(投稿者:セルバンテス)
1920年、8月19日。
グリーデル王国にある田舎町の季節は真夏の真っ盛りである。
大人達は自らの長である国家元首の命により国治めに手を貸し、街を作り、村を作り、植民地を拡大させ、他の国との争いを見せる事があるが、それは自分達の家族の為である。時には自分達の商売を営み、未来を背負うであろう幼子や若者に勉学を教えたりもする。
彼等の間で生きる子供達は自分達の世代等の同士で絆を作って行き、学校に通って大人達から勉学を教わり、そして励み、それが終われば自分達の息づく場所で無邪気に遊び、日が暮れれば自分達の住む家に帰り、自分達の親の作った御飯を団欒の中で食べ、明日に備えて目を閉じて体を休める。
そんな中で少年と少女は出会い、二人は友達同士になり、学校が終われば他の友達と一緒に遊んだりふざけ合ったり、時には壁に落書きをするような悪戯を大人に見つかって怒られたりもするが、二人の絆は充実していた。
しかし、その充実は長くは続かなかった。
少女は自分の両親の仕事の関係上、他の街へ引っ越す事になる。
「ソニー、行っちゃうのかよ……」
「……うん、御父様の御仕事でセントグラールに引っ越すの。」
「……そうか、もう俺達とは会えないんだよな……?」
「うん。 ……ウィルバー、今まで有難う。私はウィルバーと一緒に遊んでとても楽しかった。 だから……。」
ソニーと名乗られた少女は手に持っている箱を開ける。
中身は綺麗に光輝く3つの宝石で、その大きさは拳くらい。その色はどれも異なっており、赤と青、そして緑であった。
彼女は緑の方を取り出すと、それを向かい側の少年に見せる。
「スゲェ………。 ソニー、こんな綺麗な宝石持ってたんだな!」
「うん、御父様に貰った私の宝物なの。だから、御友達の印としてウィルバーに一つあげようと思って……。」
少女は涙を流しつつも手に持ち続けている宝石を最愛の友に託した。受け取った彼も別れに対しての涙を流し、双方とも強く抱き合った。
その別れの後、何時かまた会えると言う希望を信じて……。
二人は後にその手を離し、少女は自分の親が待つ馬車へと乗り込み、馬車はその家族全員が乗ったのを確認した上でこの場を離れる。
それでもこの場に立つ少年はまだ流れる涙を片手で拭いながらも、全速力で馬車を追いかける。それに釣られて少女は、馬車から顔を出す。
「ウィルバー!!」
「ソニー! 俺………ソニーの事、忘れない。絶対に忘れるもんかッ!! 俺達、友達だろ!?」
「うん! 私もウィルバーの事絶対に忘れない!! だから………また何時か会って、そして遊びましょう!? さよなら、ウィルバー!!」
「ソニー、さよならァー!!」
双方は互いに片手を振り、互いの別れを感じ、其々の世界で行き続けた。
それから12~13年後に姿を現した“G”と呼ばれる未知なる生命体によってこの世界全体が大きな惨劇に包まれつある。
今では違う世界の二人はそれでも生き残り、その中で感じた自分の信念と志、そして幼い頃に出会った絆と心を持ち合わせて軍人となり、其々の国を守る者達の輪の中に入っていく。
これは、その少年と少女が其々の友情の証とした3つの光る宝石―――エターナル・コアから生み出され、後に自分達の勇気と情熱、そして信念を貫き通したメード、そしてメールとそれらに同行した者達の物語である………。
最終更新:2009年02月10日 19:56