【聞こえるか、魔に愛されし子らよ……】
突如、脳内に響いた言葉に、ゲーム参加者の一人、アリス・イン・ワンダー・オブ・ザ・デッドは、『作業』を中断し、その場に立ち尽くした。
【これより、第一回放送を行う】
この声の主は覚えている。六時間前に、殺し合いを宣告した魔法王その人だ。
(放送……?)
意図を測りかねながらも、アリスは魔法王の言葉に意識を傾けた。
【よくぞ、最初の六時間を生き延びた。諸君らは評価に値する魔法少女だ】
(いいえ、魔法王……。それは違う。殺し合いに強い魔法少女なんて——論外。唾棄すべき存在だわ)
放送、と銘打っている以上、向こうの言葉は聞こえても、こちらの言葉は届かないのだろう。アリスは分かった上で、魔法王の言葉を否定する。
【六時間を生き延びた報酬だ。諸君らに、プレゼントがある】
(プレゼント……?)
アリスの足元に、魔法陣が浮かび上がる。
咄嗟にアリスはその場を飛び退いた。他の参加者からの攻撃かもしれないからだ。
しかし、魔法陣から出現したのは剣や槍、アリスを害するものではなく。
咄嗟にアリスはその場を飛び退いた。他の参加者からの攻撃かもしれないからだ。
しかし、魔法陣から出現したのは剣や槍、アリスを害するものではなく。
「これは、羊皮紙……?」
恐る恐る手に取る。
上質な紙に、文字が並んでいる。
人の名前だ。
アリスの名もある。
『柩枢(ひつぎ くるる)/アリス・イン・ワンダー・オブ・ザ・デッド』と表記されている。
上質な紙に、文字が並んでいる。
人の名前だ。
アリスの名もある。
『柩枢(ひつぎ くるる)/アリス・イン・ワンダー・オブ・ザ・デッド』と表記されている。
(これは……名簿?)
並べられた名は、44。
ハイエンドの名もある。
そして。
ハイエンドの名もある。
そして。
(幾つかの名前が、赤くなっている……)
星月 夜/アルセーヌ。
ナサリーブラウン。
ナターリヤ・ミシェンコフ/クライオニクス。
和妻 颯葵/トリックスター。
木羽 マミ/ビリーバー。
玉柳 水華/アレヰ・スタア。
裁原 編/パペッタン。
陣内 葉月/ブラックブレイド。
らいと/フライフィアー。
田中 空/スカイウィッチ。
メリア・スーザン。
ナサリーブラウン。
ナターリヤ・ミシェンコフ/クライオニクス。
和妻 颯葵/トリックスター。
木羽 マミ/ビリーバー。
玉柳 水華/アレヰ・スタア。
裁原 編/パペッタン。
陣内 葉月/ブラックブレイド。
らいと/フライフィアー。
田中 空/スカイウィッチ。
メリア・スーザン。
11人の名前が、真っ赤に染まっている。
【これは、このゲームの参加者を示す名簿だ。
そして、赤に変じた者は、この六時間で脱落した者たちである】
そして、赤に変じた者は、この六時間で脱落した者たちである】
(そう、まだこの程度しか死んでないんだ)
不甲斐ないと、アリスは思った。世界を浄化するためにもっと頑張らなければ。
【親しい者は居たか? 憎む敵は居たか?
名簿の情報は六時間ごとに更新される。参加者は減ることはあっても、増えることはない。因縁を果たしたければ精々走り回ることだ。
——それでは六時間後に、また会おう】
名簿の情報は六時間ごとに更新される。参加者は減ることはあっても、増えることはない。因縁を果たしたければ精々走り回ることだ。
——それでは六時間後に、また会おう】
始まったときと同じように、唐突に魔法王の言葉は聞こえなくなった。
アリスは再び『作業』を再開する。
やがて、彼女の前に、一人の魔法少女が立った。
意思を感じさせない暗い瞳を覗き込み、アリスはふぅと汗を拭う。
そして、名簿を広げると再び目を通し始める。
アリスは再び『作業』を再開する。
やがて、彼女の前に、一人の魔法少女が立った。
意思を感じさせない暗い瞳を覗き込み、アリスはふぅと汗を拭う。
そして、名簿を広げると再び目を通し始める。
「あ、ごめんなさい。一緒に見る?」
そう言ってアリスは名簿を魔法少女に差し出す。
操り人形でしかない魔法少女は、提案に対し、ただぼんやりと立ち尽くすのだった。
操り人形でしかない魔法少女は、提案に対し、ただぼんやりと立ち尽くすのだった。
「見ない? そっか。……みんなはどうする?」
そう言って、アリスは後ろを振り返り——自らが作り出した、意思無き魔法少女の集団に声をかけた。