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  • ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 09: 鬼ごっこ

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ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 09: 鬼ごっこ

最終更新:2011年09月06日 22:29

meteor089

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ボーイ・ミーツ・トンデモ発射場ガール ep.1_Index 09: 鬼ごっこ

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[19764] ep.1_Index 09: 鬼ごっこ
Name: nubewo◆7cd982ae ID:f1514200
Date: 2011/02/28 00:46
怪我をしてから、きっかり三日。
夕焼けが街を真っ赤に色づけている。
その日が落ちれば、動き出すことになっている。
インデックスはこの三日でかなりの回復を見せた。
はじめて見たときと同じ、瀟洒な刺繍の入った修道服に身を包み、頭にフードを載せる。
もう一人で歩くくらいは、何の問題もなかった。
とはいえこれから敵に追われてかなりの距離を走るのだ。
それには不安がないわけではない。

「もう、走れますの?」
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃなくても、走ることになるけどな」
「そういうこと。それじゃあ、二人の準備はもういいの?」

当麻と光子は、コクリと頷く。
光子がインデックスの服のよれを直した。

「ねえ。もう一度だけ聞くね。本当に、私についてくるの?」
「ああ」
「ええ」
「ここでお別れしたほうが、二人は幸せかもしれないよ」
「それはない」
「そんなことをしたら、ずっと後味の悪いものが残りますもの」

当麻と光子の返事は素っ気無かった。
もう決まりきったことだからだ。
インデックスは、もうそれ以上は聞くまい、と思った。

もし、本当の本当に危機が迫ったなら、自分が囮になれば二人はきっと助けられる。
一度相手を振り切れば、あとは自分ひとりで何とかなるのだ。
これまでもそうやって生きてきたのだから。
今ここで二人と別れない理由は、相手に補足されているからではないと、インデックスは分かっていた。
別れたくないのだ。
この数日間が自分にとってかけがえのないほど暖かだったから、それを手放したくなくて、自分は二人の好意に甘えているのだ。
……心のどこかでそう分かっていながら二人を突き放せない。
それは禁書目録を背負う強い少女の、弱さだった。
部屋の明かりはまだ点いていない。
いや、今日はもう点ける予定のないものだ。
黄泉川に書置きは残さなかった。
保護してくれた人間を振り切って逃げるのに、ありがとうを言う資格はないだろう。
インデックスはついさっきまで、そこにあった穏やかな空気に別れを告げる。
真っ暗で人のいないリビングは、何も返事を返さなかった。

「じゃ、行くか」
「うん」
「まずはこのマンションを無事降りるのが一番の仕事だな」
「だね」

当麻が、ドアノブをひねる。
ガチャリというありふれた音が、戦いの火蓋を、切って落とした。



「な、なんか拍子抜けするくらいだな」
「……」

マンションを出てすぐ。
インデックスは廊下をざっと見渡して、あの炎の巨人を呼び出すルーンがないことを確認した。
そしてエレベータが近くの階にいたのを見て、それで降りてきたのだ。
当麻と光子にしても三日ぶりの下界だった。

「人が、いませんわね」

社会人の帰宅には少し早い時刻。
おかしいとまでは言えない。

「思ったより、速いかも」
「え?」
「もう私たちの動きを知ってて、人払いの魔術が発動してる!」
「っ……走るぞ!」
「はいっ」

目指すは駅。
沢山の人を乗せた交通機関に乗れば、相手は手出しが出来ないはずだ。
だからそれは相手の最も警戒していることでもあるだろう。

これは鬼ごっこ。
逃げるこちらは三人。
そして追うあちらは二人と、そして。

「とうま! 右!」
「くっ、おおおおおおおお!!」

何の拍子もなく不意に現れる、炎の巨人。
発現からノータイムで襲ってくるそれは、インデックスの指示がなければ対応すら出来ない。
黄昏時のなんてことはない道路が真っ赤に照らされる中、当麻の右手が炎と拮抗する。
当麻一人なら、もうこの時点で詰みだろう。

「当麻さん!」

地を走るのが仕事のはずの大型バイクが、滑空する。
鈍重で知性を感じさせない炎の巨人は、ぼんやりとそれを見つめる。
粘性のベシャリという音とともに『魔女狩りの王』は飛び散った。

「光子! 無理するなよ」
「このくらい! 平気ですわ」
「能力は使いすぎると消耗するんだから、光子は温存してくれよ」
「はい。分かっていますわ。でも当麻さんが」
「大丈夫。何とかなる」
「二人とも! もうこっちは終わったから! 行こう」

壁に黄泉川家から持ってきた果物用のペティナイフで何かをガリガリと刻んでいたインデックスが走り出す。
進むにあたってやることは、変わらない。
顕現の前触れをインデックスが読み取って、当麻に指示を出す。
当麻が炎の巨人の腕をつかんで動きを止める。
光子がそこらにある何かを投げつけて、『魔女狩りの王』を吹き飛ばす。
そしてまた逃げる。それの繰り返しだった。
10メートルに一度、インデックスが壁や木にナイフで何かを刻む数秒と、50メートルに一度、顕現しなおして襲ってくる『魔女狩りの王』をいなす数十秒が、三人の足を止める障害だ。
全力で走っているはずが、結局早足程度のペースにしかならない。

「あっちがこのままだったら、乗り切れるんだけどな」
「うん。とうまとみつこがいればこの術式だけなら楽勝だね。でも」
「もう一人」

インデックスを背後から切りつけた、あの女がいる。
あちらにこちらの動きが知られているのは明らかだ。
ものの数分で襲ってくるだろう。
駅までは幸い1キロもない。
問題は、そうなる前にどこまで逃げられるか。




「そちらの首尾はどうですか、ステイル」
「予定通りだけど、人払いに忙殺されそうだ」
「では『魔女狩りの王』のみの参戦で貴方は裏方に徹するのですね」
「そうなるね。ま、止めは君に任せるよ」
「誰も死なせる気は、ありませんが」
「そうかい」

通信魔術で二三言ステイルと話をしてから、息一つ切らせず、神裂はビルの最上階から地上までを降り切った。
エレベータよりも自分で降りたほうが早い。
その膂力を遺憾なく発揮して、神裂はインデックスたちとの距離を詰めにかかる。
殺したくない、と神裂は思っている。
確証はないがインデックスを匿った少年少女は、禁書目録を悪用する気のある人間に見えなかった。
もっと素朴な好意で、匿っているように見えた。
昨日と一昨日の二日間は、チリチリと自分の中の思い出を焦がすような嫌な気持ちを感じるくらい、彼らはごく自然に、仲睦まじく見えたのだった。
自分の直感が正しいのなら、あの二人は自分が刀を振るっていい相手ではない。
――もちろん、インデックスを救うことよりそれは優先しない。
結局、自分は二人を死なない程度に痛めつけることになるのだろう。
誰も傷つかないで、誰もが幸せになることはもう、諦めていた。

「お願いだから、あの子を素直に渡してください」

まだ少年たちに対峙もしていない。
聞こえるはずのないお願いを誰にともなく呟く。
話し合いの出来る相手であって欲しい。
もしそれが叶う相手なら、まだしもましな未来を全員に配り歩ける。

神裂の目が夕闇を走るインデックスを捉えた。
純白の修道服はよく映える。
逃げられやすくなるというから不都合なことだが、足取りが確かであることに、神裂は安堵した。

「止まりなさい!」

その一言で、三人がびくりと振り返った。
だが覚悟は決めてきてあるのだろう。
誰一人、足を止めなかった。

「言い方が悪かったですね。止まらないのもご自由ですが、その子の回収だけはさせていただきます」

ギリ、と自分を睨む少年の顔を見つめ返した。
――と同時にコンクリート辺が、神裂めがけて飛んでくる。
七閃でそれを落とす。
神裂にとってどうということのない攻撃だった。

「そちらこそ、言葉一つで説得されてはいただけませんの?」
「申し訳ありませんが、そうもいかない事情がありますから」

意志の強そうな瞳。敵は少年一人ではないことを神裂は確認した。

追いすがる神裂に、もう一片、コンクリート片が飛んできた。
先ほどと同じ。
神裂の足を全く緩めさせることのない無為な攻撃だった。
無駄と思いつつも、忠告はする。
それで相手の心が萎えてくれればと僅かに願うからだ。

「無駄です。石やコンクリートなど、一瞬と言われる時間に七度は切り捨てられますから」
「じゃあ、炎は切れるの?」
「え?」

久々に、あの子から話しかけられた。
不敵に笑った目で、憎憎しげに見つめられながら。

「――――っ!」

呼吸が止まる。
瞬間、右に弾け飛ぶように逃げた。
『魔女狩りの王』が神裂のいた場所を抱きしめた。

「まさ、か。もう」
「ちょっと読むのに苦労したけど。ルーンなんて所詮はラテン文字の亜種なんだから。ゲルマン系とラテン系の古語を知ってれば知らない文字があっても読めるんだよ」

神裂は背筋が寒くなるのを感じた。
ステイル・マグヌスは失われたルーン文字を復活させ、新たに力ある文字を加えるほどの術者だ。
あの年齢にして、ルーン使いの中ではトップクラス。
そのステイルが己の全てをかけて編み出したのが『魔女狩りの王』だ。
それを、インデックスはほんの一瞥で読み取り、それどころか逆手にとってしまっている。
それは魔術師としての底を見透かされたということだった。
インデックスという少女が蓄えた知識、それが凄まじいものであることは神裂も知っている。
だが、こうまでも恐ろしいものなのか。
ここまで読まれてしまうものなのか。

――――手の内を明かしてはならない。
自分が何者なのかを知られればどんな『毒』を吹き込まれるか、分かったものではない。
神裂は、自身の使える魔術はどれ一つとして見せることが出来ないのだと、悟った。

インデックスが何かを呟く。
再び、『魔女狩りの王』は禁書目録の命に従い、神裂に襲い掛かった。
遠隔操作なのがまずい。
ステイル本人が目の前にいれば、操作を奪い返すことも出来るだろうに。

「くっ!」

無様に『魔女狩りの王』から逃げる。
防ぐための魔術を使うことが許されない条件では、神裂にもそれしか手がなかった。
いや、唯一手はある。
なんの手加減もせず、全力の抜刀術をもって『魔女狩りの王』と少年達切り殺せばいい。
正確には、何の手加減も出来ないのだが。
そうすれば何の障害もなくなって、晴れてあの子を助けることが出来る。
禁書目録は恐ろしい存在だが、単体ならただの非力な少女なのだ。

……だから。
三年前、自分は彼女の傍にいたのだ。

「切らなければ、ならないのですか」

神裂は呟く。
出来ることなら、と辺りを見渡す。
幸い『魔女狩りの王』は鈍重だ。
次に襲い掛かってくるまでに退路を確保しようとして。
『魔女狩りの王』が突然進路を変えて、超能力者の少女に襲い掛かった。



「光子!」

神裂とは違い、あちらの陣営には魔術に対するジョーカーがある。
上条の右手が『魔女狩りの王』の身動きをあっさりと封じた。

「そういうことですか。ルーンを書き換えた場所でしか、貴女は『魔女狩りの王』の制御を奪えないのですね」
「とうまがいればそれでも充分だけどね」
「そうですか?」

返事をするのと同時に七閃を繰り出す。
滑空する自転車と、神裂に向かっておかしな勢いで倒れこむ樹木を細切れにした。
どちらもあの少女の能力だろう。
それで足止めをする気らしい。

「私の足止めが甘いように思いますが」
「もう終わったけど?」

上条が押さえていた『魔女狩りの王』が姿を消して、また神裂に襲い掛かる。
ルーンは木にナイフで刻むもの。
習字のような丁寧なものではない。
『魔女狩りの王』が正しくあちらを攻撃するのは少しの間だけ。

「ふっ! ……成る程、厄介ですね」
「当麻さん! 速く!」
「おう!」

三人は住宅街の信号のない道を抜けて、駅前大通りに抜け出た。
閑静だった住宅路とは違い、いつもよりずっと少ないものの車の往来がある。
まさに今、人の気配が消えつつある場所のようだった。

「やっぱり。こんな大都市の駅前から五分で人を消すことなんで無理なんだよ」
「ってことは一旦逃げ切れたってことで良いのか?」
「楽観されては困りますね!」

『魔女狩りの王』を避けながら、こちらに神裂が追いすがってくる。
もうすぐにあちらも大通りに出てくることだろう。
こちらが開けたところにいて、あちらが隘路にいる。
この一瞬がチャンスだった。

「光子」
「ええ。分かっています」

婚后光子の能力は、豪快だった。
本当は繊細な能力の使い方もあるのだが、本人の性格のせいか、とかく『ぶっ放す』ことが多い。
今しようとしていることは、その際たるもの。

神裂はチラリと目の前の少女と目が合ったのに気づいた。
それで、何かを仕掛ける気なのだと看破する。
戦い慣れのしない、分かりやすい視線だった。
先手を取られる前にこちらから仕掛ける、そう決めて踏み足にぐっと力を込めたところで。

ぶわっと、足元から突風が吹き出した。
呼吸が止まる。
この風速ではフルフェイスのヘルメットでもして口元の風を緩めないと息も出来ない。
体に先んじて吹き上げられた長髪に痛みを感じながら、神裂はなすすべなく大空に舞い上がった。

――――やられた。
神裂は空で自分を動かす方法を知らない。
落下までの五秒がひどく緩慢だった。

「凶刃を振るう貴女に、手加減はしませんわ。この子を傷つけたことを後悔なさい」

視界の外から、冷ややかな声が聞こえた。
少女の声は、身の危険に戸惑っていた先日とは雰囲気が違っていた。

次の瞬間。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッ
圧縮空気が激しく空気をかき乱す音と共に、重量1200キログラムのそれが、持ち上がった。

「な……っ!」
「死なないように受身をお取りになることね」

神裂に出来るのは斬ることだけだ。
だが切ってなんになる。
運動量は切ったところで減りはしない。
目の前に迫る乗用車に対し、神裂に出来ることは何もなかった。

ガゴッ!!

神裂は、時速30キロで空を飛ぶ乗用車に、なす術もなく轢かれた。




ガヤガヤとしたショッピングモールを足早に駆け抜ける。
人払いが全く効いていないのか。
それとも諦めたのか。
夕暮れ時の駅ビルの中は帰宅中の学生達で一杯だった。

「ついてきていますの?」
「わかんないんだよ。魔術の気配がしないから」
「それは逃げ切れたって意味じゃねーのか」
「探してるのは間違いないから。それに追いかけるのが専門の相手から逃げ切ることなんて簡単には無理」

土地勘のある上条の先導で人ごみを突き進む。
長髪の女に対しては、あれから三台くらい車を住宅路の先にねじ込んで、道をふさいでおいた。
迂回したのか乗り越えたのか、その光景に立ち会うより先に三人は駅前に飛び込んでいた。
今のところ、あの赤髪の神父からもあの女からも、見つかっていないように思う。
もう目と鼻の先には、最上階にあるモノレールの駅へ通じる広場があった。

「まだ走れますの?」
「大丈夫だよ。光子こそ、まだ疲れてない?」
「ええ。大したものは飛ばしておりませんから」

インデックスのしっかりとした足取りにほっと一息をついて、再び前を向いて走り出した時、光子はドシンと人とぶつかった。

「ごめんなさい」

一言謝って、あとは無視する気だった。
知らぬ人の心象が悪くなったところで、どうでもいい。
だが、その人から、声をかけられた。

「あ、婚后さん?」
「えっ……佐天さん!?」
「どうしたんですか?」
「いえ、その」
「みつこ!」
「ごめんなさい、今急いでいますの。お話はまた今度」
「え?」

佐天は友達と遊んだ帰りに、駅前をぶらついているだけだった。
急に会って驚きはあったが、できれば光子にいろいろと報告したかった。
だが後姿はもう人影にまぎれ始めている。

――知り合いと一緒にいて、やけに焦ってるみたいだったなー。
婚后さん。

この時間は五分に一度電車が来る。
あんなに焦って一体どうしたのかと首をかしげた。
いや、焦りというよりはむしろ、緊張感に近かったような。
まあいいやと忘れようとしたところで、ふたたび背後からカツカツと足早な音を聞いた。
振り向くと、気持ち悪いくらいの赤髪の、長身の神父がいた。
終日禁煙指定の学園都市の公共スペースでくわえ煙草をするその姿は、衆目を集めずにはいられない。
佐天も多分に漏れず、その神父を凝視してしまう。

……と、その神父が辺りを見渡して、光子たちがいる方向に目線を合わせて、すぐさま歩き出した。
直感で、佐天はその神父と光子たちが関係が有るのだと、そう感じた。
光子たちは神父にまだ気がついていないように見える。
そして彼らの関係は、きっと平穏なものではない、そう佐天は判断した。
自然と次に佐天が取った行動は、思慮の結果というよりは、直感に近かった。

「婚后さーん! こっち!」

ぶんぶんと、探していた友達を呼ぶように手を振る。
それなりに声を出したから、近くの人たちがいっせいに佐天を見た。
もちろん、光子たちも。
そして佐天の意図どおり、佐天以外の誰かを見つけたのだろう。
急に足取りを速めて、その場からいなくなった。

「チッ……」

忌々しそうな目で、神父がたっぷり三秒くらいこちらを睨みつけた。
それに対して目を合わせずに、あれーおっかしいなあ、という態度を佐天は繕った。
急いでいるからか、もとからそれほど佐天には興味がないのか、神父は目線を外すとすぐ光子たちを追い始めた。
そこまでして、佐天は自分の背中が嫌な汗で濡れているのに気づく。
さっきの神父の視線は、なにか普通と違う、嫌な視線だった。
もし光子たちが困っているのなら何か手伝ったほうが良いかもしれない。
そう思いながら、しかし佐天は足が前には向かなかった。




「神裂、そっちは?」
「今、駅の改札にいます。彼らは今どこに?」
「間に合ったらしいね。こっちは今から広場に出るよ」

そう言った瞬間に、ステイルは広場に出た。
中央のエスカレータを上れば改札だ。
階上にいる神裂と目線を合わせる。
距離にして30メートルくらいの二人の間に、ちょうどインデックスたちを挟みこめた。

「悪いね。モノレールの旅はまた今度にしてくれ」

三人に聞かせるでもなく、そう呟く。
ここを目指すであることは前日から予想できていたから、ここの地図は完全に記憶に入っている。
この配置で、次に逃げる位置はもう一つしかない。
少し遅れて三人は神裂に気づいたらしかった。
慌てて進路を変えたのが分かる。
ステイルも神裂も、すぐには追いかけない。
都合のいい方向に逃がしていくのにちょうどいい距離、というものがあるからだ。
逆に言えばそれを測れるだけの余裕があるという意味でもあった。
三人が広場を後にしてきっかり15秒後、神裂とステイルは合流した。

「さて、それじゃあ仕切りなおそうか」
「ええ。あちらも充分消耗してきているでしょう」
「そういえばさっき、随分と外で面白そうなアトラクションが見えたね」

空を飛ぶ車に轢かれるという貴重な体験をした神裂が、ふんと鼻を鳴らす。
まんまとしてやられたのことに少し自分で苛立ちを覚えているらしかった。

「……全身を打ちましたから本調子とは言えないですが、どこかを損傷したということはありません」
「そうか」

別ルートから上条たちを追い抜いて改札に先んじるくらいのことは、出来る状態だった。
神裂の受けたダメージついては、ステイルは問題ないと判断した。
これからは、振り出しに戻る、ということになる。
目の前の通路はエレベータと螺旋階段に繋がっていて、上に行けば袋小路、それを避ければ下に、つまりまた街中へと出て行くことになるからだ。
五分に一度、百人単位で人を吐き出す駅前を無人にすることはかなり無理があるが、人の流れに手を加えることは出来る。
彼らの逃げる先は人のいない、つまり『魔女狩りの王』とステイルと神裂、三人で立ち向かえる場所だった。

「エレベータがちょうどあったらしいね」
「こちらは間に合いませんね」

目の前で三人がエレベータに乗り込むのが見えた。
15秒遅れて、ステイルたちもたどり着く。

「そう速くないことを祈るね」
「走って降りても追いつけるでしょう。扉の開閉は時間の掛かるものですよ。……ちょっと待ってください! ステイル」
「どうした、神裂」

ステイルは階段を下りようとして、立ち止まる。

「エレベータは上へ向かっています」
「……まさか、上に逃げたのか?」

このエレベータは一階と、駅のあるこの階と、そしてビルの最上階の展望台にしか止まらない。
つまり展望台に上がってしまえば、逃げ場がないのだ。
非常階段で下りることは可能だろうが、それにしたって結局一階まで一本道。

「してやられたね。上と見せかけて下に行ったか」
「あるいは本当に上に逃げていて、こちらの予想を超える手立てがあるか、ですね。混乱をきたして愚策を選んだのかもしれませんが」
「二手に分かれるか?」
「そうですね。ただ、手の内を読まれているあなた一人では苦しいのではありませんか、ステイル」
「……嫌なところを突いてくるね」
「私が上に行きます。ステイルは下を探してください」
「わかった」

僅かな目配せ。
マントを翻してステイルがその場をすぐに去った。
神裂は軽く息を整える。
上に登りきったエレベータが、もうじき降りてくるところだった。




屋上展望台に出て一息つくほどの暇も与えられないまま、エレベータは再び下に降りて新たに誰かをまた、ピストン輸送してきた。
……いや、誰かとは言うまでもない。
心当たりが一人しかいなかった。

「ああ、ステイル。こちらにいましたよ。……ええ」

手にした携帯電話で、ひとことそんな連絡を取る長髪の女。
上条たちの後ろに、神裂火織が追いついた。

「それで、どうするつもりなのですか」

大きめの声で神裂が声をかけた。
このビルの屋上はかなり広かった。
神裂のいるエレベータ前からここまで、一挙手一刀足の距離とはいかないだろう。

「別に。覚悟を決めてた、そんだけだよ」
「覚悟、ですか。捕まる覚悟をしてくれたのならいいのですが。無駄と知りつつ戦う覚悟でもしましたか」

真っ直ぐではなく、神裂は壁を伝うようにしながら上条たちに近づいていく。
非常階段がそちらにあるからだ。
下に逃げられたところでステイルがいるのだが、神裂はもう、ここでけりをつける気でいた。

「ちげーよ」

上条は、不敵に笑った。
……正直に言うと、ちょっと恐怖心を隠していた。
インデックスは祈るような仕草をしていた。
祈りたい気持ちは、上条には分からないでもない。
そっと目を開いたインデックスが、上条を前から抱きしめた。
唐突の抱擁に、神裂は混乱する。

「……な、何を」
「何の覚悟を決めたかって言うとな」

上条がカチャカチャとベルトを伸ばしてインデックスに巻きつけて、素早く留めた。
二人は屋上の端から2メートルくらい離れたところにいる。
上条が端に背を向けて、インデックスがビルの外を向いていた。
そのインデックスの背に、とん、と光子が触れた。

「マジでコレ聞いたときは怖いって思ったし、やっぱ実際にここに来るとビビっちまったんだよ。ちょっとそれで覚悟に時間がかかったんだ」
「酷いですわ。私、100キロ程度の質量を100メートル飛ばす時の誤差は5センチ以下ですのよ?」
「もうなんでもいいから早くして!!」

神裂はその言葉で、むしろ自分達が手玉にとられていたのだと悟った。
ついさっき、見せられたではないか。
目の前の少女はトンを超える鉄塊でも飛ばせるのだ。
人間など、造作もないことだろう。

「地図を見れば分かることですから、お教えして差し上げますわ。この一体には数キロ四方に渡ってビルが乱立していますの。私達がどれを伝っていくのか、せいぜい頑張ってご推理なさるのね」
「くっ……させません!」
「もう遅いですわ」

神裂は分かっていなかった。
光子がインデックスに触れた瞬間から、気体のチャージは始まっているのだ。
常人離れした膂力で神裂が間合いを詰めるよりも早く、上条とインデックスは、空を飛んだ。

「いぃぃぃぃぃぃぃぃやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「うわぁぁぁぁ! ってインデックス! 落ち着け!」
「……だから大丈夫だって言ってますのに」

屋上から飛び降りた経験のある人にしかわからないだろう。
掴まるものが何もない空中から、街を見下ろすのがどれほど怖いことかなんて。
三人は、神裂を振り切って、空を伝って逃げ出した。
……あといくつも、これをやらなければならないのかと思うと、上条はゾッとした。





「ただいま。帰ったじゃんよー」

ガチャリと黄泉川は自宅の扉を開けた。
ようやく家に誰かがいて、ただいまというのが習慣になってきたところだった。

「あれ?」

部屋が、暗いのに気づいた。
さすがにもう明かりをつけないとやっていけない時間帯だ。
それに夕食の匂いもしない。
こちらから要求こそしなかったが、子供達は毎日食事を作ってくれていた。

「おい上条、婚后、インデックス、いないのか?」

……結果は明らかだった。
きちんと掃除された部屋、片付けられた自分達の布団。
彼らの私物は一つもなかった。
ここを出て行ったと、いうことなのだろう。

「あんの馬鹿野郎ども……」

警備員である黄泉川を信じられなかったのか、それとも迷惑を掛けたくなかったのか。

どうでもいい。
――――無事でいろよ。

黄泉川は荷物もおかずに、再び街へと駆け出した。









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