを見てみろ。人間が神をやり込めたり、倒す物語なんかありふれているぞ? ドラゴンボールでも、ブロリーは神様より強いだろ? アトラスのゲームをやったことがないのか? ポケモンでも神と呼ばれたポケモンは捕まえられるし、モンハンだって神と呼ばれたモンスターをハントできるだろ」

「知らねぇっすよ」

 ああああは、サブカルに明るくない。生涯の殆どを裏で過ごしてきた彼女にとってそれら人間界の娯楽など、縁の無い話だ。

「そういうのって、現実にはありえないから描かれるんでしょ? 不老不死になれないから不老不死の薬が出てくるし、空を飛べないから空を飛べる人間が出てくる。
 フィクションであったからといって、現実なわけがないっすよ」

 魔法はあっても、空想は存在しない。

「そんなことはないさ。知っているか? 宇宙旅行も、携帯電話も、核兵器も、最初はSF小説からだ。人は不可能を空想し、それを可能にしていく生き物だと、私は思っている」

それはまた——随分と前向きでけっこうなことだ。オオカワウソに聞いても同じことを返すのだろうか。否、きっとあれらはそこまで自らの衝動を言語化できないだろう。
 オオカワウソが狂気の生物なら、オシウリエルは狂気の少女だった。

「別に、オシウリエルさんの信条はどうでもいいすけど、現実は、今この時代では、人は神に勝てないのは自明じゃないすか。
 殺し合いは恙なく進行してるし、あのマンションも攻略されてない。
 そりゃあ、つい数時間前、なんだか一か月以上前な気さえしますけど、メンダシウムさんが死んだのは驚きましたよ。けど、結局黒幕までは辿り着けてない。
 無理なんですって」

「——マンションは、攻略されたよ」

「…………はい?」

「オオカワウソの言う、隅々まで探索という形ではないがね。怪異の発生源は——死んだ。今すぐとまではいかないだろうが、徐々にあにまんマンションは……ただのマンションに戻るだろうね」

「な、何すかそれ……」

 あの不条理な、あの理不尽な、あのオオカワウソを持ってしても全貌が解明されない怪異の、発生源が死んだ?

「オオカワウソが、やったんすか……?」

「いや、殺したのはハニーハントだ」

「誰だよそれ!?」

 ああああは思わず立ち上がった。
 あの、地獄が、ああああに生涯残るであろうトラウマを刻み付けたあにまんマンションが——負けた?

「言っておくが、ハニーハントは決して強い魔法少女じゃない。
 私や、パンデモニカ、メンダシウムには勝てないだろうし、オオカワウソを相手にしても厳しいだろうな。実力的には、参加者の中でも中の下、といったところか。
 そんな彼女が、『偶然にも』、マンションの怪異の核を殺してのけた」

「そんな、そんなのって……」

 それは、喜ばしいニュースのはずだった。
 例え、絶対に起こってほしくない未来だが、万が一、オオカワウソが優勝したとしても、もうあにまんマンションはダンジョンではない。

 ああああが地獄に連れ戻される可能性はない。
 ああああは、ハニーハントに最上級の感謝を表明するべきだ。
 それなのに。

「私らの冒険は、何だったんだよ……!」

 口から漏れたのは、恨み言だった。
 地獄だった。狂気と混沌の坩堝だった。
 それでも、あにまんマンションの攻略はオオカワウソとああああの力があったからこそ進んでいた。様々な罠を死に覚えで攻略し、遂には心臓部さえ掌握していたのだ。
 一つエリアを突破する度に、オオカワウソがハイタッチをしてきたのを覚えている。
 散々使い潰しておいてと、怒りを覚えたが、それでも、確かにああああには自負があったのだ。
 あのマンションでは、ああああは社畜ではなく、探索者だった。(非常食でもあったが)。

「ああああ、この世の中に絶対はない」

 オシウリエルは、真っすぐああああを見据えていた。

「私も魔法少女になって長いが、無敵を誇った魔法少女も、最強を謳った魔法少女も、死ぬ時はあっさり死ぬもんさ。まるで賽の目で1を出しちまったみたいにな。
 黒幕、神、天上……どう装飾しても、そいつがこの世に存在するものなのは間違いないんだ。絶対の椅子に座り続けられるわけじゃない」

「……確かに、マンションは絶対じゃなかったかもしれない。けど、それが黒幕に隙があることに繋がらないすよね。何の根拠があるんすか」

「根拠ならあるさ。このゲームの展開を見ていれば、違和感がある。
 このゲーム……どこか、変だろ?」

「変、すか。殺し合いにしちゃ自由度が高いとは思うすけど」

 組織の処刑法として殺し合いをやらせるというのはポピュラーだ。ただそれはもっと閉所でもっとシンプルな形で行う。
 こんなイベントのような真似はしない。

「参加者は十人十色、様々な個性を与えられている。誰が優勝するか、容易には予測がつかないエンタメ性がある。
 ただ、全員がその強みを生かしきれるようには出来ていない」

「何が言いたいんすか」

「スカイウィッチとフライフィアーは、どうして地下がスタートだったんだ?」

 確か、空を飛ぶのが得意な魔法少女だったか。

「……偶然ですよ」

「わざわざ同じ地下にゲームに乗る確率が高いヒートハウンドを用意している。はっきり言って、スカイウィッチとフライフィアーが、地下でヒートハウンドに勝てる可能性は零パーセント。それどころか、逃げることすらまず無理だろう」

 犬は嗅覚が鋭いからな、とオシウリエルは笑った。

「結局この二人は、強みを生かしきれないまま退場した。
 ……空を飛ぶことが得意な魔法少女を、わざわざ地下からスタートさせ、近くに天敵を配備する。……恣意的なものを感じないか」

「黒幕は、その二人が嫌いだったんじゃないすか」

「もう一つある。お前にも馴染みが深い、あにまんマンション。ここが初期位置だった参加者は、ビリーバー、オオカワウソ、ハニーハント。
 そして、ビリーバーは脱落した」

 魔法特化型の魔法少女は複数いる、とオシウリエルは言う。

 「電子の海に潜れるナイトメア・メリィ、千里眼のクレアボヤンス。この二人は初期位置も比較的安全な場所であり、周囲に危険人物は配備されていない。にも関わらず、ビリーバーだけが全エリアでぶっちぎりで危険なあにまんマンションスタートで、かつ近くには危険人物のオオカワウソとハニーハント……まるで一刻も早く死んでくれと言わんばかりの采配だ」

「……何が言いたいんですか?」

「私はね、この三人は、黒幕を脅かす可能性があったと思っているんだ」

 スカイウィッチ、フライフィアー、ビリーバー。

「単純な実力ならティターニアやテンガイ、ブレイズドラゴンやスピードランサーはフライフィアーに並ぶ、あるいは凌駕するかもしれない。スカイウィッチやビリーバーとは隔絶した実力差のはずだ。
 にも関わらず、彼女たちはそのような理不尽な目に遭っていない」

  恐れているのは、実力ではない。

「空を飛ばれること、未来を視られること。黒幕は、それを何より恐れた」

「……それが、弱点だっていうんすか?」

「さてね。そうシンプルな話ではないのかもしれないが……。
 少なくとも、黒幕は全知全能の存在ではない。むしろ、一部の参加者を極度に恐れている——エンタメ性を排してまで身の安全を図る、小心者だよ、『彼女』は」

天上、とオシウリエルは悪徳セールスマンが他社の商品名を読み上げるように、見下しと侮蔑が混じった声色で、言った。

「天の上が神の領域だったのは、近世までだよ。
 今の時代、人は、天の上を遥か飛び越えて——宇宙にだって、行っているんだから」

「………………つまり、オシウリエルさんは、私らが天上に昇って行けると?」

「ああ、いつかはな」

 オシウリエルは、二本目の煙草に手を伸ばす。
 ゆったりと、くつろぐように煙草を吸う。
 果たして、とああああは思う。
 このオシウリエルとは、何者なんだろうか。何歳なのか、どれくらい強いのか、どこまで本気なのか。

「が、それでは時間がかかる。
 ——だから、天上には、下まで降りてきてもらう」

「そんな方法、本当にあるんすか」

「ああ、策がある」

「それはいったい……」

「何、簡単だよ……」

 悪戯を思いついた子どものような顔で、オシウリエルは言った。

「黒幕を、あにまん市の殺し合いに参加者として放り込む」

「……は?」

「『制限』と『呪い』を、黒幕にも適用させるのさ……!」

◇

【聞こえるか、魔に愛されし子らよ……】

 突如、脳内に響いた言葉に、ゲーム参加者の一人、アリス・イン・ワンダー・オブ・ザ・デッドは、『作業』を中断し、その場に立ち尽くした。

【これより、第一回放送を行う】

 この声の主は覚えている。六時間前に、殺し合いを宣告した魔法王その人だ。

(放送……?)

 意図を測りかねながらも、アリスは魔法王の言葉に意識を傾けた。

【よくぞ、最初の六時間を生き延びた。諸君らは評価に値する魔法少女だ】

(いいえ、魔法王……。それは違う。殺し合いに強い魔法少女なんて——論外。唾棄すべき存在だわ)

 放送、と銘打っている以上、向こうの言葉は聞こえても、こちらの言葉は届かないのだろう。アリスは分かった上で、魔法王の言葉を否定する。

【六時間を生き延びた報酬だ。諸君らに、プレゼントがある】

(プレゼント……?)

 アリスの足元に、魔法陣が浮かび上がる。
 咄嗟にアリスはその場を飛び退いた。他の参加者からの攻撃かもしれないからだ。
 しかし、魔法陣から出現したのは剣や槍、アリスを害するものではなく。

「これは、羊皮紙……?」

 恐る恐る手に取る。
 上質な紙に、文字が並んでいる。
 人の名前だ。
 アリスの名もある。
『柩枢(ひつぎ くるる)/アリス・イン・ワンダー・オブ・ザ・デッド』と表記されている。

(これは……名簿?)

 並べられた名は、44。
 ハイエンドの名もある。
 そして。

(幾つかの名前が、赤くなっている……)

 星月 夜/アルセーヌ。
 ナサリーブラウン。
 ナターリヤ・ミシェンコフ/クライオニクス。
 和妻 颯葵/トリックスター。
 木羽 マミ/ビリーバー。
 玉柳 水華/アレヰ・スタア。
 裁原 編/パペッタン。
 陣内 葉月/ブラックブレイド。
 らいと/フライフィアー。
 田中 空/スカイウィッチ。
 メリア・スーザン。

 11人の名前が、真っ赤に染まっている。

【これは、このゲームの参加者を示す名簿だ。
 そして、赤に変じた者は、この六時間で脱落した者たちである】

(そう、まだこの程度しか死んでないんだ)

 不甲斐ないと、アリスは思った。世界を浄化するためにもっと頑張らなければ。

【親しい者は居たか? 憎む敵は居たか?
名簿の情報は六時間ごとに更新される。参加者は減ることはあっても、増えることはない。因縁を果たしたければ精々走り回ることだ。
 ——それでは六時間後に、また会おう】

 始まったときと同じように、唐突に魔法王の言葉は聞こえなくなった。
 アリスは再び『作業』を再開する。
 やがて、彼女の前に、一人の魔法少女が立った。
 意思を感じさせない暗い瞳を覗き込み、アリスはふぅと汗を拭う。
 そして、名簿を広げると再び目を通し始める。

「あ、ごめんなさい。一緒に見る?」

 そう言ってアリスは名簿を魔法少女に差し出す。
 操り人形でしかない魔法少女は、提案に対し、ただぼんやりと立ち尽くすのだった。

「見ない? そっか。……みんなはどうする?」

 そう言って、アリスは後ろを振り返り——自らが作り出した、意思無き魔法少女の集団に声をかけた。

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