(投稿者:マーク)
なぜ歩いているのか、ここはどこなのか、彼の思考は霧がかかったようにかすんでいてはっきりしていないようだった
そうこうしているうちになにやら境目のような壁が見えた、人が二人立っている、一人はディートリヒよりもでかい大男、もう一人は女性のようだ
そのふたりをみたとたんディートリヒは目を見開く、同時に彼の頭の中の霧も晴れた
「・・・・・なんで、あんたらが・・・・・・」
ディートリヒは驚愕の声をあげる、無理もないそこにいたのは彼のよく知る人物
”軍神”
ブリュンヒルデに”英雄”ハルトムート、片方はエントリヒの象徴、もう一方はディートリヒの剣の師
数年前に機能停止したはずの彼らがなぜ自分の前に立っているのか、
「姉御に・・・・旦那・・・・・・なんで・・・・」
驚愕するディートリヒを無視してハルトムートとブリュンヒルデはゆっくりと話し始めた
「・・・・お前はここでくたばるような男ではないだろう」
「あなたにはまだやらなければいけないことがあるでしょう?」
・・・・・・・ここっていわゆる三途の川か・・・?
そう思いディートリヒはハルトムートにたずねた
「な、なあハルトムートの旦那・・・・ダリウスたちはここに来たのか?」
「ああ来たとも全員、な・・・・・大抵の者はここに来るときは暗い顔してるが彼らときたらにこやかにくるものだから面食らったぞ」
ハルトムートは苦笑しながら言う
「・・・・笑ってた?」
「なぜかと聞いてみたんですよ、そしたら・・・・・・」
ブリュンヒルデも苦笑しながら答える
「奴ら口をそろえて答えおったわ」
「『俺たちはディートリヒという”希望”を逃がすことができた、それだけで俺達は満足だ』ここまで慕われるなんてそうそうないことですよ」
ブリュンヒルデは優しく微笑みながら壁の向こうが見えるかのように見つめる
「それをお前は無駄にするのか?お前はその程度の男か?違うだろう」
「まだあなたががこの門をくぐるのは・・・・・・・早い」
ハルトムートとブリュンヒルデがそう言うと突如ディートリヒの足元が崩れ去る
「うおわっ」
ディートリヒはあっという間に奈落のそこへと落ちてゆく、そこには小さな光が見えた
「時がくれば酒でも酌み交わそう・・・・・・わが弟子よ」
「ジークを・・・・助けてあげてくださいね・・・」
その声が聞こえたと同時にディートリヒの意識は覚醒した
To be continued・・・
最終更新:2009年02月18日 23:30