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「dog fight(前編)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

dog fight(前編) - (2024/03/03 (日) 11:04:56) の1つ前との変更点

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 意外と、終電でも人が乗っているんだな、と空は思った。  十六歳の高校生である空にとって、終電とは、言葉だけならドラマなどで聞いていても、実際に乗ったことはなかった。  疲れ切った表情のOL、泥酔しているサラリーマン、ラフな格好の青年、ガラの悪そうな大男。  様々な人間が、思い思いに時間を潰しながら、同じ空間を共有している。 (もし、魔法少女にならなければ、私は人生で一度も終電に乗らずに死んでいたわけだ)  空は高い所が好きだ。  だからビルの屋上にこっそりと忍び込んで(鍵はかかっていなかった)、飛んだり跳ねたり、下界を覗き込んだりと存分に楽しんで。  結果、落下した。  その際に魔法少女に覚醒していなければ、空はそのまま不審死を遂げていたことになる。  どうして落下する破目になったのか、空はよく覚えていない。  いくら興奮していたにしても、屋上にはフェンスが掛かっていたはずだ。  それを乗り越えてしまったのだろうか。  落下のショックか、あるいは魔法少女に覚醒したショックか、どちらにせよ、直前の行動を空は思い出すことが出来なかったし、思い出さなければならないとは思わなかった。  これからも屋上に通い続けるなら、失敗に対する反省として思い出す必要もあるだろうが、もう空に『屋上』は必要ない。  田中空、魔法少女名スカイウィッチ。  得意魔法、『箒に乗って空を飛べるよ』。  古典的にして正統派。空は、空を飛べる魔法少女だ。最大高度は13㎞。  ここまで高く飛べる空にとって、もはやビルの屋上など地上とさして変わらない。 (そう、私は空を飛べる)  座席から伝わる振動を感じながら、空は思う。 (そんな私が、今は地下に居る)  空は、地下鉄に乗っている。  飛行という移動手段を有している空にとって、電車はお金が無いと乗れないし時間帯によっては混むし何より全然高くないしと、乗るメリットが何一つない乗り物だった。  だからか、久しぶりに電車、それも地下鉄に乗って、少し新鮮な気持ちになっている。 (まぁ、乗りたくて乗ったわけじゃないけど)  魔法王による宣告の後、気づけば、空は車内に居た。  まるでうたた寝から目覚めたかのように。ただ、どう考えても電車に乗り込んだ記憶が無かったことから、殺し合いの夢をみたのではなく、この場所にワープされたのだと解釈する。  殺し合いは現実だ。 (どうしようかな……)  空は、戦いとは無縁の生活を送って来た。魔法少女としての日課は空中散歩で、エネミーを倒したり、他の魔法少女とトラブルを起こしたこともほとんどない。  魔法少女の、対人戦におけるセオリーが分からない。 (とりあえず、ずっと空中に居れば安全だよね? 高度1万メートルまで上がっちゃえば誰も私を攻撃できないだろうし……。  うん、地下鉄降りたらそうしようっと)  というか切符持ってなくね? と空は気づいた。 (魔法王の馬鹿……! それくらい用意しといてよ……もう、どうしよう……)  空は頭を抱えた。  田中空は空を飛べる魔法少女だ。  ただ、魔法とは裏腹に、本人の性格は明るくあざとい、普通の女子高生である。地に足がついている。  縁遠い殺し合いの心配より、どうやって無賃乗車を切り抜けるのかの方が心配になっている。 「あの、向かい側、いいですか?」 「あ、どうぞ」  落ち着いた、されど可愛らしい少女の声に、空は慌てて返事をした。  帽子を被った小学生くらいの女の子が、自分の向かい側に座る。 「……ハスキーロア?」  と、空は少女に対して声をかけた。  少女は首を傾げる。 (あ、違う……)  よくよく見れば顔立ちがまるで異なっている。  雰囲気もハスキーロアよりややクールな印象だ。 (というか、似てるの年齢くらいじゃん。どうして勘違いしたんだろ)  ハスキーロアは、空の数少ない魔法少女の知り合いだ。  コンビニで新商品を物色していたときに、帽子を被った少女に声をかけられたのだ。 「あなた、魔法少女ですよね」  と。……ん?  空は、向かい側に座った少女に視線を送った。  今の台詞は思い出の中の言葉ではなかった。確かに向かい側の少女がそう口にした。  あの時のハスキーロアと同じく、帽子を被った少女に。 「……やっぱり、ハスキーロア?」 「違います。私は……麦、といいます」  おどおどとした様子のハスキーロアと違い、やっぱり麦と名乗った少女はクールに感じる。  ただ、名を名乗るときに、僅かに言い澱んだのが気になった。 「もしかして、あなた、犬?」  麦が目を見開く。 「……何故それを?」 「前、変身してないのに、犬系の魔法少女に正体バレてさ。どうも嗅覚? 的なやつでわかるんだって。すごいよねぇ。あなたもそんな感じ?」 「……そうですね」  麦は感情を感じさせない目で空を見据える。 「まぁ、ハスキーロアという名を出したので、確定したんですけど」 「え、あなたもハスキーロアの知り合いなの?」 「いや、さっき魔法王が名前呼んでたじゃないですか」  あっ、と空は合点がいった。  確かにハスキーロアは魔法王に真っ向から異を唱え、名指しされていた。  つまり、ハスキーロアという名を出した時点で、魔法少女でありかつロワ参加者であることは確定するのだ。 (駄目だ私、どうも浮ついちゃってる)  改めて指摘されれば実に初歩的なミスだった。 「私が貴女に接触したのは情報交換がしたいからです。……変身していないってことは、ゲームに乗る気が無いことはわかりますし、変身してないあなたを襲ってない時点で、私も乗ってないことは証明できてますよね」 「え、あ、うん。そうだよね」  殺し合いが始まってもどこかぼんやりとしていた空だったが、麦の冷静な論理に徐々に現実に引き戻される。 「私の魔法は、犬に変身することです。たったそれだけの魔法ですが、俊敏性に関しては他の魔法少女を圧倒できます。更に、他の犬を支配下に置くことも可能です」 「おおー」  確かハスキーロアがシンプルな強化魔法(実際にはお姉ちゃん魔法だったか?)だったことに比べると、麦の犬魔法はなかなか面白い。  暇なときは犬を集めてたくさん遊べそうだ。 「私の魔法は……あ、その前に自己紹介がまだだったね。私の名前は田中空。魔法少女名はスカイウィッチ。名前の通り、空を飛ぶことが出来るの」 「空……それは、便利な魔法ですね」  麦は本気で関心しているようだった。 「この電車を浮かせたりもできるんですか?」 「銀河鉄道みたいに? 無理かな。飛べるのは私だけ」  あるいは、スーパーマンのように下から持ち上げれば車両と一緒に飛ぶことも可能かもしれない。  しかし、空は決して身体能力に特化した魔法少女ではない。常人の十倍とはいえ、さすがに車両は手に余る。 (持ち上げられたにしても、魔力の維持がね……。空中で魔力切れになったら終わりだし)  落下死。きっと本来の田中空に待っていた結末。 「あなたは空が飛べる。私は犬に命令できる。どうやら私たち、周囲の探索においてかなりアドバンテージを得られそうですね」 「あ、なるほど」 (うう、年上の威厳が……)  外見的に恐らく年下と思われる少女にリードされ、空はたじたじとなってしまう。  ただ、そうやって賢そうな少女に場を任せて流されるのも悪くないとは感じていた。  戦闘面では素人。魔法に関しても、口が裂けても玄人とはいえない。  一方、麦は場慣れした空気がある。エネミー退治などを積極的にやってきたのかもしれない。 「次に、人間関係ですね。空さんは、知っている人が参加者に居ますか?」 「えっと、あの時、全員の顔を確認できたわけじゃないんだけど……」  何しろ40人以上はいた。  ただでさえいきなりファンタジーっぽい空間に瞬間移動して驚いていたのだ。知人が居ないか完璧に確認はできなかった。  一ついえるのは 「ハスキーロア……魔法王に食ってかかった子。あの子とは、ちょっとした知り合いなんだよね」 「友人、ですか?」 「まぁそんな感じ」 (なのかなぁ。道端で会ったら声を掛け合う程度の関係だったけれど)  歳も離れているし、生活スタイルも違う。  友人と言う表現も適切か分からず、知人という表現がぴったりくる。  だからといって、わざわざ友達じゃないと否定する気もないが。 (でも私、ハスキーロアが危ないときに、動けなかった)  勇気を持って魔法王に抗議し、目をつけられていたハスキーロア。  年上の知人として、あの時助けに入るべきだったのでは、と空の心に後悔が産まれる。 (……会ったら謝ろうかな) 「私の知人は姚莉鈴です。竜胆色の髪をミディアムボブにしている、歳は空さんと同じくらいです。……会っていたりしますか」 「ごめん、知らない」  殺し合いが始まって、空は一度も電車から降りていない。停車すらしていないので、恐らく麦も初期位置は電車なのだろう。 「その人は……麦ちゃんの大切な人なの? 魔法少女の先輩とか?」 「……家族です」  と、麦は顔を恥ずかしそうに俯かせて答えた。 (お姉ちゃんなのかな……そう言えば麦ちゃんの名字聞いてなかったっけ)  フルネームを聞こうとした瞬間、麦はすくっと立ち上がった。  すると、麦が着ているドレスのポケットからスマホが滑り落ちる。 「あ、麦ちゃん、スマホ落としたよ」  座席の下に転がったスマホを拾おうと、空は屈んだ。  ——首筋に、熱が走った。  それは、瞬時に消え去り、奇妙な酩酊が空を襲う。 (あ、この感じ……)  地に足がつかないような、奇妙な浮遊感。  まるで。 (空を飛んでいるみたい……) &color(#F54738){【田中 空/スカイウィッチ 死亡】} &color(#F54738){【残り 38人】} ◇  首筋を噛み切られた田中空の死体を見下ろしながら、麦はこの後に起こる変化を待っていた。  死亡した魔法少女は光の粒子となって消える。  では、人間態のまま死亡した場合どうなるのか。 (経験則上、消えずに残り続ける……。このゲームでは……)  数秒待つ。  明らかに絶命しているにも関わらず、消える気配はない。 (やっぱり同じか。……人間態で死亡した場合、死体は残り続ける)  口周りについた血をハンカチで拭う。  座席の影に隠れる形で事を済ませた。  そのためにわざとスマホを落とし、空に拾わせることで屈ませ、彼女の姿が他の乗客に見えないようにしたところで首筋に噛みついたのだ。  血が出過ぎないように瞬時に傷口を焼いている。  即死するかは賭けだったが、幸運にも(きっと空もさほど苦しまずに死ねたはずだ)、追撃を加えるまでもなく、田中空は絶命した。 (ご主人様……)  自らの主人、ハイエンドは最初の場所で目撃している。  生き残れるのはたった一人。  ならば、忠犬としてご主人様を優勝させることは、麦/ヒートハウンドにとって当たり前のことだった。  空殺しは慎重に行われた。  偽造ではなく、本当に変身していないか確証が持てるまでは距離をとって様子を伺い(変身していなくても嗅覚で何となく魔法少女かは分かる)、接触してからも自分が犬系だとは即座に看破され焦ったが、同時に炎系であることは伏せておいた。  ヒートハウンドと名乗らなかったのはそれが理由だし、犬系だけと誤認させるため、犬に変身できて俊敏に動ける、犬を操れるといった嘘をついた。  実際には犬に変身するのではなく犬に戻るのであり、魔法少女が人間態だと常人レベルなように、麦も変身を解除すればごく普通のゴールデンレトリバーである。  犬を操ることも出来ない。  精々他の犬とある程度意思疎通が出来る程度だ。 (空がスマホを拾わない可能性、あるいは私と同じようにゲームに乗っている可能性、全てを看破され戦闘に突入する可能性……。色々な可能性があった。その時に身体を炎に変えられる魔法は伏せておいた方が戦闘を有利に展開できる。  ……結局、戦闘にはならなかったけど)  犬系の能力……というか魔法少女としての身体スペックだけで殺害に成功した。  麦は、田中空の死体を、頭を窓側にする形で寝かせる。  すぐに車掌が気づくだろうが、僅かな時間稼ぎにはなるだろう。  その頃には、麦はとっくに駅を脱出している。 (田中空……)  目立ちたくなかったのか、あるいは別の理由なのか、とにかくにも変身すらしていなかった彼女。  麦が接近しても碌に警戒せず、ぺらぺら情報を話し、無防備にスマホを拾おうとした彼女。 (あなたはご主人様の敵だから悪人……のはずがない。  きっと底抜けの善人だった。ご主人様の殺しの対象にはならないような、そんな良い人……)  それでも謝罪するつもりは無い。  悪いのは、こんな残酷なルールを敷いた魔法王なのだから。  今はただ、ご主人様の優勝の糧になった魔法少女へ。 「謝謝(ありがとう)」 ◇  駅内にアナウンスの声が響いた。  終電が到着したらしい。  改札口を出た通路——既に閉店している売店コーナーの隣で、迷彩服の少女が膝を抱え、どんよりとした空気を漂わせていた。  外見年齢は10代前半。  深夜の駅には場違いだが、緑色の髪に迷彩服の軍服といった奇抜な格好は、道行く大人たちに警戒心を起こさせたのか、声をかける者はいなかった。  少女もまた、周囲の大人たちには目もくれず、一人自分の世界に閉じ籠っている。 (もしやこれは……)  少女の脳裏に最悪の想像がよぎる。 (解体処分でありますか~!?)  少女は名を、らいと、という。  魔法少女名、フライフィアー。  その正体は、米軍のステルス戦闘機F-35の付喪神である。  付喪神とは、長い年月が経た道具に霊魂が宿るもの。  F-35の運用が始まって9年余り。  伝承では、付喪神となるのは百年かかると言われているが (それだけ当機(フライフィアーの一人称)が優秀ということでありましょうなぁ)  自画自賛をすることで沈んでいたメンタルを回復させる。  が、すぐにその心は降下を始めた。 (しかし、この状況……当機は廃棄されたのでありますか……ぐすん、まだまだ現役なのに……。バリバリ飛べるのに……) 「Jesus(しんど……)」  がっくりと首を落とすフライウィアー。  元々彼女は、妖精に半ば脅される形で魔法少女になった。  付喪神として基地でのんびりしているところを発見され、魔法少女にならなければ上層部にこのことを報告し、解体処分するぞと脅迫されたのだ。  震えあがったフライウィア―は慌てて魔法少女になった。  まぁ、付喪神化してからはジャパニーズ・アニメーションを楽しんでいたから魔法少女に憧れはあったし、魔法少女になったからといって、何らかの責務が生じるわけでもない。 「——む」  フライウィア―は立ち上がった。  F-35にはAN/APG-81と呼ばれる火器管制レーダーがある。  その付喪神であるフライウィア―もまた、他の魔法少女より圧倒的に優れた探知能力を有していた。 (魔力が二つ……)  周囲に視線を運ぶ。  帰路に就く人々。  立ち止まることなく、ひたすら自宅を目指し出口へと向かう人々。  その、人の波の中で。  ——真っすぐに此方を見据える、幼女が一人。  お姫様といった外見の黒ドレスにハイヒール、ティアラ。  お遊戯会から飛び出してきたような風貌。迷彩軍服のフライウィア―とはまた別のベクトルで、深夜の地下鉄駅には相応しくない人物だった。 「当機は、フライウィア―であります。貴殿の作戦目標をお聞かせ願いたい……」 「……黙れ」  その声には怒りが込められていた。  はて、知り合いだったかとフライウィア―はメモリーを探る。  しかし、該当者は居ない。 (もしや、当機のように何らかの兵器の付喪神でありますか。……当機は戦闘行為に参加したことが無いですが、姉妹たちは……)  ソマリア、リビア、ウガンダ、イラク……。心当たりは幾つもある。  敵国の兵器もまた付喪神化し、自分に復讐に来た。  その可能性は十分に考えられた。 「俺は……ハートプリンセス」 (俺っ子でありますか!)  ハートプリンセス。風貌に合った名だとフライウィア―は思う。 「俺は……俺はもう、これ以上苦痛を味わいたくない……」  そう言って、ハートプリンセスは拳を握った。 「だから……優勝して、全部無かったことにしてやる」 「——それは宣戦布告と解釈してよろしいか?」  フライウィア―の銃口のような眼光にハートプリンセスは怯んだ様子を見せたが 「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」  と雄たけびを挙げ、フライウィア―へと殴りかかる。  フライウィア―は 「……ああ、なんだ、民間人でありますね」  瞬時に空気を和らげると、魔力を行使した。  『糸を出せるよ』。  魔力によって構成された糸が、瞬時にハートプリンセスを拘束する。 「ああっ!?」  あっという間に無力化され絶望の声を上げるハートプリンセスに、フライウィアーは笑顔で近づいた。 「当機はアメリカ生まれですが、今は自衛隊所属の身。民間人を傷つけるなどあってはならないであります」  こちらに殴りかかって来るハートプリンセスの素人丸出しの動きを観て、フライウィア―は彼女が軍事訓練を受けていないと看破した。  自分がそうであるように、恐らく兵器の付喪神は軍人が出来ることは一通りできるはずである。 「ハートプリンセス殿。貴殿がどんな苦しみを抱いているか、当機には理解できないでありますが……殺し合いに乗るのは無謀ですな。殺されるて終わりですよ」  糸から逃れようとハートプリンセスはもがいているが、微塵も拘束が解ける気配はない。  素人なのも考慮しても、魔法少女の身体能力は成人男性の10倍。  だが、ハートプリンセスにはそんな力が備わっていないように見える。 (……妙でありますな)  兵器にはそれぞれ特色がある。万能兵器など存在せず、互いにカバーし合って、作戦を遂行する。  ハートプリンセスは冷静さを欠いているようには見えるが、錯乱はしていない。  ここまで非力で、何故自分に攻撃を仕掛けた?  魔法少女の常識を知らないのか、ただ感情任せに動いたのか、それとも……。  ハートプリンセスが唐突にもがくのをやめた。  フライウィア―は彼女の動向を注視する。 「……フライウィア―」 「……何でありますか」 「——旅行するなら、どこに行きたい?」  カッ、とハートプリンセスの身体が光った。  駅内に轟音が響いた。
 意外と、終電でも人が乗っているんだな、と空は思った。  十六歳の高校生である空にとって、終電とは、言葉だけならドラマなどで聞いていても、実際に乗ったことはなかった。  疲れ切った表情のOL、泥酔しているサラリーマン、ラフな格好の青年、ガラの悪そうな大男。  様々な人間が、思い思いに時間を潰しながら、同じ空間を共有している。 (もし、魔法少女にならなければ、私は人生で一度も終電に乗らずに死んでいたわけだ)  空は高い所が好きだ。  だからビルの屋上にこっそりと忍び込んで(鍵はかかっていなかった)、飛んだり跳ねたり、下界を覗き込んだりと存分に楽しんで。  結果、落下した。  その際に魔法少女に覚醒していなければ、空はそのまま不審死を遂げていたことになる。  どうして落下する破目になったのか、空はよく覚えていない。  いくら興奮していたにしても、屋上にはフェンスが掛かっていたはずだ。  それを乗り越えてしまったのだろうか。  落下のショックか、あるいは魔法少女に覚醒したショックか、どちらにせよ、直前の行動を空は思い出すことが出来なかったし、思い出さなければならないとは思わなかった。  これからも屋上に通い続けるなら、失敗に対する反省として思い出す必要もあるだろうが、もう空に『屋上』は必要ない。  田中空、魔法少女名スカイウィッチ。  得意魔法、『箒に乗って空を飛べるよ』。  古典的にして正統派。空は、空を飛べる魔法少女だ。最大高度は13㎞。  ここまで高く飛べる空にとって、もはやビルの屋上など地上とさして変わらない。 (そう、私は空を飛べる)  座席から伝わる振動を感じながら、空は思う。 (そんな私が、今は地下に居る)  空は、地下鉄に乗っている。  飛行という移動手段を有している空にとって、電車はお金が無いと乗れないし時間帯によっては混むし何より全然高くないしと、乗るメリットが何一つない乗り物だった。  だからか、久しぶりに電車、それも地下鉄に乗って、少し新鮮な気持ちになっている。 (まぁ、乗りたくて乗ったわけじゃないけど)  魔法王による宣告の後、気づけば、空は車内に居た。  まるでうたた寝から目覚めたかのように。ただ、どう考えても電車に乗り込んだ記憶が無かったことから、殺し合いの夢をみたのではなく、この場所にワープされたのだと解釈する。  殺し合いは現実だ。 (どうしようかな……)  空は、戦いとは無縁の生活を送って来た。魔法少女としての日課は空中散歩で、エネミーを倒したり、他の魔法少女とトラブルを起こしたこともほとんどない。  魔法少女の、対人戦におけるセオリーが分からない。 (とりあえず、ずっと空中に居れば安全だよね? 高度1万メートルまで上がっちゃえば誰も私を攻撃できないだろうし……。  うん、地下鉄降りたらそうしようっと)  というか切符持ってなくね? と空は気づいた。 (魔法王の馬鹿……! それくらい用意しといてよ……もう、どうしよう……)  空は頭を抱えた。  田中空は空を飛べる魔法少女だ。  ただ、魔法とは裏腹に、本人の性格は明るくあざとい、普通の女子高生である。地に足がついている。  縁遠い殺し合いの心配より、どうやって無賃乗車を切り抜けるのかの方が心配になっている。 「あの、向かい側、いいですか?」 「あ、どうぞ」  落ち着いた、されど可愛らしい少女の声に、空は慌てて返事をした。  帽子を被った小学生くらいの女の子が、自分の向かい側に座る。 「……ハスキーロア?」  と、空は少女に対して声をかけた。  少女は首を傾げる。 (あ、違う……)  よくよく見れば顔立ちがまるで異なっている。  雰囲気もハスキーロアよりややクールな印象だ。 (というか、似てるの年齢くらいじゃん。どうして勘違いしたんだろ)  ハスキーロアは、空の数少ない魔法少女の知り合いだ。  コンビニで新商品を物色していたときに、帽子を被った少女に声をかけられたのだ。 「あなた、魔法少女ですよね」  と。……ん?  空は、向かい側に座った少女に視線を送った。  今の台詞は思い出の中の言葉ではなかった。確かに向かい側の少女がそう口にした。  あの時のハスキーロアと同じく、帽子を被った少女に。 「……やっぱり、ハスキーロア?」 「違います。私は……麦、といいます」  おどおどとした様子のハスキーロアと違い、やっぱり麦と名乗った少女はクールに感じる。  ただ、名を名乗るときに、僅かに言い澱んだのが気になった。 「もしかして、あなた、犬?」  麦が目を見開く。 「……何故それを?」 「前、変身してないのに、犬系の魔法少女に正体バレてさ。どうも嗅覚? 的なやつでわかるんだって。すごいよねぇ。あなたもそんな感じ?」 「……そうですね」  麦は感情を感じさせない目で空を見据える。 「まぁ、ハスキーロアという名を出したので、確定したんですけど」 「え、あなたもハスキーロアの知り合いなの?」 「いや、さっき魔法王が名前呼んでたじゃないですか」  あっ、と空は合点がいった。  確かにハスキーロアは魔法王に真っ向から異を唱え、名指しされていた。  つまり、ハスキーロアという名を出した時点で、魔法少女でありかつロワ参加者であることは確定するのだ。 (駄目だ私、どうも浮ついちゃってる)  改めて指摘されれば実に初歩的なミスだった。 「私が貴女に接触したのは情報交換がしたいからです。……変身していないってことは、ゲームに乗る気が無いことはわかりますし、変身してないあなたを襲ってない時点で、私も乗ってないことは証明できてますよね」 「え、あ、うん。そうだよね」  殺し合いが始まってもどこかぼんやりとしていた空だったが、麦の冷静な論理に徐々に現実に引き戻される。 「私の魔法は、犬に変身することです。たったそれだけの魔法ですが、俊敏性に関しては他の魔法少女を圧倒できます。更に、他の犬を支配下に置くことも可能です」 「おおー」  確かハスキーロアがシンプルな強化魔法(実際にはお姉ちゃん魔法だったか?)だったことに比べると、麦の犬魔法はなかなか面白い。  暇なときは犬を集めてたくさん遊べそうだ。 「私の魔法は……あ、その前に自己紹介がまだだったね。私の名前は田中空。魔法少女名はスカイウィッチ。名前の通り、空を飛ぶことが出来るの」 「空……それは、便利な魔法ですね」  麦は本気で関心しているようだった。 「この電車を浮かせたりもできるんですか?」 「銀河鉄道みたいに? 無理かな。飛べるのは私だけ」  あるいは、スーパーマンのように下から持ち上げれば車両と一緒に飛ぶことも可能かもしれない。  しかし、空は決して身体能力に特化した魔法少女ではない。常人の十倍とはいえ、さすがに車両は手に余る。 (持ち上げられたにしても、魔力の維持がね……。空中で魔力切れになったら終わりだし)  落下死。きっと本来の田中空に待っていた結末。 「あなたは空が飛べる。私は犬に命令できる。どうやら私たち、周囲の探索においてかなりアドバンテージを得られそうですね」 「あ、なるほど」 (うう、年上の威厳が……)  外見的に恐らく年下と思われる少女にリードされ、空はたじたじとなってしまう。  ただ、そうやって賢そうな少女に場を任せて流されるのも悪くないとは感じていた。  戦闘面では素人。魔法に関しても、口が裂けても玄人とはいえない。  一方、麦は場慣れした空気がある。エネミー退治などを積極的にやってきたのかもしれない。 「次に、人間関係ですね。空さんは、知っている人が参加者に居ますか?」 「えっと、あの時、全員の顔を確認できたわけじゃないんだけど……」  何しろ40人以上はいた。  ただでさえいきなりファンタジーっぽい空間に瞬間移動して驚いていたのだ。知人が居ないか完璧に確認はできなかった。  一ついえるのは 「ハスキーロア……魔法王に食ってかかった子。あの子とは、ちょっとした知り合いなんだよね」 「友人、ですか?」 「まぁそんな感じ」 (なのかなぁ。道端で会ったら声を掛け合う程度の関係だったけれど)  歳も離れているし、生活スタイルも違う。  友人と言う表現も適切か分からず、知人という表現がぴったりくる。  だからといって、わざわざ友達じゃないと否定する気もないが。 (でも私、ハスキーロアが危ないときに、動けなかった)  勇気を持って魔法王に抗議し、目をつけられていたハスキーロア。  年上の知人として、あの時助けに入るべきだったのでは、と空の心に後悔が産まれる。 (……会ったら謝ろうかな) 「私の知人は姚莉鈴です。竜胆色の髪をミディアムボブにしている、歳は空さんと同じくらいです。……会っていたりしますか」 「ごめん、知らない」  殺し合いが始まって、空は一度も電車から降りていない。停車すらしていないので、恐らく麦も初期位置は電車なのだろう。 「その人は……麦ちゃんの大切な人なの? 魔法少女の先輩とか?」 「……家族です」  と、麦は顔を恥ずかしそうに俯かせて答えた。 (お姉ちゃんなのかな……そう言えば麦ちゃんの名字聞いてなかったっけ)  フルネームを聞こうとした瞬間、麦はすくっと立ち上がった。  すると、麦が着ているドレスのポケットからスマホが滑り落ちる。 「あ、麦ちゃん、スマホ落としたよ」  座席の下に転がったスマホを拾おうと、空は屈んだ。  ——首筋に、熱が走った。  それは、瞬時に消え去り、奇妙な酩酊が空を襲う。 (あ、この感じ……)  地に足がつかないような、奇妙な浮遊感。  まるで。 (空を飛んでいるみたい……) &color(#F54738){【田中 空/スカイウィッチ 死亡】} &color(#F54738){【残り 40人】} ◇  首筋を噛み切られた田中空の死体を見下ろしながら、麦はこの後に起こる変化を待っていた。  死亡した魔法少女は光の粒子となって消える。  では、人間態のまま死亡した場合どうなるのか。 (経験則上、消えずに残り続ける……。このゲームでは……)  数秒待つ。  明らかに絶命しているにも関わらず、消える気配はない。 (やっぱり同じか。……人間態で死亡した場合、死体は残り続ける)  口周りについた血をハンカチで拭う。  座席の影に隠れる形で事を済ませた。  そのためにわざとスマホを落とし、空に拾わせることで屈ませ、彼女の姿が他の乗客に見えないようにしたところで首筋に噛みついたのだ。  血が出過ぎないように瞬時に傷口を焼いている。  即死するかは賭けだったが、幸運にも(きっと空もさほど苦しまずに死ねたはずだ)、追撃を加えるまでもなく、田中空は絶命した。 (ご主人様……)  自らの主人、ハイエンドは最初の場所で目撃している。  生き残れるのはたった一人。  ならば、忠犬としてご主人様を優勝させることは、麦/ヒートハウンドにとって当たり前のことだった。  空殺しは慎重に行われた。  偽造ではなく、本当に変身していないか確証が持てるまでは距離をとって様子を伺い(変身していなくても嗅覚で何となく魔法少女かは分かる)、接触してからも自分が犬系だとは即座に看破され焦ったが、同時に炎系であることは伏せておいた。  ヒートハウンドと名乗らなかったのはそれが理由だし、犬系だけと誤認させるため、犬に変身できて俊敏に動ける、犬を操れるといった嘘をついた。  実際には犬に変身するのではなく犬に戻るのであり、魔法少女が人間態だと常人レベルなように、麦も変身を解除すればごく普通のゴールデンレトリバーである。  犬を操ることも出来ない。  精々他の犬とある程度意思疎通が出来る程度だ。 (空がスマホを拾わない可能性、あるいは私と同じようにゲームに乗っている可能性、全てを看破され戦闘に突入する可能性……。色々な可能性があった。その時に身体を炎に変えられる魔法は伏せておいた方が戦闘を有利に展開できる。  ……結局、戦闘にはならなかったけど)  犬系の能力……というか魔法少女としての身体スペックだけで殺害に成功した。  麦は、田中空の死体を、頭を窓側にする形で寝かせる。  すぐに車掌が気づくだろうが、僅かな時間稼ぎにはなるだろう。  その頃には、麦はとっくに駅を脱出している。 (田中空……)  目立ちたくなかったのか、あるいは別の理由なのか、とにかくにも変身すらしていなかった彼女。  麦が接近しても碌に警戒せず、ぺらぺら情報を話し、無防備にスマホを拾おうとした彼女。 (あなたはご主人様の敵だから悪人……のはずがない。  きっと底抜けの善人だった。ご主人様の殺しの対象にはならないような、そんな良い人……)  それでも謝罪するつもりは無い。  悪いのは、こんな残酷なルールを敷いた魔法王なのだから。  今はただ、ご主人様の優勝の糧になった魔法少女へ。 「謝謝(ありがとう)」 ◇  駅内にアナウンスの声が響いた。  終電が到着したらしい。  改札口を出た通路——既に閉店している売店コーナーの隣で、迷彩服の少女が膝を抱え、どんよりとした空気を漂わせていた。  外見年齢は10代前半。  深夜の駅には場違いだが、緑色の髪に迷彩服の軍服といった奇抜な格好は、道行く大人たちに警戒心を起こさせたのか、声をかける者はいなかった。  少女もまた、周囲の大人たちには目もくれず、一人自分の世界に閉じ籠っている。 (もしやこれは……)  少女の脳裏に最悪の想像がよぎる。 (解体処分でありますか~!?)  少女は名を、らいと、という。  魔法少女名、フライフィアー。  その正体は、米軍のステルス戦闘機F-35の付喪神である。  付喪神とは、長い年月が経た道具に霊魂が宿るもの。  F-35の運用が始まって9年余り。  伝承では、付喪神となるのは百年かかると言われているが (それだけ当機(フライフィアーの一人称)が優秀ということでありましょうなぁ)  自画自賛をすることで沈んでいたメンタルを回復させる。  が、すぐにその心は降下を始めた。 (しかし、この状況……当機は廃棄されたのでありますか……ぐすん、まだまだ現役なのに……。バリバリ飛べるのに……) 「Jesus(しんど……)」  がっくりと首を落とすフライウィアー。  元々彼女は、妖精に半ば脅される形で魔法少女になった。  付喪神として基地でのんびりしているところを発見され、魔法少女にならなければ上層部にこのことを報告し、解体処分するぞと脅迫されたのだ。  震えあがったフライウィア―は慌てて魔法少女になった。  まぁ、付喪神化してからはジャパニーズ・アニメーションを楽しんでいたから魔法少女に憧れはあったし、魔法少女になったからといって、何らかの責務が生じるわけでもない。 「——む」  フライウィア―は立ち上がった。  F-35にはAN/APG-81と呼ばれる火器管制レーダーがある。  その付喪神であるフライウィア―もまた、他の魔法少女より圧倒的に優れた探知能力を有していた。 (魔力が二つ……)  周囲に視線を運ぶ。  帰路に就く人々。  立ち止まることなく、ひたすら自宅を目指し出口へと向かう人々。  その、人の波の中で。  ——真っすぐに此方を見据える、幼女が一人。  お姫様といった外見の黒ドレスにハイヒール、ティアラ。  お遊戯会から飛び出してきたような風貌。迷彩軍服のフライウィア―とはまた別のベクトルで、深夜の地下鉄駅には相応しくない人物だった。 「当機は、フライウィア―であります。貴殿の作戦目標をお聞かせ願いたい……」 「……黙れ」  その声には怒りが込められていた。  はて、知り合いだったかとフライウィア―はメモリーを探る。  しかし、該当者は居ない。 (もしや、当機のように何らかの兵器の付喪神でありますか。……当機は戦闘行為に参加したことが無いですが、姉妹たちは……)  ソマリア、リビア、ウガンダ、イラク……。心当たりは幾つもある。  敵国の兵器もまた付喪神化し、自分に復讐に来た。  その可能性は十分に考えられた。 「俺は……ハートプリンセス」 (俺っ子でありますか!)  ハートプリンセス。風貌に合った名だとフライウィア―は思う。 「俺は……俺はもう、これ以上苦痛を味わいたくない……」  そう言って、ハートプリンセスは拳を握った。 「だから……優勝して、全部無かったことにしてやる」 「——それは宣戦布告と解釈してよろしいか?」  フライウィア―の銃口のような眼光にハートプリンセスは怯んだ様子を見せたが 「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」  と雄たけびを挙げ、フライウィア―へと殴りかかる。  フライウィア―は 「……ああ、なんだ、民間人でありますね」  瞬時に空気を和らげると、魔力を行使した。  『糸を出せるよ』。  魔力によって構成された糸が、瞬時にハートプリンセスを拘束する。 「ああっ!?」  あっという間に無力化され絶望の声を上げるハートプリンセスに、フライウィアーは笑顔で近づいた。 「当機はアメリカ生まれですが、今は自衛隊所属の身。民間人を傷つけるなどあってはならないであります」  こちらに殴りかかって来るハートプリンセスの素人丸出しの動きを観て、フライウィア―は彼女が軍事訓練を受けていないと看破した。  自分がそうであるように、恐らく兵器の付喪神は軍人が出来ることは一通りできるはずである。 「ハートプリンセス殿。貴殿がどんな苦しみを抱いているか、当機には理解できないでありますが……殺し合いに乗るのは無謀ですな。殺されるて終わりですよ」  糸から逃れようとハートプリンセスはもがいているが、微塵も拘束が解ける気配はない。  素人なのも考慮しても、魔法少女の身体能力は成人男性の10倍。  だが、ハートプリンセスにはそんな力が備わっていないように見える。 (……妙でありますな)  兵器にはそれぞれ特色がある。万能兵器など存在せず、互いにカバーし合って、作戦を遂行する。  ハートプリンセスは冷静さを欠いているようには見えるが、錯乱はしていない。  ここまで非力で、何故自分に攻撃を仕掛けた?  魔法少女の常識を知らないのか、ただ感情任せに動いたのか、それとも……。  ハートプリンセスが唐突にもがくのをやめた。  フライウィア―は彼女の動向を注視する。 「……フライウィア―」 「……何でありますか」 「——旅行するなら、どこに行きたい?」  カッ、とハートプリンセスの身体が光った。  駅内に轟音が響いた。

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