「準市場(quasi market)」とは、「国による財源調達」、「専門家による購入プログラムの策定」、「利潤追求が市場参加者の唯一の活動基準とはならない」という特徴をもつとされている(本書326頁)。わが国で言えば、医療保険や介護保険の世界である。このような「準市場」は、80年代以降の行政活動への市場原理の導入によって改めてその存在が明確に定義されるようになったものである。問題は、このように形成された「準市場」を、政府機構と行政活動における「民主主義」の追及と、どう両立させていくかというところにある。この点をさらに検討していくことがこれからの課題のひとつではないかと思われるのである。