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  • たったひとつの冴えたやりかた(後編)の編集履歴ソース
「たったひとつの冴えたやりかた(後編)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

たったひとつの冴えたやりかた(後編) - (2024/04/06 (土) 21:38:24) のソース

◇

 ホッケーマスクの異星人の奇襲は、ドンピシャだった。
 私はオオカワウソによる酷使、何より彼女たちに出会う前の使用で、一時的に未来視が使えない状態だった。
 オオカワウソたちもまた、ホームであるマンションの配置が変更され、浮足立っていた。(それが困惑なのか、それとも新たな探索に滾っていたのかは分からないが)
 とにかくにも、私は死んだ。
 脳天を、チェーンソーで切り裂かれる。
 私の被る帽子は円盤状だが、円盤程の強度は無い。あくまで円盤をモチーフにしているだけだ。
 相手が同じ地球人であったなら、超能力の恩恵で身体能力が常人を遥かに超えている私は、咄嗟に避けるなり、刃を受け止めるなり、出来たかもしれない。……いや、さすがに回転するチェーンソーの刃は受け止められないかも。
 ただ、異星人の武器は特別製なのか、ホッケーマスクの少女のチェーンソーは、まるで生身の少女を切り裂くように、私を切り裂いてしまった。
 私は、脳で思考する生物だ。故に頭部をチェーンソーで斬られれば絶命する。
 絶命した私には目もくれずに、ホッケーマスクの少女は、残ったオオカワウソにブレードを向ける。

「よくもビリーバーを……」

「貴重だったのに……」

「一つしか無かったのに……」

 エレベーター内のオオカワウソは怒りに燃えていた。
 目を爛々と輝かせ、ぐるる……と獣のように唸る。
 私のために怒ってくれることを喜ぶべきだろうか。

「この切り口……」

 ヘッドライトをつけたオオカワウソが、私の死体を見下ろして言う。

「サロンスペースの私たちを減らしたのもお前だな」

 こー、ほー。
 ホッケーマスクからは、呼吸音しか聞こえない。
 果たして彼女に知性はあるのか。そもそも生物なのか。私には分からない。
 エレベーターは下降を続けている。
 どん、とホッケーマスクの少女は踏み込んだ。
 そして、チェーンソーを振り回す。
 エレベーターという閉所において、チェーンソーは最適に近い。
 掠れば致命傷になりうるし、取り回しも効きやすい。
 ましてや今のように敵が密集している状態ならば、ただ滅茶苦茶に振り回すだけでも全滅を狙える。
 事実、チェーンソーの刃が掠り、スコップ係が即死した。
 返す刀で懐中電灯係も死亡する。
 だが、その隙にピッケル係のオオカワウソと、ナイフ係のオオカワウソが接近し、それぞれの凶器を振るう。
 ホッケーマスクの少女は、ナイフの一撃を左腕で庇う。
 左腕にナイフが刺さる。
 そして、対応が遅れるピッケルの一撃が、ホッケーマスクの少女の脳天に突き刺さった。

「っ……」

「ちっ……」

 ホッケーマスクの少女が呻き声を上げ、ピッケル係が舌打ちをする。
 ダメージは与えた。だが、致命傷ではない。
 戦闘は素人の私なりに考察するが、きっとオオカワウソのピッケルは普通のピッケル、きっと地球産のものだ。
 一方、ホッケーマスクの少女が振り回す巨大チェーンソーは、きっと宇宙人の技術で作られている。常人より頑丈な私を即殺できたのは、そのせいだろう。
 武器の性能が違い過ぎる。
 そして、チェーンソーの刃が追いつき、ナイフ係とピッケル係も首を斬り落とされる。
 と、ホッケーマスクの少女に、たたらを踏んだ。
 ピッケル自体は地球産でも、振るったオオカワウソは異星人、身体能力も高い。
 致命傷ではなくても、かなりのダメージを与えていたのか。
 その隙を、生き残ったオオカワウソは見逃さない。
 銃声が響く。
 拳銃係のオオカワウソの銃弾が、ホッケーマスクの少女の心臓目掛けて撃ち込まれる。
 一発、二発、三発目からはチェーンソーでガードされる。
 やはり、地球の武器では、頑丈な異星人は殺しきれない。
 ボーガンの矢が脇腹に刺さるが、ホッケーマスクの少女は止まらない。

「っ……!」

 だが、痛みは感じているのだろう。
 マスクの下から漏れる堪える声は、異星人でもあるにも関わらず、妙な親近感を覚えた。
 チェーンソーが振り回される。オオカワウソが血祭に挙げられていく。
 下降するエレベーターの中で虐殺は進行する。
 エレベーターに乗り込まれた時点で、結末は決まっていたのだろうか。
 あれだけ居たオオカワウソが次々と血溜まりに沈んでいく。
 ホッケーマスクの少女も徐々に傷を負っていくが、その命が潰える前に、エレベーターのオオカワウソは全滅するだろう。
 ——彼女が、オオカワウソでなければ。
 ガン、とスコップが頭部に振り下ろされる。

「っ!?」

 ホッケーマスクに罅が入る。
 驚愕の声を漏らしながら少女は自分に一撃を与えたオオカワウソを見る。
 スコップを構えているのはオオカワウソ。その足元にはスコップを持ったまま息絶えているオオカワウソ。

「不死身……?」

 少女の喉から言葉が漏れた。

「違うよ、増えるの」

 ざくり、とスコップが少女の背に突き刺さる。

「ぐぅっ……」

 少女は苦悶の声を上げながらチェーンソーを振り回し、背後のスコップを持ったオオカワウソを切り裂く。
 そして、エレベーター内を見渡し気づく。
 足元に敷き詰められたオオカワウソの死体。
 私の死体も、その中に混じっている。
 その上に立つ、全員がスコップを持ったオオカワウソの集団。
 荒い息を吐くホッケーマスクの少女。
 彼女はきっと気づいたのだ。
 今しがた死闘の末に壊滅させたオオカワウソの一団。
 それは、前哨戦に過ぎなかったと。
 巨大チェーンソー、そして少女の身体能力を加味し、オオカワウソたちは武器を選択した。
 オオカワウソは自分を増やせる。そして、アイテムも増やせる。
 スコップを持ったオオカワウソたちが、ホッケーマスクの少女に襲いかかる。
 きゃははははははははははははははははははははは。
 子どものような笑みを浮かべながら、ホッケーマスクの少女を囲み、袋叩きにする。
 結果論だが、ホッケーマスクの少女は私を殺した段階で、即座にその場から逃げるべきだったのだ。
 このエレベーター内は、狩場だ。

「うわあああああああああああああああああああああっ!」

 殺されたときは怪物のようにも思えた少女が、悲鳴を挙げながらもオオカワウソに立ち向かう。
 全身をスコップで殴打されながらもチェーンソーを振り回し、一人、また一人とオオカワウソを減らしていく。
 エレベーターは死体と臓物と血で溢れながら、下降を続ける。

「きゃは」

 一人のオオカワウソが楽しそうに笑うと、自ら巨大チェーンソーの刃に飛び込んだ。
 ぎゃりぎゃり……!
 顔面をぐちゃぐちゃに斬り刻まれながら、オオカワウソは笑みを崩さない。
 それで、意味が通じたのか他のオオカワウソも次々とチェーンソーに突っ込んでいく。

「ひ、ひぃ……」

 狂気的な行動に、ホッケーマスクの少女は後ずさる。
 刃は回転を続ける。幾多のオオカワウソをぐちゃぐちゃにかき混ぜながら犠牲者を増やすべく活動を続ける。

「きゃ——」

 新たに増やされるオオカワウソは刃の真下に現れる。当然、現れた瞬間に脳髄を切り裂かれる。
 きゃ、きゃは、きゃ、きゃきゃきゃ、きゃは、きゃ、きゃきゃ……。
 途切れ途切れの笑い声。
 ホッケーマスクの少女が続々とオオカワウソを葬っているにも関わらず、葬っている側の身体は恐怖で震え、オオカワウソは笑い続ける。
 そして——その時がやってくる。
 どぅる、どぅるるるるるるる……。
 刃の回転が遅くなる。
 単純な話だ。
 オオカワウソの肉を巻き込みすぎたのだ。
 回転する刃に肉がこびりつき、回転は遅くなる。
 そして、斬り刻まれているオオカワウソの手が、ついにチェーンソーの刃に触れる。
 指が飛ばされ、手首が切断される。
 が、飛ばされた指の上から、手首の上から新たな手が重ねられる。

「たの、しい……!」

「これ……使える!」

 瞬間、『巨大チェーンソーを装備したオオカワウソ』が、エレベーター内に出現した。

「っ!? …………がぁああああああああああっ!」

 ホッケーマスクの少女の判断は早かった。
 即座に自分と同じチェーンソーを持ったオオカワウソに特攻を仕掛ける。
 同じチェーンソー対決なら自分に分があると、そう証明するかのように。
 素人である私の意見で恐縮だが、チェーンソー同士で戦うと考えるなら、やはり先に一撃を与えた方が勝つのだろう。
 どこを斬っても、致命傷になり得る。
 だから、先に一撃を入れるべく動いたホッケーマスクの少女の判断はきっと正しかった。
 オオカワウソも無限に発生するわけではないと、私は知っている。
 余力は残しておきたいとプールの前で言っていた。
 きっと増えるのには、増やすのには、どこかで限界がある。
 事実、巨大チェーンソーを持ったオオカワウソは一体しか出現しない。
 きっとオオカワウソにとっても地球産の道具を増やすのより体力を消耗するものなのだろう。
 だから、そうやってコストがかかった巨大チェーンソー係オオカワウソを、一撃で倒すことに成功すれば、ホッケーマスクの少女は戦闘のペースを握れたかもしれない。
 ……そうはならなかった。
 ぎゃりぎゃり。
 横薙ぎに奮われた一撃は、盾によって防がれる。
 その盾は、人の形をしていた。
 ——私だ。
 巨大チェーンソーオオカワウソは、三つに増やした私の死体を盾にしてチェーンソーの一撃を食い止めた。
 どうやら生きている私は無理でも、死体なら増やせるらしい。
 増えるオオカワウソより、増えない私の方がやや頑丈だったのか。

「ぐぅううう、嫌だ、こんな所で……!」

「武器、ありがとう!」

 ドゥルルルルルルル!
 オオカワウソの振るったチェーンソーはホッケーマスクの少女を袈裟斬りにした。

「あぁ……」

 少女はたたらを踏んだ。
 チェーンソーを掴んだままよろめく。
 勝敗は決した。
 未だチェーンソーの刃は回転を続けているが、もはやホッケーマスクの少女の勝利は無い。
 そのまま敗北した少女はエレベーター内をふらふらと歩き、本能によるものなのか、下降を続けるエレベーターのドアにもたれるように倒れ込んだ。
 チェーンソーを回転させたまま。
 ギャギャギャギャ!
 エレベーターの階数ボタン……というにはボタンの数があまりに多い、漢字まで混じっているそのボタン群に、刃が振れ、火花が散る。
 ボタンは縦に切り裂かれていく。

「げ」

 オオカワウソが顔を青白くさせた。彼女のそんな顔は、あいにく生前は視ることは出来なかった。
 次の瞬間、エレベーターは急速に下降を始めた。
 階数表示も目まぐるしく切り替わっていく。

「五階」

「4階」

「i階」

「0・5階」

「4階444444444444444444」

「惨海」

「六階」

「七階」

「∞階」

「5階」

「死階四肢四肢四肢四肢四肢四肢」

「B1階」

「B2階」

「三階」

「四階」

「地下六階」

「髯阪j縺溘i鬧�岼」

 そして。

「9223372036854775807階」

 エレベーターは、止まった。
 ドアが開く。
 ホッケーマスクの身体は外に投げ出される。
 僅かに胸が上下している。
 ——まだ生きている。
 殺された私としては、それは悔しがるべきなのか、あるいは喜ぶべきなのか。
 生き残ったオオカワウソたちは顔を見合わせた。私と一緒に冒険をしたメンバーはとっくに全滅していて、生き残った彼女たちはエレベーターの戦いの中で出現した個体だったけれど。
 彼女たちは慎重に外の様子を窺っている。
 狂気的な面と、探検家の面。きっと彼女たちには色んな側面がある。
 もう少し一緒に冒険したかった。けれど、彼女たちの苛烈な面に私がついていけなくなったかもしれない。

「知らないエリアだね」

「どうする? どうする?」

「戻り方も分からないよ」

「じゃあ、進もう」

 死体が積み重なり、ボールプールのようになっているエレベーターから、オオカワウソたちは外に出る。

「■■■―■」

 声が、響いた。
 ぎゅるり、と触手がホッケーマスクの少女に纏わりつく。
 そして、ホッケーマスクの少女は暗がりに引きずり込まれる。

「何、こいつ!」

「敵だよ! 敵だよ!」

「私たちの物を、よくも!」

 オオカワウソの一団は周囲を警戒しながらエレベーターの外に出る。
 そして——立ち尽くした。

「何……これ……」

「す、すっごーい」

「全然わからん……」

 其処にあったのは、虚像。
 其処にあったのは、肉塊。
 其処にあったのは、触手の塊。
 どこまでも冒涜的な怪物。
 私は、これを知らない。
 きっとオオカワウソも知らないのだろう。
 なのに、私は自然と、之が何なのか知っていた。
 まるで脳に刻まれたかのように。
 之は、白痴の王。正確には、その成り損ない。
 その真名は、「■■■―■」。
「魔皇」にして「万物の王」。
 オオカワウソたちは、立ち尽くしていた。
 その存在の大きさに。
 あるいは、[[あにまんマンション]]は、この存在が地下に封印されていたからこそ、魔境と化したのか。

「ガッ……」

 触手に拘束されながら、ホッケーマスクの少女は血を吐く。
 此処に辿り着くまでに瀕死の重傷を負っているのだ。
 白痴の王の成り損ないは、腐臭と粘着質な音を立てて、顎を開いた。
 私は未だにこの怪物の輪郭を掴めていなかった。
 得体が知れないのだ。
 成り損なったということは理解できる。
 それでも、この存在が神、邪神であろうと神々しさすら感じる。
 ホッケーマスクが割れて、私を殺した異星人の顔が明らかになる。
 マスクの下の顔は、普通の、恐らく同年代くらいの美少女だった。
 激しい戦闘で制服も破れ、中に着ていたであろう水着が露出する。
 少女は衰弱しきった顔で、苦悶の声を上げた。
 顎が、徐々に近づいていく。
 嫌だ、と私は思った。
 殺されたくは無かった。
 会いたい人もいれば、知りたい事もあったし、欲しい物もあった。
 けれど、オオカワウソと一緒に居たことですっかり麻痺していたが、私たちは殺し合いをしているのだ。

「……さま」

 私を殺した異星人にだって、きっと事情があったのだろう。
 悪いのは、アンドロメダ星人だ。
 私たちは殺し合いを強要され、その果てに成り損ないの化け物に喰われて終わり。
 そんなのは嫌だった。

「ビリーバー……」

 と、少女は私の名前を呼んだ。
 何故彼女が私の名を知っているのか。私は知っている。何故ならサロンスペースのオオカワウソを殺したとき、机の上に残しておいた私の書き物を、彼女は回収しているのだから。

「貴女は、どこまで……」

 全部だよ、異星人。
 少女は、ゆっくりとスクーターに手を伸ばす。
 それは、無駄な抵抗だった。
 瀕死の異星人では、「■■■―■」は殺せない。
 オオカワウソたちでも、不可能だろう。
 エレベーターで他のオオカワウソや複製された私の死体と一緒にぐちゃぐちゃになっている私が生き返っても、意味が無い。
けれど。
 スクーターが引かれる。
 刃が再び回転する。
 
「——触手(えっちなの)は許さないよ」

【はくちのおう】の成り損ないはバラバラになった。

 呆然とするオオカワウソの前で、バラバラになった触手が地面に落下する。
 拘束から解かれた少女は、うつ伏せに倒れ、死んだように動かない。
 その背後で、一撃で命を絶たれた白痴の王の死骸が横たわる。
 宇宙に詳しくない私の推測だが、きっと少女のチェーンソーは、これらの宇宙生物に特攻なのだろう。
 ■■■―■が粒子となって消えていく。
 そして、反比例するように、少女の傷が消えていく。

「……エネミーだったんだ、あれ」

「エネミーを倒すと、魔力が……」

「どうしよう、どうしよう」

 少女が起き上がる。傷が全快している。破れたはずの制服が回復し、ホッケーマスクもまた再生している。やはり地球人とは違う体質なのか。
 追いつめられたのはオオカワウソだ。
 しかし、彼女たちの顔には怯えは視られない。

「今の、すごい攻撃だったね」

「欲しいね」

「増やしたいね」

「便利だね」

 強がりでは無いのだろう。
 きっと彼女たちは本気でそう思っている。
 ドゥルルルルルルルルルルルルル。
 オオカワウソの持つ巨大チェーンソーが回転する。
 それを、再臨した少女は、呼吸音と共に一瞥し。

「今度は、私が奪う番」

 少女の背中から触手が伸びた。
 それは、チェーンソーを持ったオオカワウソではなく、その傍らにいた、スコップを持ったオオカワウソに纏わりつく。

「ぎゃあ」

「大丈夫! その触手は、チェーンソーが特効だよ」

 チェーンソーを持ったオオカワウソが意気揚々とチェーンソーを振り下ろす。
 ぎゃりぎゃりと、触手に傷が入る。
 ——それだけだ。

「あ、あれぇ? 一撃必殺のはずが」

「違う」

 と、少女は言った。

「それは、チェーンソーの効果じゃなくて、私の魔法」

 私の名前は、ハニーハント。
 と、少女は名乗った。

「私の攻撃は——性的(エッチ)なものを即死させる」

 触手に捕まったオオカワウソが、ハニーハントの傍に引きずり出される。

「そして今、もう一つの権能を得た……!」

「うわぁ」

 触手に縛られていたオオカワウソが、粒子化を始める。

「え? 何で? 何で?」

「マンションの中だと死体は残るはずなのに」

「どうして? どうして?」

 あっという間に、スコップを持っていたオオカワウソは霧散する。

「別にいいよ。減った分は、増やせば……」

 チェーンソーを構えたオオカワウソは余裕を維持したまま、次のオオカワウソを出現させようとして。

「…………あれ?」

「どうしたの? どうしたの? 出さないの?」

「何で? 何で?」

「——増えない」

 オオカワウソの顔は凍りついている。
 それは、彼女たちの種族最大の特性が失われたことを意味していた。

「——地上に戻れ! 仲間に伝えないと!」

 彼女たちは、一流だった。
 即座に残っていたメンバーは二手に分かれた。
 ハニーハントを足止めするグループと、地上に戻る手段を探すグループ。
 考えられる、最も合理的な手段。
 ——詳細な顛末を、書く必要は無いだろう。
 ハニーハントは傷を全快し、触手という新たな遠距離武器まで獲得した。
 一方、オオカワウソはエレベーターでの疲労を残したまま、増えるという最大の特性を失った状態で戦わなければ、あるいは逃げなければならなかった。
 ——あにまんマンションに留まっていたオオカワウソは全滅した。彼女たちは最期まで合理的に戦い、絶望的な状況でもハニーハントに一矢報いた場面もあった。だが、形勢を覆すことは出来ず、誰一人地上に帰る者はいなかった。

◇

 あにまんマンションは、外観はごく普通のマンションである。
 ベージュ色の五階建てであり、あにまん団地と比べその規模は小さい。
 ベランダには洗濯物が干されており、夜になればカーテン越しに明かりが浮かび、テレビの音や家族の笑い声が外部に漏れ聞こえる。
 郵便物も届けられ、NHKやセールス、宗教勧誘なども時折訪れている。
 ネットで噂される様々な心霊スポットと比較するとあまりにまっとうであり、歓楽街や「糧鮴」の方がよっぽど危険、同じ心霊スポットというジャンルでもアニマ精神病院の方が雰囲気があると評判である。
 そのエントランスに、ハニーハントは立っていた。
 彼女は、未来視持ちの私を殺し、一流の探検家集団を殺し、邪神の成り損ないまでも殺してのけ、見事異邦から脱出を果たした。

「…………触手が出ない。マンション内限定の能力?」

 ホッケーマスクに覆われた顔は、感情を読み取らせない。
 私では、彼女の心までは探れない。

「でも、奪った魔法は使える」

 こー、ほーと無数の呼吸音が響く。
 エントランスから続々と姿を表すのは、いずれもホッケーマスクを被った制服の少女。
 ——複製された、ハニーハント。

「……うん、あの子たちみたいに完全に複製ってわけじゃないね。本体の私と比べると身体能力も保有魔力も雑魚だし。固有魔法も使えないね」

 新たな力を確かめるかのようにハニーハントは周囲を見渡す。

「でも、この魔法は十分に使える」

 ドゥルルルルルルルルルルルルルル。
 ハニーハントのチェーンソーが回転を始める。
 それに呼応するように、他のハニーハントもチェーンソーを回し始める。
 歪なエンジン音が、マンション周辺に響き渡る。
 それは、まるで蜂の群れのようだった。

 了 ビリーバー

◇

「と、こんなものか」

 未来視した内容を手記として書き殴った木羽マミ、魔法少女名「ビリーバー」(もっとも彼女は自らを魔法少女とは知らないが)は、強張った身体を解すようにけのびをすると、そのままサーバーに向かった。
 オレンジジュースを口に含みながら、ビリーバーはこの後起こる未来について思いを馳せる。
 頭痛は消えない。【ここ数日】未来視を酷使し過ぎた。

「——だけど、この未来は悪くない」

 ゲームが展開するにつれ、街に恐怖が満ちる。
 その恐怖を糧として、白痴の王は、玉座に返り咲く。そうなれば、倒す手段は皆無だ。
 しかし成り損ないなら、相性バトルの世界に引きずり込める。

「魔力リソースさえ確保できれば際限なく増殖するオオカワウソより、劣化増殖のハニーハントの方がマシだ」

 申し訳ない、とは思う。
 これから色々親切にしてもらうオオカワウソにはババを引いてもらうことになるし、ハニーハントを殺人者にしてしまう。
 それだけではない。
 未来を選ぶということは、死者を確定させてしまうということだ。

「済まない、フライフィアー」

 大親友の名を呟く。この未来では、彼女は序盤で死亡する。
 それを理解した上で、未来を確定させるためにビリーバーは手記を書いた。
 魔法少女を宇宙人と信じる、夢見がちで世間知らずの魔法少女の手記を。
 起こる事実は正確に、しかしそれを受けて自分がどう感じたかは捏造を。
 この手記をハニーハントが手に取り、白痴の王をチェーンソーで倒すという未来を確定させるため。
 そして、更にハニーハントを経由して、【彼女たち】に手記を届けるため。

「だが、この未来でも私たちの勝機は低い。限りなく零に近い。——だけど、零じゃない」

 ビリーバー。
 意味は、信じる人。
 と、サロンスペースの外で気配を感じた。
 ビリーバーは、オオカワウソとのファーストコンタクトの準備を始める。

「やぁ、私はビリーバー。地球人だ」
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