旧アニマン音楽ホール。
元来は、様々な事情で家に帰れない魔法少女たちの棲家となっていたこの場所は、今、無人の空間となっていた。
だがそれも、今この瞬間までの話。
エントランスの扉がゆっくりと開かれ、一人の少女が顔を出す。
星空のような美しいドレスに身を包む、十代中頃の少女。
勝手知ったる様子で、少女は音楽ホールの中に入っていく。
彼女が歩く度に、服から影のようなものが滴り落ちる。しかしそれは床を濡らすことなく、染みわたるように消えていく。
どこまでも見透かすような支配者然とした瞳で、少女はホール全体を睥睨する。
そして。
元来は、様々な事情で家に帰れない魔法少女たちの棲家となっていたこの場所は、今、無人の空間となっていた。
だがそれも、今この瞬間までの話。
エントランスの扉がゆっくりと開かれ、一人の少女が顔を出す。
星空のような美しいドレスに身を包む、十代中頃の少女。
勝手知ったる様子で、少女は音楽ホールの中に入っていく。
彼女が歩く度に、服から影のようなものが滴り落ちる。しかしそれは床を濡らすことなく、染みわたるように消えていく。
どこまでも見透かすような支配者然とした瞳で、少女はホール全体を睥睨する。
そして。
「うう……一人は心細い……」
一瞬でその空気は霧散した。
「だ、誰か居ませんか~」
迷子の少女のようにホールに声を響かせる。
「殺し合いなんて、素鈴には無理ですよ~」
泣きべそまでかくが、それに応える者は居なかった。
はぁ、と大きなため息をつき、少女は座席の一つに腰かける。
少女の名は、逝凪素鈴。魔法少女名、ワンフロムアウター。
日課は人助け、好きなものはかわいい動物、嫌いなものは生玉ねぎ。
殺し屋、傭兵、殺人鬼が集うこの殺し合いでは珍しくまっとうな、王道を征く魔法少女の一人。
はぁ、と大きなため息をつき、少女は座席の一つに腰かける。
少女の名は、逝凪素鈴。魔法少女名、ワンフロムアウター。
日課は人助け、好きなものはかわいい動物、嫌いなものは生玉ねぎ。
殺し屋、傭兵、殺人鬼が集うこの殺し合いでは珍しくまっとうな、王道を征く魔法少女の一人。
「はぁ……これからどうしよう……」
がっくりと肩を落とす素鈴。
殺し合いなんて、絶対に駄目だ。けれど、どうやって止めればいいのか分からない。
ぺちぺちと少女の肩を触手が叩いた。
殺し合いなんて、絶対に駄目だ。けれど、どうやって止めればいいのか分からない。
ぺちぺちと少女の肩を触手が叩いた。
「シュマちゃん……」
ワンフロムアウターの使い魔(仲間)の一人。
少女の足元を粘体生物が纏わりつく。
少女の足元を粘体生物が纏わりつく。
「スラ君……」
ワンフロムアウターの一番最初の仲間。
二匹の使い魔に励まされ、少女の顔に徐々に元気が戻る。
二匹の使い魔に励まされ、少女の顔に徐々に元気が戻る。
「そうだよね! 落ち込んでても仕方ないよね!」
形状記憶メンタルとも称される彼女は、いつまでも落ち込みはしない。
ぴょこんと椅子から立ち上がると、二匹の冒涜的な使い魔を伴って、ホールの散策を開始するのだった。
ぴょこんと椅子から立ち上がると、二匹の冒涜的な使い魔を伴って、ホールの散策を開始するのだった。
◇
「誰も居なかったねぇ……」
がっくりと肩を落としながらホールを後にするワンフロムアウター。
伴っている触手とスライムも、どんよりとした雰囲気を漂わせている。
伴っている触手とスライムも、どんよりとした雰囲気を漂わせている。
「これからどうしよっか……二人はどう思う?」
使い魔二匹と相談を始めようとしたその時。
ワンフロムアウターは、弾かれたように、街のとある方向を向いた。
目視できない遠方。……とある、マンションの方向に。
ワンフロムアウターは、弾かれたように、街のとある方向を向いた。
目視できない遠方。……とある、マンションの方向に。
「——おや、成り損ないが死にましたか」
それまで持っていた素朴な雰囲気は影を潜め、神気さえ漂わせる雰囲気を漂わせながら、ワンフロムアウターは笑みを浮かべる。
「——これは、【私】も安全圏ではないようですね……」
浮かぶのは、諧謔。あるいは、憧憬か。
触手が、少女の裾を掴み、引っ張った。
触手が、少女の裾を掴み、引っ張った。
「……ふぇ!? シュマちゃん、どうしたの? お腹空いた?」
やれやれと、触手は肩(?)を竦める。
「たはは、私も何だかお腹空いて来ちゃった……」
ワンフロムアウターは変身を解除すると、コンビニに向かって歩き出した。
「夜におやつ食べる、駄目だけど……まぁ、今日くらいはいいよね!」