「日本の核論議はこれだ」
はじめに
平成十八(二〇〇六)年七月五日、日本海に向けた北朝鮮による
弾道ミサイルの発射実験が行われました。さらに北朝鮮は、同じ
年の十月九日に地下核実験を強行しました。
これらの行為は、国際社会が必死で取り組んでいる核拡散の防止や
核軍縮に真っ向から対立する許しがたい行為です。隣国の核武装と
いう現実を突きつけられたわが国は、対北朝鮮経済制裁を発動する
とともに、弾道ミサイル防衛(BMD:Balistic MissleDefense)
システムの前倒し配備を決定しました。
しかし、これだけでよいのでしょうか。
米国をして「ならず者国家」といわせた朝鮮労働党一党独裁の
北朝鮮が核兵器を持ったいうことは、その矛先がいつわが国に
向けられるか分からないということを意味します。
万一、わが国に向けて核ミサイルが発射されたならば、わが国は、
現在の国防体制では国民を守ることができません。
たしかに六者会合で核を放棄させようとする動きはあります。
しかしこれにより、すでに判明している核施設を封印できたとしても、
このことは北朝鮮指導者が核兵器保有意図を完全に放棄したことを
意味するものではありません。いつ、どのような形で再び核兵器の
姿が浮かび上がってくるかもしれません。
また、隣国のロシア、中国が大量の核兵器を保有していることも
衆知の事実です。
中露に北朝鮮が加わり核兵器保有国に囲まれるようになったわが国が、
国の安全を守るためにはどうしたらよいでしょうか。
この疑問に答えるために、郷友総合研究所の研究員が、論議と推敲を
重ねました。そして、その研究成果を専門家のみならず広く国民の皆様に
ご紹介し、核論議の出発点にしていただきたいと思い、この本にまとめ
刊行することとしました。
最終更新:2010年06月16日 14:10