chapter4 囚われの戦乙女

(投稿者:マーク)


 窓もなにもない部屋、明かりは天井からぶら下がった裸電球のみ どうやら地下室のようだ

 そんな部屋に一人の水色の髪の美しい女性が下着姿で天井からのびた鎖に両手をつながれ糸の切れた人形のようにうなだれていた

 (・・・・・ここにつれてこられてもうどのくらい経ったのだろうか・・・・・・・・)
 女性はふとそんな事を思った
 (・・・・・)
 だがすぐに思考を中断する
 (どうでもいいか・・・)

 (もう・・・・・あの人はいない・・・私は彼を守りきれなかったのだから・・・)

 眼前のドアが開き見ると入ってきたのは何人かの男達、加虐趣味があるのか棍棒やメスを持参している奴もいる。
 下卑た笑みを浮かべるその男たちはドアに鍵をかけるといっせいにその女性を取り囲む

 女性は目を閉じる そして・・ふと・・・どこか遠くでなにかが暴れるような音と聞き覚えのある声を聞いた気がした・・・・・









見張りの兵士が叫ぶ
「Gを確認しました!! こっちに向かっています!!」

「数と種類は!?」

パピヨン・・・おそらくモスが四体に・・・・・人型をしたナニカが一体」

「まさか・・・・この間の電波ジャックの・・レギオン!?・・・一大事だ!!!すぐに進軍して食い止めるのだ!!」

「し、しかしこれは避難したほうが」

「ばか者!!!ここであの宿の秘密が漏れたらどうなると思う!?全世界のメードが叛旗を翻すに決まっているだろう!?すぐに出撃だ!!」

「りょ、了解しました」
足早に兵士はかけていき数分後にはかなり大規模な部隊があわただしく出撃していった
総力戦を仕掛けるつもりらしく町に兵士は見当たらない

目の前の売春宿はそんな事態に気付く様子もなく嬌声が外にまで響いている
「よし 突入するぞ これでだいぶ救出時間を稼げる」
続いて後ろを振り返り
「マヤ大丈夫か?女にとってかなりショックな光景見ることになるぞ?」
と心配そうに言う

「大丈夫です・・・それに私がコアクについていったら足手まといになってしまいます」
マヤは少しおびえたような表情をするがその目には強い意志が宿っていた

それを確認したダリウスはうなづきディートリヒを見る
「おまえはどんなものを見ても落ち着いて対処しろ、いいな」

「ああ・・・・」
かなり表情が強張っている、そんな様子にダリウスは不安を覚えたがグズグズしている時間はない


作戦はこうだ

まずコアクとモス達が町に配備されている防衛部隊をひきつけ時間を稼ぐ
その間にディートリヒ、マヤ、ダリウスが宿に侵入しシュヴェルテを救出しついでにこの事件の証拠もそろえる
これまでの調べではこのメード失踪事件には皇帝派でも宰相派でもない第三者の存在があるのだ

「ではいくぞ」
ダリウスを筆頭に三人は宿へと入る、マヤはフードをかぶりその特徴的な髪が目立たないようにした。

タバコの煙が宿のエントランスには充満していた。
奥のテーブルではおそらくここの将校であろうエントリヒの軍服を身につけた男たちが女をはべらせ酒を囲っている。

その異質な雰囲気にマヤは無意識に下をむいた。その震える肩を先ほどよりは落ち着きを取り戻したディートリヒが自らのそばにぐいっと寄せる

ダリウスがあたりを見回すと数人の男が近づいてきたマヤはとっさにダリウスとディートリヒの間に隠れる
「なんだ、てめぇらは?ここの軍人じゃぁねえな?」

「この女性がこの宿にいるはずだ彼女にあわせろ」
 そういって男達に写真を見せる

「いるなぁ確かにこんな女」
 ニヤニヤと笑いながら男は答える

「どこだ」
突然ディートリヒが話に割り込む

「そこの娘とヤらせてくれたら教えてやるよ」
そういってマヤに手を伸ばそうとする男をディートリヒはパンチを見舞いその隣にいた男を掴み上げテーブルに叩きつける、無論、手加減してだが 

場が騒然となる中、ディートリヒはあたりを見回し

「……おい」
抑えきれない怒りをなんとか抑えつつに殺せそうな視線で周りを威圧しながら、ディートリヒは壁の隅っこで震えていたバーテンダーに声をかける

「これで最後だ・・・・シュヴェルテはどこだ?

聞くものに有無を言わせない威圧感のこもった声にバーテンダーは震え上がり
「ち、地下室に・・・・」

「場所は?」
震える指でバーテンダーはカウンター奥のおくの階段を指差す

無言でそこに向かい階段を下りるディートリヒ、そのあまりの威圧感にダリウスは彼に声をかけることができない
マヤはディートリヒを一人にしてはいけないと彼の後についてゆく


ひとまずダリウスは騒動に気づきノコノコと出てきた支配人らしき男に銃を突きつけ今までの悪行の全てを白状させる事にした










マヤは無言で階段を下りるディートリヒの背中を見てなにか話そうとしたがなんと声をかけたらいいかわからず口を閉じた

そうこうしているうちに最下層にたどり着いた頑丈そうな鉄製のドアだ、マヤが開けようとしたが鍵もかかっている
どうしようとつぶやいた次の瞬間ディートリヒはマヤを優しくドアの前からどかすと無言でドアを殴りつけた
先ほどとは違いコアの力をフルパワーで出したパンチだ。鋼鉄製とはいえドアはものすごい音を立て砕ける

拳から出血していたがディートリヒは構わずに入る


目の前に入った光景
男が5人。死んだ魚の目に無理やり光を植え込んだような視線をむけこちらを見ている
床には精液やら吐瀉物がとびちり悪臭を放っている
そのにおいに顔をしかめ、同時に中心を見たディートリヒは目を見開いた



彼の目に飛び込んできたのは鎖で手を縛られ吊るされほとんど半裸の状態でぶら下がっていたシュヴェルテ、意識はないようだ。
全身には無数の殴られたような痣や切り傷があり、片目はまぶたが腫れ上がって閉ざされ口元からは血が出ており何かをぶつぶつとつぶやいている
ディートリヒにはそれが「アシュレイ」といっているように見えた

「こ・・・んな・・・・・なん・・・で・・・ひどい・・!!!」
マヤは口を手で覆い涙を流す

「・・・・・・誰が勝手に入って言いつった? おいデカブツ ご丁寧にドアまでふっ飛ばしやがって」
それを完全に無視しディートリヒは放心した顔で部屋の中に足を踏み入れる

「てめぇ・・・聞いてやがんのk・・」

そう言い男はディートリヒにつかみかかるがディートリヒはその腕をつかむ、
すさまじい握力でつかまれた腕はまるでカステラのようにちぎれる。男が目を見開き絶叫をあげ・・・・









      • ようとするまえに間髪いれずにディートリヒは男に右ストレートを繰り出す。先ほどドアを砕いた一撃、いやそれ以上かもしれない
打撃音の変わりに肉と骨の砕ける音が部屋に響き渡り、男の顔面は内側から爆発したように砕けちった。
反対側の壁には頭髪、脳味噌、頭蓋骨の破片、肉片や血が飛び散ってへばり付く。返り血がシュヴェルテや他の男達の顔にかかった。

「ひぃ・・・・・っ!!?」
いきなりの事に、他の男達が驚愕の声を上げる。
頭が吹き飛んだ男はそのまま力なく崩れ落ちるがディートリヒは構わず胴体に回し蹴りを放つ、そして数秒前まで人間だったものはあっという間にバラバラの肉塊と化した
マヤは腰が抜けたのかその場にへたり込む

ディートリヒはゆっくりと他の男の元に向き直り腰に携えた剣を抜いた
なにも考えていなかった、ただ彼の頭にあったのは戦友の誇りを汚し蹂躙した者達はただでは済まさない、地獄以上の地獄を見せる、ただそれだけだった

To be continued

最終更新:2009年02月06日 10:37
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