人は死ぬ。年を重ねれば誰でもその事実に気づく。祖父・祖母が死に、やがて父・母が死に、遂に同年代の友人たちが死ぬに至り、自分の死期を悟りだす。
だが、真美はまだ、幼かった。
祖父も祖母も健在で、身近に死者は居なかった。
魔法少女になったというのも、現実からの乖離に拍車をかけた。
それが、一晩で二人も死んだ。
事故死や病死ではなく、殺人。
三十分あまり裂華の胸の中で泣きはらした真美は、ようやく二人の死を現実のものとして受け止める下地が出来た。
だが、友達が死んだことは受け止めることが出来ても——友達が殺されたという事実は、容易に受け止めることが出来ない。
どうして、と思う。
魔法王に命じられた。
だが、真美はまだ、幼かった。
祖父も祖母も健在で、身近に死者は居なかった。
魔法少女になったというのも、現実からの乖離に拍車をかけた。
それが、一晩で二人も死んだ。
事故死や病死ではなく、殺人。
三十分あまり裂華の胸の中で泣きはらした真美は、ようやく二人の死を現実のものとして受け止める下地が出来た。
だが、友達が死んだことは受け止めることが出来ても——友達が殺されたという事実は、容易に受け止めることが出来ない。
どうして、と思う。
魔法王に命じられた。
呪いをかけられた。
そんな理由で、人を殺してしまう、その精神が、真美には分からなかった。
剣術の使い手だったブラックブレイドなら、分かったのだろうか。
戦闘機の付喪神であるらいとなら、理解できたのだろうか。
真美にはさっぱり分からない。
人を殺してはいけない。そんなのは、当たり前のことだ。
どうして、どうして、どうして。
——悪い奴、だから?
閃きのような発想だった。
それまで、真美の認識では、このゲームの参加者は皆被害者で、一緒に戦う仲間で、将来の友達候補たちだった。
違うのかもしれない。
ジェイルフィッシュが言っていた。
ティターニアが居るのなら、同じくらい強い、悪い奴も参加していると。
その悪い奴に、ブラックブレイドも、らいとも、殺されたのだろうか。
そんな理由で、人を殺してしまう、その精神が、真美には分からなかった。
剣術の使い手だったブラックブレイドなら、分かったのだろうか。
戦闘機の付喪神であるらいとなら、理解できたのだろうか。
真美にはさっぱり分からない。
人を殺してはいけない。そんなのは、当たり前のことだ。
どうして、どうして、どうして。
——悪い奴、だから?
閃きのような発想だった。
それまで、真美の認識では、このゲームの参加者は皆被害者で、一緒に戦う仲間で、将来の友達候補たちだった。
違うのかもしれない。
ジェイルフィッシュが言っていた。
ティターニアが居るのなら、同じくらい強い、悪い奴も参加していると。
その悪い奴に、ブラックブレイドも、らいとも、殺されたのだろうか。
泣き止んだ真美は、ジェイルフィッシュや裂華から距離を取っていた。
気恥ずかしさもあり、また、友達であり、同時に死んだ二人のことをよく知らない人と、話す気力が湧かなかった。
友達と話したくないと思うなんて、真美の人生ではありえないことだった。
二人は、それぞれ名簿を眺めている。
どちらも、顔つきは渋い。
気恥ずかしさもあり、また、友達であり、同時に死んだ二人のことをよく知らない人と、話す気力が湧かなかった。
友達と話したくないと思うなんて、真美の人生ではありえないことだった。
二人は、それぞれ名簿を眺めている。
どちらも、顔つきは渋い。
「ショタコン女も居るの……無事に帰さないと、また祐樹に文句言われるの」
「げっ、疫病神来てるじゃない……。もしかして全部あいつのせいだったりするのかしら」
二人とも、知り合いが来ているようだ。
真美はまだ、名簿の赤い部分しか目を通せていない。
動き出さないといけないと思っていても、身体が重くて動けない。
——二人はもう、動くことすら。
真美はまだ、名簿の赤い部分しか目を通せていない。
動き出さないといけないと思っていても、身体が重くて動けない。
——二人はもう、動くことすら。
「——っ!」
無性に悔しさが湧いてきて、真美は道路を殴った。
アスファルトが抉れ、破片が転がっていく。
「ムクク、荒れてますねぇ」
真美は、顔を上げた。
三等身の山羊が、空に浮かんでいる。
ぬいぐるみ、だろうか。
三等身の山羊が、空に浮かんでいる。
ぬいぐるみ、だろうか。
「やぁ、僕はパンデモニカ(マスコット・モード)。
ぱんぱかぱーん、今日は七海真美ちゃんにプレゼントを持ってきました!」
ぱんぱかぱーん、今日は七海真美ちゃんにプレゼントを持ってきました!」
「ぷれ、ぜんと?」
「そう。簡単に言うとね——好きな奴二名選んで殺し合わせる権利なんだけど、どうする?」