(投稿者:マーク)
(ここは・・・・・)
目覚めてみると全く見覚えのない所 どうして私はここにいるんだっけ?
ぼんやりと少女は天井を見ながら思い出そうとしていた
(たしかリビドと合流しようとしてたら後ろから声がしてそれで・・・・!!)
そうだいきなり後ろから撃たれたのだ でも痛みはせず逃げようとしたら急に気が遠くなって
とぼんやりと考えていると
「あっ!目開けた! ジュリアおねえちゃーん赤髪のお姉ちゃん起きたよー」
と大きな声をあげ白い、まるでウエディングドレスのような服をきた少女がパタパタと自分の向かいのベッドに腰掛けて本を読む女性の所に走っていった
「ようやく目がさめたのね」その女性--ジュリア--は微笑みながら本を閉じるとそばにおいてあった水差しからコップに水をそそぎ手渡してきた
少し戸惑ったがのどがカラカラであったのでありがたく受け取るとそのまま一息で飲み干してしまった
水をのんでから多少目が覚めると急に不安に駆られ始めた
この場所はまさか
今もしつこく追跡を続けてくるところといえば彼女に思い当たる所はひとつしかない
一呼吸おいてから
「ここはどこですか?」と思い切って尋ねた 緊張して声がかすれたがちゃんと声は聞こえたようだった
「エントリヒ軍の野営地よ」
とジュリアは微笑みを崩さずに答えた
それを聞いた瞬間に背中に冷やりとしたものが通り過ぎた
最悪の予想が当たってしまったのだ
彼女が青白い顔をして固まっているのに気がつくとジュリアは
「大丈夫よあなたには何もしないわここにいる人たちはね」
といいマヤは改めて部屋を見渡す 瞑想している女性に背中に剣の手入れをするサングラスの男
ギャーギャーと口論している背中から羽のようなものが出ている少女に赤いマントを着た青年
地べたに胡坐をかいている大男に「ガルシアおにいちゃん!!りんご食べていい?」ときく白い
ドレスの少女
あまりにも
確かに自分に危害を加えるようなものはいなそうだ
「オマエ・・・・」
不意に聞こえた片言のような言語の出所を探すとそこで座っている大男から発せられたものなのだとわかった
彼はその巨大な手をこちらにのばすとりんごを手渡してきた
「あ・・・ありがとう」
そのりんごを持ってみると彼の手が大きすぎるために小さく見えたが自分が普段見かけるようなりんごのひとまわりもふたまわりも大きく
非常に食欲をそそられる甘いにおいを放っていた
もういちど彼のほうを見る 鉄兜をかぶっているため表情はわからないがなんとなくりんごの感想を求めている気がした
そしておもいきりその巨大なりんごにかじりつく
口の中に広がるのは程よい甘さとちょうどいい歯ごたえ
自分が今まで食べてきた果実の中では一番だとマヤは感じた
あまりのおいしさに笑みがこぼれながら
「とってもおいしいです。ありがとう」
というと彼は照れくさそうにそっぽを向いてしまった
「珍しいなぁガルシアが初対面の相手に自家製の果物あげるとは」付き合い長いおれでさえもらってないのにと
サングラスをかけたチンピラ風の男が笑みを浮かべながら近づいてきた
「あー、で和やかムードの中悪いんだけどよ、お嬢ちゃん今からいくつか質問に答えてもらえねえか?」
少女は男の目が先ほどのような笑みがないのを感じ取りりんごを食べる手を休めこっくりとうなずく
「まず最初に自己紹介、俺はリューマ、でそこで瞑想してんのがアイラ、あっちで痴話げんかしてんのがティアとアベルでそこでりんご食べてんのがメリルそこのデカイのがガルシアだ、でお嬢ちゃんあんたの名前は?」
「・・・・・・・・・マヤ」
「二つ目にマヤちゃん、あんたはなぜあんな場所に
一人でいた」
「・・・・・・・・・・・」
「だんまりか・・・じゃあ三つ目だイエスかノーで答えてくれ」
「あんたがあそこでGに襲われなかったのはあんたがかの有名な蟲姫様だからだ、違うか?」
「・・・・・・・・・」
なにも答えずに黙っていると彼はため息をつき
「悪いがあんたの荷物もこちらで調べさせてもらった。そんで出てきたのはこれだ」
取り出されたのは母の形見でもある空色のオカリナ、彼はそのオカリナのある部分を指差し
「ここにパトラの紋章がくっきりと描かれている 俺らの調べではこの紋章は古代王家の紋章その紋章が描かれているってことはこれは王家がもつ、ひいてはその子孫つまりパトラの族長しか持つはずのないものってことだ」
なにもかも調べあげられているマヤは唇をかみ締め声を絞り出した
「・・・・・わたしを・・・・どうする気ですか・・・?」
自分でもわかるほど声が震えている、Gと意思疎通することができる能力、エントリヒはこれを逃そうとはしないだろう
これを手に入れたいがために彼らは・・・彼女の里を滅ぼしたのだから
このまま帝都に連行されればおそらく自分はメードとか言うものにされるのだろう
メードにされれば生前の記憶は消えてしまうと聞いた まさに操り人形だ
仮に今自決してもメードは死体からも作れるとも聞いた
逃げるにしてもこの人たちはおそらくメード、ただの人間である自分が逃げ切れるわけがない
だから
「あん? なんもしねえよ」
といわれた時は思わず
「へ?」と間の抜けた声が出てしまった
「俺らはエントリヒ・メードじゃねえしな それに」
「あんたは世間で言われてるみてぇな奴じゃない 目を見ればわかる」
と言い
「テキトーに理由つけてどっかで」
解放する
とリューマが言いかけたところで突然男が複数人ずかずかと入り込んできた
その先頭にいるのは見るものに嫌悪感を与えるほどでっぷりと肥えた男ジュリアは思わず顔をしかめる
「おいっ!!!貴様ら!!!まだその魔女の尋問は終わらんのか!!!」
突然の怒鳴り声に思わずマヤは身をすくめた
リューマはため息をつきながらへらへらと
「あわてんなよおっさんあんまり怒ると禿げるぜ?」
と言い放った たしかにその男は禿げかけており汗でぬれ余計に目立っていた加えてこの体型 心の中で彼女はこの男を禿げブタとあだ名をつけた
「だまれ!!傭兵風情がちょうしにのるなっ!!」
「今さっき意識を回復したところなんだよ、どっかのバカの部下がもっとバカじゃなかったらこんなに時間はかかんなかったんだがなぁ?」
「ええい!!うるさい所詮こいつはGをあやつり人間を殺そうとする魔女だどんな手段をとろうが私のかってだろう!?」
「私は魔女じゃない!!!」
思わずその禿げブ・・・軍人に向かって叫んだ
「きさまぁ 捕虜の分際で・・・」
「いきなり私達の里を攻撃してきたのはあなた達じゃない いきなりなにもかも奪っておいて今度は人を魔女呼ばわり!?ふざけないで!!!」
「この・・・魔女の分際でぇーーー」
逆上し腕を振りかぶるが
「おもいあがんなよ糞ハゲ」
その手はあっさりとリューマにつかまれる
それと同時に護衛がリューマに銃を向ける
そのとき
突如銃声が響き悲鳴が上がる
「てっ敵襲!!Gがきやがったーーー」
「・・・・・・行くぞ」
いつの間にかベッドで瞑想していた女性--アイラ--が右手にいつの間に抜いたのか非常に長い刀を構え、左手に鞘を持ってテントから飛び出しいきそれを合図に室内にいた
全員が飛び出していってしまった
あっという間にひとりになるマヤ
「ふんっ所詮は人形よこんな単純な手に引っかかるとは」
という声が聞こえ続いてついたてを蹴りどかしながら現われたのは先ほど飛び出していったはずの禿げブタ、それはマヤをなめるように見た
その目に明らかな劣情を抱かせて
To be continued
最終更新:2008年12月14日 17:40