(投稿者:Cet)
行き場をなくした可能性が
私の中でのたうって
苦しみはやってくる
燃えてしまうしかない
逆説的な温度をもって
私はその炎そのもので
貴方に差し伸ばして燃やし尽くす
◇
「意味を当てはめられるところのものが言葉である」
ジャック・ノルデンロープは、研究所地下の私室でそう言った。
「ふーん」
部屋の隅の机の、キャスターに座っている彼に対し、床に座り、部屋の床にところぜましと放置されている本を手にアズは応える。
その気のない返事を、半ば無視して
ジャックは続けた。
「つまり、ブルーハンドという言葉の意味は、青い手、というそれだけの意味に尽きるのだが、現時点以降に新たな意味が付与されうる、ということだ」
「子供に名前を付ける時は適当にやっちゃって良いってことか」
「……さあな」
「で、これ以降に、あの銃器に一体どんな意味が付与されるって?」
不意に上げられた視線を受けて、ジャックは少しだけ得意げになる。
「青っていうのは、冷たい印象を与える。
逆に赤ってのは、温かい印象を与える。
ところでアズ、お前は、炎と人間精神との間に共通点があると思うか?」
「……ある場合もあるんじゃね?」
「まあそうだろうな、ある場合もある。して、それはどんな場合だ?」
「……つまり、一心不乱の人間精神の場合が、ソレだ」
その返答を前に、ジャックは満足そうに次の問いを繰り出す。
「そうだな、で、果たしてそいつは他の人間にどんな印象を与えるんだろうね?」
「さあなあ、見る人が見れば、熱さを感じられるんじゃねえの」
「つまり、一般的に言って、そういう人間は他の人間に対して、熱さを覚えさせられないということになる」
「そういうことになるな」
アズは真顔で応えた。
それを確認して、ジャックは言葉を継ぐ。
「こういうのを、逆説的な熱を持った人間が存在すると言い換えることができないか?」
「どうだろうね、ある人間の印象が一般的であることに関して、彼が比喩としての熱を持っているということが逆説的かどうか、俺には分からん」
「ちょっとキツイかな」
暫しの沈思が二人に訪れる。
そして、アズが最初に顔を上げた。
「つまりナニか、あの銃器は相手を燃やし尽くす為にあるってか?」
「大正解」
ジャック・ノルデンロープはニッと笑う。
◇
私の手に触れられて
貴方は燃えて果てるでしょう
事実の他に、何も残りはしない
最終更新:2011年01月10日 20:15