1.NPMの原理(P30-31 より一部抜粋)
第1に「成果指向」である。手続きや過程よりもむしろ、算出された結果に焦点をあてる考え方である。
第2に「顧客指向である。NPMの原型とされる「顧客・契約モデル」では、住民を公共サービスの顧客と位置づけ、顧客の万奥戸を高め、顧客の指示を得られないことには地方自治体の存続はないとしている。
第3に「市場原理」の活用である。
第4に「組織再編」である。これは、組織の内部運営の点で、まず、資源配分や、目標設定と行った中枢下院利部門と、実際の政策の実行を分離し、政策実行段階については、実行期間に大胆に委譲し、結果についての責任を負わせるというものである。
第5に「公開参加」である。この分野は、特に日本のNPM改革が、原型の「顧客・契約」モデルを越え、「協同型」それも、真の意味での「市民・行政協同型」へシフトしていくのかどうかの重要なポイントをなす。
NPM改革のツールとその普及(P35-37 より一部抜粋)
(1) 行政評価
日本の地方自治体でのNPM改革で出発点として位置づけられるのが、この行政評価である。すなわち、計画ー執行ー評価のPDSマネジメントサイクルを確立し、成果や業績を数値的に把握し、その結果から資源配分の見直し、組織改編、委託化・民営化を行うNPM改革にとっては扇の要と言うべきツールだ。従って、これが始まったらその自治体でNBPM改革が始まったとみてよい。
(2)会計制度改革
自治体の会計制度は、単年度主義、現金主義会計であることによって、計画的な財政運営ができな、資産や負債といったストックが把握しにくいとして批判されてきた。そこで、自治体の会計に企業会計方式が持ち込まれるようになってきている。
(3) 予算改革
成果指向のNPMは、予算編成の方法論にも変更を迫る。一つは、行政評価の予算編成へのリンクである。次に、予算の分権かとしては、包括的予算配分方式が導入される。評価とのおおリンク、分権か、コスト意識と競争の導入がNPM予算改革のポイントである。
(4)組織改革
NPMの組織再編の基本は、フラット化と権限委譲である。この場合、権限委譲とは、トップマネジメントが示した政策目的をどう実現するかの手段についてであって、仕事を良く知っている現場の職員が、資源配分の決定に直接影響できるわけではない。決して、ボトムアップ型の職員参加とはいえないのである。
(5)人事改革
NPMにおける人事改革は、定数管理と業績評価制度の導入、さらに近年では、雇用形態の多様化が見られる。定数管理では、多くの自治体で、行革計画を持っており、原因計画となっている。自らの評価が高まるような目標設定へのバイアスや、トップへの忠誠度を競うことになるなど、新たな官僚主義の弊害が懸念される。
(6)外部委託
個々の周辺業務だけでなく、自治体業務の中核部にも外部委託が始まっているのである。
(7)住民参加
「顧客・契約」モデルから、「参加・協働」モデルへシフトしつつある日本のNPMでは、住民が行政に直接「参加」することも重要視される。ただし、主権者としての住民の権利の強化とは別の意味合いもあることに注意する必要がある。行政が効率よく経営されるための参加なのである。(中略)しかし、逆に言えば、自治体の中に、利害を調整しそれを住民に説明し、説得する能力が不在であることを示す。それに代わって、あらかじめ住民の間で調整するのが、この参加の意味である。
(P39 より一部抜粋)
ピーター・ハリス氏はこう結論づけている。NPMモデルは、たしかに資金を節約し、政府・自治体の各部門のアイデンティティを確立するが、政府の役割・機能に矛盾した要素を持ち込み、総合的・長期的な視点を政府の活動から失わせ、公共サービスのもつとくせいやそれに伴うべき倫理性を欠如させ、公共サービスの提供者としての組織の能力や戦略的能力をうしなわせるおそれがあるのである。
最終更新:2007年02月14日 06:28