レゾナンス

(投稿者:Cet)



太陽が私の体を焼く
私の体は焼いて焦げ、どろどろに溶けて、やがて一つの小さな、欠片になった

いや、なってしまった

燃え尽きることなどできやしなかった

その欠片を、私は今も抱えている

そして、その欠片が、何かの折に触れて、震えだすことがある

外部からやってくる何らかの波調と、その欠片が共振を始めるのだ

そういう時に、欠片の震えが、声になって聞こえてくる








 夕焼けを眺めている。家路を辿る途中、川のほとりから眺める。
 全てが赤色に染まっている。一人で立ちすくみ、目を細める。
 隣に誰かがいてくれれば、と思う。誰か?
 いや、それは決まっているのだ。
 いつか俺は戦場に行こう、と思う。戦場に行って、誰かの為に戦おう。
 その誰かが振り向いてくれなくとも構わない。
 自分の命が、その誰かの為に役立ちさえすれば、それでいいのだ。
 俺の涙はその時、きっと乾くだろう。
 そう確信する。
 歩き出す。
 再び家路を辿り始める。








 月の光が少女を照らしている。
 寝室で一人、寝台の上に半身を起こす少女は、夜の空にぽっかりと浮かんだ光を、眺めている。


最終更新:2011年11月02日 09:58
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