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  • テンガイ団地(後編)の編集履歴ソース
「テンガイ団地(後編)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

テンガイ団地(後編) - (2024/03/03 (日) 11:04:14) のソース

◇

 あにまん団地第三号棟、六階601号室。
 空き部屋であることを確認した後、刈屋伊織、魔法少女名ミストアイは窓を蹴破り中へ潜入した。
 狙撃ポイントとして潜伏するためである。

(テンガイは、規律を乱している)

 一つ目の仮面に、灰色のローブ、長杖を装備したその姿は、RPGゲームの悪い魔法使いに近い。しかし、ローブの下は黒で統一したミリタリールックであり、それは彼女の本質が「魔法使い」ではなく「狙撃手」であることを意味していた。
 ルールは、守られなければならない。
 殺人は、明確なルール違反であり、それを強制する魔法王も、優勝を仄めかす天テンガイも、ルール違反者=人々に害を為す存在だ。
 間違っているものは、正されなければならない。
 そして、その力が、ミストアイにはある。
 通常の魔法少女以上に強化された視力で、ミストアイは一号棟屋上に陣取ったテンガイと侍風魔法少女の一戦を観察していた。
 侍風魔法少女の居合は、門外漢のミストアイでも戦慄するほど高レベルなものであり、それでもテンガイには通用していないことが分かった。

(全知全能を名乗るだけはあるか……)

 情報を得た後さっさと撃ち殺した梟の言葉を思い出し、ミストアイはテンガイの攻略法を思案する。
 正面からの居合が効かないのなら、不意打ちの狙撃は効くのではないか、とも考えたが、わざわざ屋上に陣取っていることを考えると、ただ不意打ちしただけでは効果が無い可能性もある。

(あの、居合を無効化した魔法……あれはどれくらい集中力を要するんだ?)

 一口に「出来る」といっても、それにかかる集中力はまちまちである。
 眠っていても出来る事、意識さえあれば出来る事、多少集中すれば出来る事、前週中で出来る事。
 ミストアイの狙撃はある程度の集中~全集中で飛距離や威力、精度が上昇する。
 ただテンガイの頭を撃ち抜くだけなら、多少の集中で済むが、+αを要求されれば全集中が必要だろう。

(……テンガイの、居合を無効化する魔法。あれが、ある程度の集中を要するものであるなら)

 策を、思いつく。

(集中を、乱してみるか)

 ミストアイが取った行動はシンプルだった。
 まず、テンガイと侍風魔法少女が立っている一号棟屋上、彼女たちが足場にしているコンクリート目掛けて狙撃。
 的は大きいので精度は度外視、その代わり屋上を破壊する必要があるので、威力は高めに設定した。
 計算通り、足場は崩れ、テンガイはよろめいた。
 すかさず、第二射。
 ミストアイは狙撃手だが、撃つのは魔法である。
 装填の必要はなく、頭を撃ち抜くだけならチャージの必要もない。
 果たして、ミストアイの狙い通り、テンガイの頭は弾けた。

「——よし、仕留めた」

 殺人への感慨は、想像以上に無かった。
 レディースの総長をしていた、姉のことを思う。
 規律を乱し、暴力的な姉のことは大嫌いだった。
 だが、血は争えないのか、他者の命を奪ったにも関わらず、ミストアイの心は揺れなかった。むしろ、全知全能を名乗る強者を一方的に屠ったことへの高揚感が胸を閉める。

(姉よりよっぽど外道だな、私は)

 抗争に乱入した夢遊病患者に鉄パイプで殴打され、未だ意識を取り戻さない姉に対して、僅かに共感を覚えながらも、ミストアイは長杖をテンガイと侍風魔法少女が対峙する一号棟屋上へ向けた。

(…………何?)

 おかしい。
 確かに今、ミストアイは屋上を破壊し、テンガイを仕留めた。
 なのに、一号棟屋上は壊す前と同じようにそこに在り、殺したはずのテンガイと落下したはずの侍風魔法少女は対峙している。
 何より、奇妙なのは

(魔力が、消費されていない……?)

 威力を高めた一撃、速射性を高めた一撃。
 撃った瞬間、いつも以上に魔力が消費されるのを感じた。
 それが、リセットされている。

(これは一体……)

 気が逸り、撃った妄想を展開してしまったのか。
 それとも殺し合いのストレスから幻覚でも見たのか。

(違う、私は確かに撃ったはずだ……!)
 一号棟の屋上を視る。

 ——誰も居ない。

「僕様が教えてあげようか?」

 背後で声が聞こえた。
 初めて聞く、少女の声。

「っ!?」

 ミストアイは急いで振り向き、杖を向けようとして。

「βαρύτητα」

「ガッ……!」

 床に叩きつけられた。
 投げられたわけでも、殴られたわけでもない。
 突如、全身が異様に重くなり、立っていられなくなったのだ。
 それでも、全身の力を総動員して、顔を上げる。

「テンガイ……」

 緑髪に碧目の少女が、傷一つない少女が、ミストアイを見下ろしている。

「た、確かに私はお前を撃ったはずだ……」

「ああ、狙いは悪くなかったよ。『空間を操る魔法』はある程度の集中力を要するからね。盾を構えていれば、その方向にどれだけ速い攻撃が来ても耐えられるだろう?
だが予期せぬことがあると思わず盾を落としてしまう。僕様はあの時、一瞬『空間を操る魔法』を解除してしまった。そこをすかさず」

 バーン! とテンガイは指でピストルの形を作り、自身の側頭部を突いた。

「頭を撃ったのも高評価。覚悟を感じるし、何より凡俗の魔法少女は脳を破壊されれば死ぬからね」

「どうして……」

 と、ミストアイの喉から呻き声が漏れる。

「どうしてお前は、死んでいない」

「僕様は全知全能だからだよ」

 Χρόνοςと、テンガイは言った。

「『時間を操る魔法(クロノス)』。僕様が死ぬと自動的に発動する魔法さ。効果は、時を6秒戻す」

「なっ……」

 確かにミストアイは撃っていたのだ。全知全能を射殺するという偉業を成し遂げていた。
 だが、殺した程度では、全知全能は倒せない。

「違和感覚えなかった? 時間は巻き戻っても、意識は戻らないからさ」

「くっ……」

 あった。違和感はあったのだ。
 テンガイが現れる前に、時間が巻き戻ったことに気づき、逃げ出していれば。

(いや、駄目だ)

 一号棟の屋上から此処まで、一瞬だった。
 超スピードというレベルではない。もし超スピードだとしても、部屋の窓やドア、壁が破壊された様子は無い。
 速度ではなく、ワープ。
 ならば、逃げられるはずがない。

(こいつに、挑んだのが間違いだった……)

 ミストアイは狙撃手である。彼女にとって戦いとは、常に一方的なものであった。
 エネミーも、チンピラも。
 ポイントを確保して、狙って、撃つ。
 撃ち合いになったこともなければ、近接で戦ったことも無い。
 故に、狙撃を失敗し、まな板の鯉となったミストアイの心は、折れる。
 意識が戻らない姉のことを思う。
 自分もああなるのか。
 否、違う。もっと酷いことになる。
 ミストアイはテンガイを殺そうとした。一度は殺したのだ。
 だったらその報復もまた。

(うそ……)

 怖い、と思った。冷めていると思った自分の心に、こんなにも幼稚で動物的な感情が眠っていたなんて。
 怖い、怖い、怖い……。
 死にたくない……!

「君の処遇は後回しだよ」

 だから、テンガイの、助命でも許しでもない、ただ、今この瞬間は殺さない、という言葉だけで、涙が出るほど安堵してしまう。
 テンガイは、先ほどまで自分が居た一号棟屋上を眺めている。

「さすがに時間を与えれば逃げるか。サムライちゃんはどうしようかな。技術は凄いけど、ゴリラタイプだしなぁ……せっかく一度は断れたデスゲームに参加してるんだから、キルスコアも稼ぎたいし……」

 んー、とテンガイが悩んでいる。ミストアイはそれを震えながら聞くしかない。

「決めた。君かサムライちゃん、どっちかは生かしてあげる。どっちが死ぬか、後で二人でじゃんけんして」

「ひっ……」

 絶望的な宣告に、ミストアイの心が震えあがる。

「さて、サムライちゃんはどこに逃げたかな……」

「Βλέπω」

 と、テンガイは唱えた。
 ミストアイは知る由もないが、その効果は千里眼である。
 もっとも参加者のクレアボヤンスと比較すれば、範囲は比べるくもなく、精々団地一帯程度。それで十分なのだ。
 テンガイが屋上からミストアイが陣取った部屋にワープしてから一分も経っていない。そんな短時間で、団地の外に出るなど不可能。

「どこに逃げたかな~」

 楽し気にテンガイは目玉をぎょろつかせ……。

「あれ?」

 と、首を傾げた。

「……居ないんだけど」
 
◇

 トリックスターは地上に向かって階段を駆け下りていた。
 修羅場は何度も潜ってきたがこうも必死に走ったのは数年ぶりだ。

(あれは、駄目だ)

 あの時。
 足場が崩壊し、首無しテンガイの落下を視認したとき。
 死亡しているはずのテンガイを中心に、時計盤に似た奇妙な形状の魔法陣が展開された。
 そして、気づけばトリックスターは屋上に居たのだ。
 破壊されたはずの屋上へ。
 落下したはずの抜刀金が居て、死んだはずのテンガイが居た。
 金もトリックスターと同じく、混乱の様相を見せていた。
 そして、魔法の下手人らしきトリックスターは、三号棟の方へ笑いかけ、唐突に姿を消した。
 何が起こったのか。トリックスタ―は一つ仮説を立てている。

(噂によると、テンガイは世界の時間を六年戻したことがあるという。だったら、今起きたことも……)

 ——時間の巻き戻し。宇宙の法則さえも凌駕する、神域の魔法。
 これにより、テンガイは黄泉の国から帰還したのだ。
 トリックスターの胸中は複雑だった。空間操作だけではない、テンガイは時を巻き戻せるという新たな情報を入手できたのは大きい。だが、そんなことまで出来る奴を、どうやって倒す?
 テンガイを倒すのは不可能。
 諦めてしまいそうになる自分が居る。

「トリックスターとやら……」

 と、側方で微かな声がした。
 姿は見えない。当然だ、トリックスターが透明化の魔法をかけたのだから。

「何だい、金」

「どうして拙者を助けた?」

 一人なら、もっと確実に逃げられるだろう、と金は言った。
 トリックスターは答えない。
 金の言っていることは事実だ。
 自分だけ透明化するのと同行者を透明化するのとでは、魔力消費量がまったく違う。
 事実、始め、トリックスターは一人で逃げようと考えていたのだ。
 今、金と一緒に逃げているのも、明確な理由があるわけではない。
 テンガイが姿を消した後、何となく声をかけ、何となく一緒に逃げている。

(いや、違うな)

 具体的に形になったわけではないが、抜刀金には可能性がある、とトリックスターは踏んだのだ。
 抜刀速度は、テンガイさえも驚愕させるものだった。
 例えば、トリックスターが金を透明化させ、金が不意打ちで居合を決めれば、テンガイを一殺できるかもしれない。
 けれど、それだけでは足りない。
 テンガイが、ただ空間を操作するだけの魔法少女なら、金を透明化させてテンガイが帰ってくるのを待っていれば良かった。
 違う。テンガイは複数の魔法を使える。テンガイは——時間を巻き戻せる。

(パーツが足りない。テンガイを詰ませるためのパーツが)

 自身の透明化をテンガイが察知できなかったように。金の抜刀速度がテンガイを驚かせたように。参加者の多くは、一芸でテンガイに勝っているはずだ。複数の魔法少女でシナジーを発生させテンガイを追い詰めれば、きっと倒せる。
 はずだ。
 そうでなければ、おかしい。

「……これは……」

「なるほど、ようやく私たちが居ないことに気づいたか」

 眼。
 妖怪・目目連のように、壁中に無数の目玉が浮かび上がっている。

(探しているんだ)

 居なくなった金を、テンガイは探している。
 そして。

(見つけられてない)

「何故、気づかないので御座ろうか……」

 不思議そうな金の声が聞こえた。

「小声とはいえ、拙者たちは喋っている。足音も聞こえるはずでは御座らんか?」

「私の魔法は、『触ったものが見えなくなるよ』。触れた物体を透明にして認識させなくする能力。どこまで認識できなくなるかは、消費魔力で変化する。
 はっきり言って、ちょっと無理した。
 でも、そのおかげで私と君は、姿だけじゃなく、声も、魔力も、認識されなくなっている。目の前で紅熱唱しても気づかれないよ」

「な、何と……。凄い魔法で御座る……」

(そう、普通なら気づかれない。けど、テンガイは普通じゃない)

 全知全能。優勝候補。——天の理から外れた者。
 階段を駆け下りた二人は、駐車場に出る。

「っ……!」

 走りながら周囲を見渡し、トリックスターは呻いた。
 一号棟だけではない。
 視界に入る全ての団地の壁に、無数の目が浮かび上がっている。

(……本当に、何でもありにも程がある……!)

 けれど、まだ見つかってない。
 トリックスターの渾身の魔法は、今もなおテンガイを欺いている。
 駐車場を魔法少女の脚力にものをいわせて駆け抜ける。
 そして遂に、トリックスターの足は、団地の境界線を踏み越えた。
 勿論、それで足を止めるトリックスターではない。
 ただ、死地は脱したと安堵する。
 離れれば離れる程、透明化はバレにくい。
 いくらテンガイでもここまで離れてしまえば、二人を補足することは無理だろう。

(生き延びた……違う、ここからが始まりね)

 未だデスゲームは始まったばかり。
 テンガイ以外にも激ヤバな魔法少女は幾つも存在する。
 考えるだけで気が遠くなるが、テンガイはあくまで優勝候補であり、ぶっちぎりの参加者最強魔法少女……では、ないからだ。
 同格は、居る。

(まずは、それらの同格を味方につけるところから始めないと。大丈夫、私は魔法省役人、情報のイニシアティブはこちらが持っている)

 死地を脱しても、トリックスターは油断せず、次なる戦略を思案する。
 パリン、とガラスが割れたような音が響いた。

「何が……なっ!?」

 トリックスターの視界に映るのは——驚愕の表情でこちらを見る、抜刀金。
 そして、抜刀金の瞳に映る、トリックスター。

(透明化が解除されてる……!? 馬鹿な、魔力にはまだ余裕があったはずなのに……!)

 消費魔力が増大していることは察していた。それを見越しても、後一、二時間は透明になっていられるはずだった。
 トリックスターの心をパニックが支配する。

(だ、大丈夫……ここまで距離を稼いでいればすぐには追いつかれないはず……!
 それに、もし追いつかれても、抜刀金と二人で連携して戦えば、逃げるチャンスはきっとまたやって来る……)

「抜刀金、今は少しでも距離を——」

 ——右半身を灼熱が襲った。
 トリックスターの足が縺れる。
 条件反射で、トリックスターは患部を抑えようとした。少しでも生存の確率を上げるために。
 抑えようとして、気づく。
 無い。
 抑えるための右腕も、抑えなければならない腹部も、焼失している。

(そげき、された……?)

 意識が、鈍麻する。
 右腕を含む、胴体の右半分が、消し飛ばされた。
 ——致命傷だ。
 抜刀金がこちらに駆け寄ってくる。

(死にたくない……)

 トリックスターは縋りつくように袴の裾を掴んだ。

(こんな所で、死にたくない……)

 トリックスターは、凄まじい程生に執着する。噂レベルでしか語られていなかった殺し合いに関しても独自に調査し、万全の対策を施していた。
 弱冠二十二歳で魔法省の役人を務める才媛に至れたのも、この強い生への執着があったからに他ならない。

(どうせ死ぬなら……)

 袴を強く握る。念を、込める。
 トリックスターはもうすぐ死ぬ。そして、抜刀金は致命傷を負っていない。
 妬ましい。悔しい。どうして自分だけと泣き叫びたい。
 だから。

「——わたしのぶんまで、いきて」

 抜刀金の姿が消失する。
 それを確認すると、トリックスターはアスファルトの上に倒れ込んだ。
 最後の魔力を振り絞った代償か、アスファルトに投げ出されたトリックスターの瞳は、微動だにすることは無かった。

&color(#F54738){【和妻 颯葵/トリックスター 死亡】}
&color(#F54738){【残り 37人】}

◇

 荒い息遣いが、部屋の中で響いた。
 開け放たれた窓からは、長杖の先端が覗いている。
 それを構えた少女は、呼吸を乱し、仮面の下で大量の汗を流していた。

「………………」

「一人、逃がしちゃったね」

 背後のテンガイの言葉に、ミストアイの身体がびくんと跳ね上がる。

「せっかく僕様が『魔法を解除する魔法(アペレフセロスィ)』を唱えてあげたのに」

 ミストアイは黙している。彼女にとって、それは決死の抵抗だった。
 既に、テンガイの命令で魔法少女を射殺した後だったとしても。
 自身の信条を生存のために曲げ、規律を乱していない、むしろサムライ風魔法少女を逃がそうとしていた善の魔法少女を殺した。

「抜刀金は再び透明化して……恐らく逃走中か。もう一度『魔法を解除する魔法』を使ってもいいけど……いいや、透明化の魔法少女の頑張りに免じて、見逃してあげよう」

「…………私は、私が規律を……」

「規律、ねぇ」

 ミストアイの嘆きを聞き、テンガイはつまらなさそうに言う。

「今、僕様たちの規律は『殺し合う』、これだけだよ。状況が変わったのならそれに対応しないと。保守的な奴から死んでいくぜ。まぁ革新的な奴も結局死んだけど。やっぱ怖いよね、ギロチンって」

 わけのわからないことを言いながらおかしそうに笑うテンガイに、ミストアイは無言で返すしかなかった。

(規律……このゲームの規律……)

 妙に、その言葉が心に引っかかったまま。

◇

(さて、初戦はこんなものか)

 殺人を強要したミストアイは、呆然自失のまあ動こうとしない。
 人のことは簡単に撃ち殺したくせに、いっちょ前に傷心しないで欲しいとテンガイは思った。

(こいつ、気づいていないのか? 容赦なく僕様の頭を撃ち抜けた時点で、とっくにイカレてることに。産まれる時代が違えば、英雄の素質があるぜ。それも人を助けた数じゃなくて、人を殺した数で語られるような、血生臭い英雄にな。
 あ、嫌な奴色々思い出してきた……カルタゴのあいつとか、モンゴルのあいつとか、ナチスのあいつとか……)

 ぶんぶんと首を縦に振る。既にくたばった奴らのことはどうでもいい。
 問題は、今生きている者たちと、このゲームについてである。

(前世では断られたのに、何で今回はOKなの? と思ったけど、なるほど、道理で……)

 まず、参加者の質。
 前回よりも遥かに高い。(偶々)痛み分けに終わったティターニアに、テンガイを驚かせた居合術を見せた抜刀金、一度は殺してみせたミストアイ、途中までは完全に欺いた死んだ魔法少女。
 いずれも一線級だ。似たような現象はテンガイでも起こせるが、ここまでの完成度ではない。

(一芸だけなら、僕様に勝る……か。なるほど、もしかしてこの殺し合い、僕様基準に参加者を選んだのかな。
 どれか一分野で僕様を凌いでいることが参加の最低条件とか)

 それなら、テンガイが参戦してもある程度殺し合いとして体裁は立つ。
 もう一つは。

(消費魔力が増大しているな……これ、けっこう面倒だな)

 テンガイ。ありとあらゆる魔法を納め、三千年近くの時を生き、二度の転生を果たした、規格外。
 そんな彼女に、唯一残された、規格外でない部分は——魔力量である。
 普通の魔法少女とは隔絶し、魔法少女の上澄みの更に上澄みに入る魔力量を誇っているが——決して、常軌を逸しているわけではない。
 『空間を操る魔法』も、『時間を操る魔法』も、『千里眼の魔法』も、『魔法を解除する魔法』も、あるいはミストアイを取り押さえる時に使った『重力を操る魔法』も。
 使えば、魔力は消費される。
 調子に乗って連発すれば、いずれは枯渇する。
 抜刀金を逃がしたのも気紛れではなく、『魔法を解除する魔法』をもう一度使用することを躊躇ったのだ。
 もう一度使ったからといって、直ちに枯渇するわけではない。
 ただ、テンガイは意識している。
 今この瞬間ティターニア、あるいは彼女に匹敵する実力者が乱入してきた時に、問題なく圧勝するためには、魔力消費を一定のラインで抑えておきたかった。
 そのための、ミストアイ。
 しばらくは彼女を固定砲台として利用させてもらおう。

(あー、早く桐生ヨシネの心臓欲しいなぁ)

 全知全能である自分が戦略を立てなければならないことを嘆きつつ、テンガイは会場に居る一人の魔法少女を想う。
 彼女の心臓さえ手に入れば。

(やっと僕様も、■■少女に成れるんだから)
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