(投稿者:マーク)
1944年グレートウォール
リューマは楼蘭きっての問題児だった
教育担当官の命令はことごとく無視、ちょっとした諍いから病院送りにされた者は数知れない、
そんな喧嘩っ早く、協調性も皆無である彼と好んで接しようとするものは同郷の藍羅か神浪ぐらいのものだった
困り果てた楼蘭政府は半ば厄介払い同然に彼を
グレートウォール戦線へと飛ばした
リューマの悪評は遠く離れたここグレートウォールにも伝わっていたようで、ここでも彼に近寄るものはほぼ皆無だった
そんな彼に屈託もなく話しかける風変わりな一人のメードがいた
コンコン
一人の男がドアを叩く・・・・が反応はない
「何だよ、まだ帰還してねえのか?アイツ」
再び叩いてみるがやはり反応はない
「ローラの奴”
スポーン級が出たらしくて救援要請受けたからちょっと行ってくるっスー”なんて言って、返り討ちにでもあって死んだんじゃねーだろうな」
その声色には心配している様子は微塵も感じられない もちろんそれはその人物を信頼しているが故なのだが
「失礼なっ!!誰が死んだって!?」
男がそんな風につぶやいた直後に後ろから聞こえた声に彼が振り返ると目の覚めるような蒼の鎧を着た一人のメードが立っていた
その顔は非常に整っておりちゃんとしておれば美人なのだろうが今は額にしわをよせいかにも不機嫌といった様子だった
それもそうだろう彼女の身体にはべったりとGの体液らしきものが付着し異臭を放っていたのだから
「なんもいなかったァ?」
リューマは部屋に備え付けられたソファにどっかりと座りながら言う
「そーなんスよ、救援要請受けたからわざわざ出向いたってのに、ついたころには
ジークフリートがぜーんぶ殲滅し終わっちゃってて」
部屋に入るや否や瞬時に備え付けのシャワー室に飛び込みシャワーを浴びた彼女はタオルを巻いただけの姿で男の前に姿を現した、
だがもう慣れっこなのか男はそれを意に介さなかった
「なーるほど・・・見事にムダ足踏んじまったわけだ」
「しかも呼び出しといてお礼のひとつもないし・・・・帰り道では
ワモンの大群と遭遇してそのせいでお気に入りの浴衣と鎧はべとべと・・・・・あぁあ~~~~~」
「・・・・・・へッ」
ムキーと怒るローラの後ろ姿を男は鼻で笑う、だがそれは彼女に聞こえていたようで
「ちょっとリューマ君今、笑ったでしょ!そんなにおかしい!?」
ネコであれば毛を逆立てているような剣幕でリューマにせまる
「あーうっせーなー」
ローラを面白げに眺めながらリューマは続けて言った
「めづらしーもん見たと思ってよ」
予想もしなかったその言葉にローラは今までの怒りも少し忘れてキョトンとする、さらに続けて
「お前が、そんな風に怒るところなんてよ」
という言葉で「は?」と思わず間抜けな声をあげる、リューマはそれに笑いをこらえつつ言う
「お前が予想以上にガサツな女だって事はここ最近でだいぶ理解してきたけど、そーいうところは見たことなかったからな」
「なっ・・・ガ・・ガサツ!?ちょっとさっきから失礼っスよ!」
「ホントのことだろ? 最初はお嬢様みたいな雰囲気でそんな風に怒るところなんて想像もできなかったぜ」
それを言われローラはちょっと照れたように頭をかく
「でもそれを言うならリューマ君もだーいぶ変わったよね」
「そうか?」
「うん なんだろう・・・表情が穏やかになった感じ」
ローラは続けて言う
「初めて会った時は眉間にしわ寄せて鬼のような形相してたし、話しかけても無視しまくりだし」
「それでお前に突然ひっぱたかれたっけなぁ あれにはびびったぜ」
リューマはその時の事を思い出したのかほほをさする
「まぁ結果オーライっスよ」
ローラは笑いながら言う
「かなり痛かったんだからな」
そういってリューマも笑う
リューマとローラ、国境を越えた二人の絆、いつまでもこんな日常が続くと思われた
しかし二人の知らぬところで闇は確実蠢いていた・・・・・・
to be continued・・・
最終更新:2009年02月12日 22:33