七海真美。魔法少女名、未定。中学一年生の12歳。
特技は友達を作ることで、趣味は友達と遊ぶこと、日課は友達とのお勉強。
得意な魔法は『愛の力で強くなれるよ』。誰かを助けたいと思えば思うほど基礎能力が向上し、精神干渉への強い抵抗力を得る。親愛や友愛なら効果は大きい。
概して、王道的な、牧歌的な、魔法少女だ。
殺人鬼でもなければ、殺し屋でもなく、復讐者でもなければ、探求者でもない。
平和な世界に産まれ、平和な世界で育ち、非日常の世界に足を踏み入れてもなお、まっすぐ純粋である。
年上の後輩、ブラックブレイドや、不思議な女の子、らいとちゃんなど、殺し合いでも無条件で信頼できる、頼りになる友達が居る。
そして、殺し合いが始まってすぐにジェイルフィッシュと桐ヶ谷裂華という、新たな友達が増えた。
それから朝になるまで戦闘もなく、ジェイルフィッシュや裂華と仲も深め、今頃ブラックブレイドやらいとちゃんはどうしているかな、私みたいに新しい友達と行動しているのかな、じゃあ合流したら友達一気にたくさんでウルトラハッピーじゃん、と真美は気楽に考えていた。
特技は友達を作ることで、趣味は友達と遊ぶこと、日課は友達とのお勉強。
得意な魔法は『愛の力で強くなれるよ』。誰かを助けたいと思えば思うほど基礎能力が向上し、精神干渉への強い抵抗力を得る。親愛や友愛なら効果は大きい。
概して、王道的な、牧歌的な、魔法少女だ。
殺人鬼でもなければ、殺し屋でもなく、復讐者でもなければ、探求者でもない。
平和な世界に産まれ、平和な世界で育ち、非日常の世界に足を踏み入れてもなお、まっすぐ純粋である。
年上の後輩、ブラックブレイドや、不思議な女の子、らいとちゃんなど、殺し合いでも無条件で信頼できる、頼りになる友達が居る。
そして、殺し合いが始まってすぐにジェイルフィッシュと桐ヶ谷裂華という、新たな友達が増えた。
それから朝になるまで戦闘もなく、ジェイルフィッシュや裂華と仲も深め、今頃ブラックブレイドやらいとちゃんはどうしているかな、私みたいに新しい友達と行動しているのかな、じゃあ合流したら友達一気にたくさんでウルトラハッピーじゃん、と真美は気楽に考えていた。
魔法王という偉い人が考えたデスゲーム。
正直怖い。
けれど、漫画やアニメだと、こういうデスゲームは、主人公が仲間と共に力を合わせて解決している。
今までにない激しい戦いになるかもしれないが、きっと乗り越えられる。
真美はそう信じていた。
言語化こそしていないが、彼女にとってデスゲームは大冒険程度の間隔であり、紆余曲折あれど、今日中あるいは二、三日で解決し、来週からはまた日常が戻ってくると、そう信じていた。
【聞こえるか、魔に愛されし子らよ……】
放送が聞こえるまでは。
正直怖い。
けれど、漫画やアニメだと、こういうデスゲームは、主人公が仲間と共に力を合わせて解決している。
今までにない激しい戦いになるかもしれないが、きっと乗り越えられる。
真美はそう信じていた。
言語化こそしていないが、彼女にとってデスゲームは大冒険程度の間隔であり、紆余曲折あれど、今日中あるいは二、三日で解決し、来週からはまた日常が戻ってくると、そう信じていた。
【聞こえるか、魔に愛されし子らよ……】
放送が聞こえるまでは。
【陣内 葉月/ブラックブレイド】の名は、真紅に染まっていた。
【らいと/フライフィアー】の名も、同様に染まっている。
赤。
それは、二人の死を意味していた。
【らいと/フライフィアー】の名も、同様に染まっている。
赤。
それは、二人の死を意味していた。
「…………え?」
夢が、醒める。
真美にとって、友達とは増えるものであり、失うことなど想像すらしたことがなかった。
小学校の友達の殆どは同じ中学校に通っているし、違う中学校に行った友達も定期的に連絡を取り合っている。こういう風に、一度紡いだ関係は途切れることなく繋がり続け、高校生になっても、大人になっても、お婆さんになっても続いていくものだと信じていた。友達との死別なんて、何十年も先の、遠い未来のことだと、思っていたのに。
真美にとって、友達とは増えるものであり、失うことなど想像すらしたことがなかった。
小学校の友達の殆どは同じ中学校に通っているし、違う中学校に行った友達も定期的に連絡を取り合っている。こういう風に、一度紡いだ関係は途切れることなく繋がり続け、高校生になっても、大人になっても、お婆さんになっても続いていくものだと信じていた。友達との死別なんて、何十年も先の、遠い未来のことだと、思っていたのに。
「……何で?」
どうして二人が死んだのか、真美にはまるで分からなかった。
命がけの戦い、というものが仮にあったとしても、必ずいいところで誰かが助けに入るはずだ。
そうでなければおかしい。
だから真美は。
命がけの戦い、というものが仮にあったとしても、必ずいいところで誰かが助けに入るはずだ。
そうでなければおかしい。
だから真美は。
「…………う、嘘つきだよ!」
壊れた。
「魔法王は、わ、私たちを騙そうとしてるよ! ジェイルちゃんも、裂華さんも、信じちゃ、駄目!
これは罠、そう、罠なんだよ……!」
これは罠、そう、罠なんだよ……!」
「真美っち……」
「真美ちゃん……」
二人の同行者は、気まずそうに顔を伏せた。
どうして、同意してくれないのだろう。
いいや、否定しないということは、きっと真美の言っていることは正しいとわかってくれているのだ。
早く、二人を探しに行かないと。
真美さん、私が死ぬわけないでしょう、酷い先輩ですね。
おやおや真美殿、当機の性能を甘くみてはいけないであります。
怒られちゃうよ、笑われちゃうよ。
どうして、同意してくれないのだろう。
いいや、否定しないということは、きっと真美の言っていることは正しいとわかってくれているのだ。
早く、二人を探しに行かないと。
真美さん、私が死ぬわけないでしょう、酷い先輩ですね。
おやおや真美殿、当機の性能を甘くみてはいけないであります。
怒られちゃうよ、笑われちゃうよ。
だから、早く探しに……。
パン、と頬に痛みが走った。
真美は頬を抑えた。
痛い。どうして痛いの?
悲しいから? どうして悲しいの? 全部嘘なのに。
パン、と頬に痛みが走った。
真美は頬を抑えた。
痛い。どうして痛いの?
悲しいから? どうして悲しいの? 全部嘘なのに。
「……失望させないで」
「裂華さん……」
「今ここで嘘をつく理由なんかない、って、貴女はもう分かっているでしょう?
——逃げても、意味なんか無い」
——逃げても、意味なんか無い」
「逃げる……そんな、何を言って……。
ねぇ、ジェイルちゃん、裂華さん、変なこと言ってるよね……」
ねぇ、ジェイルちゃん、裂華さん、変なこと言ってるよね……」
「真美っち……」
マイペースで気楽な性格のジェイルフィッシュは、普段からは想像もつかないほどの真剣な表情で、真美を見据えている。
「私、訓練学校に通ってるってさっき話したの、覚えてる……?」
「う、うん。すごく頑張ってるんだよね」
「授業で習ったけど、魔法少女が戦死することは——あり得ないことじゃ、ないの。
魔法国の歴史では、何度も大規模な戦いが起きてたくさん犠牲者が出てるし、近年でも、超大型エネミーとの戦いでは、戦死者が出ることは、珍しいことじゃないの。
それに、この名簿には、ティターニアが載ってるの」
魔法国の歴史では、何度も大規模な戦いが起きてたくさん犠牲者が出てるし、近年でも、超大型エネミーとの戦いでは、戦死者が出ることは、珍しいことじゃないの。
それに、この名簿には、ティターニアが載ってるの」
「そ、それがどうしたの?
た、確かに昔の戦争ではいっぱい人が死んじゃうし、すっごく強いエネミーがいたら、死んじゃう子も、いるのは知ってるよ。けど、けどさ……。
それに、あのティターニアが居るなら、安全なはずだよ! すっごく強くて、正義の味方なんだよね!?」
た、確かに昔の戦争ではいっぱい人が死んじゃうし、すっごく強いエネミーがいたら、死んじゃう子も、いるのは知ってるよ。けど、けどさ……。
それに、あのティターニアが居るなら、安全なはずだよ! すっごく強くて、正義の味方なんだよね!?」
「だからタチが悪いの……ティターニアが参加者として居るってことは、ティターニアと同じくらい強い、とっても悪い奴も参加してるはずなの。
そうじゃないと、ゲームのバランスがおかしいから……」
そうじゃないと、ゲームのバランスがおかしいから……」
「だ、だけど……だけど、ジェイルちゃん……」
「——真美ちゃんの友達二人は、亡くなったの。
たぶん、殺されて」
たぶん、殺されて」
真美は、言い返そうとした。
友達と喧嘩をするなんて、年齢が二桁になってから一度も無かったことだ。
けれど、言い返す前に、足から力が抜けて、真美はその場に崩れ落ちた。
死んだ。
殺された。
そんなの、そんな『事実』——耐えられない。
体中が暖かなもので包まれる感触があった。
裂華が、真美を抱きしめたのだ。
友達と喧嘩をするなんて、年齢が二桁になってから一度も無かったことだ。
けれど、言い返す前に、足から力が抜けて、真美はその場に崩れ落ちた。
死んだ。
殺された。
そんなの、そんな『事実』——耐えられない。
体中が暖かなもので包まれる感触があった。
裂華が、真美を抱きしめたのだ。
「——泣いていいのよ、叫んだっていい。怒るべきだし、暴れたっていい。
けれど、死を否定することは、駄目よ。
それは、彼女たちへの冒涜だから。
だから真美ちゃん——今はただ、悼みましょう」
けれど、死を否定することは、駄目よ。
それは、彼女たちへの冒涜だから。
だから真美ちゃん——今はただ、悼みましょう」
「——ぐ、ううううううううううううううううううううううう!」
人前で泣くのも、年が二桁になってからは一度も無かった。
今日、真美は初めて、友達を喪った。
今日、真美は初めて、友達を喪った。