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  • 夜の狙撃手(前編)

魔法少女を集めてバトロワするスレ@ ウィキ

夜の狙撃手(前編)

最終更新:2024年03月09日 15:56

mahousyouzyobr

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だれでも歓迎! 編集
 夜になると、こうも違うのか。
 と、陣内葉月、魔法少女名ブラックブレイドは思った。
 彼女が籍を置くあにまん市立高等学校。殺し合いが始まり、気づいた時には、ブラックブレイドは、母校の廊下に立っていた。
 もし、殺し合いの開演が日中であったなら、ブラックブレイドは魔法王からの命令を白昼夢だと考えたかもしれない。
 それくらい、荒唐無稽なものだった。
 だが、変身した状態で無人の廊下に立っていたとき、これは夢ではなく現実だと理解せざるを得ない。
 それにしても、夜の学校は暗かった。
 蛍光灯は着かず、灯りは月光のみ。
 魔法少女の視力なら懐中電灯が無くても困らないが、「夜の学校」というシチュエーションの、恐怖が無くなるわけではない。

「あまり、遅い時間まで残ったことはありませんので……」

 と、わざと声に出す。
 ブラックブレイドは剣術を習得している。しかし、剣道部ではない。あくまで実家の道場で「実戦流の剣術」を習っている。
 剣道をやると、雑味が混ざる。
 というのが、彼女の父親であり師範の考えだった。
 教育的側面が強く、厳格なルールの元で行われる競技、剣道。
 一方、ブラックブレイドが習ったのは剣術。
 人殺しの技術だ。
 もっとも、ブラックブレイドは人を殺したことなどないが。

(……つーか、現代日本で殺人とかありえないし)

 と、内心で愚痴る。
 父親の教育方針で、古風で上品な口調を強要されているが、ブラックブレイドの内面は甘味が好きなごく普通の女子高生だ。
 もっとも、普通の女子高生よりはやや生真面目なきらいはあるが。
 人々を脅かす怪異の噂を聞き、私の剣術で退治してやる! と挑みに行く程度には正義感が強く、無鉄砲な一面もある。

(真美ちゃん先輩は……中学生だからここには居ないかなぁ……。うち新人だし、あんま魔法少女の知り合い多くないんだよねー)

 頼りになる年下の先輩、七海真美とは連絡が取れず。
 ブラックブレイドは行動方針を決めかねていた。
 剣術も極めたとは口が裂けても言えないが。魔法少女に至っては、成って半年である。
 たった、半年では、何も分からない。
 半年で、何かがわかるはずがない。
 わかると思ったら、それは錯覚だ。
 と、剣術修行を物心ついたときからやっているブラックブレイドは思う。
 ひとまず、ベテランの魔法少女と合流したい。
 人助けを行いたいという欲求はあるが、今の自分は助けられる側だという自覚もある。
 剣術の試合では無敗だ。だが、実戦の経験は無い。ならば、強者であるはずがない。
(真美ちゃん先輩は優しいから『葉月さんの才能は凄まじいですよ! きっと将来は何で
も斬れるようになれますよ!』とか言ってくれたけど、何でも斬れるイメージ全然湧かないしなぁ)

 むしろ、斬れない物が世界には溢れている。
 鉄とか、空気とか、人の気持ちとか、呪いとか、幸福とか。
 斬れるのは、ごく一部だけだ。
 だから、剣術なるものは発展したのだろう。
 ごく一部のものしか斬れないからこそ、身体を鍛え、心を磨き、技を磨く。
 それを生涯やり通して、ようやくやらなかった場合より斬れるものが少しだけ増える。
 そう考える時、ブラックブレイドは空しさと同時に、どこか安心感を覚える。
 何でも斬れるのなら、きっとブラックブレイドは不安に駆られていただろうから。
 何でも斬れてしまうのなら。きっと誰とも対等な関係は築けない。
 そんな予感があった。

(でも、それはそれとして、不安は斬りたいなー)

 夜の学校の散策は、正直言ってかなり怖い。
 自分から怪異をぶった斬りに行ったときは、義侠心とちょっとした冒険心があったが、今回はどちらもない。
 魔法少女の世界を知って、自分が井の中の蛙だと知った。試合では無敗、師範である父親より強い、それが何だというのか。
 自分と互角に戦える女子など、幼馴染の桐生ヨシネと姚莉鈴くらいしか居ない、という慢心は既に斬られている。
 大抵の魔法少女は、きっと自分より強い。
 桐生ヨシネも姚莉鈴も、魔法少女には勝てない。二人が魔法少女にでもなっていない限りは。

(なんて、幼馴染三人が三人とも魔法少女とかありえないし)

 今、二人は何をしているのだろう。どこかで元気にやっているといいんだが。
  ——取り留めのない、雑多な思考がブラックブレイドを支配していた。
 思考が一定しない。
 初めての実戦は、ブラックブレイドを浮足立たせていた。
 故に、先手を取られる。

「止まりなさい」

 と、本校舎の三階に昇り、階段から教室へ向かおうとしたところで、掃除用具入れのロッカーの影に隠れていた魔法少女に、拳銃を突きつけられる。
 自身のこめかみに当てられた銃口に、ブラックブレイドはぎょっとした。

(嘘……全然気配とか無かったじゃん……)

 隠れていても気配で分かる。と、ブラックブレイドは密かに自負していた。その自信が、あっけなく崩れ去る。

(なんか、うち、自分でも思っていた以上に弱いのかな……)

「どなたですか?」

 と、外面だけは古風で生真面目な女学生のような口調で、ブラックブレイドは問う。
 銃口を突き付けているのは、金髪の白人美女だ。

(うわ……この人、めちゃくちゃ強い……)

 姿勢や体つきを見て、ブラックブレイドは舌を巻く。纏う雰囲気も、幼少の頃に亡くなった祖父に似ている。
 現師範である父は、実戦の経験は無い。が、祖父はあったという。幼いながらに、祖父と父では、纏う雰囲気が違うと感じていた。
 祖父と同じ、「実戦経験者」の空気を纏った屈強な女性。
 魔力反応は微かだが、これが何を意味しているのか、ブラックブレイドには分からない。

「貴女に、一つ質問したいことがある」

「何で御座いますか」

(魔法少女って銃弾は効くんだっけ……たぶん大丈夫だよね?)

 内心ドキドキしながら、ブラックブレイドは銃など怖くも無いといった表情で、女性に微笑む。

「貴女は、このゲームが開催されることを知っていた? 自分から参加したのかしら」

(んなわけないじゃん)

「いいえ、私は気づいたら魔法王の前に立っていたのです。殺し合いなど、考えたことも御座いません」

 その言葉を聞くと、女性はゆっくりと銃口を下げた。
「……ッチ」

(え、舌打ちされた……。怖い……)

「どうやら、私はすっかり騙されたようね……・特別な力を持った者が志願して戦い、願望を叶える、そういう儀式だと聞いたから参加したのに」

(いや、普通はそんな儀式でも参加しないでしょ……)

「子供を無理やり拉致して殺し合わせるなんて……そんなファッキン・ゲームにエキサイトするつもりはないわ」

 そう言って、女性は右手を差し出した。

「私はナサリー・ブラウン。さっきはいきなり銃を突き付けてごめんなさい。
 貴女みたいな子供を守るのは——大人の務めよ」

◇

 あにまん市立高等学校。本校舎三階三年A組教室。
 車座で顔を突き合わせるのは年齢層を違える三人の女。
 成人女性、ナサリーブラウン。
 ティーンエイジャー、ブラックブレイド。
 年端も行かない幼女、ハスキーロア。
 光源は月光のみという暗所であるにも関わらず、三人の女たちは問題なく情報交換を進めていた。
 魔法少女であるならば、多少の暗所でも問題なく活動できる。それらの恩恵を一切受けない特異体質のナサリーブラウンにしても、彼女の随一の異能である『透視』によって、やはり問題は起こらない。
 むしろ問題なのは、情報交換の難易度ではなく、内容物にあった。

「魔法少女……?」

 と、ナサリーブラウンは渋面を浮かべた。

「本気で言っているの、それ……?」

 この地に囚われた魔法少女たちはその殆どが、自身が魔法少女であることを自覚している。妖精からの接触であったり、他の魔法少女との交流を通し、自分が超常の存在になったことを自覚し、同時に世界唯一の特異点では無いことを知る。
 ナサリーには、それが無い。
 生来の魔法少女でありながら、使える魔法は『透視』だけであり、デフォルトで備わっているはずの身体強化は付与されていない。
 あくまで、『透視』という異能が使える人間……それが、ナサリーの自己認識。

「日本の子どもの間で流行っている遊び……では無いのよね?」

 確かに、思うところはある。
 魔法王の開催宣言を聞いていたとき、その場に居た少女たちは随分奇抜な格好をしていると訝しんだ。もっとも、それ以上に十代、あるいはそれ以下の少女ばかりであることや、殺し合いに怯えている者が大勢居たことへの戸惑いと怒りが勝ってしまい、恰好については深く考えなかったが。
 今、驚愕しながらこちらを凝視している二人の少女も、コスプレとしか思えない恰好をしているし、ふざけているとしか思えない名前を名乗っている。
 ブラックブレイドは着物を模したかなり際どいレオタード姿だし、ハスキーロアは犬耳に犬尻尾を生やしている。
 戦場で動きやすいように体にフィットしたシャツとズボン、上から軍用コートを羽織った今のナサリーの恰好と比較して、二人の恰好は異質さは顕著だ。そして、参加者の中ではナサリーの方が少数派だということは、彼女も薄々理解している。

「遊び、じゃないです」

 と、犬耳を垂らしながらハスキーロアは言う。

「とても、信じられないのだけど」

「…………分かりました、証拠をお見せします」

 決意を込めた表情で、ハスキーロアが立ち上がる。
 瞬間、彼女の身体は光に包まれた。
 スタングレネードのような痛みを伴うものではない、スタンドライトのような温和な光が消えたとき、ハスキーロアが立っていた場所には、黒髪で長身の撓やかな体躯の女性が、恥ずかしそうに立っている。
 手品・奇術の類いではないと、ナサリーの「眼」は判断していた。
 犬耳幼女が一瞬で黒髪女性へ。
 正しく、魔法。

「ハスキーロア……さん?」

 ブラックブレイドは胡乱な顔つきで、年上だったのかを確認している。

「は、ハスキーロアでいいです……!」

「えっと、中身は大人だってことかしら?」

「まだ九歳です!」

 またもやハスキーロア(正確には犬上沙美)は発光し、犬耳幼女に戻る。
 どうせ私はデカ女です……と涙目で膝を抱える犬耳幼女に同情の言葉をかけながら、ナサリーは魔法少女が与太話ではなく事実だと受け入れた。
 そして、このゲームは魔法少女ばかりが参加していることも。
 ただ、姿形が変わるだけ(それだけでも十分に脅威だが)ではなく、魔法少女は身体能力が常人のおおよそ十倍、更にはそれぞれが固有の魔法を備えているらしい。
 教室にあった机を素手で破壊してしまったハスキーロアを見て、ナサリーも息をのんだ。鍛え抜かれた体躯のナサリーと違い、子役でも通用する愛らしい外見のハスキーロアでさえ、その筋力はナサリーが昔付き合っていた海兵隊一の筋力自慢を軽く凌駕している。これが、魔法少女のデフォルト。

(……アンチマテリアルライフルを持ち込んだのは正解だったわね。いや、足りなかったかしら)

 身体能力だけでも大人と子供以上の格差があるのに、更に物理法則を捻じ曲げる固有魔法まで備わっている。
 異能者だらけ、殺し合いバッチコイの益荒男たちと殺し合う前提だったのが、まさかの少女ばかりを集めた悪趣味なショーだった……というのが当初のナサリーの怒りだったが、認識を改める。

(魔法使いたちの殺し合いに飛び込んでしまったマグルってところね)

 子どもの頃好きだった(今でも好きだが)ハリー・ポッターシリーズに喩えながら、ナサリーは現状をそう分析する。
 未成年のブラックブレイドとハスキーロアを守る……なんて恰好良いことは言ってられない。
 身体能力は二人の方が格上だし、固有魔法に関してもブラックブレイドは「万物切断」、ハスキーロアは「多機能強化」と頼もしい。ナサリーも透視という異能は持っているが、それ単独で敵を倒せる異能ではない。

「異能じゃなくて、魔法なのではないでしょうか」

 と、日本人らしい奥ゆかしく丁寧な口調が印象的なブラックブレイドが、ナサリー言う。

「一人だけ一般人……という言い方も失礼かもしれませんが、魔法少女ではない人物が紛れているというのも違和感があります。
 私も詳しくは知らないのですが、魔法少女の中には生まれつきもいらっしゃるようですし」

「私が、魔法少女……?」

 傭兵仲間が聞いたら三日三晩は爆笑の渦に包まれるだろう。
 ヘイナサリー、今度キュートな変身ポーズを見せてくれよ。
 とりあえず笑い転げる脳内の同僚をトカレフで撃ち殺し、違うんじゃないかしら、とナサリーは曖昧に笑った。
 魔法少女であるなら欠陥が多すぎる。身体能力は向上しないし、姿形も変わらない。どちらかがあるだけでも、取れる戦術は無限に拡大する。
 それらが無い、ということは、自分は魔法少女ではないのだろう。
 ——事実は、ナサリーブラウンは魔法少女である。この場にティターニア、トリックスター、テンガイといった魔法少女に詳しい者がいれば、珍しいタイプの魔法少女だと看破できただろう。
 しかし、ブラックブレイドもハスキーロアも魔法少女になって一年も経っておらず、魔法少女の知り合いも少ない。
 ナサリーは魔法少女ではなく、異能を持った人間である、という誤った認識を肯定するしかなかった。
 魔法少女についてのレクチャーが終わった後は、今後の行動について話し合う。
 まず、三人ともが穏健派。ナサリーは非道な魔法王の制圧を目標に掲げ、
ブラックブレイドとハスキーロアも持ち前の正義感からそれに同調。
 ただ、二人とも実戦経験は殆ど無く、相手は雑魚エネミー(それでも一般人からすれば猛獣に匹敵する脅威だが)ばかりだったという。頼れるが、兵士として扱うべきではない、とナサリーは肝に銘じる。
 それぞれの知り合い……といっても突然の拉致で知り合いが居たかの確認も定かではない。
 とりあえず、見つけられた魔法少女を列挙してもらう。
 ブラックブレイドの知り合い、七海真美。固有魔法は守護。守る対象が多い程基礎スペックが向上する。
 ハスキーロアの知り合い。スカイウィッチ。固有魔法は飛行。言葉通り空を自由に飛行できる(飛行能力が魔法少女のデフォルトではないことに、ナサリーは安堵した)
 ハスキーロアの知り合いその2,抜刀金。固有魔法は黄金。金の延べ棒を創り出せるという。更に付け足せば、居合の達人だとか。
 なお、抜刀の名を出したとき、ブラックブレイドは大きく反応した。

「あの、抜刀道場の金?」

 古風な大和撫子風の口調が崩れる程の衝撃だったようだ。

「知り合いなの?」

「……私の家も剣術道場を経営しておりますから。幼少時は多少の交流が」

 ただ、ちょっと親同士の仲が悪くて……。とブラックブレイドは気まずそうに言う。
 その口ぶりからして大人の遺恨を娘が受け継いでいるわけではないようだ。
 念のため、魔法王打倒のために協力できるかとナサリーは確認したが、まったく問題ないとブラックブレイドは即答した。
 ただ、向こうがどう思ってるかわからないから怖いですけど……。
 抜刀さんは良い人なので大丈夫ですよ、とハスキーロアはフォローに入る。
 そして、ナサリーには当然だが、魔法少女の知り合いは居ない。
 自分が親しくしていた友人が、実は魔法少女だった……という線も無いではないが、それを考え出すとキリがない。

『嘘、ママも魔法少女だったの!?』

『今まで秘密にしていてごめんなさいねナサリー。……実はね、パパも魔法少女なの』

(いやいや、絶対ありえないわ)

 ……余談だが、ナサリーの周辺には二人の魔法少女が存在している。
 一人はドレッドノート。彼女がサブカル系だった時代に投稿していたネット小説『魔王物語』。ナサリーはこれの大ファンであり、熱心な応援コメントを書き込んでいた。今では更新は停止され、ナサリーはかなり残念がっている。
 一人は、ビリーバー。未だ物語には姿を見せていない、オカルト探求を趣味とする魔法少女である。彼女がYouTubeに投稿している解説動画はかなりの再生回数を誇っており、ナサリーも視聴者の一人として、オフの時は楽しんでいる。
 当然、彼女たちが魔法少女であることをナサリーは知らず、また彼女たちもナサリーという一個人は認知していない。
 とにかくにも、三人の知り合いの情報も交換し合い、最後に行動方針を決める段階となった。

「ここに留まり続けるのは、駄目ね」

 と、ナサリーは断じる。
 朝になれば生徒・教師が登校してくる。
 在校生のブラックブレイドはいくらでも紛れられるだろう。
 だがハスキーロアは変身していれば犬耳幼女だし、変身を解除すれば女子高生と言っても問題ない外見だが、見知らぬ女生徒が居ると話題になっては困る。
 逆に、ナサリーはプロの傭兵として学校程度好きなように潜伏できるが、子どもたちの学び舎を戦場とすることは矜持が許さない。

「日が昇る前に別の場所に移動しましょう。できれば、他のグループとも合流したいし」

 戦いは数だ。
 特に、魔法少女同士の戦いならば、味方が一人増えれば、魔法が一つ増えるということであり、取れる戦略は何倍にも広がる。

(だから、たぶんこのゲームは……陣営戦になる)

 奇しくも、テンガイという魔法少女暦三千年近くの大ベテランがミストアイという魔法少女を奴隷として使役し、ブレイズドラゴンという同じ傭兵稼業でありながら魔法少女でもある危険人物が、ウェンディゴという魔法少女を誘蛾灯として使用することを、ナサリーは彼女たちを知らずして推測していた。
 自分たちは戦力として弱小である。
 戦闘経験は本ゲームトップクラスに位置するナサリーは、冷静に分析し、結論を出していた。
 凶悪な魔法少女と遭遇する前に、穏健派な魔法少女と合流し、同盟を結ぶ。
 それが、ゲーム序盤の最善策。

(……優勝は、しなくていい)

 元々、ナサリーは優勝するために参加していた。
 相手が自分と同じ大人であり、かつ志願して参加した者たちならば、ナサリーは容赦なく殺戮を遂行していた。
 だが、駄目だ。
 子どもは殺さない。
 難病の娘の治療のために、傭兵稼業に戻ったときに、そう誓いを立てたのだ。
 それは、ただの欺瞞で、偽善的な自己満足に過ぎなかったが。
 それでもその矜持があったからこそ、今まで生きて来れたのだと、ナサリーは信じている。
 それは、この場所でも変わらない。
 だから。

 ぞわり。

 と、肌が逆立った。
 第六感が危機を告げている。何が来る、分からない、とにかく動かなければ。
 ナサリーは二人の同行者に飛び掛かった。
 ナサリーを遥かに超える身体能力の二人は、ナサリーの行動に呆けるしかなく。
 そのまま二人は、教室の外へと押し出される。
 訪れたのは、轟音と灼熱。
 五体が瞬時に砕け散るのを実感しながら、ナサリーは心中で娘に謝罪し——意識を闇に沈めた。

【ナサリーブラウン 死亡】
【残り 36人】

 爆炎が終息した時、ブラックブレイドは未だ現状を把握できていなかった。
 突然ナサリーに突き飛ばされた。虚を突かれて碌に抵抗も出来ず教室の外に投げ出され、瞬く間に炎が塗り潰した。
 熱風で顔を炙られながらも、ブラックブレイドは呆然とするしかなく。

「……ナサリー、さん?」

 問えるまで精神を取り戻した時には——教室は存在していなかった。
 広がるのは、夜のグラウンドと、その向こうに拡がる夜景。外の冷気が髪を撫でる。
 かつてここに教室があったことを示すのは、教室のドアだけだ。ブラックブレイド側は外観を保っているが、教室側は焼け焦げ、半ば炭化している。

「…………爆弾?」

 ブラックブレイドの脳裏に浮かんだのは、魔法ではなく兵器。
 あるいは、ナサリーの傭兵という属性にイメージを引っ張られたか。

「え、ナサリーさんは……」

 居ない。
 廊下を振り返るが、虚脱しているハスキーロアしか見当たらない。
 逃げ遅れたのか。

(違う、助けられたんだ……!)

 突き飛ばされたのは、ブラックブレイドとハスキーロアを助けるため。
 その代償に、ナサリーブラウンは、もう……。

「は、早く探しましょう!」

 と、ハスキーロアはブラックブレイドの肩に縋りついた。

「きっと火傷してます! 意識を失ってるかも! すぐに見つけて、病院へ……」

 ハスキーロアの言葉は真っ当だ。模範的で、理に適っている。だが、ブラックブレイドの足は動かなかった。
 ナサリーは、「生身」だった。
 戦闘経験、知識、技術、どれをとっても、きっとブラックブレイドを遥かに凌駕する熟練者にして強者だった。
 それでも、生身である以上、身体能力は、人体強度は、人間の限界を超えるものではない。
 教室一つ消し飛ばす火力を浴びて、生存している確率は……。

「どこかに吹き飛ばされてるかも! 今探します!」

 ハスキーロアは屈みこみ、くんくんと鼻を鳴らした。平時なら可愛らしい動作に、ブラックブレイドは痛ましさしか感じなかった。ハスキーロアは歳の割に聡明だ。きっと、ブラックブレイドが出した結論に、とっくに辿り着いている。
 それでも彼女は現実を否定するように蒼白な顔で臭いを探ろうとし

「あ……」

 屈みこんだのが、良くなかった。
 三階の教室一つ分が消し飛んだ。
 となれば、三階にあった物質は外に焼失するか、外に吹き飛ばされるか……下層に落下する。
 二階の教室は天井が吹き飛んだだけで無事であり、三階にあったであろう机や椅子の残骸が散乱している。

 その中に、黒焦げの人体らしきパーツが幾つも混じっていることに、ハスキーロアは気づいたのだろう。

「あ、ああ…………」

「ハスキーロア」

 がくがくと身体を震わせ嗚咽するハスキーロアの肩に手を置く。
 幼い彼女が自らの感情を代弁してくれたからか、ブラックブレイドの心は徐々に平静を取り戻していた。
 あるいは、単に麻痺しただけかもしれないが。

「ここから移動しよう……移動致しましょう」

 外行きの仮面を取り繕えるくらいには、冷静になれる。
 何故ナサリーは死んだのか。
 地雷?
 それなら突き飛ばすという彼女の行動に疑問が残る。
 爆弾を投げ込まれた?
 ならば下手人は近くにいるはずだが、姿が見えない。それに、仮にナサリーがそれに気づいていたのだとしたら、投げ返すなり蹴り飛ばすなり出来たはずだ。
 もっと、どうしようもないもの。

「…………狙撃?」

 遠方から一方的に攻撃されている。
 頭を撃ち抜く正確無比な弾丸ではなく、教室一つを消し飛ばす、人間なら原形を遺さない、魔法少女でも即死する威力の一撃を、撃ち込まれている。

「でも、どこから……?」

 違う。そんなことはどうでもいい。
 これが狙撃なら——まだ終わっていない。

「ハスキーロア、逃げますよ!」

 手を引き、無理やり立たせる。
 そのまま彼女の小さな手を引き、走る。
 どこに逃げればいいかは分からない。
 それでも、一か所に留まり続けると、死ぬ。それだけは理解できる。

(見えない場所からの狙撃……)

 対処法は、無い。
 ブラックブレイドは斬撃を飛ばせる。しかしそれは数m範囲の話であって、視認できない程遠方の敵には対応できない。
 ハスキーロアの嗅覚なら敵の位置を探り出せるかもしれないが、そこに辿り着くまでに砲撃されれば終わりだ。
 最強の姫騎士なら、ごり押しで攻撃を通すだろう。
 隻眼の狙撃兵なら、初撃を凌いだ時点で、反撃の遠距離狙撃で確殺できただろう。
 天の理を外れた規格外なら、空間を跳躍し無力化しただろう。
 ——ナサリーブラウンが二人を切り捨て自分の身を第一に行動していれば、持ち込んだ兵器で迎撃に成功していただろう。
 ブラックブレイドとハスキーロアには、無い。
 ナサリーが持ち込んだ兵器一式は、学校のとある場所に隠していたが、訓練を受けていない二人にそれを扱える技能は無く、のんびり習得している時間も無い。
 今はただ、少しでも遠くに、少しでも安全な場所に逃げるしかない。

(そうだ、校舎の裏側なら……!)

 愛する母校を盾にするのは心苦しいが、砲弾の威力は教室一つ分の消失……つまり、校舎を全壊させるものではなかった。
 ならば、校舎の裏側にさえ移動すれば、安全だ。
 そのまま遠くに逃げる。
 決断したブラックブレイドはハスキーロアを抱えると、窓へと走った。
 ハスキーロアの震えが、ブラックブレイドにも伝わる。
 不甲斐ない、と思う。
 こんなにも幼い子が怯えているのに、自分は恐怖を取り除いてあげられない。

(うちに、もっと力があれば……)

『ブラックブレイドさんは、きっと何でも斬れるようになるよ』

(なるよ、じゃ駄目だった。どうしてうちは、いつかが必ず来ると思っていたのかな)

 後悔と共に、跳躍する。
 窓ガラスを破ること程度、魔法少女の肉体では造作もない。
 壁を蹴りながら速度を落とし、下界に着地する。
 これで、校舎を壁にして逃走距離を稼げる。
 相手は魔法少女なのか、エネミーなのかも定かではないが。
 それを推測している時間も、怒りを滾らせる時間も無い。
 ……ナサリーが繋いだ命を、無駄にするわけにはいかない。

(誰かと合流して、狙撃者の情報を……でも、二撃目は来ない。一発しか撃てないの? それなら好都合だけど)

 ハスキーロアが顔を上げる。その眼に奔るの怯え。

「来ます……! 近くに居る……!」

「嘘……!?」

 犬系の魔法少女は探知能力に優れている。
 その定説を、ブラックブレイドは知らなかった。
 が、それがハスキーロアの疑う理由にはならない。

「どっち……!? どっちの方向……!?」

 外行きの仮面を被る余裕などない。焦燥に駆られながら、ハスキーロアを問い詰める。
 ハスキーロアは憔悴しきった表情で、それでも嗅覚を必死に働かせているのか眉根を寄せ、そしてある方向を指差した。

「こっち、こっちに居ます!」

「っ!?」

 指差したのは三時の方向。遮蔽物は、無い。

(まさか、あれか……?)

 五階建て程度の赤茶色のマンション。屋上には給水塔。
 其処に、居るのか。
  ——それは、一瞬の攻防だった。
 ブラックブレイドが凝視した給水塔が、確かに光を放った。
 ブラックブレイドの行動は迅速だった。
 人体を超越した速度で『抜刀』し、光に向け、斬撃を飛ばす。
 ブラックブレイドの能力では、給水塔までは攻撃は通らない。
 そんなことは百も承知だ。だからこれは破れ被れの悪足掻き。
 物理法則を捻じ曲げ、ブラックブレイドの斬撃は刀身を離れ、伸びる。
 伸びた斬撃と放たれた砲弾は接触し
 切断。そして、爆発。
 全てを焼き尽くす爆風の中で、ブラックブレイドは意識を手放した。

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